
ALMAとは|ガウス分布の重みで遅れを抑えた移動平均線

ALMAの特徴
ALMAは、メインチャートに1本の線を重ねるインジケーターです。直近の足ほど大きな重みを置く点はEMAやWMAと同じですが、重みの形がガウス分布で、山の位置と幅を自分で決められます。この山が最新の足の少し手前にあるため、ほかの平均線より価格に近い位置を通ります。図でも、急落のあとにALMA(紫)が先に価格へ寄り、反発では先に上を向いています。
MT4・MT5の標準の移動平均は、単純・指数・平滑・線形加重の4種類で、ALMAは含まれません(MQL5ドキュメントの移動平均の種類)。使うにはカスタムインジケーターを追加します。
名前と由来
名前はArnaud Legoux氏とDimitrios Kouzis-Loukas氏にちなみ、2009年に紹介されたと解説されています。当サイトでは原論文そのものは確認していないため、年と人名は解説サイトの記述に沿っています。日本語では「アーノルド移動平均」と書かれる例もありますが、Arnaudはフランス語の名前で、当サイト配布版の説明文は「アルノー・ルグー移動平均線」としています。
SMA・EMA・WMAとの違い
4つの平均線の違いは、期間20の中で1本ごとにどれだけの重みを置くかです。重みの平均の古さが小さいほど、線は価格に早く追いつきます。
| 種類 | 重みの付け方 | 重みの平均の古さ(本前) | 直近5本の重み |
|---|---|---|---|
| SMA | 20本とも同じ | 9.5 | 25.0% |
| EMA | 新しいほど指数的に大きい | 9.5 | 39.4% |
| WMA | 新しいほど直線的に大きい | 6.3 | 42.9% |
| ALMA | ガウス分布の山を最新側に寄せる | 3.8 | 63.3% |
計算条件:期間はすべて20、ALMAは既定値(シグマ6・オフセット0.85)。「古さ」は最新の足を0本前としたときの、重み付きの平均です。EMAは過去すべてを含む理論値で、シストレ.COMの自社計算です。EMAとSMAは同じ9.5ですが、EMAは新しい足の重みが大きく、古い足にも少しずつ重みが残る点が違います。


アドバイスALMAは「新しい足に重みを集めた平均」だよ。重みの置き方は、次の計算式で見てみよう。
ALMAの計算式|重みの山の位置と幅から決まる

計算の手順
計算は、当サイト配布のソース(ALMA_systre v2.00)の式と同じです。期間をN、シグマをσ、オフセットをoとし、窓の中の足に古いほうから0〜N−1の番号 j を付けます。
- 山の位置を決めます。m=o×(N−1)。既定値では0.85×19=16.15で、いちばん新しい足(番号19)の少し手前です。
- 山の幅を決めます。s=N÷σ。既定値では20÷6=約3.33です。
- 各足の重みを出します。w(j)=exp(−(j−m)²÷(2×s²))。mに近い足ほど重みが大きくなります。
- 重みを掛けた価格を足し合わせ、重みの合計で割ります。ALMA=Σ(w(j)×価格)÷Σw(j)。割り算があるので、重みの合計は常に100%です。
MT4・MT5のソースにあるループも、同じ4つの手順を書いたものです。適用価格は終値のほか、始値・高値・安値・中央値・典型価格・加重終値が選べます。

既定値で重みを計算すると
期間20・シグマ6・オフセット0.85で重みを出すと、山は3本前(番号16)にあり、重みは最大14.2%です。いちばん新しい足は9.9%で、直近5本だけで全体の63.3%を占めます。逆に古い10本の合計は2.7%しかなく、期間は20でも、実質は直近10本ほどの平均に近い線です。

自社の再実装が配布ソースと同じ結果になることも確かめました。ソースのループをそのまま書き写した計算と、計測に使った高速版を、AUD/JPY 1時間足3,000本で比べ、期間9・20・50、シグマ3・6、オフセット0.5・0.85・0.95の組み合わせでも、差は最大1e-13未満でした。コンパイル済みのex4・ex5を画面上で照合したわけではなく、ソース(v2.00)の式との一致です。
アドバイス期間は20でも、効いているのは直近10本ほど。窓の長さと、実際に効く長さは別なんだね。
ALMAの設定値|期間・オフセット・シグマを動かすとどうなるか

既定値は「期間20・シグマ6・オフセット0.85」
当サイトの配布版(ALMA_systre v2.00)の入力は、MA期間20・シグマ6・オフセット0.85・適用価格(終値)の4つです。解説サイトには期間9を既定値とするものもあり、それと並べると食い違って見えますが、配布版のソースの既定値は20です。インストール後に画面で確認してください。
3つの値の役割
- MA期間:窓の長さです。長いほど線はゆっくり動きます。
- オフセット:山の位置です。1に近いほど最新の足に寄って追従が速く、0.5では窓の真ん中になって遅れはSMAと同じ9.5本になります。
- シグマ:山の幅です。大きいほど山は細く鋭くなり、小さいほど重みが窓全体に広がってSMAに近づきます。シグマを大きくすると反応が速くなる向きで、直感と逆に感じる人が多い値です。

設定を変えたときの計測結果

終値がALMAを下から上へ抜けたら買い、上から下へ抜けたら売りに切り替える方法で、設定を動かしました。遅れを小さくする側(期間を短く、オフセットを1に近く)ほど、売買の回数は増え、コスト後のPFは下がっています。PFがいちばん高かったのは、遅れの大きい期間50(0.91)とオフセット0.5(0.92)でした。
| 設定(期間/シグマ/オフセット) | 重みの平均の古さ(本前) | 売買回数(1,000本あたり) | PF(コスト前) | PF(コスト後) |
|---|---|---|---|---|
| 9/6/0.85 | 1.56 | 314.2 | 0.97 | 0.84 |
| 14/6/0.85 | 2.58 | 246.0 | 0.97 | 0.86 |
| 20/6/0.85(既定) | 3.80 | 199.7 | 0.97 | 0.86 |
| 30/6/0.85 | 5.84 | 159.1 | 0.98 | 0.88 |
| 50/6/0.85 | 9.93 | 117.3 | 1.01 | 0.91 |
| 20/6/0.5 | 9.50 | 115.6 | 1.00 | 0.92 |
| 20/6/0.7 | 5.94 | 156.7 | 0.99 | 0.89 |
| 20/6/0.95 | 2.76 | 233.5 | 0.98 | 0.86 |
| 20/3/0.85 | 6.10 | 156.1 | 0.98 | 0.88 |
| 20/9/0.85 | 3.15 | 222.9 | 0.97 | 0.86 |
計測条件:AUD/JPY 1時間足 約67,400本(2016年1月〜2026年10月23日・UTC)。Dukascopyのティックをbidとaskの中値にして1時間足を作成。確定した足の終値で判定し、反対のシグナルで決済して逆向きに入る「ドテン」で売買し、往復コストは1pip固定の仮定です。シストレ.COMの自社計測です。
10通りのPFは、コスト前が0.97〜1.01、コスト後が0.84〜0.92の範囲にあり、1.0を超えた設定はコスト後ではありませんでした。コスト前でも1.0前後なので、設定の違いは「回数とコストの重さ」を変えるだけで、勝てる設定を作ってはいません。迷ったら既定値で動きを見るのが現実的です。

アドバイスオフセットとシグマは、どちらも「重みの山をどこに置くか」の調整だよ。数字をいじるより、形を見て選ぼう。
ALMAの検証|10年分・2通貨ペアの自社計測

計測条件
シストレ.COM編集部が、Dukascopyのティックから15分・1時間・4時間足を作り、終値が移動平均線を抜けた足でドテン売買する成績を比べました。期間はAUD/JPYが2016年1月〜2026年10月23日、USD/JPYが2025年1月〜2026年10月23日です。損切りは置かず、往復コストは1pipの固定の仮定で、実際のスプレッドとは一致しません。比べた線は、期間20のSMA・EMA・WMAと、既定値のALMAです。
ALMAは追従が速いが、滑らかではない
まず線そのものの性質です。AUD/JPY 1時間足で、終値と線の平均の距離は、ALMAが13.3pips、SMAが22.3pips、EMAが19.0pips、WMAが16.9pipsでした。ALMAはSMAの約6割の距離で追従しています。一方、線が1本ごとに動く幅は、ALMAが2.94pips、SMAが2.05pipsで、ALMAのほうが約1.4倍大きく動きます。

| AUD/JPY 1時間足 | 終値との平均の距離 | 1本ごとの動き | 傾きの向きが変わる回数(1,000本あたり) |
|---|---|---|---|
| SMA 20 | 22.3pips | 2.05pips | 98.9 |
| EMA 20 | 19.0pips | 2.00pips | 129.8 |
| WMA 20 | 16.9pips | 2.30pips | 113.9 |
| ALMA 20(既定) | 13.3pips | 2.94pips | 110.5 |
計測条件は上の章と同じ(約67,400本)です。USD/JPY 1時間足(約11,300本)でも順序は同じで、終値との距離はALMAが17.4pips、SMAが29.6pipsでした。「遅れを小さくしつつ、ノイズも減らす」と説明されることがありますが、この計測では、遅れが小さい代わりに1本ごとの動きは大きく、線の滑らかさはSMAのほうが上でした。
終値がクロスしたら売買すると、SMAより成績が悪かった
次に、終値が線を抜けたらドテンで売買した成績です。コスト後のPF(取引数)で示します。

| 通貨ペア・時間足 | SMA 20 | EMA 20 | WMA 20 | ALMA 20 |
|---|---|---|---|---|
| AUD/JPY 15分足 | 0.76(34,723) | 0.74(38,140) | 0.75(43,771) | 0.75(56,189) |
| AUD/JPY 1時間足 | 0.92(7,890) | 0.91(8,744) | 0.89(10,184) | 0.86(13,457) |
| AUD/JPY 4時間足 | 1.07(1,915) | 0.97(2,221) | 1.00(2,449) | 0.93(3,270) |
| USD/JPY 15分足 | 0.82(5,659) | 0.83(6,188) | 0.80(7,140) | 0.78(9,262) |
| USD/JPY 1時間足 | 0.98(1,317) | 0.98(1,449) | 0.94(1,711) | 1.01(2,179) |
| USD/JPY 4時間足 | 1.06(318) | 0.94(340) | 1.02(424) | 0.91(570) |
AUD/JPYでは、1時間足・4時間足ともALMAがSMAを下回り、15分足は4本とも0.74〜0.76で差がありませんでした。USD/JPYの1時間足だけALMAが1.01と上回りましたが、期間が約1年10か月と短く、4時間足ではまたSMAが上です。ALMAは遅れが小さいぶん、抜けと戻りが多く、売買は同じ条件のSMAの約1.7倍に増えました(AUD/JPY 1時間足で13,457回と7,890回)。


AUD/JPY 1時間足のALMAは、勝率が27.1%(SMAは23.4%)と高い一方、PFが低くなりました。1取引の平均損益はコスト後−1.27pips、コスト前でも−0.27pipsで、PFはコスト前でも0.97です。SMAはコスト前の平均が+0.12pipsでした。勝つ回数は増えても、1回の利益が小さく、コストに負ける形です。


ALMAだけで勝てるのか
結論は、ALMAのクロスだけで勝てるとはいえません。AUD/JPY 1時間足の年ごとのPFは、ALMAが11年のうち2024年の1.04だけが1.0を超え、残りの10年は0.77〜0.92でした。最も低いのは2017年の0.77と2025年の0.79です。SMAは2016・2021・2023・2025年の4年が1.0以上(2016年と2025年は1.00でほぼ同じ)で、年によって入れ替わります。この結果は計測期間・通貨ペア・コスト仮定に限った話で、同じ傾向が続く保証はありません。

本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。FX取引はリスクを伴うため、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で慎重に判断してください。過去の計測結果は将来の成績を保証しません。
アドバイス追従が速いことと、儲かることは別だよ。数字は「ALMAは遅れが小さいが、クロス売買は勝てない」を示しているね。
ALMAインジケーターのダウンロードとMT4・MT5への入れ方

ALMA_systreをダウンロード(MT4・MT5用)
「ALMA_systre」(MT4用ex4・MT5用ex5)は、下のボタンからダウンロードできます。zipの中にMT4フォルダとMT5フォルダがあり、MT4のex4はMT5では動かないため、使うほうを取り出してください。メインチャートに紫の線を1本描き、入力はMA期間(既定20)・シグマ(既定6)・オフセット(既定0.85)・適用価格(既定は終値)です。

MT4・MT5へのインストール手順
上のボタンのzipを解凍すると、MT4フォルダ(ALMA_systre.ex4)とMT5フォルダ(ALMA_systre.ex5)が出てきます。使うほうのファイルを取り出します。
メニュー「ファイル」→「データフォルダを開く」から、MT4なら「MQL4」→「Indicators」、MT5なら「MQL5」→「Indicators」を開き、ex4またはex5を移動します。
再起動するか、ナビゲーターで右クリックして「更新」を選びます。一覧に出たALMA_systreをチャートにドラッグ&ドロップすると設定画面が開くので、MA期間・シグマ・オフセットを確認して適用します。
利用上の注意
- 無料配布のサンプルです。商用利用と再配布は禁止です。
- シストレ.COMの登録口座で利用できます。認証が行われていない口座では使えません。
- 出所のわからない改変版は、誤作動や情報流出の恐れがあります。配布元を確認してください。
アドバイス入れたら、まず期間を変えて、線の動きがどう変わるか見てみてね。
ALMAの使いどころと注意点|他のインジケーターとの組み合わせ

長い線の向きで絞っても、成績は変わらなかった
ダマシを減らす定番の方法として、ALMA20のクロスのうち、ALMA50が同じ向きのときだけ入る絞り込みを計測しました(直前の足より上向きなら買いだけ、下向きなら売りだけ)。売買の回数は1時間足で13,457回から6,389回、4時間足で3,270回から1,511回と半分以下に減りましたが、PFは1時間足で0.86から0.89、4時間足で0.93から0.91と、どちらも1.0を下回ったままです。絞っても、勝てる形にはなりませんでした。
使いどころ
計測では、ALMAのクロスを売買の合図にする使い方は成績に結びつきませんでした。一方で、価格に近い位置を通る性質は、現在の向きを素早く確認する目安として使えます。移動平均線全般の考え方は、次の関連記事が参考になります。



使う前に確認すること
- 足が確定してから判断する。確定前の交差は戻ることがあります。
- 短い時間足は避ける。15分足は4種類の平均線すべてが、コスト後のPF0.74〜0.76でした。
- 期間を短くするほど売買が増える。期間9では1,000本あたり314回で、コスト後のPFは0.84でした。
- 自動売買に使うなら、通貨ペア・時間足ごとにデモや過去検証で確かめてから使ってください。
アドバイスALMAは「今の向きを見る線」。売買の判断は、ほかの条件と合わせて決めようね。
要点
・ALMAはガウス分布の重みを最新の足の近くに寄せた移動平均線で、既定値は期間20・シグマ6・オフセット0.85です。
・期間20の既定値は、重みの平均の古さが3.8本前(SMAは9.5本前)で、価格に近い位置を通ります。
・追従が速いぶん1本ごとの動きは大きく、AUD/JPY 1時間足の線の滑らかさはSMAのほうが上でした。
・終値クロスの売買は、AUD/JPY 1時間足でコスト後PF 0.86(SMAは0.92)、設定を動かしても0.84〜0.92でした。
ALMAのよくある質問
ALMAとは?
ガウス分布の重みを最新の足の近くに寄せて平均する、移動平均線です。Arnaud Legoux Moving Averageの略で、山の位置と幅を設定で決められます。
ALMAの計算式は?
m=オフセット×(期間−1)、s=期間÷シグマとして、重みw(j)=exp(−(j−m)²÷(2s²))を出し、重み付き平均を取ります。jは窓の中で古いほうからの番号(0〜期間−1)で、ALMA=Σ(w×価格)÷Σwです。
ALMAの設定値は?
当サイト配布版の既定値は、期間20・シグマ6・オフセット0.85です。自社計測では、期間・オフセット・シグマを動かしてもコスト後PFは0.84〜0.92の範囲で、最適といえる設定はありませんでした。
オフセットとシグマは何を変えますか?
オフセットは重みの山の位置、シグマは山の幅です。オフセットが1に近いほど、シグマが大きいほど、線は最新の足に寄って速く動きます。
ALMAはSMAやEMAより優れていますか?
追従は速いものの、滑らかさと成績では上回りませんでした。AUD/JPY 1時間足では終値との平均の距離がSMAの約6割ですが、1本ごとの動きは約1.4倍で、クロス売買のコスト後PFもSMAの0.92に対しALMAは0.86でした。
ALMAだけで勝てますか?
勝てるとはいえません。自社計測(AUD/JPY・2016〜2026年)では、終値クロスで売買したコスト後のPFは1時間足で0.86、4時間足で0.93、15分足で0.75でした。
MT4・MT5でALMAは使えますか?
標準搭載はなく、カスタムインジケーターを追加して使います。当サイトの配布zipにはMT4用(.ex4)とMT5用(.ex5)が入っています。
ALMAのまとめ
ALMAは、ガウス分布の重みを最新の足の近くに寄せた、価格への追従が速い移動平均線です。自社計測では、線の滑らかさはSMAのほうが上で、終値クロスの売買成績も設定を動かして0.84〜0.92にとどまりました。まずは配布版の既定値で線の動きを確かめ、売買に使うなら、通貨ペアと時間足ごとにデモ口座で検証してから使ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













