
Typical Priceとは|高値・安値・終値の平均

Typical Priceの計算式
Typical Priceは、1本の足の高値(H)・安値(L)・終値(C)を足して3で割った価格です。式は(H+L+C)÷3で、チャートの分野ではHLC3とも呼ばれます。始値は使いません。図の橙の横線が、各足のTypical Priceです。この28本では、Typical Priceが終値より上の足が7本、下の足が21本でした。
Typical Priceは、高値と安値の真ん中(Median Price)から、終値の方向へ3分の1だけ寄った位置にあります。式にすると、Median Price+(終値−Median Price)÷3です。終値が高値に近い足では、Typical Priceは終値より下に、安値に近い足では終値より上に出ます。
1本の足で計算した例

図の足は、高値が162.020、安値が161.857、終値が161.912でした。Typical Priceは、(162.020+161.857+161.912)÷3=161.930です。終値より0.018高く、1pip=0.01円なので、1.8pips上にあります。この足の値幅は0.163で、離れは値幅の約11%です。
MT4・MT5では、4つの価格に、それぞれ決まった名前があります。終値がPRICE_CLOSE、(H+L)÷2がPRICE_MEDIAN、(H+L+C)÷3がPRICE_TYPICAL、(H+L+C+C)÷4がPRICE_WEIGHTEDです。プログラムで移動平均などを呼ぶときの、価格の指定に使います。
アドバイスTypical Priceは、高値・安値・終値を3で割った価格だよ。図の足では、終値より1.8pips上だったね。
Typical PriceとMedian Price・Weighted Closeの違い|終値からの離れを測定
終値からどれだけ離れるか

Typical Priceと似た価格に、Median Price((H+L)÷2)とWeighted Close((H+L+C+C)÷4)があります。3つが終値からどれだけ離れるかを、足ごとに数えました。離れは、価格と終値の差の大きさで、その足を含む14本のATR(Wilder式)で割っています。ATRは、1本の値動きの大きさの目安です。
離れの中央値は、Weighted Closeが0.10 ATR、Typical Priceが0.14 ATR、Median Priceが0.21 ATRでした。90%点は、順に0.28、0.37、0.55です。足の値幅(高値−安値)に対する割合の中央値は、13.2%、17.6%、26.3%で、値幅0の4本は除いています。終値は高値と安値の間にあるので、離れの最大は、Weighted Closeが値幅の4分の1、Typical Priceが3分の1、Median Priceが2分の1です。測った最大も、この値と同じでした。
1本ごとの変化の大きさと向き

次に、1本前の足からの変化を比べました。変化の大きさは、価格の変化の標準偏差を、終値の変化の標準偏差で割った値です。終値を1としたとき、Typical Priceは0.81、Weighted Closeは0.83、Median Priceは0.81でした。Typical Priceは、高値・安値・終値の3つの変化を平均するので、終値だけの変化より小さくなります。
変化の向きが終値と同じだった割合は、Typical Priceが81.5%、Weighted Closeが86.9%、Median Priceが71.0%です。価格の変化と終値の変化がどちらも0でない足(約33.1万本)で数えました。Median Priceは終値を使わないので、終値と向きが違う足が3割ほどあります。終値と同じ向きの割合は、15分足と4時間足でも、Weighted Close、Typical Price、Median Priceの順でした。Typical Priceは、15分足が82.0%、4時間足が81.0%で、変化の大きさは0.80と0.79です。
HL2・HLC3・Weighted Closeの呼び方
名前はソフトによって違います。HL2はMedian Price、HLC3はTypical Priceと同じ価格で、MT4・MT5ではPRICE_MEDIAN、PRICE_TYPICALにあたります。Weighted Closeは、終値を2回数えるので、式の分母が4です。MQL4のドキュメントでは「Weighted close price」と書かれています。インジケーターが同じ名前の価格で計算していても、式が違えば線の位置はずれます。
アドバイス終値からの離れは、Weighted Closeが0.10、Typical Priceが0.14、Median Priceが0.21 ATRだったよ。終値を多く入れるほど近いんだね。
Typical Priceで移動平均を作ると|SMA20を終値と比べて測定

2本の線はどれだけ違うか
SMA20(20期間の単純移動平均)を、終値で作った線と、Typical Priceで作った線の2通りで出して比べました。図の96本では、2本の線の差は、最大で2.0pips、中央値で1.1pipsでした。多くの足で、Typical Priceの線のほうが下にあり、差の向きは足の並びで上下に入れ替わります。
5通貨の1時間足333,913本で、2本の線の差を、ATRの倍数で数えました。差の中央値は0.04 ATR、90%点は0.09 ATR、最大は0.26 ATRです。傾きの向き(1本前より上か下か)は、96.5%の足で同じでした。ずれが最も小さくなるのは、線を前後にずらさないときで、平均の差は0.04 ATRです。1本ずらすと0.09か0.15 ATRに広がるので、Typical Priceの線が終値の線より遅れて動くことはありませんでした。
傾きが変わる回数と、価格が線を横切る回数

線の傾きが上向きから下向きへ、または逆に変わる回数は、1時間足で1,000本あたり99.2回から80.3回に減りました。減った割合は、15分足が約20%、1時間足が約19%、4時間足が約17%です。Typical Priceは1本ごとの変化が小さく、その平均線も、向きを変える回数が少なくなりました。
価格が線を横切る回数は、1時間足で、終値と終値の線が116.8回、Typical PriceとTypical Priceの線が95.5回でした。ただし、終値のまま、Typical Priceの線を横切る回数は115.8回で、終値の線の116.8回とほとんど変わりません。回数が減るのは、線を変えたときではなく、比べる価格もTypical Priceにしたときです。15分足と4時間足でも、同じ傾向でした。
アドバイスSMA20をTypical Priceで作っても、線の差は0.04 ATRだったよ。傾きが変わる回数は、99.2回から80.3回に減ったね。
Typical Priceを使う指標|CCI・MFI・ピボットとMT4・MT5の設定

Typical Priceを使う指標
MetaTrader 5のヘルプでは、CCI(CCIの記事)の式がTypical Priceを基にしています。Typical Priceとその単純移動平均の差を、ばらつきの大きさで割る形です。MFI(MFIの記事)は、Typical Priceに出来高をかけた値を、前の足のTypical Priceより高ければ上げ、低ければ下げとして合計します。
クラシックピボット(ピボットの記事)では、前日の高値・安値・終値の平均が、基準点(PP)です。ここでも、式はTypical Priceと同じです。
MT4・MT5で移動平均などに使う
移動平均(移動平均線の記事)など、計算に使う価格を選べるインジケーターでは、終値の代わりにTypical Priceを選べます。MQL4・MQL5で自作する場合は、iMAなどの引数に、PRICE_TYPICALを渡します。Typical Price専用のインジケーターを入れる必要はありません。
複数のインジケーターを並べるときは、計算に使う価格を揃えてください。片方が終値、もう片方がTypical Priceだと、同じ足でも値が違い、線が交わる位置もずれます。この記事の測定では、SMA20の線で、その差は中央値0.04 ATRでした。
アドバイスCCI・MFI・ピボットは、Typical Priceが土台だよ。移動平均に使うなら、ほかの指標と価格を揃えてね。
Typical Priceを使うときの注意点|値幅0の足と測っていないこと

値幅0の足と、確定前の足
高値と安値が同じ足(値幅0)では、4つの価格がすべて同じ値になります。測定した足のうち、1時間足で4本、15分足で153本、4時間足で3本でした。ごく少数ですが、値幅に対する割合を出す計算からは除いています。
形成中の最新の足では、終値が現在の価格なので、Typical Priceも足が確定するまで動きます。線の向きや位置は、足が確定してから判断すると、あとで形が変わりません。
測っていないこと
この記事で測ったのは、Typical Priceと終値の離れ、1本ごとの変化、SMA20の線の違いです。売買の損益、勝率、損切りや利確の位置、ボリンジャーバンドやRSIなど、ほかの指標と組み合わせた結果は測っていません。レンジ相場とトレンド相場の違い、通貨ペアごとの違いも測っていません。測った範囲では、Typical Priceは終値より変化が小さく、SMA20に使うと傾きが変わる回数が減りました。この結果が売買の成績につながるかは、自分のデータで確かめてから使ってください。
アドバイス測ったのは価格の形と線の違いだよ。損益や勝率は測っていないから、使うときは自分のデータで確かめてね。
要点
・Typical Price(ティピカル値)は、(高値+安値+終値)÷3。MT4・MT5ではPRICE_TYPICAL
・5通貨の1時間足333,913本で、終値からの離れは中央値0.14 ATR(値幅の17.6%)。最大は値幅の3分の1
・1本ごとの変化の大きさは終値の0.81倍。変化の向きが終値と同じ割合は81.5%
・SMA20を終値からTypical Priceに変えると、線の差は中央値0.04 ATR。傾きが変わる回数は1,000本あたり99.2回から80.3回
・CCI・MFI・クラシックピボットが、Typical Priceを使う
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの指標との組み合わせ
Typical Priceのよくある質問
Typical Price(ティピカル値)とは何ですか?
高値・安値・終値の平均です。HLC3とも呼ばれ、始値は使いません。
終値とどれくらい違いますか?
1時間足では、中央値で0.14 ATRです。足の値幅に対しては、最大でも3分の1です。
Median PriceやWeighted Closeとの違いは何ですか?
終値を入れる量が違います。Median Priceは高値と安値だけ、Weighted Closeは終値を2回数えます。終値からの離れは、Weighted Closeが最も小さく、Median Priceが最も大きくなります。
Typical Priceで移動平均を作ると、成績は上がりますか?
売買の損益は測っていません。測ったのは線の形だけで、SMA20の傾きが変わる回数が、1時間足で約19%減りました。
MT4・MT5で使うには、何をしますか?
計算に使う価格で、Typical Priceを選びます。自作では、PRICE_TYPICALを指定してください。
Typical Priceのまとめ
Typical Priceは、高値・安値・終値の平均で、Median Priceから終値の方向へ3分の1だけ寄った価格です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、333,913本)では、終値からの離れが中央値0.14 ATRで、1本ごとの変化は終値の0.81倍でした。SMA20に使うと、終値で作った線との差は中央値0.04 ATRで、傾きが変わる回数は1,000本あたり99.2回から80.3回に減りました。
売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは測っていません。使うときは、指標ごとに計算に使う価格を揃え、自分のデータで確かめてください。関連する指標は、移動平均線、CCI、ピボット、MFIの記事にまとめています。
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