
通貨強弱とは|8通貨それぞれの強さを、1本の線にしたもの

図は、2024年の夏の8通貨です。7月1日を0として、8月9日までに、円は7.9%上がり、フランは2.5%上がりました。豪ドルは3.0%、NZドルも3.0%下がっています。ドル円やユーロドルのように1つの通貨ペアだけを見ると、この動きは「円が強い」のか「ドルが弱い」のか分かりにくくなります。通貨強弱は、通貨ペアの動きを通貨ごとに分けて、並べ直したものです。
ドル円が上がったとき、強いのはドルか、弱いのは円か
ドル円が上がったとき、ドルが強い場合と、円が弱い場合があります。ユーロドルやポンドドルも同じ向きにドル高になっていれば、ドルが強い動きです。ユーロ円やポンド円もそろって上がっていれば、円が弱い動きです。通貨強弱は、この切り分けを、全部の通貨ペアで一度にやるものです。
通貨の強さを動かす主な要因
通貨の強さは、一般に、2国の金利差、雇用統計やインフレ率などの経済指標、政治や地政学のニュースで動くと説明されます。この記事の数字は、どの要因で動いたかを分けておらず、価格の動きだけから計算しています。
アドバイスドル円が動いたら、ドルと円のどちらが主役かを、ほかのペアでも確かめるのが通貨強弱だよ。
通貨強弱の計算方法|その通貨を含むペアの動きを平均する

4通貨で計算してみる
計算は3段階です。まず、ある期間の、各通貨ペアの値動き(%)を出します。次に、通貨ごとに、その通貨から見た相手との動きを並べます。ポンドなら、ポンド/ドルが上がれば+、ユーロ/ポンドが上がれば−になります。最後に、相手との動きを平均して、大きい順に並べます。
図の週は、ポンドが、対ドル+0.07・対ユーロ+0.32・対円+1.27で、平均+0.55でした。米ドルは+0.47、ユーロは+0.13、円は−1.16です。4通貨だけの例なので、相手は3つずつです。
8通貨の場合は、7ペアの平均
8通貨なら、1つの通貨の相手は7通貨です。米ドルなら、ドル円・ユーロドル・ポンドドル・豪ドル米ドル・ドルカナダ・ドルフラン・NZドル米ドルの7ペアを、ドルから見た向きにそろえて平均します。通貨強弱の計算の基本は、この平均です。
この記事の測定は、12ペアから最小二乗で出した
この記事の測定では、28ペアすべてではなく、12ペアの終値の対数から、通貨ごとの指数を最小二乗法で求めました(8通貨の合計は0)。28ペアすべてがそろうときは、この指数は「7ペアの合計を8で割った値」になります。つまり、7ペアの平均の8分の7倍で、通貨の順位は同じです。この関係は、乱数で作ったデータで確かめました(誤差は計算の誤差の範囲)。
アドバイス計算は、通貨ごとにペアの動きを平均するだけだよ。ツールの中身も、基本は同じ考え方なんだ。
通貨強弱の見方|ランキングと、強い×弱いの組み合わせ

図は、2024年8月2日までの約1週間です。円が+3.8%でいちばん強く、豪ドルが−1.6%でいちばん弱くなりました。8通貨のうち、上がったのは円・フラン・NZドルの3つで、残りの5つは下がっています。強弱の見方は、棒の長さの順位と、0より上か下かの2点です。
強い通貨と弱い通貨を組み合わせる
一般的な使い方は、1位の通貨と8位の通貨を組み合わせる方法です。この週なら、円(1位)と豪ドル(8位)の組で、AUD/JPYです。強い通貨が1位で弱い通貨が8位の組は、差がいちばん大きい組になります。この組が先も続くかどうかは、後の節で測っています。

クロス円から、円の強弱を読む
専用のツールがなくても、円を含むペアを並べれば、円の強弱は読めます。ドル円・ユーロ円・ポンド円・豪ドル円・NZドル円がそろって下がっていれば、円が全面的に強い動きです。そろって上がっていれば、円が全面的に弱い動きです。1つだけ逆に動くペアがあれば、その通貨に固有の材料がある可能性があります。ドルの強弱も、ドル円・ユーロドル・ポンドドル・豪ドル米ドルの向きをそろえて見ると、同じ方法で読めます。
DXY(ドルインデックス)との違い
DXY(ドルインデックス)は、ドルを6通貨と比べる指数で、ユーロの割合が57.6%です(ICE の説明)。円・ポンド・カナダドル・スウェーデンクローナ・スイスフランも入りますが、豪ドルとNZドルは入っていません。DXY が上がれば、ドルが全体に買われている目安になります。ただし、ユーロの割合が大きいので、動きはユーロドルの逆に近くなります。ドル以外の通貨どうしの強弱は、8通貨を並べる通貨強弱のほうが見やすくなります。
アドバイスランキングは、順位と、0より上か下かの両方を見るんだ。順位が1位でも、0より下のことがあるよ。
通貨強弱を確認するツール|無料サイトとMT4・MT5のインジケーター

無料で見られるサイト
Currency Strength Meter(currencystrengthmeter.org)は、ページの説明によると、8通貨を含む28のペアを比べ、直前24時間を見て強さを出します。画面には、8通貨の名前と更新ボタンがあります。計算の細かい式は、ページに書かれていません。

FX Blue の Relative Currency Strength は、短期・中期・長期・カスタムの切り替えと、強さ順の並べ替えができる画面です。同じページに、MT4・MT5版のインジケーターの案内もあります。時間軸ごとの期間や計算の式は、ページに書かれていません。
MT4・MT5のインジケーターを入れる手順
通貨強弱のインジケーターを、MT4・MT5のチャートに出す手順は、どの配布元でも、おおむね次の流れです。MetaTrader の総合ガイドに、画面の説明があります。
- 配布元から、インジケーターのファイルを入手する(MT4は .ex4 か .mq4、MT5は .ex5 か .mq5)
- MetaTrader の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、MQL4(MT5は MQL5)の中の Indicators フォルダに、ファイルを入れる
- MetaTrader を再起動するか、ナビゲーターを更新する
- ナビゲーターの「インディケータ」から、入れたインジケーターをチャートにドラッグする
通貨や時間軸の設定は、インジケーターごとに違います。配布元の説明を読んで、設定してください。この記事では、特定のインジケーターの設定や性能は確かめていません。
アドバイスツールによって、見る期間も計算も違うよ。同じ時刻で見ても、数字は一致しないことがあるんだ。
通貨強弱を10年のティックで測る|1位と8位の組は、先も続くか

測り方
通貨は8通貨、通貨ペアは12ペア(EUR/USD、GBP/USD、USD/JPY、USD/CHF、NZD/USD、AUD/JPY、EUR/JPY、GBP/JPY、NZD/JPY、EUR/CHF、AUD/CHF、CAD/CHF)です。足は、Dukascopy のティックから作った1時間足の終値(UTC)で、EUR/USD に足がある62,346本を使いました。足がない時間は、直前の終値を持ち越しています。
強さは、直前N本の通貨指数の変化です。N本ごとに区切って、1位の通貨と8位の通貨を1組選び、その先のM本で、「1位の指数−8位の指数」の差が、プラスだったものを「続いた」と数えます。1回の選びを1件とし、先の期間が重ならないように、M本おきに1件ずつです。NとMは、24本(約1日)と120本(約1週間)を、4通りに組み合わせました。
比べる相手は、無作為の通貨の組
「続いた」割合が50%に近いだけでは、強弱に意味があるとは言えません。そこで、毎回、通貨を2つ無作為に選び、直前に強かったほうが先も強かった割合を出して、1,000回やり直しました。その5〜95%の範囲を、「無作為の組の範囲」と呼びます。1位と8位の組の割合が、この範囲の外に出たときだけ、無作為の組より違う、と読みます。

実例|続いた例と、戻った例
上の例は、2025年7月4日13時(UTC)に、1位がフラン、8位がポンドだった場面です。先の120本で、差は+0.74%開きました。下の例は、2025年2月7日14時(UTC)に、1位が円、8位がドルだった場面で、先の120本で差は−0.47%縮みました。同じ選び方でも、続く例と戻る例があります。2つは並べるために選んだ例で、典型的な動きではありません。

結果|続いた割合は、無作為の組の範囲に入った
直前24本・先24本は、2,596件のうち48.3%で、無作為の組の範囲は47.9〜50.9%でした。直前24本・先120本は、519件のうち53.6%で、範囲は46.8〜53.9%です。直前120本・先24本は、2,592件のうち48.5%(範囲48.0〜50.9%)、直前120本・先120本は、518件のうち46.5%(範囲45.6〜52.3%)でした。
4つとも、範囲の中です。直前24本・先120本の53.6%は、範囲の上端(53.9%)に近い値ですが、外には出ていません。この4つのどれも、無作為の組と区別できる差ではありませんでした。

年ごとに見ても、はっきりした年は無い
直前24本・先24本は、1年に約260件で、年ごとの割合は44.8〜53.5%でした。直前120本・先120本は、1年に約52件しかなく、36.5〜57.7%と、年による振れが大きくなります。1年あたりの件数が約52件のときは、偶然の振れだけで、5〜95%の範囲が50%から上下に約11.4ポイントになります。年ごとの違いに、意味を読み取ることはできません。

強さの順位は、次の区間も続くか
別の測り方でも確かめました。重ならないL本ごとの区間で、前の区間の1位の通貨が、次の区間でも上位2位以内にいた割合です。順位が無関係なら、8通貨のうち2位以内になる確率は25%です。24本ごと(2,596区間)で26.4%、120本ごと(518区間)で25.5%でした。8位の通貨が次も下位2位以内だった割合は、25.9%と26.3%です。1位だった通貨が次も1位のままだった割合は、13.4%と14.7%で、無関係なときの目安12.5%に近い値です。順位は、次の区間にほぼ持ち越されていません。
アドバイス強い通貨が次も強いかを数えたら、くじ引きとほぼ同じだったよ。ここまでが、測れた範囲なんだ。
通貨強弱をトレードに使うときの注意|測れたこと・測っていないこと

この測定からいえること
表の右端は、差の平均の変化です。3条件は−0.02〜+0.03%でほぼ0、直前120本・先120本は−0.10%でした。4条件とも、無作為の通貨の組の同じ指標の範囲に入っています。この10年・12ペア・1時間足の測定では、1位と8位を組んでも、その差が先の1日や1週間で開き続ける、とは言えませんでした。通貨強弱は、いま何が起きているかを見る道具としては使えますが、このデータからは、先を当てる力は確かめられていません。
測っていないこと
売買の損益、スプレッドや手数料、損切りの位置、ほかの通貨ペアの組み合わせ、経済指標の前後、時間帯、5分足や日足は測っていません。ボラティリティ(値動きの大きさ)との組み合わせも測っていないので、ボラが高いときだけ強弱が続く、という見方は、この記事では確かめていません。ボラティリティの見方は別の記事にあります。強弱の順位だけで売買を決めず、テクニカル分析や損切りの位置と合わせて判断する必要があります。
アドバイス強弱は、いまの状況を見る道具だよ。先を当てる道具とは、まだ言えないんだ。
要点
・通貨強弱は、その通貨を含むペアの値動きを通貨ごとに平均して、8通貨の強さを並べたもの。8通貨なら、1通貨あたり7ペアの平均
・この記事の測定は、Dukascopy のティックから作った1時間足、8通貨・12ペア、2016〜2025年の10年分(62,346本)
・直前に1位の通貨と8位の通貨を組み、先で差が続いた割合は、4条件で46.5〜53.6%。無作為の通貨の組の範囲(45.6〜53.9%)の中
・年ごとの割合は、24本・24本で44.8〜53.5%、120本・120本で36.5〜57.7%。1年約52件では偶然の振れが約11.4ポイント
・1位だった通貨が次の区間も上位2位以内にいた割合は、26.4%(24本ごと)と25.5%(120本ごと)。無関係なときの25%に近い
・測っていないのは、売買の損益、スプレッド、損切り、時間帯、ボラとの組み合わせ、ほかの時間足
通貨強弱のよくある質問
通貨強弱とは何ですか?
8通貨それぞれの強さを、並べたものです。その通貨を含む通貨ペアの動きを、通貨ごとに平均して出します。
通貨強弱は、どう計算しますか?
通貨ごとに、相手との動きを平均します。米ドルなら、ドル円・ユーロドルなど7ペアを、ドルから見た向きにそろえて平均します。この記事の測定では、12ペアから最小二乗で指数を出しました。
通貨強弱が分かる無料のツールはありますか?
Web で見られるものがあります。Currency Strength Meter と FX Blue の Relative Currency Strength の画面を、記事で紹介しました。計算の式は、どちらのページにも書かれていません。
MT4やMT5で通貨強弱を出すには、どうしますか?
インジケーターのファイルを、データフォルダの Indicators に入れます。再起動かナビゲーターの更新をして、チャートにドラッグします。設定は、インジケーターごとに違います。
1位の通貨と8位の通貨を組むと、先も差が開きますか?
この測定では、そうは言えませんでした。先で差が続いた割合は、4条件で46.5〜53.6%で、無作為の通貨の組の範囲に入っています。
DXY(ドルインデックス)は、通貨強弱と同じですか?
違います。DXY は、ドルを6通貨と比べる指数で、ユーロが57.6%を占めます。豪ドルやNZドルは入りません。8通貨を並べるのが通貨強弱です。
強い通貨は、次の週も強いままですか?
持ち越されていませんでした。120本ごとの518区間で、前の区間の1位の通貨が、次も上位2位以内にいたのは25.5%で、無関係なときの目安25%と同じ程度です。
通貨強弱のまとめ
通貨強弱は、その通貨を含むペアの動きを平均して、8通貨の強さを並べたものです。ドル円の動きが、ドルの強さか、円の弱さかを、切り分けるのに使えます。Dukascopy のティックから作った1時間足の10年分(8通貨・12ペア)で、直前に1位の通貨と8位の通貨を組み、先で差が続いた割合を測ると、4条件で46.5〜53.6%で、無作為の通貨の組の範囲に入りました。強い通貨が次の区間も上位2位以内にいた割合は、25.5〜26.4%で、順位が無関係なときの25%に近い値でした。測っていないのは、売買の損益、スプレッド、損切り、時間帯、ボラとの組み合わせ、ほかの時間足です。
通貨の見方の全体は、為替相場の動向の記事にあります。通貨強弱のような条件を自動で回して確かめたい場合は、EA(自動売買)の記事と、EAの選び方の記事があります。
この記事はFXの取引手法の情報提供で、特定の投資を勧めるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を割り込むことがあります。取引は自己責任で、リスク管理をしたうえで行ってください。
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