
VROCとは|出来高の変化率を見るインジケーター

VROCの意味と読み方
VROCは、出来高のオシレーターです。「今の出来高が、n本前の出来高よりどれだけ増えたか」を%で表し、0より上なら増加、下なら減少を意味します。+100%なら、n本前の2倍の出来高です。価格ではなく出来高の動きを見るので、ローソク足の上げ下げとは別の情報として、相場に参加者が増えているか、減っているかを確かめるために使います。
図の下段のとおり、実際のVROC(14)は0付近を行き来しながら、ときどき数百%の山を作ります。この5日間の117本では、最小が−96.0%、最大が+1,063.3%(10月20日12時)でした。値の大きさそのものを目安にするより、どの時間帯に山ができるかを知るほうが、読み間違いを減らせます(次の章で計測しています)。
FXの出来高はティック数|MT5の出来高も同じ
株式や先物と違い、FXには全員の取引が集まる取引所がありません。そのため、MT4・MT5のチャートに出る出来高は、実際の売買量ではなく、その足の間に気配値が更新された回数(ティック数)で代用するのが一般的です。MT5の標準の出来高インジケーター(Volumes)も、同じ数字を棒で表示します。VROCはその数字の変化率なので、「取引量が増えた」ではなく「価格の更新が増えた」と読みます。
この記事の計測も同じ考え方で、Dukascopyのティックを足ごとに数えた回数を出来高としています。USD/JPYの1時間足(2016年1月〜2026年10月・67,046本)では、1本あたりのティック数の中央値は3,632、平均は4,742でした。ブローカーごとにティックの数え方が違うため、ご自身の口座で見る数字とは一致しません。

アドバイスFXの出来高は「価格が動いた回数」。取引量そのものではない、と覚えておこう。
VROCの計算式|1本の足で計算してみる

計算の手順
計算式は「(今の出来高 − n本前の出来高)÷ n本前の出来高 × 100」です。図の足で数字を入れると、次の3段階になります。
- 今の足(22日13時)のティック数は9,801、14本前(21日23時)は1,142です。
- 差は9,801−1,142=8,659で、これを14本前の1,142で割ります。
- 100をかけて、VROC(14)は+758.2%になります。
この+758.2%は、13時に急に相場が荒れたというより、14本前がティックの少ない時間(日本時間の朝8時)だったことが大きく効いています。n本前の出来高が0の足は割り算ができないため、計算の対象外になります。
期間5・14・25の違い

期間を変えると、同じ相場でも線の形が変わります。1時間足で3通貨ペア・約20万本ずつ数えた分布が次の表です。
| 期間 | +15%超 | +50%超 | −50%未満 | 中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 5 | 46.3% | 31.4% | 19.1% | +7.4% |
| 14 | 47.2% | 34.7% | 24.2% | +8.0% |
| 25 | 37.7% | 21.4% | 9.8% | −1.8% |
計測条件:USD/JPY・EUR/USD・AUD/JPYの1時間足(2016年1月〜2026年10月25日・UTC)を合計し、各期間のVROCが出た約20万本(201,787〜201,847本)で割合を出しました。Dukascopyのティック数を出来高としています。シストレ.COM自社計測です。
期間5と14は、+15%を超える割合が46〜47%でほぼ同じです。期間25だけは37.7%に下がり、中央値もマイナスになりました。1時間足で25本前は、ほぼ前日の同じ時間帯にあたります。時間帯による出来高の増減が打ち消されるためと考えられますが、これは計測の数字から見た推測で、理由まで確かめたものではありません。期間の「正解」は、この計測からは決められませんでした。
アドバイス期間は、何本前と比べるかを決める数字。25本前は、1時間足だとほぼ昨日の同じ時間だね。
VROCのシグナルの見方|時間帯・値幅・方向を計測

VROCの高さは時間帯で決まる
USD/JPYの1時間足で、時間帯ごとの平均ティック数を出しました。最も多いのは14時(UTC)の8,384、最も少ないのは21時の2,178で、約3.8倍の開きがあります。ロンドンと米国の取引が重なる時間にティックが増え、日本時間の早朝(UTCの20〜23時)に減る形です。
この偏りが、そのままVROC(14)に出ます。+15%を超えた足の割合は、13時が94.1%、4時が3.2%でした。つまり「VROCが+15%を超えた」は、午後のロンドン時間ではほぼ毎日起きる普通の状態で、相場の変化を知らせるサインとは言いにくい数字です。同じ時間帯の過去の値と比べるなど、時間帯をそろえて読む必要があります。MT4の画面の時刻はブローカーのサーバー時間なので、UTCとは数時間ずれます。
VROCが高い足は値幅も大きい

VROCと値幅の関係は、はっきり出ました。VROC(14)を5つの区分に分けて、足の値幅(高値−安値)が直前14本の平均の何倍かを見ると、−30%未満の足は0.69倍、+50%超の足は1.43倍でした。次の足の値幅も、0.87倍から1.26倍へと順に大きくなります。VROCが高いのは、その足がすでに大きく動いたことの裏返しでもあるため、「予告」ではなく「いま動いている」ことを確かめる指標といえます。区分ごとの本数は、−30%未満が68,672、+50%超が70,000です。
VROCから上げ下げの方向は分からない

方向についてはほぼ何も出ませんでした。どの区分でも、次の足が陽線になる割合は50.8〜51.5%、ひとつ前と同じ向きが続く割合は48.3〜49.1%で、VROCが高くても低くても変わりません。VROCは「どちらに動くか」ではなく「どれだけ動いているか」を示す指標なので、買いか売りかは、移動平均線や価格の位置など別の材料で決める必要があります。
VROCの急増は何本続くか

VROC(14)が基準を超えた状態は、1本で終わることもあれば、長く続くこともあります。+15%超が1本で終わったのは27.7%、4本以上続いたのは41.7%で、中央値は3本でした。+50%超は中央値が2本で、1本で終わるのが34.9%です。1本だけの急増を見て動くと、次の足にはもう戻っていることが、3回に1回ほどあります。
アドバイスVROCは「どれだけ動いてるか」を教えてくれるよ。「どっちに動くか」は別の道具で見よう。
VROCの検証|ブレイクアウトの絞り込みに使えるか

計測条件
シストレ.COM編集部が、自社運用のMT4/MT5環境で蓄積したtickデータをもとに、15分・1時間・4時間足を作り、VROCでブレイクアウトを絞る効果を計測しました。ブレイクアウトは「終値が直前20本の高値を上抜けたら買い、安値を下抜けたら売り」で、その足の終値で入り、12本後の終値で決済します。取引が重なる場合も別々に数えます。往復コストは1pip固定の仮定で、実際のスプレッドとは一致しません。VROCは期間14で、ブレイクした足の値を使いました。通貨ペアはUSD/JPY・EUR/USD・AUD/JPY、期間は2016年1月〜2026年10月25日です。
絞り込みの結果|PFは1.0に届かない
3通貨ペアを合計した、コスト後PF(取引数)です。「全て」は絞り込みなし、「+15%超」はブレイクした足のVROC(14)が+15%を超えた場合を指します。
| 時間足 | 全て | +15%超 | +50%超 | +100%超 | +15%以下 |
|---|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 0.84(90,075) | 0.86(57,166) | 0.86(45,843) | 0.88(33,262) | 0.80(32,909) |
| 1時間足 | 0.91(22,443) | 0.90(15,197) | 0.90(12,279) | 0.92(8,760) | 0.91(7,246) |
| 4時間足 | 0.93(6,234) | 0.90(4,062) | 0.86(3,081) | 0.90(1,923) | 1.00(2,172) |
絞り込みなしの時点でPFは0.84〜0.93で、コストを入れない場合でも0.95〜0.97と1.0に届かないルールです。そのうえで、VROCで絞った結果は、1時間足では0.90〜0.92とほとんど変わらず、4時間足では+50%超が0.86と、むしろ下がりました。勝率も、1時間足の全て48.1%に対して+15%超は47.9%で、出来高が増えたときのブレイクのほうが勝ちやすい、という結果は出ていません。1取引あたりの平均損益は、1時間足で−1.54pips(全て)と−1.56pips(+15%超)でした。
4時間足の「+15%以下」だけは1.00と最も良い数字ですが、これは通貨ペアごとに分けると結果が割れます(下の表)。15分足では逆に、+15%以下が0.80と最も悪い数字でした。
| 通貨ペア・時間足 | 全て | +15%超 | +15%以下 |
|---|---|---|---|
| USD/JPY 1時間足 | 1.01(7,554) | 1.02(5,049) | 0.99(2,505) |
| USD/JPY 4時間足 | 1.00(2,152) | 1.01(1,395) | 0.97(757) |
| EUR/USD 1時間足 | 0.80(7,235) | 0.84(5,448) | 0.71(1,787) |
| EUR/USD 4時間足 | 0.83(1,941) | 0.80(1,369) | 0.91(572) |
| AUD/JPY 1時間足 | 0.89(7,654) | 0.85(4,700) | 0.97(2,954) |
| AUD/JPY 4時間足 | 0.93(2,141) | 0.85(1,298) | 1.08(843) |
+15%超で絞ると、USD/JPYとEUR/USDの1時間足では少し良くなり、AUD/JPYでは悪くなりました。4時間足は、USD/JPYだけが+15%超で良く、EUR/USDとAUD/JPYでは+15%以下のほうが良い結果です。向きが揃わないため、「VROCが高いときだけブレイクアウトに入る」を、通貨ペアをまたいで使える絞り込みと言うことはできません。
年ごとに見ても、安定した差は出ない

1時間足を年ごとに分けると、2016〜2026年の11年のうち、+15%超のPFが「全て」を上回ったのは6年(2016・2017・2019・2021・2024・2026年)、下回ったのは4年(2018・2020・2023・2025年)、同じが1年(2022年)でした(小数第2位まで)。差は2025年の1.01と0.85のように大きい年もあれば、小さい年もあります。小数第2位で1.00の年を除くと、PFが1.0を上回ったのは、絞り込みなしで2023年と2025年、+15%超で2024年だけです。
VROCだけで勝てるのか
結論は、VROCで絞るだけでブレイクアウトが勝てるようになる、とはいえません。計測した20本ブレイクアウト・12本保有のルールは、絞り込みなしでもコスト前のPFが1.0未満で、そもそも優位のないルールでした。VROCはそこに、時間帯の偏りと値幅の大きさを足しますが、方向を足してはくれません。この結果は、計測した通貨ペア・時間足・ルール・コストの仮定に限った話で、損切りやほかの条件を足した売買には当てはまりません。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。FX取引はリスクを伴うため、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で慎重に判断してください。過去の計測結果は将来の成績を保証しません。
アドバイス「出来高が増えたら勝ちやすい」は、この計測では確かめられなかったよ。自分の通貨ペアで試してから使おうね。
VROCインジケーターのダウンロードとMT4・MT5への入れ方

VROC_systreをダウンロード(MT4・MT5用)
「VROC_systre」は、下のボタンからダウンロードできます。zipの中にMT4フォルダ(VROC_systre.ex4)とMT5フォルダ(VROC_systre.ex5)があり、MT4のex4はMT5では動かないため、使うほうを取り出してください。
MT4・MT5へのインストール手順
zipを解凍し、MT4ならex4、MT5ならex5のファイルだけを取り出します。
メニュー「ファイル」→「データフォルダを開く」から、MT4なら「MQL4」→「Indicators」、MT5なら「MQL5」→「Indicators」を開き、ex4またはex5を移動します。
再起動するか、ナビゲーターで右クリックして「更新」を選びます。一覧に出たVROC_systreをチャートにドラッグ&ドロップすると設定画面が開くので、期間を確認して適用します。
利用上の注意
- 無料配布のサンプルです。商用利用と再配布は禁止です。
- シストレ.COMの登録口座で利用できます。認証が行われていない口座では使えません。
- 出所のわからない改変版は、誤作動や情報流出の恐れがあります。配布元を確認してください。
アドバイス入れたら、まず1日のチャートを見て、どの時間にVROCの山ができるか確かめてみてね。
VROCの使いどころと注意点|他のインジケーターとの組み合わせ

VROCは「動いている」ことの確認に使う
計測の結果から、VROCの使いどころは、動きの大きさの確認に絞るのが現実的です。実画面のように、ほとんどが0付近で、ときどき細い山が出ます(この画面の目盛りの上端は1817.68)。山の高さを比べても意味は薄く、同じ時間帯の普段の値と比べて「今日は動いている」「今日は静か」を判断する使い方が向いています。方向は、移動平均線や価格の位置など別の材料で決めます。



方向を出すインジケーター(上のMACD・RSIなど)と組み合わせる使い方はよく紹介されますが、この記事で計測したのは、20本ブレイクアウトとの組み合わせだけです。ほかの組み合わせでの効果は、確かめていません。
使う前に確認すること
- ティック数は口座ごとに違うため、画面の数字はこの記事の計測と一致しません。
- 時間帯をそろえて読みます。USD/JPYでは、+15%超の割合が13時(UTC)は94.1%、4時は3.2%でした。
- 1本だけの急増は戻りやすく、+15%超が1本で終わる割合は27.7%でした。
- この記事の計測は、標準の計算式を自社で実装したものです。配布版の画面の数字と一致するかの照合はしていません。
- 自動売買に使うなら、通貨ペア・時間足ごとにデモや過去検証で確かめてから使ってください。
アドバイスVROCは「動いてるか」を見る役。買うか売るかは、ほかの条件と合わせて決めようね。
要点
・VROCは、出来高がn本前から何%増減したかを示します。FXの出来高はティック数で、実際の売買量ではありません。
・計算式は(今の出来高−n本前の出来高)÷n本前の出来高×100です。MT4・MT5用の配布版があります。
・自社計測(3通貨ペア・1時間足)では、VROCは時間帯と値幅の大きさに結びつき、上げ下げの方向は示しませんでした。
・VROC(14)が+15%を超えたブレイクだけに絞っても、コスト後のPFは1.0に届きませんでした。
VROCのよくある質問
VROCとは?
今の足の出来高が、n本前の足から何%増減したかを示すインジケーターです。FXの出来高は実際の売買量ではなく、ティック数(価格が更新された回数)です。
VROCの計算式は?
(今の出来高−n本前の出来高)÷n本前の出来高×100です。たとえば14本前が1,142、今の足が9,801なら、+758.2%になります。
MT5で出来高のインジケーターは使えますか?
使えます。FXの出来高はティック数で、MT5の標準のVolumesもその数字を棒で表示します。変化率で見たいときは、当サイトの配布版VROC_systre(MT5用.ex5)をカスタムインジケーターとして追加します。
VROCの期間はいくつがよいですか?
計測からは、最適な期間は決められませんでした。1時間足の+15%超の割合は、期間5で46.3%、14で47.2%、25で37.7%です。25本前は前日の同じ時間帯に近く、時間帯の影響が薄まる分、割合が下がったと考えられます。
VROCで買いか売りかは分かりますか?
分かりません。自社計測では、VROCが高くても低くても、次の足が陽線になる割合は50.8〜51.5%でほぼ同じでした。VROCは動きの大きさを見る指標です。
VROCが高いときだけブレイクアウトに入ると勝てますか?
勝てるとはいえません。自社計測(3通貨ペア・2016〜2026年)では、20本ブレイクアウトをVROC(14)が+15%を超えた足に絞っても、1時間足のコスト後PFは0.91から0.90で、1.0に届きませんでした。
VROCのまとめ
VROCは、FXではティック数の変化率を見るインジケーターです。自社計測では、時間帯による偏りが大きく、値幅の大きさとは結びつく一方で、上げ下げの方向は示しませんでした。ブレイクアウトの絞り込みに使っても、コスト後PFは1.0に届いていません。「いま動いているか」を確かめる補助として使い、売買の判断は別の条件と合わせ、使う通貨ペアと時間足で過去の動きを確かめてから、デモ口座で検証してください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













