
ダイバージェンスとは|価格とオシレーターの山・谷の向きがずれる現象

ダイバージェンスの意味|2つの山(谷)を価格と指標で比べる
ダイバージェンス(逆行現象)は、直前の山どうし、または谷どうしを、価格と指標で見比べて見つけます。価格の高値が切り上がっているのに、指標の高値は切り下がっている、といった形です。価格は勢いよく上がっているように見えても、指標の側では勢いが弱まっている、と読むのが一般的な説明です。
指標にはRSI、MACD、ストキャスティクスがよく使われます。RSIは直近の上げ幅と下げ幅の比で、MACDは2本のEMAの差で、勢いを表します。どの指標でも、見るのは「山や谷の高さが、価格と指標で同じ向きか、逆向きか」です。
通常型と隠れ型の違い|反転の候補か、継続の候補か
通常型は、価格が高値を切り上げたのに指標が切り下げた形(弱気)、または価格が安値を切り下げたのに指標が切り上げた形(強気)です。反転の候補として紹介されます。隠れ型は、価格が高値を切り下げたのに指標が切り上げた形(弱気)、または価格が安値を切り上げたのに指標が切り下げた形(強気)で、トレンド継続の候補として紹介されます。
| 項目 | 通常型 | 隠れ型 |
|---|---|---|
| 一般に示唆されること | トレンドの反転 | トレンドの継続 |
| 売りの候補 | 価格の高値が上がり、指標の高値は下がる | 価格の高値が下がり、指標の高値は上がる |
| 買いの候補 | 価格の安値が下がり、指標の安値は上がる | 価格の安値が上がり、指標の安値は下がる |
| 売買の向き | 逆張り | 順張り(戻り売り・押し目買い) |
これは一般的な説明の整理で、「示唆される」ことが実際に起きるかどうかは別の話です。この記事の計測では、通常型でも隠れ型でも、示唆された向きに価格が進みやすいという結果は確認できませんでした(結果は後の章)。
ダイバージェンスの出典と、確認できていないこと
RSI・MACD・ストキャスティクスの計算式は、MetaQuotes社のMT5ヘルプ(metatrader5.com)で確認しています。一方、ダイバージェンスそのものには、山(谷)をどう拾うか、何本離れた山どうしを比べるか、という決まった定義がありません。紹介する人によって形の取り方が違うため、この記事では定義を決めて機械的に数えました(条件は検証の章に書いています)。

アドバイス価格と指標で、山や谷の向きが逆になっていたらダイバージェンス。通常型は反転、隠れ型は継続の「候補」だよ。
ダイバージェンスの見方|MT4・MT5でRSI・MACD・ストキャスティクスを使って確かめる

MT4・MT5でダイバージェンスを見つける手順
MT4・MT5では、標準のオシレーターだけで確認できます。専用のツールは要りません。
- ナビゲーターの「インディケータ」→「オシレーター」から、RSI(Relative Strength Index)かMACDをチャートにドラッグします。
- 価格チャートで、直近の2つの高値(または安値)を見つけ、トレンドラインで結びます。
- 同じ2つの足の、指標の山(谷)を、指標ウィンドウでも線で結びます。
- 2本の線の傾きが逆なら、ダイバージェンスの形です。上の図の橙の点線が、その線にあたります。
山や谷を目で拾うのが不安なら、左右の本数で自動的に印を付けるピボットポイントハイローが役に立ちます。上の図の山は、左右5本より高い(低い)足を、山(谷)として拾いました。MT5は複数の時間足のチャートを並べて開けるので、上位足も同時に見られます。
RSI・MACD・ストキャスティクスの設定値と計算式
MT5ヘルプによると、RSIの計算式は「100 − 100 ÷ (1 + U ÷ D)」(Uは価格変化のプラスの平均、Dはマイナスの平均)で、ワイルダー氏が推奨した期間は14です。MACDは「EMA(終値,12)− EMA(終値,26)」で、シグナルは「MACDの9期間の単純移動平均」です。ストキャスティクスは、%Kの期間と、%Kを平滑化するスローの値(1ならファスト、3ならスロー)などで決まります。違いはスロー・ファスト・フルの解説で整理しています。
この記事の計測は、RSIが14、MACDが12・26・9(MACDの線そのもの)、ストキャスティクスが%K期間5・スロー3です。ストキャスティクスの既定値は、確認したヘルプのページには書かれていなかったため、「既定値」とは書かず、計測で使った値として示します。設定を変えたときの結果は計測していません。
隠れ型の見方|安値が上がり、RSIの安値が下がる形

隠れ型・買いは、価格の安値が切り上がっているのに、RSIの安値は切り下がっている形です。上昇トレンドの途中の押し目を探す形として紹介されます。上の2例は、同じ形でも、先に損失側へ着いた例と、先に利益側へ着いた例に分かれました。通常型の例も合わせて、形だけでは結果が決まらないことが分かります。
2つの図の例は、結果で選んだものではありません。2025年のドル円4時間足で、通常型・売りのうち1つ目の山のRSIが70以上、かつ2つの山の間隔が8〜22本のものは2件だけで、上の図の2例がそれにあたります。隠れ型・買い(間隔8〜22本)も、同じ年は2件だけでした。

アドバイス橙の点線で、価格と指標の傾きを見比べるんだね。同じ形でも、結果は分かれるよ。
ダイバージェンスの検証|tickデータ10年で測った、サインのあとの結果

計測の条件|何を1件と数え、何を測ったか
シストレ.COM編集部が、自社運用のMT4/MT5環境で蓄積したtickデータ(Dukascopy)から1時間足を作り、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・AUD/JPY・USD/CHFの5通貨ペア、2016年1月〜2025年12月で計測しました。1時間足は5通貨ペア合計で約31.1万本です。4時間足と日足は1時間足から作り、日足は日本時間の17時を区切りにしました。
山(谷)は、左の5本より高く(低く)、右の5本より高い(低い)か同じ高さの足としました。右の5本が出そろって初めて山と分かるので、サインの確定は山の5本後です。そのため、見つけた時点の情報だけで判断できる形にしています。直前の同じ種類の山(谷)と、5〜60本離れた組み合わせだけを、1件と数えました。指標の値は、その足の終値で計算した値です。
売買は、確定した足の次の足の始値で入ると仮定し、そこから+1ATR(利益側)と−1ATR(損失側)のどちらに先に着くかを、最長48本まで見ました。ATRは入る直前の足の、14本の平均の値幅です。高値・安値で判定し、同じ足で両方に着いた場合と、48本以内にどちらにも着かなかった場合は、割合の計算から除きました(全体の1〜3%)。比較の基準には、同じ通貨ペア・時間足・売買の向きで、すべての足から入った場合の割合(約50%)を使いました。
利益側に先に着いた割合は、約50%だった
1時間足のRSIでは、通常型が5,201件で50.1%(誤差の幅±1.4)、隠れ型が5,045件で50.4%(±1.4)でした。無作為に入った場合は、どちらも約50.0%です。MACDは通常型49.9%・隠れ型50.5%、ストキャスティクスは49.9%・50.0%で、ほぼ同じです。
4時間足のRSIは、通常型が1,269件で49.8%(±2.8)、隠れ型が1,288件で51.5%(±2.8)でした。日足は件数が少なく、RSIの通常型は251件で47.6%(±6.2)、隠れ型は249件で45.5%(±6.2)と、誤差の幅も広くなります。18通りのどれも、無作為に入った場合の割合との差は、誤差の幅の中に収まりました。
誤差の幅は、割合の95%の範囲の目安です。近い時期に出たサインは値動きが重なるため、実際の誤差は、この幅より大きい可能性があります。また、計測した件数は、1ペア・1年あたり、1時間足の通常型で約104件、4時間足で約25件、日足で約5件です。日足は10年・5ペアを足しても、500件ほどです。
通貨ペア別・年別でも、安定して偏る組み合わせはない

1時間足のRSIを通貨ペア別に見ると、通常型は48.0〜51.4%、隠れ型は47.9〜52.0%でした。年別では、通常型が45.8〜54.3%、隠れ型が45.6〜55.1%です。2022年の隠れ型(55.1%)は誤差の線が50%の上側に出ていますが、20通りを見た中の1つで、2023年は51.8%、2024年は48.7%と続いていません。
RSIが70以上・30以下の山だけに絞っても、変わらない

「RSIが買われ過ぎ・売られ過ぎの水準で出たものだけを使う」という使い方も、よく紹介されます。通常型で、1つ目の山のRSIが売りなら70以上、買いなら30以下のものに絞ると、1時間足は1,915件で49.9%、4時間足は460件で48.2%、日足は84件で46.3%でした。絞らない場合(50.1%・49.8%・47.6%)と同じく、約50%から区別できません。
アドバイスどの指標・どの時間足・どの年でも、約50%のままだったよ。形が出たからといって、価格がその向きに進むとは限らないんだね。
ダイバージェンスの使い方|サインは遅れて確定し、その後の値動きも片寄らない

サインが見えたとき、価格は山からすでに約2ATR戻っている
ダイバージェンスは、2つ目の山(谷)が確定してから見つかります。その時点で、価格は山の端から、すでに平均約2ATR離れていました。RSIの通常型は、1時間足が2.0ATR、隠れ型が1.8ATRで、4時間足は2.0と1.7、日足は2.0と1.9です。「天井(底)で見つける」のは難しく、見つけたときには、山(谷)はもう過ぎています。
サインのあとの値動きは、平均すると0に近い

入った足を0として、40本先までの平均の動きを描くと、通常型も隠れ型も、ほぼ0の近くを動きます。1時間足の通常型は、20本目で−0.09ATR(誤差±0.09)と、わずかに示唆と逆側でしたが、ATRの1割ほどの大きさです。4時間足・日足は、誤差の帯が0を大きくまたいでいます。「通常型のあとは反転する」「隠れ型のあとは継続する」と言える動きは、見えませんでした。
使うなら、ほかの根拠を足して、損切りを決める
ダイバージェンスを、売買の合図そのものとして使うのは、この計測からは勧められません。使うとしても、「山(谷)の勢いが弱まっているかもしれない」と気づくための、補助の見方にとどめるのが現実的です。移動平均線の向き(移動平均線の解説)、水平線、上位足の方向などと組み合わせる方法が紹介されますが、この記事では、これらの組み合わせは計測していません。効くとも効かないとも言えないので、デモ口座や過去のチャートで、自分で確かめてください。
入る場合は、損切りを先に決めます。この記事の計測は損切りを置かない条件なので、実際の売買では、損失がもっと大きくなる場面があります。決め方は損切りのルール、値動きの大きさに合わせる方法はATRの解説を参考にしてください。
アドバイスサインが見えるころには、山はもう過ぎているんだね。合図にするより、勢いの変化に気づくきっかけにしよう。
ダイバージェンスのダマシと注意点|コスト・サインの数・件数の少なさ

スプレッドを引くと、1時間足の6通りは平均がすべてマイナス
サインの次の足の始値で入り、20本目の終値で手仕舞う条件で、スプレッドを引いた後の平均損益を測りました。1時間足は、RSIの通常型が−1.67pips、隠れ型が−1.95pips、MACDが−0.90と−0.50、ストキャスティクスが−1.06と−0.80で、6通りとも平均はマイナスです。ただし誤差の幅(95%)の上端は、RSIの通常型が−0.17pips、隠れ型が−0.35pipsと0より下なのに対し、MACDは+0.68と+1.09pips、ストキャスティクスは+0.14と+0.38pipsで、この4通りは0をまたぎます。スプレッドは1取引あたり平均0.84〜0.89pipsかかっています。
4時間足は、−3.87〜+4.24pipsと符号が入り混じり、どれも誤差の線が0をまたぎます。たとえばRSIの通常型は+1.01pips(±5.80)で、プラスに見えても、0と区別できません。日足は件数が少なく、RSIの通常型が+7.10pips(±28.92)と、誤差が平均より大きくなります。スプレッドの仕組みはスプレッドの解説を参照してください。
ダマシは「形は出たが、反対に進む」ことが半分近くある
先に着いた側の割合は約50%なので、サインが出たあと、先に損失側へ着く場面は、利益側へ着く場面と、ほぼ同じ回数ありました。たとえば1時間足のRSIの通常型は、先に利益側が2,560件、先に損失側が2,550件です。「ダマシ」は例外ではなく、同じくらい起きる、と考えて損切りを置くのが安全です。
RSIの設定を、相場に合わせて自動で変える形に関心がある場合は、Adaptive RSIの解説や、Laguerre RSIの解説があります。ただし、これらでダイバージェンスの成績が変わるかどうかは、計測していません。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。FX取引は元本を失うリスクがあります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で慎重に判断してください。過去の計測結果は将来の成績を保証しません。
アドバイススプレッドを引くと、1時間足はどれもマイナス。サインだけで入るのは、やめておこうね。
要点
・ダイバージェンスは、価格と指標の山(谷)の向きが逆になる現象で、通常型は反転、隠れ型は継続の候補として紹介されます。
・自社計測(5通貨ペア・2016〜2025年)では、RSI・MACD・ストキャスティクスの通常型・隠れ型、3つの時間足の18通りすべてで、利益側(+1ATR)に先に着いた割合は、無作為の約50%と区別できませんでした。
・確定した時点で、価格は山(谷)から約2ATR離れており、スプレッドを引くと1時間足の6通りは平均がすべてマイナス(誤差の幅が0より下に収まったのはRSIの2通り)でした。
・使うなら補助の見方にとどめ、ほかの根拠と損切りを自分で確かめてから使います。
・MT4・MT5では、標準のRSIかMACDを表示し、価格と指標の山(谷)に線を引いて確かめます。
ダイバージェンスのよくある質問(FAQ)
ダイバージェンスとは何ですか?
価格の山(谷)と、RSIなどの指標の山(谷)の向きが逆になる現象です。たとえば、価格の高値が切り上がっているのに、指標の高値が切り下がっている形です。勢いが弱まっているサインとして紹介されます。
通常型と隠れ型は、どう違いますか?
通常型は反転の候補、隠れ型は継続の候補として紹介される形です。通常型は、価格の高値が上がり指標の高値が下がる形(売り候補)など。隠れ型は、価格の高値が下がり指標の高値が上がる形(売り候補)などです。自社計測では、どちらも示唆された向きに進みやすいという差は確認できませんでした。
ダイバージェンスは、どの指標で見ればよいですか?
RSI、MACD、ストキャスティクスがよく使われますが、最適な指標は決められませんでした。自社計測(5通貨ペア・2016〜2025年)では、3つの指標とも、利益側に先に着いた割合は、1時間足で49.9〜50.5%と、ほぼ同じでした。
ダイバージェンスだけで、エントリーして勝てますか?
サインだけで入って、優位に立てるという結果は出ませんでした。自社計測では、18通りすべてで利益側に先に着いた割合が約50%で、1時間足はスプレッドを引くと6通りとも平均がマイナスでした。使う場合は、ほかの根拠と損切りを決めたうえで、デモ口座で確かめてください。
ダイバージェンスが機能しやすい時間足は?
機能しやすい時間足を決められる結果は出ませんでした。自社計測のRSIでは、1時間足・4時間足・日足とも、利益側に先に着いた割合は45.5〜51.5%で、約50%と区別できません。日足は件数が少なく、誤差の幅が±6%前後あります。
MT4・MT5でダイバージェンスを確認するには?
標準のRSIかMACDを表示し、価格と指標の山(谷)にそれぞれ線を引いて、傾きを比べます。ナビゲーターの「インディケータ」→「オシレーター」から選べます。山と谷の拾い方は、左右の本数で決めると、人によるぶれが減ります。
ダイバージェンスのまとめ
ダイバージェンスは、価格と指標の山(谷)の向きが逆になる現象で、通常型は反転、隠れ型は継続の候補として紹介されます。自社計測(5通貨ペア・2016〜2025年)では、RSI・MACD・ストキャスティクスの通常型・隠れ型、1時間足・4時間足・日足の18通りすべてで、利益側(+1ATR)に先に着いた割合は、無作為に入った場合の約50%と区別できませんでした。サインが確定した時点で、価格は山(谷)から約2ATR離れており、スプレッドを引くと、1時間足の6通りは平均がすべてマイナス(誤差の幅が0より下に収まったのはRSIの2通り)でした。サインだけで売買する根拠は確認できなかったため、補助の見方にとどめ、ほかの根拠と損切りを決めて、デモ口座で確かめてください。ただし、この計測は損切りなし・特定の山の定義での結果で、ほかの定義や組み合わせでは確かめていません。FXは元本を失うリスクがあり、過去の計測結果は将来の成績を保証しません。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













