市場動向と要因分析
本日の金相場は、2320ドル/オンス前後で値動きしています。投資家は米連邦準備制度理事会(FRB)の幹部らによる一連の講演を待ち構えており、利下げの時期についてのより明確な見通しを求めています。
ミネアポリス連銀のネル・カシカリ総裁は火曜日、インフレ鈍化を受けてFRBは当分の間政策金利を据え置く可能性が高いと発言しました。特に住宅市場の強さを考えると、年内は利下げにならないかもしれません。
現在の市場予想では、CMEのFedWatchツールによると、9月の利下げ確率は65%となっています。低金利は金の魅力を高めます。一方、中国人民銀行は4月の金の準備高を6万オンス増やし、18か月連続で買い増しを続けています。
テクニカル分析とサポート
足元の金相場は、米経済の減速とインフレ抑制の狭間で上下するミックスシグナルを受けて上昇基調です。先週に続き週間ベースでは2月以来の2週連続安となりましたが、月曜日には1%上昇と反発しました。
弱かった4月の雇用統計は経済の徐々な減速を示唆し、インフレ高進と成長鈍化の悲観的な見方を和らげています。シカゴ連銀のアウスタン・グールスビー総裁は、こうした報告があればインフレ過熱の恐れは小さくなり、年内利下げの理由になると指摘しています。
通常、金利上昇は金利がつかない金には負担となります。しかし、今年に入り金価格は約12%高で、インフレ高進や米利下げ時期の不確実性にもかかわらずじり高しています。上げ要因には中央銀行の買い増し、アジア市場の需要、ウクライナや中東の地政学リスクなどがあります。
一方、中東が全面戦争に回避する兆しが見え始め、金の避難先としての魅力が最近では薄れてきました。しかし、イスラエル軍がガザ市に向けた攻撃の前振りとして、ラファの民間人の退避を始めています。これはハマスとの停戦交渉が行き詰まったためで、ハマスが恒久的な停戦を要求し、それが最大の障害となっています。
トレード戦略
今週の金相場は狭いレンジで安定した値動きとなっています。しかし、地政学的リスクの高まりと中国の買い増し姿勢から、上値重視の展開が予想されます。
現在の金相場の最も近い重要な抵抗線は2340ドル、2375ドル/オンスとなっていて、後者を上抜けば2400ドルの大台に向けた伸び期待が高まるでしょう。サポートライン下での買い場を窺う方針が有効で、2280ドル前後が次の買い場と思われます。
まとめ
金相場は2320ドル/オンス前後で動意づいています。FRBの利下げ見通しと、地政学リスク・中国の買い増し姿勢などが相場を左右する材料となっています。テクニカル的には2340ドル、2375ドルが重要なレジスタンスで、後者を上抜けた場合は2400ドルに向けて上値を試す展開が予想されます。サポートラインが堅調であれば、買い場を狙う戦略が有効です。