
FRBを構成する3つの組織|理事会・地区連銀・FOMC

FRBは理事会、決める会合はFOMC
FRBは、米国の中央銀行制度である連邦準備制度(FRS)の中の、ワシントンD.C.にある理事会を指します。理事は7人で、大統領が指名し、上院が承認します。理事の任期は14年で、2年ごとに1人ぶんの任期が始まります。理事会の議長は、2026年10月30日の時点で、連邦準備制度理事会の理事一覧にケビン・ウォーシュ氏、副議長にフィリップ・ジェファーソン氏と載っています。
地区連銀とFOMCの投票者
地区連銀は、全米を12の地区に分けた実務の拠点で、支店は24あります。政策金利の目標を決めるFOMCでは、投票するのは12人です。理事7人とNY連銀の総裁は毎回投票し、残りの4人は、ほかの地区連銀の総裁が順番に務めます。会合は年8回で、連邦準備制度の組織の説明とFOMCのページで確かめられます。
FRBまわりの用語の違い

FRSは制度全体、FRBは理事会、FOMCは政策金利の目標を決める会合です。FF金利(フェデラルファンド金利)は、銀行どうしが準備預金を翌日物で貸し借りする金利で、公開市場操作の説明に定義があります。ニュースで「FRBが利上げ」と書かれるときの実際の決定者は、理事会ではなくFOMCの投票です。
アドバイスFRBは理事会、決めるのはFOMCだよ。投票は12人で、理事7人とNY連銀総裁、ほか4地区の総裁だったね。
FRBの目標と政策手段|会合日程と声明が出る日本時間

FRBの目標は雇用と物価
連邦準備法の2A条は、最大雇用・物価の安定・長期金利の安定の3つを目標にするよう定めています。このうち雇用と物価の2本柱が、通称デュアルマンデートです。物価の目安は、PCE物価指数(個人消費支出の価格指数)の前年比で年2%です。主な手段はFF金利の誘導目標で、幅は0.25ポイントです。金融政策の目標と仕組みの説明に、2%の測り方が書かれています。
FOMCの会合日程(2026〜2027年)

FOMCは定例会合を年8回開き、2日間のうち2日目に声明を出します。2026年の声明は、1月28日、3月18日、4月29日、6月17日、7月29日、9月16日、10月28日で、残りは12月9日です。2027年の日付は、FOMCの会合カレンダーでは直前の会合で確定するまで暫定です。議事要旨は、決定の3週間後に公表されます。
声明が出る日本時間

声明は米東部時間の14時(午後2時)に出ます。日本時間では、夏時間(EDT)の時期が翌日の3時、冬時間(EST)の時期が翌日の4時です。2016年1月〜2026年10月の定例86回のうち、夏時間は62回、冬時間は24回でした。12月9日の声明は冬時間にあたり、日本時間では12月10日の4時です。
アドバイス声明は米東部時間の14時で、日本時間は夏が翌日3時、冬が翌日4時だよ。12月9日の声明は日本時間の12月10日4時だね。
FRBの政策金利の推移|2016年から2026年10月まで

FOMCの声明は、2016年1月から2026年10月までの定例が86回あります。政策金利の上限は、2016年1月の0.50%から、2020年3月の臨時の声明で0.25%まで下がりました。2022年3月から引き上げが続き、2023年7月26日に5.50%になりました。2024年9月18日に最初の引き下げがあり、2025年12月には3.75%まで下がりました。2026年9月16日の0.25ポイントの引き上げで、上限は4.00%です。
FRBの年別の決定回数

定例86回の内訳は、引き上げ20回、据え置き57回、引き下げ9回です。引き上げが最も多い年は2022年の7回、引き下げは2019年・2024年・2025年が各3回でした。2020年と2021年の定例は、据え置きだけです。臨時の声明7回は、この集計と、後の値動きの計測から除いています。
FRBの2026年の決定一覧

2026年は10月28日までに7回あり、6回が据え置き、9月16日が引き上げでした。9月16日の声明は12対0で、3.75〜4.00%への0.25ポイントの引き上げです。10月28日の声明は10対2で、3.75〜4.00%に据え置きました。反対した2人は、0.25ポイントの引き上げを支持しています。反対票が最も多かったのは、4月29日の4人です。
アドバイス2026年は7回のうち、6回が据え置きで、9月16日だけが引き上げだよ。10月28日は10対2で、反対の2人は引き上げを支持していたね。
FRBの声明後のUSD/JPYとEUR/USD|値幅と向きを測る

声明が出た後の値動きを、USD/JPY(ドル円)とEUR/USD(ユーロドル)で測りました。比べる相手は、同じ曜日・同じ時刻の平常日です。計測条件は次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間と回数 | 2016年1月〜2026年10月の定例86回。臨時の声明7回は除く |
| 声明の時刻 | 米東部時間14時(夏時間と冬時間を切り替えて計算) |
| 平常日 | 同じ曜日・同じ時刻で、声明の前後1〜8週。声明が出た日は除く。延べ1,196日(USD/JPY)、1,198日(EUR/USD) |
| 価格 | Dukascopy のティックから作った足(売値) |
| 値幅 | 高値と安値の差。USD/JPYは円、EUR/USDはドル |
| 倍率 | 声明後の値幅を、その回の平常日の平均値幅で割る。86回の中央値 |
声明後の値幅は平常日の何倍か
声明後30分の値幅は、中央値がUSD/JPYで3.7倍、EUR/USDで4.1倍でした。60分では4.0倍と4.5倍です。60分で2倍以上になった回は、USD/JPYが86回のうち79回、EUR/USDが82回でした。平均の値幅で見ると、60分のUSD/JPYは声明後が0.71円、平常日が0.17円。EUR/USDは0.0064ドルと0.0014ドルです。
声明前後2時間の値幅の推移

5分ごとに見ると、公表後の最初の5分が最も大きく、中央値でUSD/JPYが5.6倍、EUR/USDが6.6倍です。声明の1時間前から5分前までは、USD/JPYが0.58〜1.08倍、EUR/USDが0.70〜1.13倍で、公表直前の5分は1.51倍と1.45倍でした。最初の5分のあと、25〜30分後の5分までは、USD/JPYが2.1〜3.1倍、EUR/USDが2.3〜3.8倍に下がります。30分後から50分後までの5分は再び上がり、USD/JPYが3.7〜4.5倍、EUR/USDが4.2〜5.9倍です。この再上昇の原因は、測っていません。EUR/USDは、5分間のティックが3本未満の区間がある1回を除いた85回の集計です。
決定の種類別の値幅の倍率

声明後60分の値幅の倍率を、決定の種類で分けました。据え置きは57回、引き上げは20回、引き下げは9回です。中央値は、USD/JPYが据え置き3.8倍、引き上げ4.7倍、引き下げ4.2倍。EUR/USDが据え置き4.2倍、引き上げ4.7倍、引き下げ6.2倍でした。引き下げは9回と少ないので、種類ごとの差は参考にとどめます。
据え置きと、引き上げ・引き下げをあわせた29回を比べると、中央値の差はUSD/JPYが0.85倍、EUR/USDが0.77倍です。決定の種類のラベルを入れ替えて20,000回試し、偶然でこれ以上の差が出る割合を調べました。USD/JPYは2.0%、EUR/USDは6.1%です。EUR/USDは、偶然でも出る範囲と区別できませんでした。USD/JPYも、2通貨を試したうちの1つで、値幅が広がる理由までは測っていません。
決定の種類別の65分後の変化

声明の公表時刻の価格から65分後の価格まで、上がった回と下がった回を数えました。USD/JPYは、据え置きが上25回・下31回(ほか1回は変化なし)、引き上げが上9回・下11回です。EUR/USDは、据え置きが上30回・下27回、引き上げが上12回・下8回でした。引き下げは9回で、USD/JPYが上6回・下3回、EUR/USDが上4回・下5回と少なく、判断しません。回数の多い据え置きと引き上げでは、決定の種類ごとに向きがそろう傾向は見られませんでした。
最初の5分と後の60分の向き

最初の5分の向きが、5分後から65分後の向きと同じだった割合も測りました。声明後は、USD/JPYが86回のうち42回で48.8%(範囲38.6〜59.2%)、EUR/USDが45回で52.3%(範囲41.9〜62.6%)です。範囲は95%の見込みで、ウィルソン法で計算しました。どちらも範囲が50%を含むので、続くとも戻るとも言えません。平常日は、USD/JPYが延べ1,147回のうち608回で53.0%(範囲50.1〜55.9%)、EUR/USDが延べ1,164回のうち568回で48.8%(範囲45.9〜51.7%)です。向きが決まらない日は数に入れていません。
声明直後のドル円の5分足

例に選んだのは、直近の引き上げにあたる2026年9月16日です。声明の前の1時間(米東部時間13〜14時)の値幅は0.17円(154.984〜155.157円)でした。声明の後の1時間は1.10円(154.837〜155.933円)です。公表直後の5分足は、154.991円で始まり、安値154.837円、高値155.346円をつけて、155.254円で終わりました。日本時間では9月17日の2〜4時にあたります。この1回は、上の集計のうちの1例です。スプレッド、議長会見、市場予想との差、売買の損益は、この記事では測っていません。
アドバイス声明後60分の値幅は、平常日の中央値で4.0倍(USD/JPY)と4.5倍(EUR/USD)だったよ。向きが続くかどうかは、測った範囲では半々だったね。
FRBの声明の読み方|2026年9月と10月の比較

FRBの声明で最初に見る場所
声明は、決定、票の内訳、景気と物価の文の順に読めます。決定は最初の段落にあり、「maintain」なら据え置き、「raise」なら引き上げ、「lower」なら引き下げです。票の内訳は冒頭の「by a 10 – 2 vote」のような一文で、反対した委員の名前と希望した内容は声明の末尾に載ります。10月28日は、反対したリサ・クック氏とベス・ハマック氏が、0.25ポイントの引き上げを希望しました。
2026年9月と10月の声明の違い
9月16日と10月28日の声明を並べると、景気の文は、拡大のペースが「堅調」から「力強い」に変わりました。物価の文は、どちらも「高い水準」です。目標へ戻る道すじの文は、9月が「今回の行動が2%への早い復帰を支える」、10月が「情報の蓄積が、方針の判断に役立つ」でした。言い回しの変化が相場の向きを決めるかどうかは、この記事では測っていません。
アドバイス声明は決定・票・景気・物価の順に読めるよ。9月から10月で、景気の文が「堅調」から「力強い」に変わったね。
要点
・FRBは、米国の中央銀行制度の理事会(ワシントンD.C.・理事7人)。政策金利の目標を決めるのは、12人が投票するFOMC
・声明は米東部時間の14時。日本時間は夏時間の時期が翌日3時、冬時間の時期が翌日4時
・2026年10月28日は3.75〜4.00%に据え置き(10対2)。9月16日は0.25ポイントの引き上げ(12対0)
・声明後60分の値幅は、平常日の平均の中央値で4.0倍(USD/JPY)と4.5倍(EUR/USD)。定例86回
・声明後5分の向きが次の60分も続いた割合は48.8%と52.3%で、どちらも範囲が50%を含む
・測っていないのは、スプレッド、議長会見、市場予想との差、売買の損益
FRBのよくある質問
FRBとは何ですか?
米国の中央銀行制度の理事会です。ワシントンD.C.にあり、連邦準備制度の一部です。
FRBとFOMCは、どう違いますか?
政策金利の目標を決めるのはFOMCです。投票者12人のうち、地区連銀の総裁は5人です。
FOMCの声明は、日本時間の何時に出ますか?
夏時間は翌日3時、冬時間は翌日4時です。米東部時間では、年間を通して14時です。
声明の後、値幅は広がりますか?
広がりました。中央値は、60分でUSD/JPYが4.0倍、EUR/USDが4.5倍。30分では3.7倍と4.1倍です。
声明の直後の向きは、そのあとも続きますか?
続くとも戻るとも言えませんでした。50%を含む範囲だったのは、USD/JPYとEUR/USDの両方です。
引き上げと据え置きで、値幅は変わりますか?
USD/JPYは、据え置きより引き上げ・引き下げの回のほうが大きい結果でした。EUR/USDは、ラベルの入れ替え試験で偶然でも出る差でした。
FRBのまとめ
FRBは米国の中央銀行制度の理事会で、政策金利の目標は12人が投票するFOMCが決めます。声明は米東部時間14時に出て、日本時間では夏時間の時期が翌日3時、冬時間の時期が翌日4時です。Dukascopy のティックから作った足で測ると、声明後60分の値幅は、同じ曜日・同じ時刻の平常日の平均の中央値で4.0倍(USD/JPY)と4.5倍(EUR/USD)でした。
声明後5分の向きが次の60分も続いた割合は、48.8%と52.3%で、どちらも範囲が50%を含みました。測っていないスプレッド、議長会見、市場予想との差、売買の損益は、自分のデータで確かめてから使ってください。FOMCの流れはFOMCの記事、物価の指標はCPIの記事にまとめています。
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