
ケルトナーチャネルとは|EMAとATRでバンドを引く指標

ケルトナーチャネルの計算式
ケルトナーチャネルは、中心線と上下の線の3本で表します。標準の形は次のとおりです。
- 中心線は、終値の20期間EMAです。EMAは、新しい終値ほど重く、古い終値ほど指数的に軽くして平均した線です。
- 上の線は、中心線にATR(10期間)の2倍を足した線です。
- 下の線は、中心線からATR(10期間)の2倍を引いた線です。
ATRは、真の値幅の平均です。真の値幅は、「その足の高値−安値」「その足の高値−前の足の終値の絶対値」「その足の安値−前の足の終値の絶対値」の3つのうち最も大きい値です。この記事では、真の値幅の直近10本の単純平均をATR(10期間)として計算しました。
図は、USD/JPYの1時間足72本に、この標準の形を重ねたものです。青い線が中心線、橙の2本の線が上下の線で、終値が線の外で終わった足を薄い橙で塗っています。この3日間で、上の線より上で終わった足が7本、下の線より下で終わった足が1本でした。
最初の形とATRを使う形の違い

ケルトナーチャネルは、1960年にチェスター・ケルトナーが著書『How to Make Money in Commodities』で紹介したものが最初とされています。中心線は典型価格(高値・安値・終値の平均)の10日単純移動平均で、その上下に、高値−安値の10日単純移動平均を足し引きする形でした。いま広く使われているのは、1980年代にリンダ・ブラッドフォード・ラシュキーが紹介した、20日EMAの上下にATR(10日)の2倍を足し引きする形です(StockCharts ChartSchoolの解説による)。この記事で「標準」と書くのは、この後者の形です。
二つの形で、終値が線の外で終わった足の割合を測ると、最初の形(幅は1倍)は1時間足が35.1%、4時間足が38.6%、標準の形(ATRの2倍)は14.3%と14.9%でした。幅の倍数が違うので、この数字だけで優劣は決められません。係数を変えたときの割合は、次の節で測っています。
アドバイスケルトナーチャネルは、EMAの上下にATRの2倍を引いた線だよ。図の3日間では、上の線より上で終わった足が7本あったね。
ケルトナーチャネルの設定|期間と係数で外の割合が変わる

係数と外で終わる割合
中心線を20期間EMA、ATRを10期間に固定して、ATRにかける係数だけを1・1.5・2・2.5・3に変え、終値が線の外で終わった足の割合を数えました。外で終わった足は、終値が上の線より上か、下の線より下の足で、1本を1件と数えています。各通貨の最初の600本は、計算の助走として除きました。
1時間足は、係数1で46.3%、1.5で27.1%、2で14.3%、2.5で6.7%、3で2.7%でした。4時間足は、47.9%、28.6%、14.9%、6.7%、2.6%です。係数を大きくするほど、線は外へ広がり、外で終わる足は減ります。標準の係数2では、1時間足の外で終わる足が333,913本のうち47,788本でした。通貨ごとに見ると、係数2の1時間足は、USD/JPYが15.2%、EUR/USDが14.9%、GBP/USDが14.8%、EUR/JPYとAUD/JPYが13.3%で、13.3〜15.2%の幅があります。
EMAの期間と係数の組み合わせ

中心線のEMA期間も10・20・50に変えて、1時間足で同じように数えました。係数2で見ると、EMA10は3.3%、EMA20は14.3%、EMA50は39.7%です。ATRは10期間のままなので、中心線の期間を長くすると、中心線が価格から離れやすくなり、外で終わる足が増えます。EMA50で係数3にしても、外で終わる足は20.2%ありました。
この表から分かるのは、期間と係数で、線が価格をどれだけ囲むかが大きく変わることです。「外で終わる足」が全体の14%前後になる標準の設定と、数%しか出ないEMA10の係数2とでは、線の外に出る足の意味が違ってきます。ATRの考え方はATRの記事、EMAはEMAの記事にまとめています。
アドバイス標準の係数2だと、1時間足の14.3%が外で終わったよ。係数を3にすると2.7%まで減ったね。
ケルトナーチャネルの使い方|外に出たあとの値動きを測った結果

外に出た足の4本後・12本後
ケルトナーチャネルの順張りの使い方は、終値が上の線を超えたら上、下の線を割ったら下へ、動きが続くと見るものです。これが成り立つかを、標準の設定(20期間EMA・10期間ATRの2倍)で測りました。前の足の終値は線の内側にあり、その足の終値が上の線を超えた足を上抜け、下の線を割った足を下抜けとし、どちらも「外に出た足」と呼びます。外に出た足1本を1件と数え、4本後に測れる件数は、1時間足が16,013件、4時間足が4,136件でした。
上抜けの足は、4本後・12本後の終値が上がっていれば、下抜けの足は下がっていれば、同じ向きに進んだと数えました。割合は、1時間足の4本後が48.0%(7,691件)、12本後が49.7%(7,951件)、4時間足の4本後が49.5%(2,048件)、12本後が49.3%(2,038件)です。4つとも50%を下回っています。
比べる相手は、全ての足から、同じ数の足を選んだときの割合です。この選び方を4,000回くり返し、小さい方から5%と95%の位置を、ランダムの範囲としました。5通貨は、件数ごとに合計して計算しています。範囲は、1時間足の4本後が49.3〜50.6%、12本後が49.4〜50.7%、4時間足の4本後が48.9〜51.5%、12本後が49.0〜51.6%で、どれも50%を含みます。実際の割合が範囲に入ったのは3つで、1時間足の4本後(48.0%)だけが範囲の下でした。差は1.3ポイントです。
ただし、隣り合う足は互いに独立ではなく、この範囲は足が1本ずつ独立に選ばれると仮定した計算です。実際の範囲は、これより広がると考えられます。外に出たあと、同じ向きに進みやすいという偏りは、測った範囲では見られませんでした。
中心線の傾きで分けた結果

順張りでは、中心線がすでに外に出た向きへ傾いているときだけ使う、という考え方もあります。そこで、外に出た足を、中心線の傾きで2つに分けました。傾きは、その足の中心線と5本前の中心線の差の向きです。外に出た向きと同じなら「同じ向き」、逆なら「逆向き」とし、4本後の割合を数えました。
1時間足は、同じ向きが15,893件で48.0%(範囲48.7〜50.0%)、逆向きが120件で47.5%(範囲42.5〜57.5%)で、合計は全体の16,013件です。4時間足は、同じ向きが4,090件で49.6%(範囲48.4〜50.9%)、逆向きが46件で39.1%(範囲37.0〜63.0%)で、合計は4,136件です。外に出る足のほとんどは、中心線が同じ向きに傾いているときに起きます。1時間足の同じ向きは、48.0%が範囲の下でしたが、全体と同じ結果です。逆向きは件数が少なく、範囲が広いので、傾きで割合が違うとは言えませんでした。
外で終わった次の足
外で終わった足の、すぐ次の足がどうなるかも数えました。1時間足では、外で終わった足(データの最後の1本を除く)47,787本のうち、次の足も同じ側の外で終わったのは31,773本で66.5%です。4時間足は、12,517本のうち8,381本で67.0%でした。全ての足が外で終わる割合は、1時間足が14.3%、4時間足が14.9%なので、外で終わった足は、続けて外で終わることが多い、と言えます。ただし、これは「外にいる状態が続く」ということで、その後に価格が同じ向きへ進むかどうかは、上で測った4本後・12本後の割合がランダムの範囲と大きく変わらなかったとおりです。
測っていないこと
この記事で測ったのは、外で終わる足の割合と、外に出たあとの価格の向きです。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率は測っていません。標準以外の設定でのブレイクのあとの向きや、通貨ペアごとの違い、中心線への戻りを狙う逆張りも測っていません。測った範囲では、標準の設定で線の外に出ても、4本後・12本後に同じ向きへ進む割合は、ランダムの範囲と大きく変わりませんでした。
アドバイス外に出た足の4本後・12本後は、48.0〜49.7%だったよ。ランダムの範囲は50%を含んでいて、範囲の下に出たのは1つだけだったね。
ケルトナーチャネルとボリンジャーバンドの違い|バンド幅の変わり方

作り方と外で終わる割合の違い
ボリンジャーバンドは、終値の20期間単純移動平均を中心線にして、終値の標準偏差の2倍を足し引きした線です(標準偏差は、20本の終値の母集団標準偏差で計算しました)。ケルトナーチャネルは、幅の元が標準偏差ではなくATRで、中心線も単純移動平均ではなくEMAです。同じ条件で、終値が線の外で終わった足の割合を測ると、ボリンジャーバンド(20期間・2倍)は1時間足が13.2%、4時間足が12.3%で、標準のケルトナーチャネルの14.3%と14.9%に近い値でした。ボリンジャーバンドの使い方はボリンジャーバンドの記事にまとめています。
大きな足のあとの幅の変わり方
「ボリンジャーバンドは急に広がるが、ケルトナーチャネルは幅が安定する」と言われることがあります。これを、大きな足の直後の幅で比べました。大きな足は、真の値幅が、直前までのATR(10期間)の3倍以上の足です。幅は、ケルトナーチャネルが10期間ATRの2倍、ボリンジャーバンドが20期間の標準偏差の2倍で、その足の幅が前の足の幅から何%変わったかを数えました。1時間足の大きな足は6,765本、4時間足は1,485本です。
変化率の中央値は、1時間足がケルトナーチャネルで+28.7%(25〜75%の範囲は+24.1〜+37.0%)、ボリンジャーバンドで+10.3%(−1.0〜+35.2%)でした。4時間足は、ケルトナーチャネルが+28.9%(+24.8〜+35.7%)、ボリンジャーバンドが+11.5%(−0.1〜+30.1%)です。ケルトナーチャネルは、大きな足が入ると、幅がほとんどの場合同じくらい広がりました。幅が狭まったのは、1時間足で0.04%、4時間足で0%です。ボリンジャーバンドは、広がり方の差が大きく、1時間足の28.5%、4時間足の25.7%では、大きな足のあとに幅が狭まりました。
つまり、大きな足の直後には、ケルトナーチャネルの幅の方が、そろって広がります。ATRは直近10本の真の値幅の平均なので、直前までのATRの3倍以上の値幅が入れば、たいてい上がります。標準偏差は20本の終値のばらつきで決まり、大きな足でも終値があまり動かなければ、上がらないことがあります。全ての足で見た1本ごとの幅の変化は、中央値で、1時間足がケルトナーチャネル5.0%・ボリンジャーバンド4.5%、4時間足が4.9%と4.4%で、大きな差はありませんでした。差が出るのは、大きな足の直後です。
アドバイス大きな足のあとは、ケルトナーの幅が約29%広がったよ。ボリンジャーは中央値が約10%で、狭まることもあったね。
ケルトナーチャネルのMT4ダウンロードと入れ方

MT4の入れ方
- ダウンロードしたZIPを展開し、
KeltnerChannel_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、KeltnerChannel_systreをチャートに出します。
ダウンロードと配布ファイルの中身
ZIPに入っているのは、MT4用の KeltnerChannel_systre.ex4 の1ファイルです。MT5用のファイルは入っていません。ex4はMT4専用なので、MT5には入れられません。下の画面は、MT4のUSD/JPY1時間足に、このインジケーターを表示した例です。

無料配布のサンプルです。商用利用・再配布は禁止とさせていただきます。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4のMQL4の中のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
要点
・ケルトナーチャネルは、終値のEMAを中心線にして、ATRの倍数を足し引きした上下の線で値動きを囲む指標
・標準の設定(20期間EMA・10期間ATRの2倍)で、終値が線の外で終わる足は、1時間足が14.3%、4時間足が14.9%(5通貨の1時間足333,913本・4時間足84,087本)
・係数を1から3に変えると、1時間足の外で終わる割合は46.3%から2.7%に減る。EMAの期間を長くすると、外で終わる割合は増える
・外に出た足の4本後・12本後に同じ向きへ進んだ割合は、48.0〜49.7%で、4つとも50%を下回った。ランダムの範囲に入ったのは3つ
・大きな足の直後は、幅の中央値がケルトナーで約29%、ボリンジャーで約10〜12%広がる
・測っていないのは、売買の損益、勝率、標準以外の設定でのブレイクの結果
ケルトナーチャネルのよくある質問
ケルトナーチャネルとは何ですか?
EMAを中心に、ATRの倍数を足し引きして引く上下の線です。標準は、終値の20期間EMAと、10期間ATRの2倍です。
ケルトナーチャネルの設定はどうすればよいですか?
よい設定は測っていません。標準は20期間EMA・10期間ATRの2倍で、この設定で終値が外で終わる足は、1時間足の14.3%でした。係数を3にすると2.7%、1にすると46.3%です。
ケルトナーチャネルとボリンジャーバンドの違いは何ですか?
幅の元が違います。ケルトナーチャネルはATR、ボリンジャーバンドは標準偏差です。大きな足の直後は、幅の中央値がケルトナーで約29%、ボリンジャーで約10〜12%広がり、ボリンジャーは幅が狭まることもありました。
ケルトナーチャネルで勝てますか?
売買の損益は測っていません。外に出た足の4本後・12本後に同じ向きへ進んだ割合は48.0〜49.7%で、4つとも50%を下回りました。
ケルトナーチャネルはMT4・MT5で使えますか?
配布しているのはMT4用だけです。ZIPに入っているのはex4の1ファイルで、MT5用のファイルはありません。
ケルトナーチャネルのまとめ
ケルトナーチャネルは、終値のEMAを中心線にして、ATRの倍数を足し引きした上下の線を引く指標です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足333,913本・4時間足84,087本(2016年1月〜2026年10月)では、標準の設定で、終値が線の外で終わる足は、1時間足が14.3%、4時間足が14.9%でした。係数や中心線の期間を変えると、この割合は大きく変わります。
線の外に出た足の4本後・12本後に同じ向きへ進んだ割合は、48.0〜49.7%で、4つとも50%を下回りました。ランダムの範囲(4つの範囲を合わせて48.9〜51.6%)に入らなかったのは、1時間足の4本後(48.0%、範囲49.3〜50.6%)だけで、差は1.3ポイントです。測っていない売買の損益や標準以外の設定は、自分のデータで確かめてから使ってください。ボリンジャーバンドとの違いは大きな足の直後の幅に出て、ケルトナーの方がそろって広がりました。
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