
Projection Bandsとは|高値と安値の傾きで作る上下のバンド

テクニカル指標としての特徴と仕組み
Projection Bandsは、Mel Widnerが考えた指標で、1995年のTechnical Analysis of Stocks & Commodities誌で紹介されたとされています。直近n本の高値と安値のそれぞれについて、時間に対する直線(回帰直線)の傾きを求めます。その傾きで過去の高値と安値を今の足まで延ばした線のうち、いちばん高い値が上のバンド、いちばん低い値が下のバンドです。ボリンジャーバンドのように、中心線からの標準偏差で幅を決める指標ではありません。
バンドの計算には、今の足の高値と安値も入っています。そのため、終値が上のバンドより上や、下のバンドより下に出ることは、定義の上ではありません。この記事で「触れた足」と書くときは、その足の高値が上のバンドと同じ(上に触れた足)、または安値が下のバンドと同じ(下に触れた足)になった足のことです。「中心線」は、上のバンドと下のバンドの平均で、この記事で戻りを測るために置いた線です。元の式にはありません。
線形回帰をベースとしたチャネル型バンドとは
図は、USD/JPYの1時間足96本に、期間14のバンドを重ねたものです。薄い青い線が上下のバンド、灰色の点線が中心線、オレンジの三角が上に触れた足、青い三角が下に触れた足です。この96本で、上に触れた足は12本、下に触れた足は13本でした。バンドの幅(上のバンドと下のバンドの差)は、下の段のとおり、0.21円から0.80円の間を動いています。急に下げた7月15日の前後は、バンドの幅が広がりました。
バンドは、高値と安値の傾きを延ばして作るので、価格が上へ動いているときはバンドも上へ傾きます。ボリンジャーバンドや移動平均線は、平均を中心にした帯です。Projection Bandsは、値動きの傾きを前へ投影した、チャネル(帯)の形をしています。
アドバイスバンドの計算に今の足の高値と安値が入っているから、終値はいつもバンドの中に収まるよ。図の96本でも、バンドの外に出た終値はなかったね。
Projection Bandsの計算式|回帰の傾きで過去の高値と安値を延ばす

上のバンドと下のバンドの作り方
計算式は、ProRealCode、MotiveWaveの資料、LuxAlgoのProjection Bandsの説明の記載をもとにしています。期間をnとします。標準の期間は14です。
- 直近n本の高値を、時間に対して直線で近似し(最小二乗法)、1本あたりの傾き(高値の傾き)を求めます。安値も同じように、安値の傾きを求めます。
- iを1からnまで変えて、「i本前の高値 + i × 高値の傾き」を出します。これは、i本前の高値を、傾きの向きに今の足まで延ばした値です。今の足の高値とこのn個の値のうち、最も大きい値が上のバンドです。
- 下のバンドは、「i本前の安値 + i × 安値の傾き」と今の足の安値のうち、最も小さい値です。
- 中心線は、(上のバンド + 下のバンド)÷ 2 です。
終値が上のバンドと同じ位置なら、Projection Oscillatorは100、下のバンドと同じなら0です。終値が中心線と同じ位置なら50になります。Projection Oscillatorは、このバンドの間に終値がどこにあるかを0〜100で表した指標で、この記事と式も言葉も同じです。
計算例|2026年5月7日15時の足
図は、USD/JPYの1時間足で、日本時間の2026年5月7日15時の足を今の足として、期間14の計算をそのまま示したものです。直近14本の高値の傾きは1本あたり−0.006円、安値の傾きは−0.011円でした。上のバンドは156.49円で、6本前の高値を傾きぶん延ばした値で決まっています。下のバンドは155.96円で、5本前の安値を延ばした値です。中心線は156.23円、終値は156.287円で、終値は中心線のわずかに上にあります。
確かめられていないこと
上の式は、複数の資料で一致していた内容です。ただし、資料はどれも取引ツールや指標の解説ページで、Mel Widnerが1995年に発表した元の記事そのものは確かめられていません。資料によって、元の記事の掲載号の書き方が異なります。ツールによって、傾きの符号の扱いや、バンドの作り方の細部が違う可能性もあります。配布しているex4・ex5ファイルの中の計算も、中身は確かめていません。この記事の測定結果は、上の式で自分で計算したバンドによるものです。
アドバイス計算例の下のバンドは、5本前の安値を傾きで延ばした値で決まったよ。バンドを決める足は、毎回変わるんだね。
Projection Bandsとボリンジャーバンドの違い|外へ出るか、出ないか

ボリンジャーバンドとの違いは何か?
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に、標準偏差(σ)を足し引きして帯を作ります。終値が帯の外に出る足があります。Projection Bandsは、高値と安値の傾きを延ばして帯を作り、今の足の高値と安値も帯に含めるので、終値が帯の外に出ることはありません。この違いのため、2つの指標で「触れた」と数えるものが違います。Projection Bandsは「高値が上のバンドと同じ、または安値が下のバンドと同じ」、ボリンジャーバンドは「終値が20期間の移動平均±2σの外」です。
5通貨の1時間足335,913本で数えると、期間14のProjection Bandsで触れた足は1,000本あたり209.0本(上の105.5本・下の103.6本)、ボリンジャーバンド(20期間・2σ)で終値が外に出た足は131.6本でした。同じ足が上のバンドにも下のバンドにも触れた足は、426本です。足の順番を入れ替えた系列(足ごとの値動きの順番だけを入れ替えて作り直した系列を20本つくり、平均)では、Projection Bandsが188.3本、ボリンジャーバンドが121.7本でした。実際の足のほうが、Projection Bandsで約11%、ボリンジャーバンドで約8%多く触れています。
2つの数は、数えている条件が違うので、どちらが多いかを比べるものではありません。比べられるのは、それぞれの実際の足と、入れ替えた足の差です。値動きに順番のまとまりがあると、バンドに触れる回数は、順番を入れ替えた足より増えます。
アドバイスProjection Bandsは終値が外に出ないから、「ブレイク」はないんだ。触れた足の数は、期間14で1,000本あたり209.0本だったよ。
Projection Bandsの設定|期間でバンドの幅と触れる回数が変わる

期間と触れた足の数
期間(n)を5・14・30に変えて、5通貨の1時間足で数えました。各通貨の最初の200本は、計算の助走として除いています。足の数は、5通貨の合計で335,913本です。上に触れた足と下に触れた足は、別々に1件と数えています。
1,000本あたりの触れた足は、期間5が223.2本、期間14が209.0本、期間30が158.3本でした。入れ替えた系列は、209.7本・188.3本・149.8本です。期間を長くするほど触れた足は減り、どの期間でも、実際の足のほうが入れ替えた系列より約6〜11%多くなりました。期間14の合計は、上に触れた足が35,429件、下に触れた足が34,791件です。
バンドの幅は期間でどう変わるか
バンドの幅は、上のバンドと下のバンドの差が、ATR(直近14本の真の値幅の平均)の何倍かで表しました。通貨ごとの中央値を平均すると、期間5が1.9倍、期間14が3.1倍、期間30が4.6倍です。期間を長くするほど、バンドは広く、触れる足は減ります。標準の14は、この3つの真ん中の設定です。どの期間が売買に向くかは、測っていません。
アドバイス期間を長くすると、バンドが広がって触れる足が減るよ。期間14の幅はATRの約3.1倍だったね。
Projection Bandsの売買サイン|触れたあとの値動きを測った結果

上部バンド接近=反落期待の「売り」を測ると
「上のバンドに触れたら反落する」という使い方を、そのまま測りました。上のバンドに触れた足のうち、終値がその足の中心線より上にあった足を数えます(期間14で34,212件)。その足の中心線に、あとの12本以内の終値が届いた(中心線以下になった)ら、「戻った」と数えます。件数は、5通貨の1時間足の合計です。
戻った割合は、期間5が61.5%、期間14が45.1%、期間30が29.1%でした。順番を入れ替えた系列は、61.5%・44.7%・29.8%で、差は0.7ポイント以下です。同じ時刻(世界標準時)の、終値が中心線より上にあった全ての足では、期間14で59.0%が戻っています。触れた足のほうが低く見えますが、これは公平な比べ方ではありません。触れた足の終値は、中心線から遠いからです。バンドの幅に対する中心線からの距離の中央値は、触れた足が0.38〜0.40、ふつうの足が0.20〜0.21でした。遠いぶん、12本では届きにくくなります。
距離の条件がそろうのは、順番を入れ替えた系列との比べ方です。期間14では、実際の45.1%と入れ替えの44.7%で、ほぼ同じでした。上のバンドに触れたことが、戻りやすさを変えたとは言えませんでした。期間を長くするほど戻る割合が下がるのは、触れた足の終値が中心線から遠くなる(距離の中央値が期間5で0.34〜0.35、期間30で0.42〜0.43)ことと合っています。
下部バンド接近=反発期待の「買い」を測ると
下のバンドに触れた足のうち、終値がその足の中心線より下にあった足(期間14で33,348件)が、あとの12本以内に中心線以上まで戻った割合は、48.2%でした。同じ時刻の、終値が中心線より下にあった全ての足では、61.8%(範囲61.4〜62.2%)です。下側は、入れ替えた系列との比べ方は計算していません。上側と同じように、触れた足は終値が中心線から遠いので、この61.8%との差だけでは、触れたことの影響は言えません。
アドバイス上のバンドに触れたあとの戻りは、期間14で45.1%だったよ。順番を入れ替えた足の44.7%とほぼ同じだったね。
通貨ごとの違い

5通貨に分けても、傾向は同じでした。触れた足は、1,000本あたり204.4〜213.9本で、5通貨とも入れ替えた系列(183.1〜192.9本)より多くなりました。上のバンドに触れたあとの戻りは、USD/JPYが42.9%、EUR/USDが47.1%、GBP/USDが46.2%、EUR/JPYが44.4%、AUD/JPYが45.0%です。入れ替えた系列との差は、最大で1.2ポイント(EUR/USD)でした。
測っていないこと
この記事で測ったのは、バンドに触れた足の数と、触れたあとに中心線まで戻った割合です。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率は測っていません。長い上ヒゲや反転のローソク足の形、出来高、RSIやボリンジャーバンドとの組み合わせも測っていません。日経平均や米国の株価指数、ビットコインなどのFX以外の銘柄、ファンダメンタルズ主導の相場(重要指標の直後など)も、測っていません。測った範囲では、触れたあとの戻りは、順番を入れ替えた系列とほぼ変わりませんでした。
Projection Bandsが効きにくいとき|時間足と変動の大きさで測った

時間足別のProjection Bandsの相性
期間14で、15分足・1時間足・4時間足・日足を測りました。足の数は、5通貨の合計で、15分足が1,346,482本、1時間足が335,913本、4時間足が86,087本、日足が14,045本です。日足は、1時間足を世界標準時の21時区切りでまとめた足です。1,000本あたりの触れた足は、15分足が215.2本、1時間足が209.0本、4時間足が202.8本、日足が225.3本でした。入れ替えた系列は、188.8本・188.3本・191.4本・201.5本で、どの時間足でも、実際の足のほうが多くなっています。
上のバンドに触れたあとの戻りは、15分足が47.3%(入れ替え45.0%)、1時間足が45.1%(44.7%)、4時間足が43.3%(44.1%)、日足が46.6%(44.9%)です。差は最大でも2.3ポイントで、時間足によって大きな違いは見えませんでした。1分足と5分足は測っていません。「4時間足・日足が非常によい」「1分足・5分足は向かない」といった違いも、この測定からは言えません。
相場のボラティリティが低いときは要注意

変動が小さいときほど、バンドに触れやすいかを測りました。1時間足・期間14で、ATRを直前250本のATRの中央値で割った比を、小さい順に3等分します(各約11.2万本)。比が約0.9倍以下を「小さい」、約1.1倍以上を「大きい」としました。1,000本あたりの触れた足は、小さいが226.8本、中くらいが208.0本、大きいが192.3本で、小さいほうが約1.18倍多くなりました。
上のバンドに触れたあとの戻りは、小さいが55.6%、中くらいが44.0%、大きいが34.8%でした。変動が小さいときは、触れる足が多く、中心線まで戻る割合も高くなっています。「バンドタッチのあとに逆行した」という声があるのは、この測定では確かめられませんでした。バンドが狭いと中心線までの距離も短いので、戻りやすくなっている可能性がありますが、距離別には測っていません。
アドバイス変動が小さいときは、触れた足が1,000本あたり226.8本で、大きいときの192.3本より多かったよ。時間足では、大きな違いはなかったね。
Projection BandsのMT4・MT5での入れ方|ダウンロードと手順

プロジェクションバンドインジケーターのダウンロード
シストレ.COM会員なら無料でダウンロードできます
以下のボタンから、MT4版「ProjectionBands_systre.ex4」とMT5版「ProjectionBands_systre.ex5」をまとめてダウンロードできます(ZIP形式)。
MT4への導入手順
- ダウンロードしたZIPを展開し、MT4フォルダの中の
ProjectionBands_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、ProjectionBands_systreをチャートに出します。
MT5の入れ方
MT5も手順は同じで、違うのは取り出すファイルと置くフォルダだけです。ZIPのMT5フォルダの中の ProjectionBands_systre.ex5 を取り出し、「ファイル」の「データフォルダを開く」から「MQL5」の中の「Indicators」に置きます。そのあと、ナビゲーターで更新し、「挿入」「インディケータ」「カスタム」から表示します。ex4はMT4用、ex5はMT5用なので、入れる先を間違えないでください。
注意事項
- このインジケーターは、シストレ.COMの登録口座で使えます。認証が行われていない口座では使えません。
- 無料配布のサンプルです。商用利用・再配布はできません。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4がMQL4、MT5がMQL5のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
要点
・Projection Bandsは、高値と安値の傾きを今の足まで延ばして、上のバンドと下のバンドを作る指標。今の足の高値と安値も計算に入るので、終値はバンドの外に出ません
・5通貨の1時間足335,913本で、期間14の触れた足は1,000本あたり209.0本(入れ替えた系列188.3本)。期間5は223.2本、期間30は158.3本
・上のバンドに触れたあと12本以内に中心線まで戻った割合は、期間14で45.1%(入れ替え44.7%)。期間5は61.5%、期間30は29.1%で、どれも入れ替えた系列と0.7ポイント以内
・時間足は15分足〜日足で、戻りは43.3〜47.3%。変動が小さいときは触れた足が多く(226.8本)、戻りも高い(55.6%)
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ローソク足の形、ほかの指標との組み合わせ、元の記事の式
Projection Bandsのよくある質問
ボリンジャーバンドと何が違いますか?
帯の作り方と、終値が外に出るかどうかが違います。ボリンジャーバンドは標準偏差で帯を作り、終値が外に出ます。
価格がバンドを抜ける(ブレイクする)ことはありますか?
終値がバンドの外に出ることはありません。今の足の高値と安値が、バンドの計算に入っているためです。
バンドに触れたら逆張りしてよいですか?
売買の損益は測っていないので、すすめられません。触れたあとに中心線まで戻る割合は、順番を入れ替えた足とほぼ同じでした。
おすすめの期間や時間足はありますか?
おすすめは測っていません。標準の期間は14です。時間足では、15分足から日足まで、大きな違いは見えませんでした。
値動きが小さいときも使えますか?
使えますが、触れる回数が増えます。変動が小さい3分の1の足では、触れた足が1,000本あたり226.8本でした。
MT4とMT5のどちらでも使えますか?
どちらでも使えます。ZIPに、MT4用のex4とMT5用のex5が入っています。
Projection Bandsのまとめ
Projection Bandsは、高値と安値の傾きを今の足まで延ばして、上下のバンドを作る指標です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、335,913本)では、期間14の触れた足が1,000本あたり209.0本、入れ替えた系列は188.3本でした。上のバンドに触れたあとの戻りは45.1%で、入れ替えた系列の44.7%とほぼ同じです。時間足や通貨を変えても、同じ傾向でした。
測っていない売買の損益や、ローソク足の形・ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。終値がバンドの間のどこにあるかを0〜100で見たいときは、Projection Oscillatorの記事にまとめています。通貨ペアを選び分けたいときは、CSIインジケーターの使い方と計算方法も参考になります。似た指標は、フォーキャストオシレーターの記事にあります。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
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