EAのフォワードテストとは?バックテストとの違いと、上位10%の次の期間を実測

フォワードテスト アイキャッチ

フォワードテストは、決めたEAや規則を、まだ見ていない期間の相場で動かして成績を確かめる検証です。この記事では、Dukascopy のティックから作った足で、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの1時間足を使い、移動平均の交差の期間の組み合わせ499通りを5通貨で測りました(計2,495組)。2016〜2021年(バックテスト役)で上位10%だった250組は、2022〜2026年9月(フォワード役)に、年あたりの損益が平均+344 pipsから−192 pipsになりました。フォワード役で黒字だった割合は28.0%で、無作為に選んだ250組の範囲(24.8〜33.2%)に入りました。

目次

フォワードテストとは|バックテストとの違いと、この記事での測り方

2016年から2021年をバックテスト役、2022年から2026年9月をフォワード役に分け、上位10%の組を次の期間で見る手順を示した図
期間の分け方の図。出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)の1時間足。

バックテストとフォワードテストの違い

バックテストは、過去の値動きにEAの規則を当てはめて、成績を出す検証です。フォワードテストは、規則や設定を決めたあとの、まだ見ていない期間の相場で動かして、成績を確かめる検証です。決めたあとの相場で同じように動いたかを見られるのが、バックテストとの違いです。

項目バックテストフォワードテスト
使う相場過去の値動き決めたあとの、まだ見ていない期間
わかること過去に規則がどう動いたか決めたあとも同じように動いたか
この記事での役バックテスト役(2016〜2021年)フォワード役(2022〜2026年9月)

実際の運用では、約定がずれるスリッページもあります(スリッページの記事)。バックテストと実運用で成績がずれる話は、バックテストとフォワードの乖離の記事にまとめています。使う過去データの違いはヒストリカルデータの記事を見てください。

この記事での測り方

この記事の「フォワード役」は、将来の相場ではなく、順位をつけるのに使わなかった過去の期間です。2016年1月〜2021年12月をバックテスト役、2022年1月〜2026年9月をフォワード役とし、バックテスト役の成績だけで上位を選んで、フォワード役の成績を見ました。

規則は、移動平均(SMA)の交差です。短い線が長い線より上なら買い、下なら売りで、常にどちらかの向きで持ちます。短い線の期間は5〜100(5刻み)、長い線の期間は20〜300(10刻み)で、長い線が短い線より長い組み合わせの499通りを、5通貨それぞれで作りました。1通貨と1つの期間の組み合わせを「1組」と数え、全部で2,495組です。上位10%は、通貨ごとの上位50組で、5通貨で250組です。

足の終値で向きを決め、次の足の終値までの値動きを損益にしました。向きを変えるたびに、通貨ごとのスプレッド(ティックのaskとbidの差の中央値)を引いています。中央値は、USD/JPYが0.5 pips、EUR/USDが0.3 pips、GBP/USDが0.9 pips、EUR/JPYが0.8 pips、AUD/JPYが0.8 pipsです。スワップ、手数料、スリッページは含めていません。各通貨の最初の300本は計算の助走として除いています。

アドバイス

バックテスト役で並べて、上位をフォワード役で見る形だよ。上位10%は250組だったね。

フォワードテストの実測|バックテストで上位だった組はどうなったか

バックテスト役の上位10%の250組が、フォワード役で入った順位帯を10区間に分けて割合を並べた棒グラフ
フォワード役での順位帯の棒グラフ。出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)の1時間足。

上位だった組の、フォワード役での順位

バックテスト役で上位10%だった250組が、フォワード役で通貨ごとの499組の中の何位になったかを、10%ずつの順位帯に分けて数えました。順位に関係がなければ、どの帯も10%になります。結果は、最上位の帯が8.0%(20組)、最下位の帯が14.8%(37組)で、順位の中央値は上から51.0%でした。

2つの期間の順位の似かたは、順位の相関(スピアマン)で見ました。完全に同じ順位なら+1、逆なら−1、関係がなければ0です。通貨ごとの値は、EUR/JPYが+0.07、AUD/JPYが+0.15、USD/JPYが+0.18、GBP/USDが−0.30、EUR/USDが−0.39で、5通貨とも、バックテスト役の順位がフォワード役でも保たれる形にはなりませんでした。

年あたりの損益の変化

バックテスト役とフォワード役で、上位10%の250組と全体2,495組の年あたりの平均損益をpipsで比べた棒グラフ
年あたりの平均損益の棒グラフ。出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)の1時間足。

スプレッドを引いた、1組あたりの年平均の損益は、上位10%が、バックテスト役で+344 pips、フォワード役で−192 pipsでした。全体の2,495組は、バックテスト役が−118 pips、フォワード役が−176 pipsです。上位を選んだ期間では全体より高く出ましたが、フォワード役では全体の平均と近い値でした。

フォワード役で黒字だった割合

フォワード役で黒字だった割合を、上位10%と無作為に選んだ組で、スプレッドなし・通常・2倍の3条件で比べた棒グラフ
黒字だった割合の棒グラフ。出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)の1時間足。

フォワード役で黒字だった組は、上位10%の250組のうち70組で、28.0%でした。2,495組全体では723組(29.0%)が黒字です。比べる相手として、2,495組から通貨ごとに50組、計250組を無作為に選ぶ試行を5,000回行うと、黒字の割合の範囲は24.8〜33.2%で、上位10%の28.0%を含んでいます。範囲は、5,000回の結果の5%点から95%点までです。

スプレッドの条件を変えても、同じでした。スプレッドなしでは、上位10%が38.0%で、無作為の範囲は30.0〜38.8%です。スプレッドを2倍にすると、24.4%に対して範囲は21.2〜28.8%でした。どの条件でも、上位10%の割合は無作為に選んだ場合の範囲に入っています。

フォワード役で黒字だった割合は、通貨で大きく違いました。499組のうち黒字だった割合は、USD/JPYが60.7%、EUR/USDが30.3%、GBP/USDが23.2%、AUD/JPYが15.6%、EUR/JPYが15.0%で、半数を超えたのはUSD/JPYだけです。バックテスト役の順位より、どの通貨を測ったかのほうが、フォワード役の黒字の割合に大きく表れました。

アドバイス

上位10%で黒字だったのは28.0%だったよ。無作為に選んだ場合の範囲は24.8〜33.2%で、28.0%を含んでいるね。

フォワードテストの期間|短い期間では赤字の組も黒字に見える

フォワード役の全期間で赤字だった組が、1・3・6・12か月の期間では黒字に見えた割合を並べた棒グラフ
見る期間の長さ別の棒グラフ。出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)の1時間足。

見る期間を1・3・6・12か月にしたとき

フォワード役の全期間(2022年1月〜2026年9月、57か月)で赤字だった組は、2,495組のうち1,772組でした。この1,772組について、見る期間を1か月ずつずらしながら、その期間の損益が黒字だった割合を数えました。期間の数は、1か月で57、3か月で55、6か月で52、12か月で46です。

全期間で赤字の組が、その期間では黒字だった割合は、1か月で46.0%、3か月で43.1%、6か月で37.5%、12か月で31.6%でした。見る期間が短いほど、赤字の組も黒字に見えやすくなっています。期間は重なっているので、独立した件数ではありません。

期間と取引回数

図の括弧内は、その期間の取引回数(向きを変えた回数)の中央値で、1か月が4回、3か月が13回、6か月が25回、12か月が50回です。反対に、フォワード役の全期間で黒字だった723組でも、その期間が赤字だった割合は、1か月で46.9%、3か月で44.9%、6か月で47.2%、12か月で45.2%ありました。全期間で黒字の組でも、12か月に区切ると、期間の半分近くは赤字でした。

この測定では、何か月見れば十分かという基準は求めていません。わかったのは、短い期間の成績だけでは、全期間の成績と逆に見える場合が、1か月で約半数あることです。

アドバイス

1か月だと、赤字の組の46.0%が黒字に見えたよ。12か月でも31.6%あったね。

フォワードテストの見方|シストレ.COMの月次レポートと商品ページ

シストレ.COMのEAフォワードテスト月次レポートで、2026年10月を表示した画面と、EAごとの月間損益・取引数・勝率・PFのカード
出典: シストレ.COMの月次レポート(2026年10月29日時点)。最初に表示されたEAのカード。

月次レポートで見る項目

シストレ.COMのEAフォワードテスト 月次レポートは、計測しているEAの取引を、1か月ごとにすべて公開しているページです。プラスで終えたEAも、マイナスで終えたEAも載っています。月は2023年1月から選べます。集計は、その月の1日から末日までに決済した取引です。

EAごとのカードには、次の項目が出ます。

  • 月間損益(円。ドル建て口座は円に換算)と、月内の推移の線
  • 取引数、勝率、PF(プロフィットファクター)
  • 勝ちと負けの回数、ロットの合計
  • EAの種類(マーチン・グリッドなど)と、専用デモ口座かリアル口座かの表示

ページには、「月の初めは取引が少なく、数字が偏りやすくなります」という注記があります。上の測定でも、1か月では取引が4回(中央値)で、全期間の成績と逆に見える組が約半数ありました。月次の数字は月ごとの記録で、1か月分だけでは偏りが大きいことを、この測定でも確認できます。PFはプロフィットファクターの記事、最大ドローダウンはドローダウンの記事で説明しています。

商品ページのフォワードテスト欄

シストレ.COMの商品ページにあるフォワードテスト欄で、累積損益のグラフと、総損益・最大ドローダウン・PF・勝率の表示
出典: シストレ.COMの商品ページ Abyss_AUDCAD_M5 のフォワードテスト欄(2026年10月29日時点)。

各EAの商品ページにも、「フォワードテスト」の欄があります。期間のボタンは、1ヶ月・3ヶ月・全体です。累積損益のグラフには、含み損益込みの線の表示もあります。上の画面は、Abyss_AUDCAD_M5のリアル口座の例で、データ期間は2024年11月6日〜2026年10月19日、総取引数は222、PFは1.68、勝率は69.82%でした。この欄には、ほかに最大ポジション数、月間平均取引回数、期待値、リカバリーファクター、現在のオープンポジション、取引履歴、BuyとSellの取引比率、時間帯別のエントリー、損益カレンダーもあります。

フォワードテストのデータは、EAが取引するたびにサイトに反映されます。上の測定のとおり、期間が短いと結果は偏ります。データ期間と総取引数を、先に見てください。EAを探す場合は、EA一覧から商品ページを開けます。フォワード実績の見方はフォワード実績の記事にもあります。

アドバイス

月次レポートも商品ページも、取引数と期間を一緒に見てね。短い期間は偏るよ。

要点
・フォワードテストは、決めたあとの、まだ見ていない期間で成績を確かめる検証
・測定は、5通貨×移動平均の499通り=2,495組の1時間足。2016〜2021年で上位10%の250組を、2022〜2026年9月で見た
・上位10%の年あたりの損益は、+344 pipsから−192 pipsになり、全体の−176 pipsと近かった
・フォワード役で黒字だった割合は、上位10%が28.0%、無作為に選んだ組の範囲が24.8〜33.2%で、範囲に入った
・全期間で赤字だった1,772組のうち、1か月で黒字だった割合は46.0%、12か月で31.6%
・測っていないのは、移動平均の交差以外の規則、1時間足以外、スワップ・手数料・スリッページ

フォワードテストのよくある質問

フォワードテストとバックテストの違いは何ですか?

使う相場が違います。バックテストは過去の値動きで、フォワードテストは決めたあとの、まだ見ていない期間の相場で成績を見ます。

バックテストの成績が良い組は、フォワードテストでも良いですか?

この測定では、そうなりませんでした。上位10%の250組は、年平均が+344 pipsから−192 pipsになり、黒字の割合も無作為に選んだ組の範囲に入りました。

フォワードテストは何か月見ればよいですか?

何か月と決める基準は測っていません。測ったのは、期間が短いと偏ることです。全期間で赤字の組が黒字に見えた割合は、1か月で46.0%、12か月で31.6%でした。

フォワードテストはデモ口座でもできますか?

できます。シストレ.COMの月次レポートでは、EAごとに専用デモ口座かリアル口座かが表示されます。有料版はデモ口座でも使えますが、無料版はデモ口座では使えません。

シストレ.COMのフォワードテストは、どこで見られますか?

月次レポートと、各EAの商品ページです。月次レポートは1か月ごとの全EAの記録、商品ページは期間を選んで見られます。EAが取引するたびに反映されます。

フォワードテストの成績は、これからも続きますか?

続くとは言えません。この測定でも、上位だった組の成績は次の期間で崩れました。シストレ.COMのページにも、過去の成績は将来の成果を保証するものではないと書かれています。

フォワードテストのまとめ

フォワードテストは、決めたあとの、まだ見ていない期間で成績を確かめる検証です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2,495組)で、2016〜2021年に上位10%だった250組を2022〜2026年9月で見ると、年あたりの損益は+344 pipsから−192 pipsになりました。黒字だった割合は28.0%で、無作為に選んだ組の範囲(24.8〜33.2%)に入っています。

見る期間が短いと、全期間で赤字の組でも黒字に見えます。1か月では46.0%、12か月でも31.6%でした。測ったのは、移動平均の交差の規則だけで、ほかの規則や時間足、スワップ・手数料・スリッページは測っていません。EAの成績を見るときは、取引数と期間を一緒に見てください。過去の成績は将来の成果を保証するものではありません。

⚠ リスクに関する注意事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。

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この記事を書いた人

シストレ.COM編集部は、FX自動売買(EA)とテクニカル分析を専門とするインターネットメディア「シストレ.COM」の編集チームです。200本以上のEAのフォワードテスト結果を公開し、実際の運用データに基づいた客観的な情報を発信しています。記事の執筆・監修はMetaTrader(MT4/MT5)での実運用経験を持つスタッフが担当。

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