
FRAMAとは|値動きの複雑さで追従の速さを変える移動平均

FRAMAの考え方
FRAMAは、John Ehlers氏が2005年に発表した移動平均です。名前のFRAは「フラクタル」で、値動きの複雑さ(フラクタル次元)を表します。EMAは、新しい価格への寄り方(係数α)が期間で決まり、ずっと同じです。FRAMAは、このαを足ごとに計算し直します。
4日間のチャートで見る
上の図は、同じ4日間に、10期間のFRAMA・EMA・SMAを重ねたものです。終値がFRAMAを横切った回数は14回、EMAとSMAは10回ずつでした。この4日間だけでは、FRAMAの横切りがEMAより少ないとは言えません。全体の数え方は、後の節で書きます。EMAはEMAの記事、SMAはSMAの記事にまとめています。
アドバイスFRAMAは、EMAのαを足ごとに変える線だよ。まず、αがどう決まるかを見ていこう。
FRAMAの計算方法|フラクタル次元Dからαまで

計算の手順
期間をNとすると、FRAMAは次の順に計算します。Ehlers氏の原典の式です。
- 直近N本を、前半(N/2本)と後半(N/2本)に分けます。それぞれの「最高値−最安値」を本数で割った値が、N1(後半)とN2(前半)です。
- N本全体の「最高値−最安値」をNで割った値が、N3です。
- フラクタル次元は、D=(ln(N1+N2)−ln(N3))÷ln(2)です。
- 係数は、α=exp(−4.6×(D−1))で、上限1・下限0.01で切ります。
- FRAMA=α×終値+(1−α)×1本前のFRAMAです。
Dは、値動きが一直線に近いと1に近づき、行ったり来たりが多いと2に近づきます。Dが1ならαは1で、FRAMAは終値と同じ位置に来ます。Dが2ならαは0.01で、ほとんど動きません。上の図の点は、5通貨の1時間足で測ったDの中央値の1.50で、αは0.10です。EMAの10期間のα(0.18)より小さい値です。Dが1未満になった足は0.06%、2を超えた足は0.001%で、ほとんどの足が1〜2の中に入りました。
実際の高値・安値で計算した例

表の足では、前の5本の高低差が1.577円(1本あたり0.315円)、後の5本が0.413円(1本あたり0.083円)、10本全体が1.577円(1本あたり0.158円)でした。ここからDは1.336、αは0.214になります。1本前のFRAMAが156.090円、終値が156.119円なので、新しいFRAMAは156.096円です。この値は、プログラムで計算した系列の値と一致しています。
アドバイスDが大きい(ギザギザ)ほどαが小さくなって、線はゆっくり動くよ。式は5行だけだね。
FRAMAのαを測る|値動きの種類で係数はどれだけ変わるか

上の図の4日間で、αは最小0.01、最大0.85、96本の中央値は0.08でした。EMAの10期間のα(0.18)より小さい足は、96本のうち66本です。αは足ごとに大きく動きます。
進み率で分けたαの中央値

全体で見るために、足を進み率で3等分しました。進み率は、20本前の終値からの変化の大きさを、1本ごとの変化の大きさの20本合計で割った値です。一直線に進めば1、行ったり来たりなら0に近くなります。小さい方から3分の1を「横ばい寄り」、真ん中を「中間」、大きい方を「一方向寄り」と呼びます。区切りは0.14と0.30です。
αの中央値は、横ばい寄りが0.08、中間が0.09、一方向寄りが0.15でした。10%〜90%の範囲は、横ばい寄りが0.02〜0.29、一方向寄りが0.03〜0.50です。一方向寄りの方が約2倍大きいものの、横ばい寄りでも0.01まで下がる足は少なく、中央値は0.08です。EMAの10期間のα(0.18)と比べると、全体の70%の足でFRAMAのαが小さくなりました。αを同じ速さのEMAの期間に直すと、横ばい寄りで約25、一方向寄りで約12です。
つまり、横ばい寄りで線がほぼ止まる、とは言えませんでした。測れたのは、横ばい寄りの方がαが小さく、一方向寄りの方が大きいという傾向です。
アドバイスαの中央値は、横ばい寄りが0.08で、一方向寄りが0.15だったよ。差は約2倍だね。
FRAMAとEMA・SMA・KAMAの比較|線の遅れと横切り回数

線の遅れ
線の遅れは、線を終値の系列に重ねたとき、最もよく重なるのが何本前の終値か、で測りました(0.5本刻みの補間つき)。10期間の遅れは、FRAMAが2.2本、EMAが2.9本、KAMAが3.4本、SMAが4.5本でした。FRAMAが最も小さく、同じ10期間のEMAより約0.7本、SMAより約2.3本速く追いつきます。KAMAは、効率の期間10・速い側2・遅い側30で計算しています。KAMAの記事もあわせてどうぞ。
終値が線を横切る回数

横切り回数は、終値が線の上から下、または下から上へ入れ替わった回数です。1,000本あたりでは、FRAMAが186回、EMAが186回、SMAが178回、KAMAが141回でした。FRAMAとEMAは同じ回数です。横切りが少ないのはKAMAで、FRAMAではありませんでした。
2つを合わせると、10期間のFRAMAは、EMAと横切り回数が同じで、遅れが小さい線でした。「ダマシが減る」といった差は、この測定では出ていません。
通貨ペア別の結果

5通貨とも、遅れはFRAMAが2.1〜2.4本、EMAが2.9〜3.0本、SMAが4.5本で、順位は変わりませんでした。横切り回数は、FRAMAが181〜191回、EMAが185〜188回、SMAが176〜181回で、通貨ごとの差は小さい範囲です。
アドバイス10期間だと、FRAMAは遅れが小さくて、横切りはEMAと同じ回数だったよ。KAMAは横切りが少ない代わりに、遅れが大きいね。
FRAMAの期間の決め方|6・10・16・30期間で測った結果

期間を変えた結果
期間を6・10・16・30に変えて、同じ測り方で並べました。各セルは「遅れ(本)/横切り回数(1,000本あたり)」です。例えば1.8/194は、遅れ1.8本・横切り194回を表します。
| 期間 | FRAMA | EMA | SMA |
|---|---|---|---|
| 6 | 1.8/194 | 1.6/243 | 2.5/243 |
| 10 | 2.2/186 | 2.9/186 | 4.5/178 |
| 16 | 2.5/180 | 5.0/145 | 7.5/134 |
| 30 | 3.4/169 | 9.8/104 | 14.5/93 |
FRAMAは、期間を6から30へ5倍にしても、遅れは1.8本から3.4本までしか増えませんでした。EMAは1.6本から9.8本、SMAは2.5本から14.5本です。FRAMAの期間は、EMAやSMAほど遅れに効きません。
横切り回数は逆の結果です。期間を30にしても、FRAMAは169回で、EMAの104回、SMAの93回より多くなりました。期間を長くしても、FRAMAの線は終値と何度も入れ替わります。期間を伸ばして線を滑らかにする使い方には、向いていませんでした。6期間では、FRAMAの194回がEMAの243回より少なく、遅れは1.8本と1.6本で近い値です。
初期値と期間の選び方
原典の例は16期間で、配布ファイルFRAMA_systreの初期値は10です。どの期間がよいかは、この測定からは決められません。遅れと横切り回数の組み合わせを見て、使う時間足で確かめてください。
アドバイス期間を5倍にしても、FRAMAの遅れは1.8本から3.4本だったよ。横切りは30期間でも169回で、あまり減らなかったね。
FRAMAのダウンロードとMT4・MT5への入れ方

ZIPには、MT4用のex4(MT4フォルダ)とMT5用のex5(MT5フォルダ)が1つずつ入っています。使うソフトの側のファイルだけを取り出します。
MT4の入れ方
- ダウンロードしたZIPを展開し、MT4フォルダの中の
FRAMA_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- ナビゲーターに出たFRAMA_systreを、チャートへドラッグします。
MT5の入れ方
MT5も手順は同じで、違うのは取り出すファイルと置くフォルダだけです。ZIPのMT5フォルダの中の FRAMA_systre.ex5 を取り出し、「ファイル」の「データフォルダを開く」から「MQL5」の中の「Indicators」に置きます。そのあと、ナビゲーターで更新し、FRAMA_systreをチャートへドラッグします。
入力欄と注意事項

入力欄は、PeriodFRAMAとPriceTypeの2つで、初期値は10と0です。この記事の「10期間」は、この初期値と同じ数字です。ただし、測定に使った線は、前の節の式から自分で計算したFRAMAで、配布ファイルの表示値そのものではありません。
無料配布のサンプルです。商用利用・再配布は禁止です。本インジケーターは、シストレ.COMの登録口座でご利用いただけます。認証が行われていない口座では使用できません。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4がMQL4、MT5がMQL5のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
FRAMA_systreの表示と使うときの注意

表示のしかた
FRAMA_systreは、価格に重ねて表示する1本の線です。使い方は、ほかの移動平均と同じで、終値との位置関係や、線の傾きを見ます。この記事で測ったのは、線の遅れ・横切り回数・αの3つだけです。
測っていないこと
売買の損益、勝率、損切りや利確の幅は測っていません。FRAMAと、RSI・MACD・ボリンジャーバンドなどを組み合わせた場合も測っていません。RSI、MACD、ボリンジャーバンドは、それぞれの記事にまとめています。
測定は、1時間足の5通貨に限っています。15分足・4時間足・日足は測っていません。また、測定に使ったFRAMAは原典の式で自分で計算した線で、MT5標準のiFrAMAとの一致は確かめていません。
アドバイス測ったのは、遅れ・横切り・αだけだよ。損益は測っていないから、自分のデータで確かめてから使ってね。
要点
・FRAMAは、値動きの複雑さ(フラクタル次元D)から、係数αを足ごとに決める移動平均
・5通貨の1時間足333,913本で、10期間の遅れは、FRAMA 2.2本・EMA 2.9本・KAMA 3.4本・SMA 4.5本
・10期間の横切り回数は、1,000本あたりFRAMA 186回・EMA 186回・SMA 178回・KAMA 141回
・αの中央値は、横ばい寄り0.08・中間0.09・一方向寄り0.15。EMAの10期間のα(0.18)より小さい足は全体の70%
・期間を6から30へ変えると、FRAMAの遅れは1.8本から3.4本、EMAは1.6本から9.8本。30期間の横切りは、FRAMA 169回・EMA 104回
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの時間足、ほかの指標との組み合わせ
FRAMAのよくある質問
FRAMAとは何ですか?
値動きの複雑さで係数αを変える移動平均です。EMAと同じ形の式で、αだけが足ごとに変わります。
期間はいくつがよいですか?
おすすめは測っていません。配布ファイルの初期値は10です。6から30へ変えると、遅れは1.8本から3.4本までしか動きませんでした。
横ばいのとき、線は止まりますか?
止まるとは言えませんでした。横ばい寄りのαの中央値は0.08で、一方向寄りの0.15の約半分です。
EMAよりダマシが少ないですか?
10期間では同じ回数でした。終値が線を横切る回数は、どちらも1,000本あたり186回です。違いが出たのは遅れの方でした。
MT4とMT5のどちらでも使えますか?
どちらでも使えます。ZIPに、MT4用のex4とMT5用のex5が入っています。
FRAMAのまとめ
FRAMAは、値動きの複雑さから、EMAのαを足ごとに決める移動平均です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、333,913本)では、10期間の遅れが2.2本で、EMAの2.9本より小さく、横切り回数は同じ186回でした。αの中央値は、横ばい寄りが0.08、一方向寄りが0.15で、横ばいで線が止まるほどの差ではありませんでした。
期間を30にしても、横切りはEMAの104回より多い169回でした。期間を伸ばして滑らかにする使い方は、測った範囲では確かめられていません。測っていない売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。適応型の移動平均は、適応型移動平均の記事にもまとめています。
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