
1分足スキャルピングとは|1分足1本の値幅とスプレッド

1分足の意味と1日の本数
1分足は、1分ごとに、始値・高値・安値・終値の4つの値を1本のローソク足にしたものです。FXは平日ほぼ24時間動くため、1日に最大1,440本できます。1時間は60本、4時間は240本にあたります。1本の中の値動きは、さらに細かいティック(価格の更新)の集まりです。
1本ごとの動きが小さいぶん、買う価格と売る価格の差であるスプレッドが、1本の値幅に対して大きな割合を占めます。この記事では、その大きさを実際の数字で測りました。
実例|USD/JPYの1時間分
図は、USD/JPYの日本時間2026年10月14日22時から1時間分の1分足60本です。この1時間の高値と安値の差は11.8pipsで、1分足1本の値幅の中央値は2.1pipsでした。同じ時間のスプレッドの中央値は0.3pipsです。1本の動きは数pipsで、上と下に何度も入れ替わっています。
スキャルピングと、この記事の測定条件
スキャルピングは、数秒〜数分で決済して、小さな値幅を何度も取る取引です。1分足スキャルピングは、その判断に1分足を使うやり方です。取引の回数が多くなるため、1回ごとに払うスプレッドが積み重なります。FX会社によっては、スキャルピングを禁止したり、取引の間隔に制限を設けたりしています。口座を開く前に、会社の約款・取引ルールで確認してください。
この記事の測定は、Dukascopy のティックから作った足(bid)です。期間は2016年1月〜2026年10月、6通貨ペアで、1通貨ペアあたり400万〜404万本の1分足(ティックがあった分だけ)を使いました。スプレッドは、ask−bidです。売買の損益は、利確・損切りへの届き方をティック単位で追って測っています(4節と5節)。自社の運用成績ではなく、Dukascopy のデータで測った数字です。
アドバイス1分足は1日に最大1,440本だよ。USD/JPYは、1本の値幅の中央値が1.5pipsで、スプレッドは0.39pipsだったんだ。
1分足スキャルピングの通貨ペアと業者選び|スプレッドと値幅の倍率

通貨ペアごとのスプレッドと値幅
1分足1本の値幅の中央値は、EUR/USDが1.2pips、USD/JPYが1.5pips、GBP/USDとAUD/JPYが1.6pips、EUR/JPYが2.0pips、GBP/JPYが2.7pipsでした。スプレッドの中央値は、EUR/USDが0.30pipsと最も狭く、USD/JPYが0.39pips、AUD/JPYが0.72pips、EUR/JPYが0.74pips、GBP/USDが0.87pips、GBP/JPYが1.71pipsと続きます。
値幅の中央値をスプレッドの中央値で割った倍率は、EUR/USDが4.0倍、USD/JPYが3.8倍、EUR/JPYが2.7倍、AUD/JPYが2.2倍、GBP/USDが1.8倍、GBP/JPYが1.6倍です。値幅がスプレッド以下の足の割合は、EUR/USDが12%、USD/JPYが11%で、GBP/USDが27%、GBP/JPYが29%でした。どの通貨ペアでも、1分足1本の値幅はスプレッドの数倍にとどまります。
このスプレッドは Dukascopy のものです。FX会社のスプレッドは、会社や口座の種類、時間帯で違います。実際に使う口座の数字に置き換えて考えてください。
業者選びで確かめること
1分足スキャルピングの業者選びで確かめる点は3つあります。1つめはスプレッドで、1回の売買で払うコストです。固定か変動か、広がる時間帯があるかを見ます。2つめは約定で、注文を出してから成立するまでの遅れや、注文と違う価格で成立するスリッページです。ティックの記録からは測れないため、この記事では測っていません。会社の公開している実績や、少額で試した自分の記録で確かめます。3つめはスキャルピングの扱いで、禁止や取引間隔の制限がないかを、約款・取引ルールで確認します。
会社ごとの取引条件は、FX会社の一覧ページにまとめています。
アドバイススプレッドの中央値は、EUR/USDが0.30pips、GBP/JPYが1.71pipsだったよ。通貨ペアで5倍以上の差があるんだ。
1分足スキャルピングの時間帯|日本時間で値幅とスプレッドが変わる

USD/JPYの時刻別の値幅とスプレッド
USD/JPYの1分足を、日本時間の時刻ごとに集めると、値幅の中央値は23時台が2.5pips、22時台が2.3pips、0時台が2.1pips、9時台が2.0pipsと大きく、6時台は0.7pips、7時台は0.8pipsと小さくなりました。
スプレッドの中央値は、6時台が1.36pips、7時台が0.86pipsで、ほかの22時間は0.32〜0.51pipsでした。6時台は、値幅の中央値(0.7pips)がスプレッドの中央値の半分ほどで、倍率は0.5倍です。23時台は7.6倍でした。朝6時台はスプレッドが開く点を、売買の時間を決めるときの材料にできます。
4つの時間帯と通貨ペアの比較

日本時間を9〜15時、16〜20時、21時〜翌2時、3〜8時の4つに分けて、6通貨ペアを比べました。3〜8時は、6通貨ペアすべてで値幅の中央値が4つの中で最も小さく、スプレッドに対する倍率も最も低くなっています(USD/JPYは1.0pipsで1.9倍、GBP/USDは1.0pipsで1.0倍、GBP/JPYは1.8pipsで0.9倍)。21時〜翌2時は、6通貨ペアすべてで値幅の中央値も倍率も最も大きくなりました(USD/JPYは1.9pipsで5.6倍、EUR/USDは1.8pipsで6.8倍)。
値幅がスプレッド以下の足の割合は、USD/JPYの3〜8時が32%で、ほかの3つの時間帯は3〜7%でした。GBP/JPYの3〜8時は60%です。
ここでの区切りは、日本時間の時刻で決めた目安です。夏時間と冬時間でロンドンやニューヨークの取引の始まる時刻が1時間動くため、年の前半と後半で値幅の山の位置はずれます。市場ごとの取引時間は、ロンドン市場とニューヨーク市場の記事にまとめています。
アドバイス朝6時台は、値幅が0.7pipsなのに、スプレッドは1.36pipsまで開くよ。時間帯で数字がこれだけ違うんだね。
1分足スキャルピングの利確と損切り|先に届く割合と決着までの時間

測り方
利確と損切りを置いて入ったとき、どちらに先に届くかを、ティック単位で追いました。入るのは、UTCの毎時0分・5分・10分…の最初のティックで、買いと売りの両方向を数えています。買いはaskで入ってbidで決済、売りはbidで入ってaskで決済すると見なし、入った価格から利確か損切りの幅に先に届いたほうを数えました。60分以内にどちらにも届かなければ、60分後の価格で決済します。ティックが10分以上途切れる区間(週末など)にかかる入りは除きました。USD/JPYは、79万4,969回の入りを買いと売りの両方向で数えた1,589,938件です。
利確と損切りに先に届く割合
利確と損切りを同じ幅にしても、利確に先に届く割合は50%に届きませんでした。USD/JPYは、1pips同士で利確30%・損切り70%、2pips同士で38%・61%、3pips同士で40%・57%(どちらにも届かず3%)、5pips同士で38%・49%(届かず13%)です。買いはaskで入り、決済側のbidはスプレッド分だけ下から始まるため、入った直後から損切り側に近い位置にいます。
利確を3pips、損切りを10pipsにすると、利確に先に届いた割合は62%、損切りは20%、届かずが18%でした。届く割合が高くても、利確と損切りの幅が違うため、1回あたりの損益は別に見る必要があります(次の節)。GBP/JPYは、スプレッドの中央値が1.7pipsあるため、損切り1pipsには入った直後に届き、利確1pipsに先に届いた割合は1%でした。
決着までの時間

決着までの時間の中央値は、USD/JPYで利確・損切り1pipsが0.4分(約22秒)、2pipsが1.8分、3pipsが4.2分、5pipsが9.8分でした。1分以内に決着した割合は、1pipsが71%、2pipsが36%、3pipsが19%、5pipsが7%です。5分以内は95%・73%・53%・27%、15分以内は99%・92%・80%・55%でした。60分たっても決着しなかったのは、3pipsで3%、5pipsで13%です。
1分足を1本ずつ見て判断する場合、1pipsの幅でも決着まで中央値で20秒以上かかり、5pipsなら10分近く、つまり1分足10本ほどの間、持つことになります。
アドバイス利確3pips・損切り3pipsで入ると、USD/JPYは利確に先に届いたのが40%、損切りが57%だったよ。
1分足スキャルピングの期待値|無作為に入るとスプレッド分だけ負ける

無作為に入ると平均はマイナス
前の節と同じ入り方(UTCの毎時0・5・10…分の最初のティックで、買いと売りの両方向)で、1回あたりの平均損益を6通貨ペアで測りました。入る方向を選んでいないため、手法の良し悪しは入らず、取引のコストだけが現れます。結果は、6通貨ペア・すべての幅の組み合わせで、平均がマイナスでした。
利確と損切りを1pips同士にした場合の平均は、EUR/USDが−0.31pips、USD/JPYが−0.39pips、AUD/JPYが−0.67pips、EUR/JPYが−0.69pips、GBP/USDが−0.76pips、GBP/JPYが−0.98pipsでした。幅を広げると、赤字はやや大きくなります。USD/JPYは、1pips同士が−0.39pips、3pips同士が−0.50pips、5pips同士が−0.56pipsです。5pips同士の平均は、EUR/USDの−0.41pipsから、GBP/JPYの−1.93pipsまで開きました。
日ごとにまとめて取り直した5〜95%の範囲は、平均の前後0.02pips以内で、プラスになる組み合わせはありませんでした。無作為に入って赤字になるのは、スプレッドを払うためです。手法でこの赤字を上回るには、入った後の値動きに偏りが必要です。次の節で、RSIの逆張りに偏りがあるかを測ります。
アドバイス無作為に入ったときの平均は、USD/JPYの3pips同士で−0.50pipsだよ。6通貨ペアとも、全部マイナスだったんだ。
1分足スキャルピングとRSI|逆張りをスプレッド込みで測る

RSIの逆張りの測り方
RSIは、一定期間の上昇幅と下落幅から、買われすぎ・売られすぎを0〜100で表す指標です。1分足でよく使われる逆張りとして、RSI(14、Wilder)が30以下になった足の終値で買い、70以上になった足の終値で売り、5分後の終値で決済したと見なして測りました。買いはask、売りはbidで入るため、スプレッドの中央値を引いています。直前14本と直後5本の1分足がすべて続いている足だけを数え、1件=条件を満たした1分足1本です。RSIが30以下の状態が続くと、連続する足が数えられ、件数は重なります。
スプレッドを引くと平均はマイナス
USD/JPYで、RSIが30以下になった足の5分後は、上がっていた割合が54.7%で、全体の49.5%より高くなりました。70以上になった足は、下がっていた割合が53.3%で、全体の48.2%より高くなっています。向きは、逆張りの側に傾いていました。ただし、平均の動きは、30以下で買った場合が+0.13pips、70以上で売った場合が+0.12pipsと小さく、スプレッドの中央値(0.40pips)を引くと、−0.44pipsと−0.38pipsになりました。
6通貨ペアすべてで、買いも売りも、スプレッドを引いた後の平均はマイナスでした。マイナスの幅は、EUR/USDの70以上で売った場合の−0.19pipsから、GBP/JPYの30以下で買った場合の−1.78pipsまでです。日ごとにまとめて取り直した5〜95%の範囲も、すべてマイナスの側に収まりました。RSIが極端な値になった後に逆へ戻る傾向は見えましたが、スプレッドを超える大きさではありませんでした。
測ったのは、RSI(14)の逆張りを5分後に決済する1つのルールだけです。RSIの設定を変えた場合や、MACD・移動平均線との組み合わせは測っていません。RSIの使い方はRSIの記事、MACDの使い方はMACDの記事、移動平均線の使い方は移動平均線の記事にあります。
アドバイスUSD/JPYでRSIが30以下になった5分後は、54.7%で上がっていたよ。でもスプレッド0.40pipsを引くと、平均は−0.44pipsだったんだ。
要点
・1分足は1日に最大1,440本。USD/JPYの1本の値幅の中央値は1.5pips、スプレッドは0.39pipsで、3.8倍
・6通貨ペアで、値幅がスプレッド以下の1分足は11〜29%
・USD/JPYの日本時間6時台は、値幅0.7pipsに対してスプレッドが1.36pips。値幅の倍率が最も大きいのは、6通貨ペアすべてで21時〜翌2時
・USD/JPYで利確・損切り3pips同士に入ると、利確に先に届いたのは40%、損切りは57%。決着までの中央値は4.2分
・無作為に入った場合の平均は、6通貨ペア・すべての幅でマイナス(USD/JPYの3pips同士は−0.50pips)
・RSIが30以下で買い・70以上で売って5分後に決済した場合も、スプレッドを引くと6通貨ペアすべてで平均はマイナス
・測っていないのは、約定の遅れやスリッページ、RSI以外の手法の損益、実際のFX会社のスプレッド
1分足スキャルピングのよくある質問
1分足スキャルピングとは何ですか?
1分足を見て、数秒〜数分で決済する取引です。USD/JPYの1分足1本の値幅の中央値は1.5pipsで、スプレッドの0.39pipsの3.8倍でした。
1分足スキャルピングは、何pips狙うのがよいですか?
狙う幅の良し悪しは測っていません。測ったのは、同じ幅の利確と損切りに先に届く割合です。USD/JPYの1pips同士は、利確30%・損切り70%で決着までの中央値は約22秒、5pips同士は利確38%・損切り49%で中央値は9.8分でした。
日本時間の何時に値動きが大きくなりますか?
USD/JPYの1分足の値幅は、23時台が2.5pipsで最も大きく、6時台が0.7pipsで最も小さくなりました。6時台はスプレッドも1.36pipsに開きます。
1分足スキャルピングは、どの通貨ペアで見るとよいですか?
向き不向きは測っていません。スプレッドの中央値は、EUR/USDの0.30pipsからGBP/JPYの1.71pipsまで、値幅がスプレッドの何倍かは、EUR/USDの4.0倍からGBP/JPYの1.6倍まで違いました。
RSIの逆張りは、1分足で通用しますか?
今回の測定では、プラスになりませんでした。RSIが30以下で買い・70以上で売って5分後に決済したと見なすと、スプレッドを引いた後の平均は6通貨ペアすべてでマイナスで、USD/JPYは−0.44pipsと−0.38pipsでした。
FX会社によって、スキャルピングが禁止されていることはありますか?
会社によって、禁止や制限が定められている場合があります。取引の間隔や注文の回数に制限を設けている会社もあります。口座を開く前に、各社の約款・取引ルールで確認してください。
1分足スキャルピングのまとめ
1分足は、1本が1分で、1日に最大1,440本できる時間足です。Dukascopy のティックから作った足の2016年1月〜2026年10月、6通貨ペアで、USD/JPYの1分足1本の値幅の中央値は1.5pipsで、スプレッドの3.8倍でした。日本時間の6時台は、値幅0.7pipsに対してスプレッドが1.36pipsに開きます。USD/JPYで利確・損切りを3pips同士にして無作為に入ると、先に届いたのは利確が40%、損切りが57%、1回あたりの平均は−0.50pipsです。RSIの逆張りも、スプレッドを引くと6通貨ペアすべてで平均はマイナスです。測っていないのは、約定の遅れやスリッページ、RSI以外の手法の損益、実際のFX会社のスプレッドです。
スプレッドや時間帯の条件は、数値で書けます。同じ条件を自動で回して確かめたい場合は、EA(自動売買)の記事と、EAの選び方の記事があります。
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