
TRIXとは|3回ならしたEMAの変化率で勢いを見る指標

TRIX線・Signal線・0線の役割
TRIXは別ウィンドウに、TRIX線(紫)、Signal線(オレンジ)、0の線の3つを描きます。TRIX線が0より上なら、3回ならしたEMAが上向き(上昇の勢い)、0より下なら下向きです。Signal線はTRIX線の直近9本の単純平均で、TRIX線がSignal線を下から上に抜けると買い、上から下に抜けると売りのサインとして使います。
名前と由来
TRIX(Triple Exponential Average)は、Jack Hutsonが1980年代前半に紹介した指標で(TradingViewのヘルプ)、MT5のヘルプでも「Jack Hutsonが開発した、買われ過ぎ・売られ過ぎを示すオシレーター」として載っています。3回平滑化するため短い値動きの揺れは取り除かれますが、そのぶん値動きから遅れて反応します。TradingViewのヘルプも、0線のクロスは遅れが大きく、いつも当てになるわけではないと説明しています。
既定の設定は環境によって違います。TradingViewの標準は期間18、当サイトの配布版は期間14です。他のサイトやツールの数字は、この記事の計測にそのまま当てはまるとは限りません。


アドバイスTRIXの土台はEMA。3回かける理由は、次の計算式を見ると分かりやすいよ。
TRIXの計算式|EMAを3回かけて変化率を出すまで

計算の手順
計算は、TradingViewのヘルプやMT5のヘルプに載っている式と同じ手順です。当サイトの配布版(TRIX_systre v2.00)のソースコードも、MT4用・MT5用とも同じ計算をしています。
- 終値のEMA(期間14)を出します。EMAの係数は「2÷(期間+1)」です。
- そのEMAに、もう一度EMA(期間14)をかけます。
- さらにもう一度EMAをかけます。これで3回ならした値(3重EMA)になります。
- 3重EMAの前の足からの変化率を出します。「(今の3重EMA−前の3重EMA)÷前の3重EMA×100」で、これがTRIX線です。
- TRIX線の直近9本の単純平均がSignal線です。
Signal線の作り方は資料によって違い、EMAで説明している資料もあります。配布版は単純平均です。また、MT5のヘルプにある計算式は「×100」の記載がなく、Signal線も出てきません。値の大きさや線の本数が違っても、見るのは「上向きか下向きか」と「クロスの位置」です。
EMAは回数を重ねるほど線がなめらかになり、そのぶん価格の動きから遅れます。下の図は同じ100本の終値に、EMAを1回・2回・3回かけた線を重ねたものです。7月末から8月初めの急落では、終値が先に動き、3回かけた線(紫)は最後に曲がっています。

アドバイス変化率なので、価格が高い通貨ペアでも安い通貨ペアでも同じ目盛りで見られるよ。
TRIXのシグナルの見方|クロスとダマシを実チャートで読む

基本のシグナル
- 買い:TRIX線がSignal線を下から上へ抜けた足が確定したときです。
- 売り:TRIX線がSignal線を上から下へ抜けた足が確定したときです。
- TRIX線が0を抜けるクロス(0線クロス)は、Signal線のクロスとは別のサインです。MT5のヘルプは、こちらを買い・売りのサインとして説明しています。
- 価格とTRIXの逆行(ダイバージェンス)を使う解説もありますが、この記事では計測していません。

大きく動いた例とダマシの例
図の上は、2026年7月22日20時(UTC)の売りです。次の買いまで終値で約283pips(コスト前)下げました。下は2024年5月29日から6月にかけて、売り・買い・売り・買いが4回続けて負けた例で、保有は9〜12本、コスト前の合計は約−261pipsでした。同じ設定、同じ通貨ペア、同じ時間足でも、転換が続くか、すぐ戻るかは、その場では見分けがつきません。
2本線は、反対側に抜けるまで同じ向きが続く仕組みなので、方向感のない場面では抜けと戻りを繰り返します。AUD/JPYの4時間足では、Signal線クロスが出た足の約10.6%が、5本以内に反対のクロスで打ち消されました。0線クロスは約6.0%と少ない代わりに、次の反対サインまでの保有が中央値で30本と、Signal線クロスの16本の約2倍かかります。

アドバイスシグナルは「足が確定してから」見よう。確定前は交差して見えても、戻ることがあるよ。
TRIXの設定値|期間とシグナル期間を動かすとどうなるか

既定値は「期間14・シグナル期間9」
当サイトの配布版の入力は、期間(既定14)とシグナル期間(既定9)の2つです。EMAをかける3回とも同じ期間を使います。
設定を変えたときの計測結果
期間を短くするとサインは増え、1,000本あたりの回数は期間5で約114回、期間30では約30回でした。コスト後のPFは、期間5で0.92まで下がりましたが、期間を長くしても上がらず、期間21と30はどちらも0.95でした。

| 期間 | Signal線クロスの回数(1,000本あたり・シグナル9) | PF(コスト前) | PF(コスト後) | 0線クロスのPF(コスト後) |
|---|---|---|---|---|
| 5 | 113.8 | 0.99 | 0.92 | 0.96 |
| 9 | 75.8 | 1.02 | 0.96 | 1.01 |
| 14(既定) | 55.1 | 1.07 | 1.02 | 1.03 |
| 21 | 40.6 | 1.00 | 0.95 | 1.08 |
| 30 | 30.1 | 0.99 | 0.95 | 1.00 |
計測条件:AUD/JPY 1時間足 67,206本(2016年1月14日〜2026年10月23日・UTC)。Dukascopyのティックをbidとaskの中値にして1時間足を作成。クロスで反対売買(ドテン)、往復コストは1pip固定の仮定。シストレ.COM自社計測です。
シグナル期間も3・9・21に動かした、Signal線クロスの15通り(期間5・9・14・21・30の各3通り)のコスト後PFは0.87〜1.02で、1.0以上は2通り(期間14・シグナル9の1.02と、期間9・シグナル21の1.00)だけでした。0線クロスを含めた20通りでも0.87〜1.08です。USD/JPYの1時間足(2025年1月〜)では、同じ15通りが0.99〜1.25と並びが変わり(期間14・シグナル9は1.11)、AUD/JPYで良かった設定がそのまま当てはまるとはいえませんでした。

「この設定が最適」とは言えないため、迷ったら既定値で始めてください。
アドバイス設定をいじるほど、過去にだけ合う数字になりやすいよ。まずは既定値で動きを見よう。
TRIXの検証|10年分・2通貨ペアの自社計測

計測条件
シストレ.COM編集部が、自社運用のMT4/MT5環境で蓄積したtickデータをもとに、15分・1時間・4時間足を作り、TRIX(期間14・シグナル9)を計測しました。期間はAUD/JPYが2016年1月〜2026年10月23日、USD/JPYが2025年1月〜2026年10月23日(1時間足は11,090本)です。計算が落ち着くまでの最初の200本は除いています。足が確定したときのシグナルで、反対のシグナルが出たら決済して逆向きに入る「ドテン」で売買し、損切りは置いていません。往復コストは1pipの固定の仮定で、実際のスプレッドとは一致しません。
Signal線クロスだけでは、1時間足でPF 1.02・4時間足で1.01
| AUD/JPY 時間足 | 取引数 | 勝率(コスト後) | PF(コスト前) | PF(コスト後) | 総損益(コスト後) |
|---|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 15,074 | 36.9% | 0.96 | 0.86 | −21,176.2pips |
| 1時間足 | 3,700 | 39.9% | 1.07 | 1.02 | +1,110.1pips |
| 4時間足 | 974 | 38.7% | 1.04 | 1.01 | +372.3pips |
シグナルの頻度は、足の本数あたりでみると3つの時間足ともほぼ同じ(1,000本あたり55〜57回)でした。1取引あたりの平均損益は、15分足がコスト前でも−0.40pipsです。1時間足はコスト前+1.30pipsからコスト後+0.30pips、4時間足はコスト前+1.38pipsからコスト後+0.38pipsでした。平均の値幅が往復コスト1pipと同じ桁のため、コストの仮定しだいで結果が変わります。勝率はドテンで37〜40%でした。

往復コストを0pipにすると、PFは1時間足で1.07、4時間足で1.04です。コストを1.5pipsにすると1時間足は0.99、4時間足は0.997と1.0を割り、2pipsでは0.96と0.98になります。実際のスプレッドは時間帯や口座で変わるため、使う口座のコストで確かめる必要があります。

1時間足のSignal線クロスは、保有本数の中央値が16本、上位10%の長さが33本以上でした。保有5本以内で終わる取引が10.6%あります。0線クロスは中央値31本、上位10%は約86本以上で、取引数は1,664と約45%です。

1取引の損益は、10%点が−50.0pips、90%点が+64.5pipsと大きく散らばります。最大は+355.4pips、最小は約−372.6pipsでした。利益が出た取引だけを足した総利益のうち、上位5%(185取引)が38.1%を占めます。少数の大きな勝ちに成績が左右されるため、数十回の取引では判断できません。
0線クロスや「0の順方向」に絞ると、結果が割れた
TRIX線が0を抜けたときに売買する方法(0線クロス)と、Signal線のクロスのうちTRIX線が0の順方向(0より上なら買いだけ、下なら売りだけ)に絞る方法、200期間EMAの順方向だけで入る方法も、同じ条件で計測しました。条件を満たさないクロスは決済だけして見送ります。コスト後のPF(取引数)です。
| 売買ルール | AUD/JPY 1時間足 | AUD/JPY 4時間足 | USD/JPY 1時間足 | USD/JPY 4時間足 |
|---|---|---|---|---|
| Signal線クロスのみ | 1.02(3,700) | 1.01(974) | 1.11(619) | 1.04(145) |
| TRIX線が0を抜けたとき | 1.03(1,664) | 0.96(468) | 1.07(269) | 0.59(74) |
| クロスのうちTRIX線が0の順方向のとき | 1.10(1,117) | 0.87(287) | 1.10(193) | 0.39(38) |
| クロスのうち200期間EMAの順方向のとき | 1.00(1,830) | 0.95(489) | 0.99(308) | 0.70(69) |
TRIX線が0の順方向に絞る方法は、AUD/JPYの1時間足で1.02から1.10に上がり、取引は約3割に減りました。ところがAUD/JPYの4時間足では1.01から0.87、USD/JPYの4時間足では1.04から0.39に下がっています(取引数38と少なく、計測期間も約1年10か月です)。200期間EMAで絞った場合も、4つのうち3つで1.0を下回りました。0線クロスは、AUD/JPYの1時間足で1.03とSignal線クロスと同じ水準ですが、4時間足では0.96で、勝率も35〜36%と低めでした。USD/JPYは短い期間のため、AUD/JPYの10年とは並べて結論を出せません。



TRIXだけで勝てるのか
結論は、TRIXのクロスだけで安定して勝てるとはいえません。AUD/JPY 1時間足の年ごとのPFは、11年のうち1.0を超えたのが6年(2016・2020・2021・2023・2025・2026年)で、残りの5年は下回りました。2025年は1.19、2024年は0.85と、年で入れ替わります。4時間足でも、2020年は+2,024.3pips、2016年は−1,189.1pipsと大きく割れ、11年のうち黒字は5年だけです。累計損益では、Signal線クロスは最大約+2,267pipsから2024年に約−773pipsまで戻して、最終は約+1,110pipsでした(0線クロスは約−1,905pipsまで下がり、最終は約+1,459pips)。この結果は計測期間・通貨ペア・コスト仮定に限った話で、同じ傾向が続く保証はありません。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。FX取引はリスクを伴うため、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で慎重に判断してください。過去の計測結果は将来の成績を保証しません。
アドバイス数字は「TRIXだけでは勝てない」を示してるよ。絞り込みを足すなら、自分の通貨ペアと時間足で確かめてからね。
TRIXインジケーターのダウンロードとMT4・MT5への入れ方

TRIX_systreをダウンロード(MT4・MT5用)
「TRIX_systre」(MT4用ex4・MT5用ex5)は、下のボタンからダウンロードできます。MT5にはヘルプに載っている標準のTRIX(オシレーター)もありますが、配布版はTRIX線とSignal線の2本を同じ表示で出します。zipの中にMT4フォルダとMT5フォルダがあり、MT4のex4はMT5では動かないため、使うほうを取り出してください。入力は期間(既定14)とシグナル期間(既定9)です。
MT4・MT5へのインストール手順
上のボタンのzipを解凍すると、MT4フォルダ(TRIX_systre.ex4)とMT5フォルダ(TRIX_systre.ex5)が出てきます。使うほうのファイルを取り出します。
メニュー「ファイル」→「データフォルダを開く」から、MT4なら「MQL4」→「Indicators」、MT5なら「MQL5」→「Indicators」を開き、ex4またはex5を移動します。
再起動するか、ナビゲーターで右クリックして「更新」を選びます。一覧に出たTRIX_systreをチャートにドラッグ&ドロップすると設定画面が開くので、期間とシグナル期間を確認して適用します。

利用上の注意
- 無料配布のサンプルです。商用利用と再配布は禁止です。
- シストレ.COMの登録口座で利用できます。認証が行われていない口座では使えません。
- 出所のわからない改変版は、誤作動や情報流出の恐れがあります。配布元を確認してください。
アドバイス入れたら、まず過去のチャートでクロスの後にどう動いたかを見てみてね。
TRIXの使いどころと注意点|他のインジケーターとの組み合わせ

フィルターとして使う
計測では、TRIXのクロスに絞り込みを足しても、安定して良くなる組み合わせは見つかりませんでした(AUD/JPYの1時間足でTRIX線が0の順方向に絞ったときだけ改善)。売買の合図に使うより、TRIX線が0より上か下かで勢いの向きを確かめる、といった使い方が現実的です。移動平均線・RSI・MACD・ボリンジャーバンドなど、役割が違うインジケーターと合わせる方法もありますが、ここで計測したのは200期間EMAとの組み合わせだけです。




使う前に確認すること
- 足が確定してから判断する。確定前の交差は戻ることがあります。
- 短い時間足は避ける。15分足はコスト前のPFも0.96で、1.0を下回りました。
- コストを入れて検証する。1時間足の1取引あたりの平均は、コスト前+1.30pips、コスト後+0.30pipsでした。
- 自動売買に使うなら、通貨ペア・時間足ごとにデモや過去検証で確かめてから使ってください。
アドバイスTRIXは「勢いの向きの確認」役。売買の判断は、ほかの条件と合わせて決めようね。
要点
・TRIXは終値のEMAを3回かけた値の変化率で、TRIX線・Signal線・0線の3つで勢いと転換を見ます。
・配布版の既定値は期間14・シグナル期間9で、Signal線は直近9本の単純平均です。
・Signal線クロスだけの自社計測は、AUD/JPY 1時間足でコスト後PF 1.02、4時間足で1.01でした。
・設定を動かしても最適な値は見つからず、0の順方向などの絞り込みも通貨ペアと時間足で結果が割れました。
TRIXのよくある質問
TRIXとは?
終値のEMAを3回かけた値の変化率を線にした、トレンドの勢いを見るオシレーターです。TRIX線が0より上なら上向き、下なら下向きで、Signal線とのクロスを売買のサインにします。
TRIXの設定値は?
当サイトの配布版の既定値は期間14・シグナル期間9です。TradingViewの標準は期間18など、環境で違います。自社計測では、AUD/JPY 1時間足でSignal線クロスの15通りのコスト後PFは0.87〜1.02で、最適といえる設定はありませんでした。
TRIXのシグナルの見方は?
TRIX線がSignal線を下から上に抜けたら買い、上から下に抜けたら売りです。足が確定してから判断します。TRIX線が0を抜けるクロスは別のサインです。
TRIXだけで勝てますか?
安定して勝てるとはいえません。自社計測(AUD/JPY・2016〜2026年)では、Signal線クロスだけで売買したコスト後のPFは1時間足で1.02、4時間足で1.01、15分足で0.86でした。
TRIXのダマシを減らすには?
TRIX線が0の順方向のクロスだけを使う方法が候補ですが、効果は安定していません。AUD/JPYの1時間足ではPFが1.02から1.10に上がりましたが、4時間足では0.87、USD/JPYの4時間足では0.39に下がりました。
0線クロスとSignal線クロスはどちらがよいですか?
自社計測では、どちらが優れているとはいえませんでした。AUD/JPYの1時間足は0線クロスが1.03、Signal線クロスが1.02、4時間足は0.96と1.01です。0線クロスは回数が約半分で、保有が長くなります。
MT4・MT5でTRIXは使えますか?
MT5にはヘルプに載っている標準のTRIXがあります。当サイトの配布zipには、Signal線つきのMT4用(.ex4)とMT5用(.ex5)が入っています。
TRIXのまとめ
TRIXは、終値のEMAを3回かけた値の変化率をTRIX線とし、その平均のSignal線とのクロスで転換を見るインジケーターです。自社計測では、クロスだけの成績は1.0前後で、設定を動かしても大きな差は出ませんでした。0の順方向などの絞り込みは通貨ペアと時間足で結果が割れたため、まず使う通貨ペアと時間足で過去の動きを確かめ、デモ口座で検証してから使ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













