スキャルピングEAの選び方|スプレッド・時間帯を5通貨ペア10年で実測

スキャルピングEAの選び方と勝てるロジックを解説するアイキャッチ

スキャルピングEA 選び方の軸は、ロジックの型、スプレッド、動かす時間帯の3つです。この記事では、Dukascopyのティックから作った足で、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月を測りました。スプレッド(1分足ごとの平均の中央値)は、EUR/USDの0.30pipsからGBP/USDの0.87pipsまで、通貨ペアで約3倍違いました。利確幅が3pipsなら、GBP/USDではスプレッドだけで利確幅の29.0%です。日本時間6時台はスプレッドが全時間の中央値の3倍以上に広がりました。購入前に確かめる順番を、実測の数字と一緒に整理します。

目次

スキャルピングEA 選び方の基本|ロジックの3つの型と購入前に見る数字

逆張り・順張り・ナンピン系の3つの型について、入る条件と購入前に見る数字を並べた表
ロジックの3つの型と、購入前に見る数字。

スキャルピングEAとは短い利益を何度も狙うEA

EA(Expert Advisor)は、MT4やMT5の上で、決めた条件にしたがって自動で売買するプログラムです。スキャルピングEAは、数pipsから十数pipsの小さな利益を、数分から数十分の保有で狙い、取引回数が多くなる設計のものを指します。取引ごとにスプレッドを払うため、回数が多いほどコストの影響を受けます。人が画面を見て行う裁量のスキャルピングは、1分足スキャルピングの記事で扱っています。

逆張り・順張り・ナンピン系で見る数字が違う

入る条件で分けると、逆張り、順張り、ナンピン系の3つの型になります。逆張りは、RSIなどで買われすぎ・売られすぎを見て、反対の向きに入る型です。順張りは、高値・安値を抜けた向きに入る型です。ナンピン系は、含み損の向きにロットを足して平均の取得価格を下げ、戻りで決済する型です。

どの型でも、スプレッドと取引回数は共通です。そのうえで、購入前に見る数字は型で変わります。逆張りは、最大の連敗と損切り幅です。順張りは、損切りの回数と1回の損失です。ナンピン系は、最大ロットと、最大までロットが膨らんだときの必要証拠金です。型の名前だけでは成績の良し悪しは決まらないため、この記事では型の優劣を比べていません。

EAの中身(ロジックや設定値)が分かる場合は、どの型かを最初に確かめます。分からない場合は、販売ページの取引履歴から、1回の利益と損失の大きさ、最大の連敗、最大ロットを読み取ります。外部の販売者のEAについて、この記事は評価や比較をしていません。

アドバイス

型の名前より、購入前に確かめる数字が大事なんだね。次の節からは、型に関係なく効くスプレッドを実測で見ていこう。

スキャルピングEA 選び方①スプレッド|利確幅に占める割合を測定

USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYのスプレッドの中央値と、利確幅3・5・10・20pipsに対する割合を並べた表
スプレッドが利確幅に占める割合。出典: Dukascopyのティックから作った足(5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月)。

スプレッドは通貨ペアで約3倍違う

Dukascopyのティックから作った1分足の、足ごとの平均スプレッドを集め、通貨ペアごとに中央値を出しました。1分足の本数は、USD/JPYが4,011,104本、EUR/USDが4,033,273本、GBP/USDが4,034,026本、EUR/JPYが4,036,460本、AUD/JPYが4,037,695本です。中央値は、EUR/USDが0.30pips、USD/JPYが0.39pips、AUD/JPYが0.72pips、EUR/JPYが0.74pips、GBP/USDが0.87pipsでした。

スプレッドの90%点(その値以下に9割の足が入る値)は、USD/JPYが0.83pips、EUR/USDが0.52pips、GBP/USDが1.42pips、EUR/JPYが1.46pips、AUD/JPYが1.29pipsです。中央値より広がる時間帯がある点は、次の節で扱います。この数字は取引の約定値ではなく、価格データ上のスプレッドです。実際の口座のスプレッドは、取引会社と口座の種類で異なります。

利確幅が小さいほどスプレッドの割合は大きい

スプレッドを利確幅で割ると、1回の取引でコストが利確幅の何%にあたるかが分かります。利確幅5pipsでは、EUR/USDが6.0%、USD/JPYが7.8%、GBP/USDが17.4%です。利確幅が3pipsに縮むと、GBP/USDが29.0%、EUR/JPYが24.8%、AUD/JPYが24.0%と、4分の1前後になります。利確幅が20pipsなら、5通貨とも1.5〜4.3%です。

損益がちょうど0になる勝率は、損切り幅と利確幅が同じなら「(損切り幅+スプレッド)÷(利確幅+損切り幅)」です。利確幅も損切り幅も5pipsの場合、中央値のスプレッドでの必要な勝率は、EUR/USDが53.0%、USD/JPYが53.9%、AUD/JPYが57.2%、EUR/JPYが57.4%、GBP/USDが58.7%です。利確幅3pipsなら、USD/JPYが56.5%、GBP/USDが64.5%に上がります。必要な勝率の考え方はリスクリワードレシオの記事で確かめられます。

取引回数でも差が出ます。1日10回を20営業日、合計200回取引すると、中央値のスプレッドで払うコストは、EUR/USDが60pips、USD/JPYが78pips、GBP/USDが174pipsです。スプレッドそのものの見方はスプレッドの記事にまとめています。

アドバイス

利確が小さいEAほど、スプレッドが重くなるよ。購入前に、そのEAの利確幅と、対象の通貨ペアのスプレッドを割り算してみよう。

スキャルピングEA 選び方②時間帯|日本時間6時台はスプレッドが3倍以上に広がる

日本時間の0時から23時までの時間帯別に、5通貨ペアのスプレッドが利確5pipsに占める割合を並べた折れ線グラフ
日本時間の時間帯別に見た、スプレッドが利確5pipsに占める割合。出典: Dukascopyのティックから作った足(5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月)。

日本時間6時台に5通貨ペアとも急に広がる

同じ足を日本時間の時間帯に分けて、スプレッドの中央値を比べました(日本時間は、協定世界時+9時間で固定し、夏時間・冬時間のずれは補正していません)。6時台の中央値は、USD/JPYが1.36pips、EUR/USDが1.00pips、GBP/USDが2.83pips、EUR/JPYが2.45pips、AUD/JPYが2.67pipsです。全時間の中央値と比べると、USD/JPYが約3.5倍、EUR/USDが約3.3倍、GBP/USDが約3.3倍、AUD/JPYが約3.7倍でした。

グラフは、そのスプレッドを利確5pipsで割った割合です。6時台はGBP/USDで56.6%、AUD/JPYで53.4%、EUR/JPYで48.9%、USD/JPYで27.1%、EUR/USDで19.9%になります。利確幅も損切り幅も5pipsなら、6時台に必要な勝率は、USD/JPYで63.6%、GBP/USDで78.3%に上がります。7時台も、中央値が全時間より高めです(USD/JPY 0.86pips、GBP/USD 1.66pips)。

スクロールできます
通貨ペア全時間の中央値日本時間6時台必要な勝率(全時間)必要な勝率(6時台)
USD/JPY0.39pips1.36pips53.9%63.6%
EUR/USD0.30pips1.00pips53.0%60.0%
GBP/USD0.87pips2.83pips58.7%78.3%
EUR/JPY0.74pips2.45pips57.4%74.5%
AUD/JPY0.72pips2.67pips57.2%76.7%

表の必要な勝率は、利確幅5pips・損切り幅5pipsで、スプレッドを上の表の値としたときの損益分岐の勝率です。スプレッドは、Dukascopyのティックから作った1分足(5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月)の、足ごとの平均の中央値です。

曜日の差は小さい

曜日別の中央値は、月曜から金曜までほぼ平らでした。USD/JPYは、月曜から金曜が0.40・0.39・0.38・0.39・0.40pipsです。時間帯の差に比べると、曜日の差は小さい結果でした。EAを止める時間を決めるときは、曜日より時間帯を先に見ます。

スキャルピングEAの販売ページには、動かす時間帯や、スプレッドが広がったときに入らない設定があるかを確認します。日本時間の6時台に注文が出る設計だと、取引ごとのコストが利確幅の2割を超える通貨ペアがあります。通貨ペアごとの動き方はスキャルピングの解説記事も参考になります。

アドバイス

6時台は5通貨とも一気に広がったね。時間帯フィルターの有無は、買う前に聞いておきたいところだよ。

スキャルピングEA 選び方③届きやすさ|利確幅に届く割合と時間帯別の差

USD/JPYで、利確幅3・5・10・20pipsに、入ってから5分以内と60分以内に届いた割合を並べた棒グラフ
利確幅別に、5分以内と60分以内に届いた割合(USD/JPY)。出典: Dukascopyのティックから作った足(5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月)。

利確幅が大きいほど届く割合は急に下がる

利確幅が現実的に届く大きさかを、損切りを置かずに測りました。各日のUTCの分が5の倍数の分の最初のティックで、買いと売りの両方向に入り、スプレッドを払ったあとに利確幅へ届いたかを、60分先まで追います。1件は、入った時刻と向きの1組です。USD/JPYの件数は1,589,938件で、5通貨ペア合計では約800万件です。ティックが10分を超えて欠けている区間を含む入りは除きました。

USD/JPYで利確幅に届いた割合は、3pipsが5分以内に23.0%・60分以内に66.7%、5pipsが11.1%・52.2%、10pipsが2.6%・29.0%、20pipsが0.4%・10.5%です。3pipsに届くまでの中央値は22.0分でした。5pipsは、60分以内に届いたのが半分を少し超える程度で、中央値は53.1分です。

通貨ペアでも差がありました。60分以内に3pipsへ届いた割合は、EUR/JPYが69.8%、USD/JPYが66.7%、AUD/JPYが65.4%、GBP/USDが65.2%、EUR/USDが61.0%です。10pipsでは、EUR/JPYが33.1%、GBP/USDが29.7%、USD/JPYが29.0%、AUD/JPYが26.5%、EUR/USDが21.1%でした。この数字は、損切りが先に当たる取引を含まない到達の割合で、損益ではありません。

日本時間の6時台は届きにくい

日本時間の0時から23時までの時間帯別に、入ってから5分以内に利確3pipsへ届いた割合を5通貨ペアで並べた折れ線グラフ
時間帯別に、5分以内に利確3pipsへ届いた割合。出典: Dukascopyのティックから作った足(5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月)。

入る時間帯で、届く割合は大きく変わります。5分以内に3pipsへ届いた割合は、USD/JPYで6時台が5%、23時台が40%でした。EUR/USDでは、6時台が3%、13時台が4%、23時台が38%です。GBP/USDは、22時台が41%、23時台が45%と高めでした。6時台は、スプレッドが広がるうえに、届く割合も低い時間帯です。

スプレッドが広がる6時台に、届きにくさも重なります。時間帯別の動きを知らずに、全時間を平均した成績だけで選ぶと、実際に取引する時間帯とずれることがあります。販売ページに取引履歴がある場合は、時間帯別の損益が見られるかを確認します。

アドバイス

届く割合は、時間帯でここまで違うんだね。EAの動く時間帯と、この図を見比べてみよう。

スキャルピングEA 選び方④検証|固定スプレッドと実測のスプレッドの差

固定スプレッド0.2pipsと、5通貨ペアの実測の全時間の中央値、日本時間6時台の中央値を並べた横棒グラフ
固定スプレッドと、実測のスプレッドの比較。出典: Dukascopyのティックから作った足(5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月)。

検証のスプレッドが実際より小さいと成績が上振れる

バックテストでスプレッドを小さく固定すると、実際より取引コストが低く計算されます。たとえば固定0.2pipsは、実測の全時間の中央値と比べて、EUR/USDで約3分の2、USD/JPYで約半分、GBP/USDでは約4分の1です。日本時間6時台のスプレッドと比べると、USD/JPYで約7分の1、GBP/USDで約14分の1になります。

取引回数が多いスキャルピングEAでは、この差が1回ごとに積み上がります。1回の差が0.5pipsなら、200回で100pipsです。購入前に、販売ページの検証が、どのスプレッドの前提で行われているかを確認します。固定値の場合は、自分の口座の平均スプレッドと、広がる時間帯の値で計算し直します。

MT4・MT5のテストモードを確認する

MT5のストラテジーテスターには、すべてのティック、実際のティックに基づいたすべてのティック、1分足OHLC、始値のみ、数学的計算の5つのモードがあります(MetaTrader 5 ヘルプのテスト)。スキャルピングは足の途中で損益が決まるため、足の始値だけを見るモードは向きません。どのモードで検証されたかを、販売ページで確かめます。

自分の手元で確かめる場合は、MT4・MT5の検証結果のHTMLを、バックテスト分析ツールに読み込ませると、プロフィットファクターや最大ドローダウンを計算できます。取引回数が少ない検証では、数字が偶然ぶれやすい点にも注意します。

購入前の4つの確認と、買ったあとの運用

この記事の測定から、購入前に確認する項目は次の4つです。

  1. 利確幅を、対象の通貨ペアのスプレッドで割った割合(5pips利確なら、GBP/USDは約17%)
  2. 動かす時間帯と、日本時間6時台・7時台に注文が出るか
  3. 検証が固定スプレッドか、どのテストモードか
  4. 最大の連敗、最大ロット、必要証拠金

買ったあとは、いきなり大きなロットで動かさず、最小単位かデモ口座で動かして、実際のスプレッドと約定の差を記録します。1回の損失を資金の2%以内に決める資金管理は、ロット計算ツールで数字を出して確認できます。ランキングで実績を見る場合も、検証の前提をEAランキングのページで確かめてから判断します。

アドバイス

検証の前提を聞いておけば、買ってから「思ったより成績が出ない」を減らせるよ。まず4つの確認を順に見ていこう。

要点
・スプレッドの中央値は、EUR/USDが0.30pips、GBP/USDが0.87pipsで約3倍の差
・利確幅3pipsでは、スプレッドが利確幅の24.0〜29.0%を占める通貨ペアがある(GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPY)
・日本時間6時台は5通貨ペアとも、スプレッドが全時間の3倍以上に広がる
・USD/JPYで3pipsに60分以内に届いた割合は66.7%、10pipsは29.0%(損切りなし)
・購入前は、利確幅÷スプレッド、動かす時間帯、検証の前提、最大ロットの4点を確認する

スキャルピングEA 選び方のよくある質問

スプレッドは利確幅の何%までなら許せますか?

決まった基準はありません。この記事の測定では、利確幅5pipsでスプレッドの割合はEUR/USDが6.0%、GBP/USDが17.4%、利確幅3pipsでは9.9〜29.0%でした。自分の口座のスプレッドで同じ割り算をして、必要な勝率を出して判断します。

スキャルピングEAのバックテストで何を確認しますか?

スプレッドの前提、テストモード、取引回数の3つです。固定スプレッドが小さいと成績が良く見えます。1分足OHLCや始値のみのモードは、足の途中の動きを再現しません。取引回数が少ないと偶然のぶれも大きくなります。

EAの稼働時間は、いつを避けるべきですか?

この測定では、日本時間6時台のスプレッドが全時間の3倍以上に広がりました。7時台も高めでした。販売ページに時間帯フィルターがあるか、止める時間を自分で決められるかを確認します。夏時間・冬時間でずれる点にも注意が必要です。

ナンピン系のスキャルピングEAは何を見ればよいですか?

最大ロットと、最大までロットが膨らんだときの必要証拠金です。取引履歴の利益が右肩上がりでも、1回の大きな逆行で損失が膨らむ設計かどうかは、最大の含み損の大きさで確かめます。

取引回数が多いと、成績はどう変わりますか?

スプレッドの費用が回数に比例して増えます。中央値のスプレッドで200回取引した費用は、EUR/USDが60pips、USD/JPYが78pips、GBP/USDが174pipsです。1回の利益が小さいEAほど、この費用の影響は大きくなります。

スキャルピングEA 選び方のまとめ

スキャルピングEA 選び方は、ロジックの型を確かめたうえで、スプレッド、時間帯、検証の前提を数字で見ます。Dukascopyのティックから作った足の5通貨ペア、2016年1月〜2026年10月では、スプレッドの中央値が0.30〜0.87pipsと約3倍違い、日本時間6時台は全時間の3倍以上に広がりました。利確幅3pipsでは、スプレッドが利確幅の1〜3割近くを占める通貨ペアがありました。

まず、気になるEAの利確幅、対象の通貨ペア、動かす時間帯を調べ、スプレッドで割ってください。そのうえで、検証の前提と最大ロットを確かめ、小さな単位で動かしてから増やします。この記事の測定は、価格データ上のスプレッドと到達の割合で、特定のEAの成績を示すものではありません。

この記事はFXの情報提供で、特定の取引や商品をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。

⚠ リスクに関する注意事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。

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