
日銀短観とは|調査の対象と業況判断DIの出し方

日銀短観の意味と調査の対象
日銀短観は、日本銀行が企業に景気の感じ方や事業計画を聞く調査です。2026年9月調査(2026年10月1日公表、第210回)の調査対象は9,104社で、回答率は99.4%でした。内訳は、大企業が1,631社、中堅企業が2,589社、中小企業が4,884社です。回答期間は、8月26日から9月30日でした。
FXの記事で「短観」と書かれているときは、多くの場合、大企業・製造業の業況判断DIを指します。この記事のDIの数字も、すべて大企業・製造業のものです。
業況判断DIの計算方法

企業は、業況を「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つから1つ選びます。業況判断DIは、「良い」の割合から「悪い」の割合を引いた数字です。日本銀行の計算例では、「良い」が30%、「さほど良くない」が60%、「悪い」が10%なら、DIは30%−10%=20%ポイントです。
DIは、1社を1票として数えます。売上の大きい企業を重く扱う計算ではありません。プラスなら「良い」と感じる企業のほうが多く、マイナスなら「悪い」と感じる企業のほうが多い、という意味です。
アドバイスDIは「良い」の割合から「悪い」の割合を引くだけだよ。2026年9月調査の対象は9,104社で、回答率は99.4%だったね。
日銀短観の発表日と時刻|年4回、午前8時50分

発表の時期と時刻
日銀短観は、年4回、4月の初め、7月の初め、10月の初め、12月の中ごろに公表されます。公表時刻は、午前8時50分(日本時間)に統一されています。日本銀行は、市場が動き出す9時より前に公表するため、と説明しています。次の12か月ぶんの公表日は、6月末ごろと12月末ごろに、日本銀行のホームページで公表されます。
直近7回の発表日と数字
図は、直近7回の発表日と、大企業・製造業の業況判断DIです。「前回の予測」は、前回の調査で企業が答えた先行き(3か月後)の見通しで、市場の予想ではありません。2026年7月1日の発表は、DIが22で、前回の予測の14を8ポイント上回りました。2026年10月1日の発表は、DIが24で、前回の予測の17を7ポイント上回っています。
公式の数字と公表日程は、日本銀行の短観のページと、短観のよくある質問で確認できます。ほかの経済指標の発表時刻は、FXの経済指標の一覧にまとめています。
アドバイス発表は年4回で、時刻はいつも午前8時50分だよ。「前回の予測」は企業の見通しで、市場の予想とは別物だね。
日銀短観の業況判断DI|10年の推移と前回の予測との差

DIの10年の動き
2016年3月から2026年9月までの43回で、大企業・製造業のDIが最も高かったのは、2017年12月調査の25です。最も低かったのは、2020年6月調査の−34で、新型コロナの影響が出た時期にあたります。直近の2026年9月調査は24でした。
前回の予測との差

図は、実績から前回の予測を引いた差です。43回のうち、実績が予測より高かった回は24回、低かった回は13回、同じだった回は6回です(24+13+6=43)。差が3ポイント以上だった回は21回でした。この差は、企業の見通しとのずれを表すもので、市場の予想とのずれではありません。
アドバイス43回のうち、予測より高かった回が24回、低かった回が13回だったよ。同じだった回も6回あったね。
日銀短観の発表後の値幅|ティックで測った円相場

測り方
Dukascopy のティックから作った足(bid)で、午前8時50分から、9時まで(10分)、10時まで(70分)、15時まで(370分)の値幅を測りました。値幅は、その間の最高値と最安値の差です。対象は、2016年4月から2026年10月までの発表43回です。ドル円は、朝のティックが足りない5回を除いた38回、ユーロ円は43回です。発表1回を1件と数えます。
比べる相手は、発表の日の前後8週にある、同じ曜日・同じ時刻の日で、この記事では「通常日」と呼びます。日銀短観を発表した日は、相手から除きました。相手は1件につき4日以上あり、合計はドル円が583日、ユーロ円が678日です。1件ごとに、発表の値幅を通常日の平均で割った倍率を出し、その中央値を見ています。
値幅は広がらなかった

倍率の中央値は、9時までがドル円1.04倍、ユーロ円0.84倍、10時までが0.95倍と0.95倍、15時までが0.83倍と1.00倍でした。平均の値幅は、9時までがドル円で7.3pips(通常日は7.0pips)、ユーロ円で7.6pips(通常日は7.5pips)です。発表の10分前(8時45分〜8時50分)の値幅も、倍率の中央値はドル円0.94倍、ユーロ円0.90倍で、1倍前後でした。
9時までの値幅が通常日より広かった回は、ドル円で38回のうち20回、ユーロ円で43回のうち16回です。測った範囲では、午前8時50分の日銀短観の発表で、値幅が通常日より広がる動きは見られませんでした。ただし、発表の日には、同じ時刻に別の材料が出ている日もあります。
実例|2026年7月1日

2026年7月1日は、DIが22で、前回の予測の14を8ポイント上回った回です。それでも、発表から10分間のドル円の値幅は4.0pipsで、通常日の1.05倍でした。ユーロ円は2.3pipsで、0.56倍です。差が大きい回でも、値幅が目立って広がるとは限らない例です。
アドバイス発表から10分の値幅は、中央値でドル円が1.04倍、ユーロ円が0.84倍だったよ。測った範囲では、広がる動きは見えなかったね。
日銀短観の予測との差と円の向き|合った割合を測る

見方
図の横軸は、実績から前回の予測を引いた差で、縦軸は、8時50分から9時までのドル円の変化(pips)です。プラスはドル高・円安を表します。実績が予測より高いとき円安、低いとき円高に動いたら、向きが「一致」と数えます。ドル円38回のうち、一致が18回、逆が15回、差が0または動かなかった回が5回でした(18+15+5=38)。
合った割合は50%と区別できなかった

差が0の回と、円が動かなかった回を除いて、合った割合を数えました。ドル円は、10分後が55%(33回のうち18回、範囲38〜70%)、70分後が64%(33回のうち21回、範囲47〜78%)です。ユーロ円は、10分後が64%(36回のうち23回、範囲48〜78%)、70分後が54%(37回のうち20回、範囲38〜69%)です。範囲はウィルソン法による95%で、どれも50%を含みます。コイン投げなら50%なので、予測との差から円の向きが決まるとは言えませんでした。
差の大きさで分けると
| 差の大きさ | 通貨 | 回数 | 10分の倍率 |
|---|---|---|---|
| 3以上 | ドル円 | 18回 | 0.90倍 |
| 3以上 | ユーロ円 | 21回 | 0.80倍 |
| 3未満 | ドル円 | 20回 | 1.11倍 |
| 3未満 | ユーロ円 | 22回 | 1.03倍 |
表は、Dukascopy のティックから作った足(bid)で測った、発表43回の分け方です。差の大きさは、実績と前回の予測の差の大きさ(%ポイント)です。10分の倍率は、発表から10分間の値幅が通常日の何倍かを表す中央値です。差が3以上の回の倍率は、ドル円で0.90倍、ユーロ円で0.80倍で、差が小さい回より高くはありませんでした。回数は18回から22回と少なく、この表だけで差の大きさの影響があるとは言えません。
発表から10分の向きが、そのあと10時まで続いた割合は、ドル円が66%(38回のうち25回、範囲49.9〜78.8%)、ユーロ円が55%(42回のうち23回、範囲39.9〜68.8%)で、どちらも50%を含みます。続くとも戻るとも言えませんでした。
アドバイス合った割合は54〜64%だったけど、範囲はどれも50%を含んでいたよ。回数が30回台なので、範囲は広いね。
日銀短観の想定為替レート|想定と実際の平均

想定為替レートとは
短観では、企業が事業計画の前提にしている円・ドルのレートを、想定為替レートとして公表します。業況判断DIとは別の項目です。図は、各年度の始め(3月調査)に示された、その年度の想定レートです。全規模・全産業の値を使い、基準が違う2019年度までは入れていません。
想定と実際の差
実際の年度平均は、Dukascopy のティックから作った足で、平日15時(日本時間)の値を平均しました。2021年度から2025年度までの5年は、実際の平均が想定より円安でした。2022年度は、想定の111.93円に対して実際が135.45円、2025年度は想定の147.06円に対して実際が150.64円です。2020年度は、想定の107.98円に対して実際が106.02円で、円高でした。6年分の比較なので、想定が円安を見通せない傾向があるとまでは言えません。
指標ごとの使い方は、経済指標を使ったFX運用の記事にまとめています。
アドバイス2021年度から2025年度は、実際の平均が想定より円安だったよ。2020年度だけは円高だったね。
要点
・日銀短観は、日本銀行が年4回、午前8時50分(日本時間)に公表する企業アンケート。業況判断DIは「良い」の割合から「悪い」の割合を引いた数字
・発表から10分間の値幅は、通常日を1倍とした中央値が、ドル円1.04倍、ユーロ円0.84倍
・予測との差の向きが発表後10分の円の向きと合った割合は、ドル円55%、ユーロ円64%で、範囲はどちらも50%を含む
・「前回の予測」は企業の先行きの見通しで、市場の予想ではない
・測っていないのは、市場の予想との差、売買の損益、勝率
日銀短観のよくある質問
日銀短観とは何ですか?
日本銀行が企業に景況感を聞く調査です。年4回公表され、約9,000社が答えています。
日銀短観は何時に発表されますか?
午前8時50分(日本時間)です。4月と7月と10月の初め、12月の中ごろに出ます。
業況判断DIはどう読みますか?
プラスは「良い」が多く、マイナスは「悪い」が多い状態です。2026年9月調査の大企業・製造業は24でした。
日銀短観の発表で、円相場の値幅は広がりますか?
測った範囲では、広がりませんでした。発表から10分の値幅は、通常日と比べて中央値が0.84〜1.04倍でした。
予測を上回ると、円安になりますか?
そうなるとは言えませんでした。向きが合った割合は54〜64%で、範囲がどれも50%を含みます。
「前回の予測」は市場の予想ですか?
違います。前回の調査で企業が答えた、先行きの見通しです。この記事の測定には、市場の予想は使っていません。
日銀短観のまとめ
日銀短観は、日本銀行が年4回、午前8時50分(日本時間)に公表する企業アンケートで、業況判断DIは「良い」の割合から「悪い」の割合を引いた数字です。Dukascopy のティックから作った足で測ると、発表から10分間の値幅は、通常日を1倍とした中央値が、ドル円で1.04倍、ユーロ円で0.84倍でした。
前回の予測との差の向きが、発表後10分の円の向きと合った割合は、ドル円55%、ユーロ円64%で、範囲はどちらも50%を含みました。測っていない市場の予想との差や、売買の損益は、自分のデータで確かめてから使ってください。
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