
仲値とは|銀行が窓口で使う為替レートの基準

TTS・TTB・仲値の関係
銀行が個人や企業に外貨を売るときのレートをTTS、外貨を買い取るときのレートをTTBと呼びます。仲値(TTM)は、この2つの真ん中のレートです。TTSは仲値に手数料分を足し、TTBは仲値から同じ分を引いて決めます。三菱UFJ銀行の外貨預金では、TTSとTTBの差は、米ドルで通常1ドルにつき2円(インターネットバンキングでは50銭)です。
仲値が決まる時刻
仲値は、毎営業日の午前10時ごろに、その時点の銀行間の相場を参考にして決まると説明されています(大和証券の用語解説)。「9時55分に決まる」という説明もありますが、この記事で読んだ銀行の資料(三菱UFJ銀行・七十七銀行)では確認できませんでした。そこでこの記事では、9:55を「仲値の直前」の目安として時間を区切り、9:55の前と後で値動きを分けて測りました。
仲値トレードが狙うのは、仲値を決める前の時間に、輸入企業などのドル買いが集まり、ドル円が上がりやすいという見方です。この見方が当たっているかどうかを、次の節から測ります。
アドバイス仲値は、売るレートと買うレートの真ん中だよ。決まる時刻は10時ごろと説明されているよ。
仲値トレードの測り方|五十日・月末・その他の3区分

営業日の分け方
五十日(ごとうび)は、5・10・15・20・25・30日のように、日付が5の倍数の日です。輸入企業などの支払いが集まりやすい日と言われ、仲値トレードでは動きやすい日として扱われます。この記事では、五十日が土日や日本の祝日にあたる日は数えず、5・10・15・20・25・30日が営業日である日だけを五十日にしました。
月末は、月の最終営業日です。五十日と重なる日は五十日に入れました。その他は、残りの営業日です。2016年1月4日から2026年10月23日までで、五十日は524日、月末は93日、その他は2,043日、合計2,660日でした。営業日は、土日と日本の祝日(jpholiday)を除いた日です。
1件の数え方
測った窓は2つです。日本時間(UTC+9)の9:00〜9:55と、9:55〜11:00です。1件は、1営業日の1つの窓で、窓の終わりの価格から始まりの価格を引いた値(pips)です。価格は、その時刻の直前の最後のbidを使いました。「上がった日」の割合は、上がった日を、上がった日と下がった日の合計で割った値で、変わらずの日は除いています。
比べる相手には、全営業日から同じ日数を2,000回無作為に選んだときの、95%の範囲を使いました。実際の値がこの範囲の外にあれば、選び方によるぶれより大きい差と言えます。範囲の中なら、偶然でも出る差です。
アドバイス五十日は、5の倍数の日で営業日のものだけを数えたよ。2,660日を3つに分けているね。
仲値トレードのドル円|9:55をはさんで上昇の割合が分かれる

9:00〜9:55は上がった日が多い
9:00〜9:55に上がった日の割合は、五十日が56.3%(上がった294日、下がった228日、変わらず2日)、月末が52.7%(49日と44日)、その他が54.8%(1,114日と918日、変わらず11日)でした。3つとも50%を上回りました。ただし、五十日の範囲は51.1〜59.0%、その他の範囲は54.0〜56.1%で、五十日とその他の差は、範囲の中に収まります。上がりやすいのは五十日だけでなく、ふだんの日も同じでした。
9:55〜11:00は五十日が下がりやすい
9:55〜11:00に上がった日の割合は、五十日が39.6%(207日と316日、変わらず1日)、月末が37.0%(34日と58日、変わらず1日)、その他が45.0%(918日と1,120日、変わらず5日)でした。3つとも50%を下回りました。五十日の範囲は40.0〜47.5%で、実際の値はその下にあり、その他の範囲は42.6〜44.7%で、実際の値はその上にあります。月末は93日と少なく、範囲が33.7〜53.8%と広いため、差があるとは言えません。

図は、9:00の価格を0として、5分ごとの変化の中央値を線にしたものです。五十日の線は9:55ごろまで上がり、そのあと12:00にかけて下がります。五十日とその他は、9:55ごろまで近い動きで、9:55をすぎてから分かれました。ただし、これは日ごとの動きの中央値をつないだ線で、1日の動きがこの形になるという意味ではありません。
値動きの中央値

値動きの中央値は、9:00〜9:55が、五十日で2.1pips、月末で1.4pips、その他で1.7pipsでした。9:55〜11:00は、五十日が−3.4pips、月末が−2.7pips、その他が−1.2pipsでした。五十日の範囲は−2.5〜−0.5pipsで、実際の値は範囲の下にあります。1pipsは0.01円です。
アドバイス9:55までは、どの日も上がった日のほうが多かったよ。9:55をすぎると、五十日は下がった日が6割だったね。
仲値の時間帯|9時台は24時間のうち最も上へ動く

時間帯を並べて比べる
朝の上昇が仲値に特有かどうかを見るため、日本時間の各時刻から55分間の値動きを、24時間分並べました。9:00〜9:55の中央値は1.7pipsで、24の時間帯のうち最大でした。上がった日の割合も55.0%(2,655日)で、最大です。次に大きいのは0時台の1.0pipsです。直後の10時台は、中央値が−0.6pips、上がった日の割合が47.1%で、1日のうち、上がった日が最も少ない時間帯でした。
9時台の上昇は、五十日だけでなく、ふだんの日にも出ます。仲値トレードの上昇を五十日のおかげと考えると、見誤ります。
窓の終わりを変える

9:55からの窓の終わりを、10:30、11:00、12:00に変えて測りました。五十日の上がった日の割合は、10:30までで36.3%(中央値−3.2pips)、11:00までで39.6%(−3.4pips)、12:00までで43.1%(−1.9pips)です。その他は、46.0%・45.0%・47.4%でした。終わりを変えても、五十日がその他より下がる向きは同じで、差は12:00に近づくほど小さくなりました。
アドバイス9時台は、24時間の中で一番上がる時間帯だったよ。五十日でない日にも出ているのがポイントだね。
仲値トレードの五十日|年ごと・通貨ペアごとの違い

年ごとに見る
9:55〜11:00の中央値を年ごとに出すと、五十日は11年(2016〜2026年)すべてでマイナスでした。−0.8〜−6.0pipsです。五十日以外の営業日より小さかったのは、11年のうち10年で、例外は2021年(五十日−0.8pips、それ以外−1.8pips)でした。年ごとの五十日は46〜50日(2026年は38日)なので、1年だけを見ると値のぶれが大きくなります。
通貨ペアで比べる

同じ測り方を、9通貨ペアで行いました。9:55〜11:00に上がった日の割合は、円の7ペアすべてで、五十日がその他より低くなりました。差が最も大きいのはCHF/JPYで、五十日が35.2%、その他が47.1%です。AUD/JPYは46.9%と50.3%で、差は最も小さく、五十日の割合は無作為の範囲(45.3〜53.2%)に入りました。それ以外の6ペアは、範囲の下でした。
一方、EUR/USDは五十日が51.6%、その他が52.8%、GBP/USDは51.2%と50.6%で、差はほとんどなく、五十日の割合は範囲に入りました。円を含まない2ペアには、同じ傾向が出ませんでした。なお、円の7ペアは同じ円の動きを共有しているので、7つの独立した結果ではありません。
アドバイス五十日の下げは、円の7ペアで出て、ドルとユーロ・ポンドの組み合わせでは出なかったよ。
仲値トレードのばらつき|日ごとの差と測っていないこと

日ごとのばらつき
五十日の9:55〜11:00は、値動きの下から25%の日が−11.4pips以下、上から25%の日が4.4pips以上でした。25〜75%の幅は約16pipsで、中央値の差(五十日と、その他の差は約2pips)より、ずっと広い幅です。10〜90%の幅は−21.7〜12.7pipsです。中央値が下向きでも、同じ窓で上がった日が4割(39.6%)あり、上がった日の中には大きく上がった日もあります。
9:00〜9:55も同じで、五十日の25〜75%の幅は−6.5〜10.5pipsです。「9:55までに上がる」「9:55から下がる」は、日ごとに必ず起きることではなく、日数を重ねたときの偏りです。
測っていないこと
この記事で測ったのは、決まった時刻の間の価格の差だけです。売買の損益、スプレッドや手数料、損切りと利確の幅、勝率(損益で勝った割合)、窓を動かしたときの最適な時刻は測っていません。また、仲値の公表価格そのものや、為替市場に実際にどれだけの注文があるかも、測っていません。差があることと、手数料を引いても利益が出ることは、別の話です。スプレッドの見方はスプレッドの記事、損益の考え方はリスクリワードの記事にまとめています。
アドバイス日ごとのばらつきは、中央値の差よりずっと大きいよ。損益は測っていないから、自分のデータで確かめてね。
要点
・仲値は、銀行が窓口で使うレートの基準で、TTSとTTBの真ん中。決まる時刻は午前10時ごろと説明されている(9:55とする説明は、この記事で読んだ銀行の資料では確認できなかった)
・ドル円の営業日2,660日(2016年1月〜2026年10月)で、9:00〜9:55に上がった日は、五十日が56.3%、その他が54.8%
・9:55〜11:00に上がった日は、五十日が39.6%、その他が45.0%。五十日の中央値は−3.4pips
・9時台は24時間のうち最も上へ動く時間帯で、五十日以外にも出る
・円の7ペアでは五十日の下げが出て、EUR/USDとGBP/USDでは出ていません
・日ごとのばらつきは、中央値の差よりずっと大きい。損益・手数料は測っていません
仲値トレードのよくある質問
仲値トレードとは何ですか?
仲値の前後の値動きを狙う手法です。仲値は、銀行が窓口で使う為替レートの基準で、朝の10時ごろに決まると説明されています。
仲値は何時に決まりますか?
午前10時ごろと説明されています。9時55分とする説明もありますが、この記事で読んだ銀行の資料では確認できていません。
五十日(ゴトー日)は本当にドル円が動きますか?
動く向きに偏りはありましたが、毎回ではありません。9:55〜11:00に上がった日は、五十日で39.6%、その他で45.0%でした。日ごとのばらつきは大きいです。
どの通貨ペアで差が出ましたか?
円の7ペアで出ました。EUR/USDとGBP/USDでは、五十日とその他の差が範囲に収まりました。
仲値トレードで利益は出ますか?
損益は測っていないので、言えません。測ったのは決まった時刻の価格の差だけで、スプレッドや手数料は含みません。
仲値トレードのまとめ
仲値は、銀行が窓口で使う為替レートの基準で、TTSとTTBの真ん中です。Dukascopy のティックから作った足で、ドル円の営業日2,660日(2016年1月〜2026年10月)を測ると、9:00〜9:55は、五十日・月末・その他のどれでも、上がった日が多くなりました(52.7〜56.3%)。9:55〜11:00は、五十日の上がった日が39.6%、その他が45.0%で、五十日の中央値は−3.4pipsでした。
円の7ペアで同じ向きの差が出て、EUR/USDとGBP/USDでは出ませんでした。ただし、日ごとのばらつきは中央値の差よりずっと大きく、売買の損益、スプレッド、手数料は測っていません。使う場合は、自分のデータで、コストを含めて確かめてください。窓の考え方はブレイクアウトの記事、移動平均線は移動平均線の記事にまとめています。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
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