外国為替取引、通称「FX」は、世界の経済を動かす大きな市場の一つです。このFXとは、具体的には一つの通貨を別の通貨と交換することを指します。
この取引で使われる基本の単位を「通貨ペア」と称します。
通貨ペアは、主要な通貨とそれに対応する別の通貨の組み合わせから成り立っており、例えばUSD/JPYはアメリカドルと日本円の組み合わせを示しています。
この市場の動きを理解するためには、まず通貨ペアの概念を掴むことが重要です。
今回は、FXの通貨ペアの基礎知識についてご紹介していきます。
通貨の特徴をしっかり学んで、自分にあった通貨ペアを見つけてご自身のトレードライフに役立ててください。
主要な通貨ペア
USD/JPY
アメリカドルと日本円
このペアは、アメリカ(世界最大の経済体)と日本(アジアの経済大国)の通貨を組み合わせたものです。簡単に言うと、アメリカの経済が良ければアメリカドルが強くなり、日本の経済が良ければ日本円が強くなると考えられます。
日本は長らく低金利の国として知られているため、金利の高い国の通貨(例: アメリカドル)と低金利の国の通貨(例: 日本円)の間で、金利の差を利用して取引をする「金利差取引」の対象として、多くのトレーダーに人気があります。
初心者の方には、このUSD/JPYペアは以下のような特徴があるため、取引を始めやすいかもしれません。
取引量が多い
世界中で非常に多くの人々がこのペアを取引しているため、市場は流動性が高く、取引がスムーズです。
情報が豊富
アメリカと日本の経済に関するニュースやデータは容易に入手できるため、市場の動きを予測しやすいです。
金利差取引のチャンス
金利の差を利用して、利益を狙うことができます。
ただし、どの通貨ペアにもリスクが伴いますので、取引を始める前に十分な情報収集とリスク管理の方法を学ぶことが大切です。
詳しくはこちら→米ドル/日本円(USDJPY)について
EUR/USD
ユーロとアメリカドル
このペアは、ユーロ圏(アメリカに次ぐ経済大国)とアメリカの通貨を組み合わせたものです。簡単に言うと、ユーロ圏の経済が良ければユーロが強くなり、アメリカの経済が良ければアメリカドルが強くなると考えられます。ユーロの価格は、ユーロ圏の経済状況や欧州中央銀行の政策などによって大きく影響を受けます。そして、このペアは世界で最も取引量が多いため、非常に注目されています。
このEUR/USDペアの特徴はこちら
高い流動性
世界で最も取引量が多い通貨ペアなので、取引がスムーズに行えます。
情報アクセス
ユーロ圏とアメリカの経済に関する情報は豊富に提供されているため、市場の動きを予測しやすいです。
時間帯の利点
ヨーロッパとアメリカの市場時間が重なる時間帯には、取引の活発さが増すため、チャンスを掴みやすい。
詳しくはこちら→ユーロ/米ドル(EURUSD)について
GBP/USD
イギリスポンドとアメリカドル
このペアは、イギリス(世界の金融の中心地の一つ)とアメリカの通貨を組み合わせたものです。簡単に言うと、イギリスの経済や政策が良ければイギリスポンドが強くなり、アメリカの経済が良ければアメリカドルが強くなると考えられます。特に、イギリスの中央銀行の政策や政治的な出来事は、このペアの動きに大きな影響を与えることが多いです。
このGBP/USDペアは以下の特徴をもちます。
情報のアクセス性
イギリスとアメリカの経済や政策に関する情報は容易に入手できるため、市場の動きを予測しやすいです。
動きの大きさ
イギリスの政治的な出来事や経済指標の発表時には、このペアの価格変動が大きくなることがあります。これは、チャンスだけでなくリスクも大きいということを意味します。
時間帯の利点
ヨーロッパとアメリカの市場時間が重なる時間帯には、取引の活発さが増すため、チャンスを掴みやすい。
このペアを取引する際は、特にイギリスの政治的な動きや経済指標の発表を注意深くチェックすることが重要です。そして、リスク管理の方法を学ぶことで、安全に取引を行うことができます。
詳しくはこちら→ポンド/米ドル(GBPUSD)について
AUD/USD
オーストラリアドルとアメリカドル
このペアは、オーストラリア(鉱産資源が豊富な国)とアメリカの通貨を組み合わせたものです。オーストラリアの経済は、鉱産資源の輸出に大きく依存しており、特に中国との取引が多いため、中国の経済状況や商品価格の変動がこのペアの動きに大きな影響を与えます。
AUD/USDペアの特徴は以下にまとめてあります。
商品価格との関連性
オーストラリアは鉱産資源の輸出が多いため、鉄鉱石や金などの商品価格の変動がこのペアの価格に影響を与えることが多いです。
中国経済との関連性
オーストラリアと中国の経済関係が深いため、中国の経済指標や政策の変更がAUD/USDの動きに影響を与えることがあります。
適度な流動性
このペアはメジャーペアの中では取引量がやや少ないものの、十分な流動性があり、取引がスムーズに行えます。
このペアを取引する際は、商品価格の動きや中国の経済状況をしっかりとチェックすることが重要です。
詳しくはこちら→オージー/米ドル(AUDUSD)について
USD/CHF
アメリカドルとスイスフラン
このペアは、アメリカとスイスの通貨を組み合わせたものです。スイスは長い歴史を持つ中立国として知られ、その通貨であるスイスフランは「安全通貨」としての評価が高いです。これは、世界的な経済的不安や政治的なリスクが高まるとき、投資家が安全な場所としてスイスフランを選び、資金を移動させる傾向があるためです。
初心者の方には、このUSD/CHFペアは以下のような特徴があります。
安定性
スイスフランは安定した通貨としての評価が高いため、大きな変動が少ない時期もあります。これは、初心者にとって取引を始めやすい環境を提供することができます。
リスク回避の指標
世界的なリスクが高まると、スイスフランが強くなる傾向があるため、このペアの動きをチェックすることで、世界の経済状況の変化を感じ取ることができます。
中立国の特性
スイスの政治的安定性や銀行の秘密性が、スイスフランを安全通貨として位置づける大きな要因となっています。
このペアを取引する際は、世界の経済状況や政治的な出来事に注意を払いながら、スイスフランの動きをしっかりとチェックすることが重要です。リスク管理の方法を学ぶことで、より安全に取引を行うことができます。
詳しくはこちら→米ドル/スイスフラン(USDCHF)について
これらの通貨ペアは、世界の主要な経済を代表するものであり、取引量が非常に多いため「メジャーペア」とも呼ばれます。FX取引を始める際、これらのメジャーペアの特性を理解することは非常に重要です。なぜなら、それぞれのペアの動きや特性を把握することで、より効果的な取引戦略を立てることができるからです。市場の動きを予測し、適切なタイミングで取引を行うためには、これらの基本的な知識が不可欠です。
FX取引において、通貨ペアは大きく「メジャー通貨」と「マイナー通貨」に分けられます。マイナー通貨ペアは、南アフリカランドやトルコリラのようなマイナー通貨と、ドルやユーロなどのメジャー通貨との組み合わせを指します。
次にマイナー通貨の特徴についてみていきましょう。
マイナー通貨ペアの特徴
- スプレッドが広い
- 価格変動が大きい
- 政治経済リスクが高い
- 高金利通貨が多い
スプレッドは、売り値と買い値の差で、取引の際のコストとなります。マイナー通貨は取引量が少ないため、スプレッドが広がりやすく、取引コストが高くなることが特徴です。また、新興国の政治や経済の不安定さから、価格変動が大きくなることもあります。
代表的なマイナー通貨ペア
トルコリラ/円 (TRY/JPY)
トルコは政治的混乱が続く国で、2018年にはリラが大きく下落しました。しかし、高金利のためスワップ収益が期待できる。
メキシコペソ/円 (MXN/JPY)
メキシコは経済が発展している国で、原油価格の影響を受けやすい。スワップポイントを稼ぐことができる。
南アフリカランド/円 (ZAR/JPY)
南アフリカは資源大国で、政情の不安定さや資源価格の影響を受けやすい。高金利のため、スワップ収益が期待できる。
マイナー通貨ペアの取引のメリットとデメリット
メリット: 価格変動が大きく、利益の機会が多い。高金利通貨のため、スワップポイント収入が期待できる。
デメリット: スプレッドが広く、取引コストが高い。政治・経済リスクが高く、価格変動が激しい。
マイナー通貨ペアの取引を行う際には、経済指標や政治状況を常にチェックし、リスクを適切に管理することが必要です。高いリターンを追求する一方で、リスクも大きいため、十分な知識と資金管理が求められます。適切なトレードスタイルを持ち、リスクとリターンのバランスを取りながら、マイナー通貨ペアを上手く活用しましょう。
通貨ペアの価格変動の要因
通貨ペアの価格変動の要因として、主に経済指標、政治的出来事、そして自然災害の影響が考えられます。
まず、通貨ペアの価格は、関連する2つの国の経済状況を反映します。
経済指標としては、GDP成長率、消費者物価指数、失業率、貿易収支などが主要なものとして挙げられます。
例えば、日本のGDP成長率が上昇すれば、日本経済の好調を示すため、円が高くなる可能性が高まります。逆に、成長率が低下すれば、円安の方向に動くことが予想されます。また、消費者物価指数はインフレの度合いを示すため、この指標が高まれば通貨の価値が下がる可能性があります。
貿易収支も重要な指標です。輸出が輸入を上回ると、その国の通貨は強まる傾向があります。逆に、輸入が輸出を上回ると、通貨は弱まることが多いです。
さらに、中央銀行の金利政策や金融政策も大きな影響を持ちます。金利が上昇すれば、その国の通貨は魅力的になり、価格が上昇することが多いです。
政治的出来事、例えば選挙や政変、法案の可決なども通貨の価格に影響を与えます。特に、不安定な政治状況は、投資家にとってリスクとなるため、その国の通貨は売られやすくなります。
自然災害も通貨の価格に影響を与える要因の一つです。大きな災害が発生すると、その国の経済活動が一時的に停滞し、通貨の価値が下がる可能性があります。
FX取引を行う際には、これらの要因をしっかりと把握し、情報収集と分析を行うことが重要です。市場の動きを正確に予測し、利益を出すためには、これらの基本的な知識が必要不可欠です。
通貨ペアの選び方
FX取引を始める際には、どの通貨ペアを選ぶかが重要です。
自身の知識
自分がよく知っている国の通貨ペアを選ぶことで、経済の動向やニュースを理解しやすくなります。
リスク許容度
通貨ペアによっては価格の変動が激しいものもあります。自分のリスク許容度に合わせて選ぶことが大切です。
取引時間
通貨ペアによっては、特定の時間帯に取引が活発になることがあります。自分の生活リズムや取引スタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
FXでの取引において、どの通貨ペアを選ぶかはとても大切です。それは、自分のトレードのやり方やスタイルによって、最適な通貨ペアが変わってくるからです。
例を挙げると、デイトレードという短期間で取引を行うスタイルの場合、その日の中で上昇もしくは下降のトレンドにある通貨ペアを選ぶのが良いです。これは、短期間で価格の動きを利用して利益を得るためです。
一方、通貨の価格は常に上下しているわけではありません。時には、価格があまり変わらない期間もあります。これを「レンジ相場」と言います。このような時期には、大きな利益を得るのは難しいです。
要するに、FXで成功するためには、自分のトレードスタイルに合った通貨ペアを選ぶことが大切です。価格の動きをしっかりとチェックして、最適な通貨ペアを選びましょう。
まとめ
FX取引における通貨ペアは、その取引の中核をなす要素です。各通貨ペアはそれぞれ固有の特性や動きを持っており、これを深く理解することで、より効果的な取引戦略を築くことができます。取引を開始する前には、自身の知識レベル、リスクの許容度、そして取引のスタイルをしっかりと見極め、それに合った通貨ペアを選択することが、成功への第一歩となります。
FXの通貨ペアの特徴を理解し、自身のトレードスタイルと照らし合わせて考慮し、その時その場で何が一番適切な一手になるかを突き詰めていきましょう!
シストレ.COMとしては、皆様が安心してFXの取引を行うことができるよう、こういった必要不可欠な情報を発信して参ります。取引を始める前に、しっかりと知識を身につけ、安全な取引を心がけてください。