
DEMAとは|EMAを2回重ねて作る移動平均線

DEMAの計算式
EMA(指数平滑移動平均)は、古い足ほど重みが指数関数的に小さくなる移動平均線です。期間をnとすると、新しい足の重みを表す係数は 2 ÷ (n + 1)です。「EMAのEMA」は、EMAの線をもう一度、同じ期間のEMAでならした線を指します。
DEMAは、DEMA = 2 × EMA − EMAのEMA で求めます。EMAを2倍にして、EMAのEMAを引く形です。MetaTrader 5のヘルプにも、同じ式が載っています。同じ作者の指標にTEMA(三重指数移動平均)があり、TEMAは、3 × EMA − 3 × EMAのEMA + EMAのEMAのEMA で求めます。

実際の数字で追う

表は、USD/JPYの1時間足で、終値からDEMAが出るまでを5本分並べたものです。期間は21で、時刻は日本時間です。10月1日14時の終値は158.380でした。このときのEMAは157.651、EMAのEMAは157.316です。2 × 157.651 − 157.316 = 157.986 で、これがDEMAの値です。EMAより終値に近い位置に線が出ています。
開発の背景
DEMAとTEMAは、Patrick Mulloy氏が1994年に、雑誌「Technical Analysis of Stocks & Commodities」で発表しました。論文の題は「Smoothing Data with Faster Moving Averages」で、ならしたときの遅れを小さくすることが狙いでした。この記事の測定では、遅れそのものは測っていません。測ったのは、線が足の中に入る割合と、線の向きが変わる回数です。
アドバイスDEMAは、EMAを2回重ねて作る線だよ。図の10月1日ごろの上昇では、DEMAとTEMAのほうがEMAより先に上を向いているね。
DEMAとEMA・TEMAの違い|足の中に線がある割合と向きの変わる回数

足の中に線がある割合
測ったのは、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの1時間足333,913本です。線は終値から計算し、各通貨の最初の600本は、計算の助走として除きました。足ごとに、線がその足の高値と安値の間にあったかを数えています。割合は、その数を足の数で割ったものです。
21期間では、EMAが28.5%、DEMAが42.7%、TEMAが50.6%でした。8期間では54.0%、78.1%、86.7%、89期間では12.4%、17.6%、20.7%です。どの期間でも、割合の大きさは、EMA、DEMA、TEMAの順でした。期間を長くすると、3本とも割合は小さくなります。
線の向きが変わる回数

線の向きが変わった回数は、1本前との差が、上向きから下向きへ、または下向きから上向きへ入れ替わった回数です。差が0の足は飛ばして数えました。21期間では、1,000本あたり、EMAが125.1回、DEMAが161.6回、TEMAが191.0回でした。DEMAはEMAの1.29倍、TEMAは1.53倍です。8期間は209.9回、266.4回、306.3回、89期間は58.9回、74.8回、87.8回でした。
向きの変わる回数をそろえて比べる
同じ期間では、DEMAのほうが向きの変わる回数も多くなります。そこで、足の中に線が入る割合の差が、向きの変わる回数の違いだけで説明できるかを見るため、回数が近いEMAとDEMAの組み合わせで比べました。EMAの期間より、DEMAの期間を長くして、回数をそろえています。
| 期間(EMA→DEMA) | EMA | DEMA |
|---|---|---|
| 8→13 | 209.9回 | 208.7回 |
| 13→21 | 162.2回 | 161.6回 |
| 21→34 | 125.1回 | 124.9回 |
| 34→55 | 97.2回 | 97.3回 |
| 55→89 | 76.1回 | 74.8回 |
| 期間(EMA→DEMA) | EMA | DEMA | 差 |
|---|---|---|---|
| 8→13 | 54.0% | 58.2% | 4.2ポイント |
| 13→21 | 38.8% | 42.7% | 3.9ポイント |
| 21→34 | 28.5% | 31.4% | 2.9ポイント |
| 34→55 | 21.3% | 23.4% | 2.1ポイント |
| 55→89 | 16.2% | 17.6% | 1.4ポイント |
5組とも、DEMAの回数は、EMAの0.98〜1.00倍でした。そのうえで、足の中にある割合は、DEMAのほうが1.4〜4.2ポイント大きくなりました。回数をそろえても差は残りましたが、同じ期間で比べたとき(21期間で14.2ポイント)より、小さな差です。
通貨ペアと時間足で比べる

通貨ペアごとに見ても、順番は変わりませんでした。21期間で、EMAは28.0〜29.4%、DEMAは41.7〜44.4%、TEMAは49.0〜53.0%の間です。最も大きい値は、3本ともAUD/JPYでした。

時間足を変えても、順番は同じでした。DEMAは、15分足が43.4%、1時間足が42.7%、4時間足が41.5%です。向きが変わる回数は、1,000本あたり、15分足でEMAが137.5回、DEMAが174.3回、4時間足でEMAが120.8回、DEMAが153.1回でした。
アドバイス同じ21期間だと、DEMAは足の中に入る割合が42.7%で、EMAの28.5%より大きいね。ただ、向きの変わる回数も161.6回と増えているよ。
DEMAの期間の決め方|期間を変えたときの動き

期間を変えた3本
図は、USD/JPYの1時間足96本に、8・21・55期間のDEMAを重ねたものです。期間を短くすると、線は価格に近づき、向きも細かく変わります。この96本で線の向きが変わった回数は、8期間が29回、21期間が21回、55期間が15回でした。
5通貨の1時間足全体では、DEMAの向きが変わる回数は、1,000本あたり、8期間が266.4回、13期間が208.7回、21期間が161.6回、34期間が124.9回、55期間が97.3回、89期間が74.8回でした。期間が長いほど、回数は減ります。
EMAとDEMAを並べる

図は、向きの変わる回数が近い、EMAの8期間とDEMAの13期間を重ねたものです。この96本で、線の向きが変わった回数は、EMAが26回、DEMAが22回でした。足の中に線が入っていた足は、EMAが58本、DEMAが67本です。全体の測定でも、この組み合わせは、向きが変わる回数が209.9回と208.7回で、足の中にある割合が54.0%と58.2%でした。
おすすめの期間は測っていません
この記事で測ったのは、8・13・21・34・55・89の6つの期間での、線の形の違いです。どの期間で売買すると成績がよいかは、測っていません。DEMAの期間は、使う時間足と通貨ペアの自分のデータで検証してから決めてください。
アドバイス期間を長くすると、DEMAの向きが変わる回数は、8期間の266.4回から89期間の74.8回まで減ったよ。成績への影響は、測っていないんだ。
DEMAのクロス|13期間と55期間の回数と間隔

クロスの回数と間隔
同じ種類の線で、13期間が55期間を上へ、または下へ抜けた回数を数えました。5通貨の1時間足333,913本での合計は、EMAが7,179回、DEMAが13,535回、TEMAが18,751回です。1,000本あたりでは、21.5回、40.5回、56.2回でした。
クロスから次のクロスまでの本数の中央値は、EMAが29本、DEMAが19本、TEMAが14本でした。DEMAのクロスは、EMAの約1.9倍の回数で出ています。
測っていないこと
クロスのあとに、価格がクロスの向きへ進んだか、売買の損益がどうだったか、ダマシがどれだけあったかは、測っていません。クロスの回数が増えることと、成績がよくなることは別の話です。
アドバイス13期間と55期間のクロスは、1,000本あたり、EMAが21.5回、DEMAが40.5回だったよ。DEMAのほうが、次のクロスまでの本数は短いね。
DEMAを使える場所|MT5・MT4・TradingView

MT5
MT5には、トレンド系のインディケータとして、DEMAが最初から入っています。EA(自動売買)からは、iDEMA関数で呼び出せます。
MT4
MT4の標準の移動平均は、単純・指数・平滑・加重の4種類で、DEMAは入っていません。使うには、DEMAのカスタムインジケーターを入れるか、EMAを重ねる式でEAやインジケーターを自作します。
TradingView
TradingViewのヘルプには、DEMAの式が載っています。公開スクリプトにもDEMAがあります。標準の指標として入っているかどうかは、この記事では確認していません。使うときは、公開スクリプトを探して追加するか、式から自作します。
アドバイスDEMAが最初から入っているのは、MT5だよ。MT4は標準にないから、ファイルを入れるか自作する必要があるね。
要点
・DEMAは、2 × EMA − EMAのEMAで作る移動平均線。TEMAは、3 × EMA − 3 × EMAのEMA + EMAのEMAのEMA
・5通貨の1時間足333,913本(21期間)で、足の中に線が入っていた割合は、EMAが28.5%、DEMAが42.7%、TEMAが50.6%
・線の向きが変わる回数は、1,000本あたり、EMAが125.1回、DEMAが161.6回、TEMAが191.0回
・向きの変わる回数が近いEMAとDEMAでは、DEMAのほうが足の中にある割合が1.4〜4.2ポイント大きい(5組)
・13期間と55期間のクロスは、1,000本あたり、EMAが21.5回、DEMAが40.5回。次のクロスまでの中央値は、29本と19本
・MT5には標準のDEMAがあり、MT4にはない
・測っていないのは、おすすめの期間、売買の損益、クロスのあとの値動き、遅れの本数
DEMAのよくある質問
DEMAとは何ですか?
EMAを2回重ねて作る、二重指数移動平均です。EMAを2倍にして、EMAのEMAを引いた値を線にします。
DEMAとEMAの違いは何ですか?
同じ期間なら、DEMAのほうが足から離れにくく、向きも変わりやすい線です。21期間の測定では、足の中に入る割合がDEMAは42.7%、EMAは28.5%で、向きの変わる回数は161.6回と125.1回でした。
おすすめの期間はありますか?
おすすめは測っていません。期間を長くすると、線の向きが変わる回数が減るところまでは測りました。成績は自分のデータで確かめてください。
MT4でDEMAは使えますか?
標準では使えません。MT4の移動平均は単純・指数・平滑・加重の4種類です。カスタムインジケーターを入れるか、自作します。MT5には標準のDEMAがあります。
DEMAを使うと成績は上がりますか?
売買の損益は測っていません。測ったのは、線の形と、クロスの回数だけです。
DEMAのまとめ
DEMAは、2 × EMA − EMAのEMAで作る移動平均線です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、333,913本)では、21期間で、足の中に線が入っていた割合が、EMAの28.5%に対して、DEMAは42.7%でした。向きが変わる回数も、1,000本あたり125.1回から161.6回に増えました。向きの変わる回数をそろえたEMAとDEMAの5組でも、DEMAの割合は1.4〜4.2ポイント大きくなりました。
13期間と55期間のクロスは、EMAが1,000本あたり21.5回、DEMAが40.5回でした。MT5には標準のDEMAがあり、MT4にはありません。測っていない売買の損益や、おすすめの期間は、自分のデータで確かめてから使ってください。移動平均線の基本は移動平均線の記事、TEMAはTEMAの記事にまとめています。
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