
KAMAとは|値動きに合わせて追いかける速さが変わる移動平均

KAMAの考え方|EMAとSMAとの違い
KAMAは、ペリー・カウフマン(Perry J. Kaufman)が考案した移動平均です。SMA(単純移動平均)は、決まった本数の終値を同じ重さで平均します。EMA(指数平滑移動平均)は、決めた期間に応じて直近を重くしますが、重さの付け方は常に同じです。KAMAは、直近の値動きがどれだけ一方向に進んだかを表すERを毎回計算し、その値で重さを変えます。ERが大きい(一方向に進んでいる)ときは速く、小さい(行ったり来たりしている)ときは遅く動きます。
図は、USD/JPYの1時間足96本(日本時間の2026年7月28日0時から4日間)です。陽線は緑、陰線は赤で、青がKAMA、オレンジがEMA(20)、下の段がERです。前半の48本はERの平均が0.23で、終値の動き(1本ごとの変化の絶対値の合計)が2.70円、KAMAの動きは0.32円、EMA(20)は0.37円でした。後半の48本はERの平均が0.42で、終値の動きが13.77円に対し、KAMAは5.28円、EMA(20)は3.64円です。価格の動きに対する線の動きの割合は、前半がKAMA 11.8%・EMA 13.8%、後半がKAMA 38.4%・EMA 26.5%でした。値動きが一方向に進んだ後半では、KAMAのほうがEMAより多く動いています。
アドバイスKAMAは、ERで追いかける速さを変える線だよ。図の4日間では、前半は線があまり動かず、後半は大きく動いたね。
KAMAの計算式|ER・SC・本体の3ステップ

計算式は、StockChartsのChartSchoolに載っている形です。標準の設定は、ER期間10・最速2・最遅30で、この記事では「10・2・30」と書きます。MT5の標準インディケータにも、同じ考え方のAdaptive Moving Average(AMA)があり、MetaQuotesのヘルプには、AMAの期間・最速の期間・最遅の期間・シフト・適用価格を入力すると書かれています。
ステップ1|効率比(ER)
ER = |終値 − n本前の終値| ÷ Σ|終値 − 1本前の終値|(直近n本の合計)nはER期間(標準は10)です。10本で価格が一直線に動けば、分子と分母が等しくなってERは1になります。同じ幅を行き来して元の価格に戻れば、分子が0に近づいてERも0に近づきます。ERの詳しい読み方は、カウフマンの効率比の記事にまとめています。
ステップ2|平滑定数(SC)
SC = [ ER ×(2÷(最速+1) − 2÷(最遅+1))+ 2÷(最遅+1) ] の2乗
最速2・最遅30のとき:2÷3 ≒ 0.667、2÷31 ≒ 0.065SCは、新しい終値をどれだけ線に取り込むかの割合です。表のとおり、ERが0のときは0.0042で、EMAの期間に直すと約480本分、ERが1のときは0.444で約3.5本分の速さです。2乗しているため、ERが小さい側では線がとくに動きにくくなります。5通貨の1時間足では、SCの平均が0.088(EMAの約22本分)、中央値が0.059(約33本分)でした。
ステップ3|KAMA本体
KAMA = 前のKAMA + SC ×(終値 − 前のKAMA)形はEMAと同じで、EMAの係数が固定なのに対し、KAMAでは係数のSCが足ごとに変わります。最初のKAMAは、SMAを初期値にします。この記事の測定では、各通貨の最初の600本は計算の助走として除いています。EMAの使い方はEMAの記事にあります。
アドバイスERが0から1に変わると、速さはEMAの約480本分から約3.5本分まで変わるよ。ここがEMAとの違いだね。
KAMAの設定と使い方|ER期間・最遅を変えると横切りと追いつきが変わる

3つの設定の意味
- ER期間(標準10):ERを何本で測るか。ZIPのMT4版の入力欄では「基本期間」と表示されます。
- 最速(標準2):ERが1のときの速さを決める値で、2÷(最速+1)がSCの上限になります。入力欄では「高速反応」です。
- 最遅(標準30):ERが0のときの速さを決める値で、2÷(最遅+1)がSCの下限になります。入力欄では「鈍化反応」です。
設定を変えたときの数字
5通貨の1時間足333,913本で、ER期間と最遅を変えて測りました(最速は2のまま)。1,000本あたりの横切りは、5・2・30が190.0回、10・2・30が140.6回、10・2・60が134.0回、20・2・30が106.2回です。横切ったあと5本以内に横切り直した割合(だまし)は、67.7%、61.0%、60.7%、59.3%でした。大きく動いた足から3本目までに動きの中間へ届いた割合は、98.3%、92.6%、90.7%、56.9%です。
ER期間を20にすると横切りは減りますが、追いつきは大きく落ちます。最遅を30から60にしても、10・2・30からの差は、横切りが6.6回、追いつきが1.9ポイントで、大きくは変わりませんでした。最も低いERの区分での線の動きは、5・2・30で0.142、10・2・30で0.013、10・2・60で0.007、20・2・30で0.065です。4時間足でも、同じ順番でした(横切りは183.3回、136.3回、131.1回、103.1回)。
使い方|測って分かったこと
- 線が平らな間は、ERが低い局面です。10・2・30では、ERが低い5分の1の足で、線の動きは価格の動きの1.3%でした。
- 線が平らでも、価格はその線を何度も横切ります。ERが低い5分の1の足では、1,000本あたり248回横切りました。横切りだけでは、方向の変化とは言えません。
- 横切ったあと5本以内に横切り直す割合は、ERの区分にかかわらず60〜62%でした。ERの高さで、だましが減るとは言えませんでした。
- 大きく動いたあとは、KAMAが追いつくのも速くなります。10・2・30では、3本目までに92.6%が動きの中間へ届きました。
売買の損益や、エントリー・決済のルールは測っていません。この記事は、線の動き方の性質を測ったもので、特定の売買ルールをすすめるものではありません。
アドバイスER期間を20にすると横切りは140.6回から106.2回に減るけれど、追いつきは92.6%から56.9%に落ちるよ。
KAMAとEMA・SMAの比較|横ばい・横切り・追いつきを測った結果

測り方
5通貨の1時間足333,913本と、4時間足84,087本を使いました。4時間足は、1時間足を日本時間の9時・13時・17時・21時・1時・5時の区切りでまとめた足です。比べる相手は、KAMAのER期間と同じ10期間、最遅と同じ30期間、その間の20期間のEMAとSMAです。KAMAは10・2・30で、全て終値で計算しました。各通貨の最初の600本は除いています。
測ったのは3つです。1つ目は、ERの区分ごとの線の動きで、1本ずつの線の変化の絶対値の合計を、終値の変化の絶対値の合計で割ります。足1本を1件と数え、ERの低い順に5等分しました(区分の上限は0.11・0.23・0.37・0.53)。2つ目は、終値が線の上から下へ、または下から上へ変わる横切りで、変わった1回を1件とし、5本以内に逆向きへ変わり直した割合をだましとしました。3つ目は、10本で14本の平均の値幅(ATR)の4倍以上動いた足から、線が動きの中間へ届くまでの本数で、直前10本以内に同じ動きがあれば数えません。1時間足4,808件、4時間足1,314件です。
ERが低い足での線の動き
図の縦軸は、価格が1動く間に線が動いた量です。ERが最も低い区分(0.11以下)では、KAMAが0.013、EMA(10)が0.171、EMA(20)が0.119、EMA(30)が0.119、SMA(10)が0.059、SMA(30)が0.181でした。KAMAは、近い長さの線のうち最も動いていません。最もERが高い区分(0.53超)では、KAMAが0.722、EMA(10)が0.564、EMA(20)が0.407、EMA(30)が0.315で、KAMAのほうが多く動いています。全部の足を合わせると、KAMAは0.257で、EMA(10)の0.329とEMA(30)の0.199の間でした。
価格が線を横切る回数とだまし

1時間足の1,000本あたりの横切りは、KAMAが140.6回(46,964回)、EMA(10)が186.4回(62,247回)、SMA(10)が178.2回(59,515回)、EMA(30)が103.8回(34,649回)でした。だましの割合は、KAMAが61.0%(28,660回)、EMA(10)が68.8%(42,811回)、SMA(10)が62.3%(37,089回)、EMA(30)が60.8%(21,066回)です。
同じくらい速く追いつくEMA(10)と比べると、KAMAは横切りが25%少なく、だましの割合も7.8ポイント低くなりました。一方、KAMAの平均の速さに近いEMA(20)やEMA(30)と比べると、横切りはKAMAのほうが多く、だましの割合はEMA(30)とほぼ同じです。4時間足でも同じ並びで、KAMAは136.3回・58.1%、EMA(10)は177.3回・66.0%、EMA(30)は103.1回・59.6%でした。
ERの区分でみると、KAMAの横切りは、ERが最も低い区分で1,000本あたり248回、最も高い区分で27回です。線が平らな間は、価格がその線の上下を何度も行き来しているためです。EMA(10)は367回と12回で、低い区分でKAMAより多く横切られています。だましの割合は、KAMAでは区分ごとに60〜62%でほぼ同じ、EMA(10)は低い区分の70%から高い区分の54%に下がりました。
大きく動いたあとの追いつき

動きの中間は、10本前の終値と、その足の終値の真ん中です。線がそこへ届いた割合を、その足(0本目)までと3本目までで数えました。1時間足では、KAMAが56.8%と92.6%、EMA(10)が49.1%と95.5%、SMA(10)が29.7%と86.3%、EMA(20)が14.6%と50.7%、EMA(30)が12.0%と25.7%です。10本目までに届いた割合は、KAMAが96.8%、EMA(10)が98.2%、EMA(30)が75.4%でした。
KAMAの追いつきは、EMA(10)とほぼ同じ速さで、3本目まででは、EMA(10)のほうが2.9ポイント高い結果です。EMA(20)やEMA(30)よりは大きく速く、その足で価格と線の差(中央値)は、KAMAが値幅(ATR)の2.08倍、EMA(30)が3.36倍でした。4時間足でも並びは同じで、3本目までの割合は、KAMAが97.3%、EMA(10)が98.2%、EMA(30)が30.6%です。
通貨ごとの違いと、測っていないこと
KAMA(10・2・30)の1時間足を5通貨に分けても、結果は近い値でした。1,000本あたりの横切りは138.2〜142.4回、だましは60.6〜61.3%、3本目までの追いつきは88.8〜94.7%、ERが最も低い区分での線の動きは0.012〜0.013です。
この記事で測ったのは、線の動き方、価格との横切り、追いつきです。売買の損益、勝率、損切りや利確の幅、ほかの指標との組み合わせは測っていません。期間の長さを近づけたEMA・SMAとの比較で、決めた期間の取り方(10・20・30)に結果が左右される点にも注意してください。ほかの適応型の移動平均には、FRAMAの記事があります。
アドバイスKAMAはEMA(10)より横切りもだましも少なくて、追いつきはほぼ同じ速さだよ。ただ、EMA(30)よりは横切りが多いよ。
KAMAインジケーターの入れ方|MT4・MT5のZIPと手順

MT4の入れ方
- ダウンロードしたZIPを展開し、MT4フォルダの中の
KAMA_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、KAMA_systreをチャートに出します。
MT5の入れ方
MT5も手順は同じで、違うのは取り出すファイルと置くフォルダだけです。ZIPのMT5フォルダの中の KAMA_systre.ex5 を取り出し、「ファイル」の「データフォルダを開く」から「MQL5」の中の「Indicators」に置きます。そのあと、ナビゲーターで更新し、「挿入」「インディケータ」「カスタム」から表示します。ex4はMT4用、ex5はMT5用なので、入れる先を間違えないでください。
表示の例と入力欄
下の2枚は、MT4に表示したKAMA_systreの実際の画面です。1枚目はUSD/JPYの1時間足に黄色い線で表示した例、2枚目は入力欄で、基本期間10・高速反応2・鈍化反応30(この記事の「10・2・30」と同じ値)が入っています。


ダウンロード
ZIPには、MT4用のex4ファイルとMT5用のex5ファイルが、それぞれのフォルダに入っています。
無料配布のサンプルです。商用利用・再配布はできません。本インジケーターは、シストレ.COMの登録口座でご利用いただけます。認証が行われていない口座ではご使用いただけません。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4がMQL4、MT5がMQL5のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
要点
・KAMAは、ERで値動きの一方向さを測り、追いかける速さを変える移動平均。計算式の標準は、ER期間10・最速2・最遅30
・5通貨の1時間足333,913本で、ERが最も低い5分の1の足では、価格が1動く間にKAMAは0.013、EMA(10)は0.171、EMA(30)は0.119動いた
・横切りは1,000本あたり、KAMAが140.6回、EMA(10)が186.4回、EMA(30)が103.8回。横切り直しのだましは、61.0%、68.8%、60.8%
・大きく動いた足から3本目までに動きの中間へ届いた割合は、KAMAが92.6%、EMA(10)が95.5%、EMA(30)が25.7%
・ER期間を20にすると、横切りは106.2回に減る一方、追いつきは56.9%に落ちた
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの指標との組み合わせ
KAMAのよくある質問
KAMA(カウフマン適応移動平均)とは何ですか?
ERに合わせて追いかける速さが変わる移動平均です。一方向に進んでいるときは速く、行ったり来たりしているときは遅く動きます。
KAMAの計算式は何ですか?
3つの式を順に計算します。ER=|終値−n本前の終値|÷直近n本の1本ごとの変化の合計、SC=[ER×(2÷(最速+1)−2÷(最遅+1))+2÷(最遅+1)]の2乗、KAMA=前のKAMA+SC×(終値−前のKAMA)です。
KAMAの設定は何にすればいいですか?
おすすめは測っていません。標準は10・2・30です。5通貨の1時間足では、ER期間を5にすると横切りが190.0回、20にすると106.2回(標準は140.6回)になり、20では追いつきが56.9%に落ちました。
EMAやSMAと何が違いますか?
線の動きの大きさが、ERで変わる点です。ERが最も低い5分の1の足では、価格が1動く間にKAMAは0.013、EMA(10)は0.171、SMA(10)は0.059動きました。ERが最も高い5分の1の足では、KAMAが0.722、EMA(10)が0.564です。
KAMAにすると、だましは減りますか?
EMA(10)よりは減りましたが、EMA(30)とは同じ程度でした。横切ったあと5本以内に横切り直した割合は、KAMAが61.0%、EMA(10)が68.8%、EMA(30)が60.8%です。売買の成績は測っていません。
MT4・MT5のどちらでも使えますか?
どちらでも使えます。ZIPに、MT4用のex4とMT5用のex5が入っています。MT5には、標準のAdaptive Moving Average(AMA)もあります。
KAMAのまとめ
KAMAは、ERで追いかける速さを変える移動平均です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、333,913本)では、ERが最も低い5分の1の足で、価格が1動く間にKAMAは0.013しか動かず、EMA(10)の0.171の約13分の1でした。大きく動いた足から3本目までの追いつきは92.6%で、EMA(10)の95.5%とほぼ同じ速さです。
一方、価格が線を横切る回数は、1,000本あたり140.6回で、EMA(30)の103.8回より多く、だましの割合も61.0%と、EMA(30)の60.8%とほぼ同じでした。KAMAで、だましが大きく減るとは言えません。測っていない売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。移動平均のほかの見方は、MACDの記事、ボリンジャーバンドの記事、RSIの記事にまとめています。
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