
Accumulation/Distribution(A/D)とは|価格の位置に出来高を掛けて足す指標

図の下の線がA/Dです。上がっている間は、足の終値が高値寄りの足が積み上がっていて、下がっている間は安値寄りの足が積み上がっています。MetaTrader 4のAccumulation/Distributionのヘルプは、指標が上がれば蓄積(買い)、下がれば分配(売り)を表し、指標と価格の逆行は反転の予兆になりうる、と説明しています。
図の印は、足が直近20本の高値を更新した足です。赤い▼はA/Dが直近20本の最大を更新しなかった足(以下、食い違い)、緑の▲はA/Dも更新した足を示します。80本の中に、食い違いは5本、A/Dも更新した足は5本ありました。10月7日1時の足は158.509まで上がって食い違いの印が付き、そのあとA/Dは10月7日17時の−10,309まで下がりました。10月9日15時の足(高値158.430)にも食い違いの印が付きましたが、そのあと図の終わりまでの価格は、158.066〜158.404の範囲で、終値158.333で終わっています。印の1本だけでは、そのあとの方向は決まりません。
A/Dの計算式
足ごとに、位置の値=((終値−安値)−(高値−終値))÷(高値−安値)を求め、これに出来高を掛けた値を、前の足のA/Dに足していきます。位置の値は、終値が高値なら+1、安値なら−1、真ん中なら0です。MetaTrader 5のヘルプにも同じ式が載っていて、出来高は価格変化の重みづけの係数だと書かれています。ヘルプの式は括弧の位置がずれているので、ここでは上の形で書きました。
高値と安値が同じ足は、割り算ができないので、位置の値を0として足しました。A/Dの値そのものは、どこから足し始めるかで変わります。図の線は、80本の最初の足を0にしてあります。見るのは、水準よりも上がっているか下がっているかです。
A/Dの計算例

図の表は、世界標準時の2026年10月9日の3本です。3時の足は、高値158.089、安値157.985、終値158.051で、位置の値は0.27、ティック数は2,261なので、+609が足されます。4時の足は、位置の値0.71に2,051を掛けて+1,465です。8時の足は、高値158.419、安値158.049に対して終値が158.091と安値寄りで、位置の値は−0.77です。ティック数が6,404で、3本の中で最も大きかったため、−4,950が足されました。同じ位置の値でも、ティック数が大きい足ほど、A/Dを大きく動かします。
位置の値は小数第3位を四捨五入して表示していて、足される値は丸める前の値で計算しています。そのため、表の掛け算を電卓で計算すると、数十ほどずれます。
アドバイスA/Dは、終値の位置に出来高を掛けて足したものだよ。同じ位置でも、ティック数が6,404の足は、2,051の足よりずっと大きく動かすんだね。
A/Dの出来高|FXではティック数を使う
MT4・MT5の出来高の意味
MetaTrader 4のMQL4のドキュメントでは、Volume[]は各足のティックボリュームを持つ配列と書かれています。MetaTrader 5のスマートフォン版ヘルプには、FXの出来高は、その時間に現れたティック(価格の変化)の数を指すと書かれています。FXには取引所の出来高がないので、実際に売買された量ではなく、価格が動いた回数です。MT5のA/Dには、ティックの数と実際の出来高のどちらを使うかを選ぶ項目があります。
この記事の測定では、Dukascopy のティックで、足の中のティックの数を数えて出来高にしました。もう1つ、Dukascopyのティックには気配の数量(askVolumeとbidVolume)が付いていて、JForexのITickの項目です。これは売買が成立した量ではなく、その価格で出ていた量なので、足の中の合計を数量列と呼んで、別の出来高として比べました。
出来高の取り方でA/Dの線は変わるか

図は、ティック数、数量列、出来高なし(位置の値だけを足した線)の3本を、0〜100に換算して重ねたものです。ティック数と数量列の線は、この120本でほぼ重なり、水準の相関係数は0.99でした。出来高なしの線は、ティック数の線との相関係数が0.78で、山と谷の形が少し違います。

120本だけでは偏りがあるので、5通貨の全部の足で、24時間前(1時間足は24本前、4時間足は6本前)からのA/Dの増減の向きが同じだった足を数えました。どちらかの増減が0の足は除いています。1時間足の5通貨合計では、ティック数と数量列が97.2%、ティック数と出来高なしが85.4%、数量列と出来高なしが84.8%です。4時間足では、98.0%、86.3%、85.8%でした。
比べる相手として、位置の値の順番だけを入れ替えた線を10回作り、同じ数え方で一致を測ると、1時間足で50.5〜51.2%、4時間足で50.3〜51.2%でした。一方、出来高の順番だけを入れ替えた線は、1時間足で75.4〜75.9%、4時間足で78.6〜79.0%と、ばらばらな出来高でも、位置の値が同じなので、一致は高くなりました。ティック数と数量列の97.2%は、これより高い値です。足ごとのティック数と数量列の相関係数は、1時間足の5通貨で0.82〜0.94でした。
この測定が示すのは、A/Dの増減の向きが、出来高の取り方を変えてもほとんど同じ、ということまでです。どちらが売買の成否に役立つかは測っていません。MT4はティック数しか選べないので、次の節の測定はティック数のA/Dで行いました。
アドバイスティック数と数量列は、24時間の増減の向きが97.2%で同じだったよ。出来高を外した線とは85.4%だったね。
A/Dの見方|価格との食い違いのあとの動きを測った結果
食い違いの足の数え方と数
食い違いは、足の高値が直近20本の高値を更新した(安値なら安値を更新した)のに、ティック数のA/Dが直前20本のA/Dの最大(安値側は最小)を更新しなかった足です。A/Dも更新した足は、「確認」として別に数えました。A/Dの20本は、その足の1本前までの20本です。

5通貨の1時間足337,034本のうち、20本の高値か安値を更新した足は78,249本です。内訳は、高値を更新してA/Dも更新が19,424本、更新せずが22,648本、安値を更新してA/Dも更新が15,357本、更新せずが20,820本で、4つを足すと合計に一致します。食い違いは、高値側と安値側で43,468本、更新した足の55.6%です。4時間足は87,117本のうち20,758本が更新した足で、食い違いは10,840本、52.2%です。
終値の順番を入れ替えた価格で同じ数え方をすると、更新した足のうち食い違いの割合は、20回の平均で1時間足が55.1%、4時間足が54.2%でした。入れ替えた価格でも、A/Dが更新されない足が半分以上を占めたので、食い違いは、実際の価格だけに多い形ではありません。
食い違いのあとに反転した割合

反転は、高値を更新した足なら、10本後(または20本後)の終値が、その足の終値より低いこと、安値を更新した足なら高いことと数えました。同じ値の足は、反転に入れず、母数には入れています。末尾の10本(20本)が取れない足は除きました。
比べる相手は、5通貨の足を1本ずつ順番を入れ替えて、足の中の形(始値からの変化、高値、安値、ティック数)はそのままに、価格をつなぎ直した価格です。20回作り、食い違いの足を同じ数え方で測っています。図の灰色の帯が、その20回の最小から最大までです。
1時間足では、食い違いの10本後に反転していた割合は50.4%(43,457本中21,912本)で、入れ替え価格の範囲は49.4〜50.3%で、50%を含みます。20本後は49.7%で、範囲は49.2〜50.6%で、50%を含みます。A/Dも更新した足は、10本後が50.5%、20本後が49.4%でした。10本後は範囲の上端を0.1ポイント上回り、20本後は範囲の中です。1時間足では、食い違いのあとも、A/Dも更新したあとも、反転した割合は50%前後でした。
4時間足では、食い違いのあとに反転した割合が、10本後に51.1%、20本後に51.7%で、入れ替え価格の範囲(48.7〜50.9%と48.1〜51.1%、どちらも50%を含む)の上端を、0.2ポイントと0.6ポイント上回りました。A/Dも更新した足は、50.5%と50.4%でした。差は小さく、足が20本の窓で重なっているので、足数ほど独立した結果ではありません。

通貨ごとに見ると、1時間足の10本後に反転した割合は、食い違いの足で49.3〜51.5%です。最も高いのはEUR/USDの51.5%、最も低いのはAUD/JPYの49.3%で、50%を下回る通貨もあります。足の順番を入れ替えた価格は49.4〜50.3%で、最も高い通貨は、その上端を1.2ポイント上回ります。
ここまでをまとめると、A/Dが価格の高値更新に付いてこなかったとしても、その後に反転する割合は、50%に近い水準でした。測ったのは「20本先の終値が反対側にあるか」だけで、反転の幅や、損切りと利確を置いた売買の損益ではありません。
測っていないこと
この記事で測ったのは、A/Dの出来高による線の違いと、20本の高値・安値を更新したときのA/Dの食い違いと、そのあとの反転の割合です。売買の損益、勝率、20本以外の窓、10本・20本以外の先の足、5通貨以外の通貨、日足は測っていません。出来高で資金の流れを見るという考え方の別の指標は、OBV、出来高オシレーター、Chaikin Money Flowの記事にまとめています。ダイバージェンスの一般的な説明はダイバージェンスの記事、買いと売りの圧力を出来高なしで測る指標はWilliams ADの記事が参考になります。
アドバイス1時間足の食い違いの10本後は、50.4%が反転だったよ。入れ替えた価格は49.4〜50.3%で、ほとんど同じだね。
A/DのMT4・MT5での入れ方|ZIPの中身と手順

MT4の入れ方
- ダウンロードしたZIPを展開し、MT4フォルダの中の
AD_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、AD_systreをチャートに出します。

MT5の入れ方
MT5も手順は同じで、違うのは取り出すファイルと置くフォルダだけです。ZIPのMT5フォルダの中の AD_systre.ex5 を取り出し、「ファイル」の「データフォルダを開く」から「MQL5」の中の「Indicators」に置きます。そのあと、ナビゲーターで更新し、「挿入」「インディケータ」「カスタム」から表示します。
配布のファイルを使わなくても、MT4・MT5には標準のA/Dがあります。「挿入」「インディケータ」「ボリューム」の中の「Accumulation/Distribution」です。出来高の種類は、MT4はティック数、MT5は設定で選べます。
ダウンロード
ZIPには、MT4用のex4ファイルとMT5用のex5ファイルが、それぞれのフォルダに入っています。ex4はMT4用、ex5はMT5用なので、入れる先を間違えないでください。このファイルの入力項目と初期値は、この記事の測定では使っていません。測定は、上の式を自分で計算した値です。
無料配布のサンプルです。商用利用・再配布はできません。シストレ.COMに登録した口座で使えます。認証されていない口座では動きません。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4がMQL4、MT5がMQL5のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
要点
・A/Dは、足の終値の位置(−1〜+1)に出来高を掛けて、足すたびに積み上げる指標。FXの出来高は、MT4ではティック数
・5通貨の1時間足337,034本で、ティック数と数量列のA/Dは、24時間の増減が97.2%の足で同じ向き。位置の値の順番を入れ替えた線との一致は50.5〜51.2%
・20本の高値か安値を更新した足78,249本のうち、A/Dが更新されなかった足は43,468本(55.6%)。順番を入れ替えた価格では55.1%
・食い違いの10本後に反転した割合は1時間足で50.4%。入れ替えた価格は49.4〜50.3%
・4時間足の20本後は51.7%で、入れ替えた価格の範囲48.1〜51.1%の上端を0.6ポイント上回った
・測っていないのは、売買の損益、勝率、日足、5通貨以外の通貨
A/D(Accumulation/Distribution)のよくある質問
A/D(Accumulation/Distribution)とは何ですか?
終値の位置に出来高を掛けて足していく指標です。上がると買いの蓄積、下がると売りの分配を表すとされます。
FXのA/Dの出来高は何ですか?
MT4では、足の中のティックの数です。売買された量ではありません。MT5は、ティック数と実際の出来高を設定で選べます。
出来高の取り方でA/Dは変わりますか?
向きは、ほとんど変わりませんでした。1時間足の5通貨で、ティック数と数量列は、24時間の増減が97.2%の足で同じ向きで、出来高なしとの一致は85.4%でした。位置の値の順番を入れ替えた線との一致は、50.5〜51.2%です。
価格が高値を更新してもA/Dが更新されないと、反転しますか?
反転しやすいとは言えませんでした。1時間足の10本後に反転していたのは50.4%で、順番を入れ替えた価格は49.4〜50.3%です。売買の損益は測っていません。
MT4とMT5のどちらでも使えますか?
どちらでも使えます。ZIPに、MT4用のex4とMT5用のex5が入っています。標準のA/Dも、どちらにもあります。
A/D(Accumulation/Distribution)のまとめ
A/Dは、終値が高値と安値の間のどこにあるかに出来高を掛けて、足すたびに積み上げる指標です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、337,034本)では、ティック数のA/Dと数量列のA/Dは、24時間の増減が97.2%の足で同じ向きでした。出来高なしの線とは85.4%で、位置の値の順番を入れ替えた線との一致は50.5〜51.2%です。
20本の高値か安値を更新した足78,249本のうち、A/Dが更新されなかった足は43,468本で、その10本後に反転していた割合は50.4%でした。順番を入れ替えた価格の49.4〜50.3%とほぼ同じです。4時間足の20本後は51.7%で、入れ替えた価格の範囲を0.6ポイント上回りましたが、差は小さいものでした。測っていない売買の損益や、日足での動きは、自分のデータで確かめてから使ってください。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













