
Ease of Movement(EOM)とは|計算式と出来高の扱い

EOMの計算式
EOMは、リチャード・アームズが作った指標で、EquiVolumeという出来高つきのチャートの考え方が元です。「少ない出来高で価格が大きく動けば、動きやすい」という見方を、数字にしたものです。
図の手順で、まず足1本ごとに「中値の変化」を「ボックス比」で割ります。中値は(高値+安値)÷2で、中値の変化は前の足との差です。ボックス比は、ティック数を100万で割り、高値と安値の差で割った値で、値幅あたりのティック数にあたります。この足1本の値を14本の単純平均にしたものがEOMで、配布しているEOM_systreは、EOMをさらに14本の単純平均にしたシグナル線も表示します。
FXでは出来高の代わりにティック数
株式なら出来高をそのまま使いますが、FXには全体の出来高がありません。MT5のヘルプには、FXのVolumesは「期間中の価格の変化の回数」(ティック数)と書かれています。EOM_systreのソースも、MT4はVolume、MT5はtick_volumeを使っています。StockChartsの式は出来高を1億で割りますが、配布ファイルは100万で割るので、値の大きさは同じではありません。また、この記事の測定はDukascopyのティック数で、MT4・MT5に出る値は口座の会社のティック数なので、同じ値にはなりません。
EOMの値の読み方

StockChartsでは、EOMが0より上なら価格が楽に上がっている、0より下なら楽に下がっている、0の近くはレンジの可能性、と説明しています。この読み方が実際の足で成り立つかは、あとの節で測りました。
アドバイスEOMは、中値の動きを、値幅あたりのティック数で割った指標だよ。FXの出来高はティック数で代えるよ。
Ease of Movement(EOM)の見方|EOMを動かす部品を測った結果

チャートでの見え方
図は、USD/JPYの4時間足66本(UTCの2026年9月15日0時から)です。青い線がEOM、オレンジの線がシグナル線です。価格が上がっていた前半は、EOMも0の上にあり、最大で約4.9まで上がりました。価格が下がった後半は、EOMが0を下回る場面が増えました。この66本では、EOMが0を上へ抜けた足(▲)が2回、下へ抜けた足(▼)が2回でした。
EOMの値の大きさは、価格の単位で変わります。USD/JPYの図では最大で約4.9ですが、あとの節のEUR/USDの実画面では、軸が0.0002前後です。どちらの通貨でも、0を基準にして上下を見る点は同じですが、「いくつ以上」という数字の目安は通貨ごとに違います。
ティック数と値幅は一緒に増える

図は、USD/JPYの4時間足1,616本(UTCの2025年10月27日から2026年10月27日)で、1点が1本の足です。値幅が大きい足ほど、ティック数も多くなっています。値幅が100pipsを超える足とティック数が8万を超える足の計57本は、図に出していません。
ティック数と値幅(どちらも対数)の相関係数は、2016年からの5通貨の4時間足で、通貨ごとに0.66〜0.75で、中央値は0.74でした。ボックス比は、このティック数を値幅で割った値を使います。
EOMの大きさを決める部品

足1本の値(EOMの平均を取る前の値)の大きさが、どの部品と一緒に動くかを測りました。足1本の値の絶対値と、中値の変化の絶対値・値幅・ティック数との相関係数を、それぞれ対数にして通貨ごとに出し、5通貨の中央値を取っています。4時間足は87,087本、日足は14,040本です。
中値の変化との相関は、4時間足が0.94、日足が0.95で、いちばん大きくなりました。値幅は0.47と0.54、ティック数は0.10と0.13です。EOMは出来高の指標と呼ばれますが、測った範囲では、ティック数の大小より、中値がどれだけ動いたかに、大きく左右されていました。
EOMの符号(0より上か下か)が、中値の変化の14本平均の符号と同じだった割合は、4時間足が91.0%(87,000本中79,133本)、日足が92.6%(13,973本中12,944本)でした。EOMの上下は、直近14本で中値が上がったか下がったかと、9割ほど一致します。
アドバイスEOMの大きさは、中値の変化との相関が0.94〜0.95だったよ。ティック数との相関は0.10〜0.13だったね。
Ease of Movement(EOM)の使い方|0とシグナル線を抜けたあとの値動き

EOMが0を抜けたあと
EOM(14期間)が0を上へ抜ける動きは、買いのサインとして使われます。そこで、前の足で0以下だったEOMが、その足で0を超えた足を「上抜け」、前の足で0以上だったEOMが、その足で0を下回った足を「下抜け」としました。上抜けは4本後・12本後の終値が上、下抜けは下だったら、抜けた向きに進んだと数えています。抜けた足の終値が基準で、抜けた1回を1件とします。

件数は、4時間足が上抜け4,000件・下抜け3,997件、日足が上抜け615件・下抜け614件です。4時間足の足は5通貨で87,087本、日足は14,040本で、日足は日本時間の9時(UTCの0時)区切りです。日足は1時間足が12本未満の日を2,783日除きました。4本後・12本後を数えるとき、後ろに足がない最後の数本は除くので、件数は図の表より少し減ります。
比べる相手は、全ての足のうち4本後(12本後)に同じ向きだった割合を中心に、同じ件数を選んだときの正規近似の90%の範囲(ランダムの範囲)です。4時間足では、全ての足のうち4本後に上だった割合が約51.6%、下だった割合が約48.3%で、5通貨の期間全体では、上がった足のほうが少し多くなっています。このため、上抜けのランダムの範囲は50%を含みません。
4時間足の上抜けは、4本後が51.9%(範囲50.3〜52.9%)、12本後が52.8%(範囲50.5〜53.1%)で、どちらも範囲に入りました。下抜けは、4本後が48.2%(範囲47.0〜49.6%)、12本後が48.0%(範囲46.8〜49.4%)で、これも範囲に入っています。日足の上抜けは、4本後が52.8%(範囲49.0〜55.6%)、12本後が56.3%(範囲49.5〜56.1%)でした。下抜けは、4本後が50.2%(範囲44.3〜50.9%)、12本後が44.8%(範囲43.8〜50.5%)です。
8つの比べ方のうち、範囲の外に出たのは、日足の上抜け12本後の1つだけで、範囲の上端を0.2ポイント上回りました。範囲は90%なので、8つのうち1つ程度は、偶然でも外れる計算です。日足の件数は611〜614件と少なく、範囲も広くなっています。0を抜けたあとに、抜けた向きへ進むとは言えませんでした。
シグナル線を抜けたあと

EOMがシグナル線を上へ抜けた足(前の足でシグナル線以下、その足で超えた足)と、下へ抜けた足も、同じ数え方で測りました。シグナル線はEOMの14本の単純平均なので、最初の26本は除いています。件数は、4時間足が約4,900件ずつ、日足が約820件ずつです。
4時間足の上抜けは、4本後が52.8%(範囲50.4〜52.8%)、12本後が52.2%(範囲50.7〜53.0%)で、下抜けは、4本後が48.6%(範囲47.1〜49.5%)、12本後が48.0%(範囲46.9〜49.3%)でした。日足の上抜けは、4本後が52.5%(範囲49.5〜55.2%)、12本後が54.8%(範囲50.1〜55.9%)で、下抜けは、4本後が48.4%(範囲44.7〜50.4%)、12本後が45.4%(範囲44.1〜49.8%)です。
8つのうち、範囲の上端を超えたのは、4時間足の上抜け4本後の1つで、差は0.1ポイント未満でした。0を抜けたときと同じく、シグナル線を抜けたあとに、抜けた向きへ進むとは言えませんでした。
測っていないこと
この節で測ったのは、サインのあとの価格の向きだけです。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率、ダイバージェンス(価格とEOMの向きのずれ)、移動平均線やボリンジャーバンドとの組み合わせ、EOMが0から離れた量による違いは測っていません。ゴールドなど、5通貨以外の銘柄も測っていません。
アドバイス0を抜けたあとの割合は、4時間足の上抜けが51.9%と52.8%だったよ。どちらもランダムの範囲に入っていたね。
Ease of Movement(EOM)の設定|期間を変えたときの違い

期間と件数
EOMの期間を、7・14・28に変えて、4時間足87,087本で、EOMが0を上へ抜けた件数を数えました。シグナル線は使っていません。件数は、7期間が6,051件(1,000本あたり69.5件)、14期間が4,000件(45.9件)、28期間が2,797件(32.1件)でした。期間を長くすると、0を抜ける回数は減ります。
期間と抜けたあとの向き
抜けた4本後の終値が、抜けた足の終値より上だった割合は、7期間が50.6%(範囲50.5〜52.6%)、14期間が51.9%(範囲50.3〜52.9%)、28期間が50.7%(範囲50.0〜53.1%)でした。3つとも範囲に入り、期間による差は、偶然の範囲に収まる大きさです。測った範囲では、どの期間がよいかは言えませんでした。
配布しているEOM_systreの初期値は、EOMの期間が14、シグナル線の期間が14です。この記事の測定は、特に書かない限り、この初期値です。期間を変える前に、自分の通貨と時間足で、件数と向きを確かめてください。
アドバイス期間を長くすると、0を抜ける回数は減ったよ。抜けたあとの向きは、3つとも範囲に入っていたね。
Ease of Movement(EOM)のMT4・MT5での入れ方|ZIPの中身と手順

MT4の入れ方
- ダウンロードしたZIPを展開し、MT4フォルダの中の
EOM_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、EOM_systreをチャートに出します。

MT5の入れ方
MT5も手順は同じで、違うのは取り出すファイルと置くフォルダだけです。ZIPのMT5フォルダの中の EOM_systre.ex5 を取り出し、「ファイル」の「データフォルダを開く」から「MQL5」の中の「Indicators」に置きます。そのあと、ナビゲーターで更新し、「挿入」「インディケータ」「カスタム」から表示します。

ダウンロードと入力項目

ZIPには、MT4用のex4ファイルとMT5用のex5ファイルが、それぞれのフォルダに入っています。ex4はMT4用、ex5はMT5用なので、入れる先を間違えないでください。ソースに書かれた初期値は、EOMの期間が14、シグナルの期間が14です。入力名は、MT4がPeriodとSmoothPeriod、MT5がInpPeriodとInpSmoothです。
無料配布のサンプルです。商用利用・再配布はできません。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4がMQL4、MT5がMQL5のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
要点
・EOMは、中値の変化を、値幅あたりのティック数で割り、14本の単純平均にした指標。FXでは出来高の代わりにティック数を使う
・5通貨の4時間足87,087本と日足14,040本で、EOMの大きさは中値の変化との相関が0.94〜0.95、ティック数との相関が0.10〜0.13
・EOMが0を抜けたあと、抜けた向きへ進んだ割合は、4時間足で48.0〜52.8%。日足の1つがランダムの範囲を0.2ポイント上回ったが、8つのうち1つは偶然でも外れる計算
・シグナル線を抜けたあとも、4時間足・日足とも同じ結果
・期間を7・14・28に変えると、0を上へ抜ける件数は4時間足1,000本あたり69.5件・45.9件・32.1件。抜けたあとの向きは3つとも範囲に入る
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ダイバージェンス、ほかの指標との組み合わせ
Ease of Movement(EOM)のよくある質問
Ease of Movementとは何ですか?
中値の動きを、出来高で割った指標です。リチャード・アームズが考えました。FXでは、出来高の代わりに足の中のティック数を使います。
EOMの値は、どう読みますか?
0の上下で、価格の向きを見ます。StockChartsでは、0より上は楽に上がっている、0より下は楽に下がっている、と説明しています。実測では、0を抜けたあとの値動きは、ランダムの範囲と同じ程度でした。
EOMのおすすめ期間はありますか?
おすすめの期間は、測っていません。配布ファイルの初期値は14です。7・14・28を比べると、期間が長いほど、0を抜ける回数が減りました。
EOMで勝てますか?
売買の損益は測っていません。5通貨の4時間足と日足で、0を抜けたあとに抜けた向きへ進んだ割合は、ランダムの範囲とほぼ同じでした。
MT4・MT5に最初から入っていますか?
入っていません。カスタムインジケーターなので、ファイルを入れる必要があります。ZIPに、MT4用とMT5用の両方が入っています。
Ease of Movement(EOM)のまとめ
EOMは、足の中値が動いた量を、値幅あたりのティック数で割った値を、14本の単純平均にした指標です。Dukascopy のティックから作った5通貨の4時間足87,087本と日足14,040本(2016年1月〜2026年10月)では、EOMの大きさは中値の変化との相関が0.94〜0.95で、ティック数との相関は0.10〜0.13でした。EOMの符号は、中値の変化の14本平均の符号と、4時間足で91.0%、日足で92.6%一致しました。
EOMが0を抜けたあとに、抜けた向きへ進んだ割合は、4時間足で48.0〜52.8%で、4つともランダムの範囲に入りました。日足の4つのうち1つは範囲を0.2ポイント上回りましたが、8つの比べ方のうち1つは偶然でも外れる計算です。シグナル線を抜けたあとと期間を変えたときも、大きな偏りは見つかりませんでした。測っていない売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。出来高系の指標はOBVの記事とVROCの記事、勢いの指標はMACDの記事とRSIの記事にまとめています。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
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