
EMAとは|直近の終値に重みを置く移動平均線

EMA(Exponential Moving Average)は、新しい終値ほど大きな重みを置き、古い終値の重みを少しずつ小さくしながら平均を出す線です。SMA(単純移動平均線)は、直近の期間分の終値を、すべて同じ重みで平均します。
EMAとSMAの重みの違い
図は、期間21のEMAとSMAについて、何本前の終値にどれだけの重みを置くかを並べたものです。いまの足の終値の重みは、EMAが9.1%、SMAが4.8%です。新しい方の10本(0〜9本前)の重みの合計は、EMAが61%、SMAが48%でした。
SMAは、21本前より前の終値を、まったく使いません。EMAは21本前以前の終値にも、合計で14%の重みを残します。この違いが、次の節で測る、線の向きの変わり方の差につながります。
EMAの計算式と手計算
EMAの新しい値は、「前のEMA+平滑係数×(終値−前のEMA)」で出します。平滑係数は「2÷(期間+1)」で、期間5なら3分の1、期間21なら約0.091です。最初の1本は、終値をそのままEMAとして使います。

表の2本目は、150.000+(150.60−150.000)÷3=150.200です。3本目は、150.200+(150.30−150.200)÷3で150.233になります。新しい終値と前のEMAの差の3分の1だけ、EMAが動くわけです。この記事の測定では、各通貨の最初の600本(日足は300本)を、計算の助走として除いています。
アドバイスEMAは、新しい終値ほど重みが大きい平均だよ。期間21だと、新しい10本で61%を占めるんだね。
EMAとSMAの違い|向きが変わるまでの遅れを測る

EMAのほうがSMAより「早く反応する」とよく言われます。これを、実際の足で測りました。測り方は、終値が前後12本の中で最も高い足を「山」、最も低い足を「谷」とし、山・谷の足から、線が反対の向きに変わるまで何本かかったかを数える、というものです。
図の例|山から向きが変わるまで
図は、USD/JPYの1時間足60本です。灰色の縦破線が、終値が前後12本の中で最も高い「山」の足です。山のあと、青い線のEMAは5本目で、橙色の線のSMAは8本目で、下向きに変わりました。この例では、EMAのほうが3本早く向きを変えています。
期間ごとの遅れ(中央値)

5通貨の1時間足333,913本から、山と谷を取り出しました。山の足で2本の線がともに上向き、谷の足でともに下向きだった山・谷だけを数えています。60本以内に向きが変わったものが対象です。期間21では山・谷が14,886個あり、向きが変わるまでの中央値は、EMAが5本、SMAが8本でした。
同じ山・谷で比べると、EMAのほうが早く向きを変えたのは60.4%、SMAのほうが早かったのは15.6%、同じ本数だったのは24.0%です。表のとおり、期間5から200まで、EMAの中央値はSMAより1〜6本短くなりました。同じ期間のEMAは、SMAより早く向きを変えます。
向きが変わる回数も、EMAのほうが多い

線が前の足より上がったか下がったかの向きが、上から下、または下から上に変わった足を、1回と数えました。1,000本あたりの回数は、期間21でEMAが125回、SMAが97回です。333,913本の合計では、EMAが41,783回、SMAが32,235回でした。期間5ではEMAが266回、SMAが216回、期間200ではEMAが39回、SMAが30回で、どの期間でもEMAのほうが多くなっています。
回数をそろえたSMAと比べる

EMAは早く向きを変える分、回数が増えます。そこで、EMAと向きが変わる回数が最も近くなるSMAの期間を、3〜120期間の中から探して比べました。期間21のEMAは1,000本あたり125.1回、期間14のSMAは122.5回です。遅れの平均は、どちらも6.8本でした。
期間5から50では、遅れの平均の差は0.3本以内です(期間5ではEMAが2.3本、SMAが2.0本)。期間89はEMAが16.0本、SMAが16.9本、期間200はEMAが17.1本、SMAが19.6本で、EMAのほうが短くなりました。回数をそろえると、期間50までは、EMAの遅れはSMAとほぼ同じです。
アドバイス期間21のEMAは、SMAより山から3本早く向きを変えたね。でも向きが変わる回数も125回と多いんだ。
EMAの設定|期間と向きが変わる間隔の関係

EMAの期間は「本数」で決まるので、時間足が変わっても、向きの変わる回数は近くなります。おすすめの期間は、この記事では測っていません。測ったのは、期間を変えたときに、向きが変わる回数と間隔がどう変わるかです。
期間ごとの向きが変わる間隔
表のとおり、1,000本あたりの回数は、1時間足では期間9で197回、期間21で125回、期間200で39回です。日足(UTC21時、日本時間の朝6時で区切った12,535本)では、期間9で202回、期間21で137回、期間200で39回でした。1時間足で向きが変わる間隔は、期間5で3.8本、期間21で8.0本、期間200で25.5本に伸びます。
向きが変わってもすぐ戻る割合

向きが変わったあと、3本以内にまた向きが変わった回の割合を数えました。期間5のEMAは63%、期間9は57%、期間21は52%、期間200は48%です。SMAは、期間5が51%、期間21が50%、期間200が49%でした。期間を長くするほど、すぐ戻る割合は下がります。
期間を短くすると、回数が増え、遅れは減り、すぐ戻る割合は上がります。期間を長くすると、その逆です。どの期間が合うかは、見たい動きの長さと、許せる遅れで決めることになります。
アドバイス期間5のEMAは、向きが変わった回の63%が3本以内に戻ったよ。期間200だと48%だね。
EMAのクロス|ゴールデンクロスとデッドクロスを測る

短期のEMAが長期のEMAを下から上へ抜けることをゴールデンクロス、上から下へ抜けることをデッドクロスと呼びます。図のEUR/USDでは、▼のデッドクロスのあとに、▲のゴールデンクロスが出ています。クロスのあとに、価格が合図の向きへ進むかどうかを測りました。
期間の組み合わせ27通りを総当たり

短期の期間(5・9・13・21・34)と長期の期間(21・34・50・89・100・200)を組み合わせ、短期が長期より小さい27通りを、すべて測りました。短期のEMAが長期のEMAを上へ抜けた足は上昇、下へ抜けた足は下落の合図として数え、24本後の終値が、合図の足の終値より合図の向きに進んでいた割合を出しています(同じ値は進んだと数えていません)。
27通りの割合は、49.4〜51.0%でした。最も高かったのは短期34・長期50の51.0%(4,780回)、最も低かったのは短期5・長期200の49.4%(6,036回)です。全ての足から同じ件数を同じ向きで選んだときの範囲(5〜95%点)は、組み合わせごとに48.3〜51.6%の間にあり、27通りの割合は、すべて自分の範囲に入りました。
27通りの合計は205,241回ですが、同じ足を別の組み合わせで重ねて数えているため、独立した件数ではありません。SMAでのゴールデンクロス・デッドクロスと、並びの長さは、移動平均線の記事で測っています。
アドバイス27通りを全部測っても、49.4〜51.0%だったよ。範囲の外に出た組み合わせは0通りだったんだ。
EMAのパーフェクトオーダー|21・89・200の並びを測る

パーフェクトオーダーは、3本の線が上から短期・中期・長期の順(または逆)に並んだ状態のことです。ここでは、EMA(21)がEMA(89)より上で、EMA(89)がEMA(200)より上の並びを上向き、その逆を下向きとしました。図の水色の帯が、上向きの並びが成り立っていた区間です。
並びが続いた長さ

並びが成り立った足が途切れるまでを、1回と数えました。1時間足では3,053回(上向き1,564回、下向き1,489回)で、続いた本数の中央値は57本、平均は81.9本です。日足では110回(上向き62回、下向き48回)で、中央値は54本、平均は85.9本でした。1時間足では、12本以内で終わったものが12.8%、49〜96本が25.7%、193本以上が9.7%でした。
並びが成り立つ足の割合は、1時間足で74.8%、日足で75.4%です。比べるために、足の変化幅(終値の前の足との差)の順番だけを入れ替えた値動きを作り、同じ数え方をしました。1時間足は20回、日足は200回の範囲(5〜95%点)です。並びが成り立つ割合は、1時間足が75.0〜75.8%、日足が72.5〜78.3%でした。実際の1時間足(74.8%)は範囲のわずか下で、日足(75.4%)は範囲に入っています。入れ替えた値動きでも、約75%の足で並びが成り立ちます。
続いた長さの中央値は、1時間足で、実際が57本、入れ替えた値動きが53.0〜56.1本で、実際のほうが少し長くなりました。日足は、実際が54本、入れ替えた値動きが42.0〜64.5本で、範囲に入っています。
並びが成り立ち始めたあと

図は、下向きの並びが成り立ち始め、79本続いた例です。並びが成り立ち始めた足(直前の足では成り立っていない足)の24本後の終値が、並びの向きへ進んだかどうかを、5通貨で数えました。上向きの並びは1,562回、下向きの並びは1,488回、合計3,050回です(数え始めの足で、すでに並びが成り立っていた3回は除きます)。

24本後に並びの向きへ進んだのは1,517回で、割合は49.7%です。全ての足から同じ回数を同じ向きで選んだときの範囲は48.6〜51.6%で、50%を含みます。通貨ごとの割合は47.4〜52.7%で、5通貨とも、それぞれの範囲に入りました。
アドバイス並びが成り立つ足の割合は、順番を入れ替えた値動きでも約75%だったよ。並びが出ただけでは、特別な状態とは言えないんだね。
EMAの押し目|EMA(21)に触れたあとを測る

押し目買い・戻り売りは、トレンドの途中でEMAまで戻ってきた価格を狙う使い方です。ここでは、21・89・200の並びが上向きの最中に、足の安値が前の足までより初めてEMA(21)へ届いた足を押し目の合図としました。下向きの並びの最中に高値が初めてEMA(21)へ届いた足は、戻りの合図です。
触れたあとに並びの向きへ進んだ割合
合図の足の終値から、1時間足は24本後、日足は5本後の終値が、並びの向きへ進んだ割合を出しました。1時間足は16,620回(上向き9,129回、下向き7,491回)で、割合は48.8%です。全ての足から同じ回数を同じ向きで選んだときの範囲は49.7〜50.9%で、実際の割合は範囲の下になりました。5通貨ごとに見ても、割合は48.3〜49.7%で、5通貨とも50%を下回っています。
日足は698回(上向き446回、下向き252回)で、割合は52.4%、範囲は48.0〜54.2%で、範囲に入りました。押し目の考え方は押し目買いの記事でも解説しています。
アドバイス1時間足では、触れたあとに並びの向きへ進んだ割合が48.8%で、範囲の下だったよ。日足は範囲の中だったんだ。
EMAとグランビルの法則|EMA(200)を抜けたあとを測る

グランビルの法則は、価格と移動平均線の位置関係から、売買の場面を8つに分けた考え方です。そのひとつに、移動平均線が上向きのとき、価格が線を下から上へ抜けた場面があります。ここでは、終値がEMA(200)を下から上へ抜けた足(EMA(200)が前の足より上向き)を上抜け、上から下へ抜けた足(EMA(200)が下向き)を下抜けとして数えました。図の▲が、この1年(260本)にあった上抜けの3回です。
EMA(200)を抜けたあとの割合

抜けた足の終値から、日足は20本後、1時間足は24本後の終値が、抜けた向きへ進んだ割合を出しました。日足は477回(上抜け238回、下抜け239回)で、割合は48.2%、範囲は46.2〜53.7%です。1時間足は13,093回(上抜け6,546回、下抜け6,547回)で、割合は49.8%、範囲は49.2〜50.7%でした。どちらも範囲に入っています。
アドバイスEMA(200)を抜けたあとは、日足が48.2%、1時間足が49.8%で、どちらも範囲の中だったよ。
EMAインジケーターのダウンロード|MT4・MT5対応

複数の期間のEMAを、1つのインジケーターで表示できる「EMA_systre」を配布しています。下のボタンから、ZIPをダウンロードできます。
MT4・MT5への入れ方
ZIPには、MT4用のEMA_systre.ex4と、MT5用のEMA_systre.ex5が入っています。お使いの方だけを入れます。
- MT4は、MT4の「ファイル」→「データフォルダを開く」→「MQL4」→「Indicators」に、EMA_systre.ex4を入れる
- MT5は、同じ手順で「MQL5」→「Indicators」に、EMA_systre.ex5を入れる
- MT4・MT5を再起動するか、ナビゲーターで「更新」を押す
- ナビゲーターの「カスタムインジケーター」から、EMA_systreをチャートへドラッグする
EMA_systreの使い方と注意事項
EMA_systreは、最大4本のEMAを同時に表示できます。期間を0にした線は、表示されません。MT4・MT5に最初から入っている移動平均(Moving Average)でも、設定のメソッドでExponentialを選べば、EMAを表示できます。
- このインジケーターは、シストレ.COMの登録口座でご利用いただけます。認証が行われていない口座では使えません。
- 無料配布のサンプルです。商用利用と再配布は禁止です。
アドバイスZIPには、MT4用とMT5用の2つが入っているよ。自分が使うほうだけ入れてね。
要点
・EMAは、新しい終値ほど重みが大きい平均。期間21では、新しい10本の重みの合計が、EMAは61%、SMAは48%
・5通貨の1時間足333,913本(2016年1月〜2026年10月)で、期間21の山・谷から向きが変わるまでの遅れは、EMAが5本、SMAが8本(中央値)
・向きが変わる回数は、期間21で1,000本あたりEMAが125回、SMAが97回。回数が近いSMA(期間14)と比べた遅れの平均は、どちらも6.8本
・期間を長くすると、向きが変わる回数とすぐ戻る割合は減り、遅れは増える。期間5のEMAは63%、期間200のEMAは48%が、3本以内に戻った
・クロスの24本後に合図の向きへ進んだ割合は、期間の組み合わせ27通りで49.4〜51.0%。すべて範囲に入った
・EMA(21・89・200)の並びが成り立つ足の割合は、順番を入れ替えた値動きでも約75%。並びが成り立ち始めた24本後に並びの向きへ進んだ割合は49.7%(範囲48.6〜51.6%)
・EMA(21)へ触れたあと、1時間足は48.8%で範囲(49.7〜50.9%)の下、日足は52.4%で範囲の中。EMA(200)を抜けたあとは、日足48.2%・1時間足49.8%で、どちらも範囲の中
・測っていないのは、売買の損益、勝率、損切りや利確の幅、ほかの指標との組み合わせ
EMAのよくある質問
EMAとSMAの違いは何ですか?
重みの置き方が違います。EMAは、新しい終値ほど大きな重みを置き、古い終値の重みを小さくしていきます。SMAは、直近の期間分の終値に同じ重みを置きます。
EMAはSMAより反応が早いのですか?
同じ期間なら早く向きを変えますが、回数もそのぶん増えます。回数が近いSMAに合わせると、期間50まででは遅れはほぼ同じでした。
おすすめの期間はありますか?
おすすめの期間は測っていません。測ったのは、期間による回数・遅れの変わり方です。1時間足で向きが変わる間隔は、期間9で5.1本、期間21で8.0本、期間200で25.5本でした。
ゴールデンクロス・デッドクロスのあとは、価格が合図の向きに進みますか?
測った範囲では、範囲に入っていました。期間の組み合わせ27通りの、24本後に合図の向きへ進んだ割合は49.4〜51.0%です。売買の損益は測っていません。
パーフェクトオーダーが出たら、すぐに入ってよいですか?
この記事の測定では、並びが出た足のあとの向きは、範囲に入っていました。並びが成り立ち始めた24本後に並びの向きへ進んだ割合は49.7%で、範囲は48.6〜51.6%です。
MT4・MT5でEMAを表示するには、どうしますか?
標準の移動平均か、EMA_systreを使います。標準の移動平均は、設定のメソッドでExponentialを選びます。EMA_systreは、ZIPのex4(MT4)かex5(MT5)を、データフォルダのIndicatorsに入れます。
EMAのまとめ
EMAは、新しい終値ほど重みが大きい移動平均線です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、333,913本)では、同じ期間のEMAは、SMAより早く向きを変えました。期間21の山・谷からの遅れは、EMAが5本、SMAが8本です。ただし、向きが変わる回数も多く、回数が近いSMAと比べた遅れは、どちらも6.8本でした。
クロス(期間の組み合わせ27通り)、EMA(21・89・200)の並び、EMA(21)への触れ、EMA(200)の抜けのあとに、合図の向きへ進んだ割合は、1時間足のEMA(21)への触れ(48.8%、範囲49.7〜50.9%)だけが範囲の下で、ほかは範囲に入りました。測っていない売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。MACDとの違いはMACDの記事、パーフェクトオーダーの基本はパーフェクトオーダーの記事にまとめています。
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