
ネックラインとは|パターンの完成を見分ける線

ネックラインの意味と役割
ネックライン(neckline)は、「首の線」という意味です。三尊(ヘッドアンドショルダー)では、頭の左右にできた2つの谷の安値を結びます。上の図は、USD/JPYの1時間足の三尊です。左肩・頭・右肩の3つの山のあいだにできた2つの谷を結んだ線がネックラインで、この線を終値で下へ割ったところが、パターンの完成です。
ネックラインは、それまで上昇していた動きが止まったかどうかを見る境目として使います。線の上にいるあいだは、上昇の途中の押しにすぎません。線を終値で割ると、右肩の山が頭に届かなかったことと合わせて、上昇の勢いが弱まったと読みます。
ネックラインが出るチャートパターン
ネックラインを引くパターンは、三尊・逆三尊のほか、ダブルトップ・ダブルボトム、トリプルトップ・トリプルボトムがあります。線を引く位置と、線を割る向きは、次の表のとおりです。
| パターン | ネックラインを引く位置 | 割る向き |
|---|---|---|
| 三尊 | 頭の左右にできた2つの谷の安値を結ぶ | 下 |
| 逆三尊 | 頭の左右にできた2つの山の高値を結ぶ | 上 |
| ダブルトップ | 2つの山のあいだの谷の安値 | 下 |
| ダブルボトム | 2つの谷のあいだの山の高値 | 上 |
| トリプルトップ | 3つの山のあいだの2つの谷の安値 | 下 |
| トリプルボトム | 3つの谷のあいだの2つの山の高値 | 上 |
三尊・逆三尊は、谷の高さがそろわないと、ネックラインが斜めになります。ダブルトップ・ダブルボトムは、線を引く場所が1か所なので、線は水平です。それぞれの形の見つけ方は、三尊・逆三尊の記事にまとめています。

アドバイスネックラインは、パターンが完成したかを見る線だよ。終値で割ったときに、完成と見るんだ。
ネックラインの引き方|水平と斜めのちがい

ネックラインを引く手順
- 頭と、その左右の肩を見つけます。三尊なら、真ん中の山が最も高く、左右の山がそれより低い形です。
- 左肩と頭のあいだの谷、頭と右肩のあいだの谷を探します。
- その2つの谷の安値を、ヒゲの先まで含めて直線で結びます。
- 線を右へ伸ばし、ローソク足の終値が線の外へ出るかを見ます。
右肩ができるまでは、線の2点目が決まりません。右肩の山ができて、そこから価格が下がり始めたあとに、はじめて線が引けます。引いたあとで、線の位置をずらすと、線を割ったかどうかの判断が変わってしまうので、一度引いた線は動かさないほうが、あとで見直しやすくなります。
水平なネックラインと斜めのネックライン
2つの谷の高さがほぼ同じなら、線は水平になります。高さがちがうと、線は斜めになります。上の図のAUD/JPYの三尊は、2つ目の谷のほうが高く、右上がりのネックラインです。斜めの線は、時間がたつほど線の位置が動くので、割ったと見る価格も変わります。
「水平のほうが信頼できる」と言われることがあります。この記事で測った776件では、2つの谷の差がパターンの高さの0.25倍以内を水平、それより大きいものを斜めとして分けました。水平が613件、斜めが163件です。目標値に届いた割合は、水平が58.9%、斜めが66.3%で、斜めのほうが高い結果でした。ただし、斜めは163件と少なく、1時間足と4時間足の件は互いに独立ではないため、幅をもって見る必要があります。くわしくは、測定の節で書いています。
ダブルトップ・ダブルボトム、トリプルトップ・トリプルボトムの場合
ダブルトップは、同じくらいの高さの山が2つ並び、そのあいだの谷が、ネックラインです。ダブルボトムは、その上下を逆にした形です。山(谷)が3つ並ぶ形が、トリプルトップ(トリプルボトム)で、谷(山)が2つできるので、その2つの安値(高値)を結びます。






ネックラインは、水平な線や斜めの線を引くという点では、サポート線とレジスタンス線と同じです。ちがうのは、パターンの谷や山を結んでいて、そのパターンが完成したかを見るために引く点です。
アドバイス谷の高さがそろえば水平、そろわなければ斜めになるよ。引いた線は動かさないでね。
ネックラインブレイクのエントリーと目標値の決め方

終値で割ってから入る
ネックラインを割ったと見るのは、ローソク足の終値が線の外へ出たときです。ヒゲの先が線をこえただけでは、割ったことになりません。上の図は、逆三尊で、終値がネックラインを上へこえた足のあとに、買いの動きが出た例です。
入り方は、おもに2つあります。ひとつは、終値で割った足のあとの足で入る方法で、動きに乗りやすい代わりに、だましにあうと損失になります。もうひとつは、いったん線まで戻ってくる動き(戻り)を待って入る方法で、入る価格は有利になる可能性がありますが、戻らずに進むと、入れません。どちらが良いかは、測っていません。
目標値の決め方|パターンの高さを使う
目標値は、よく、パターンの高さ(頭からネックラインまでの距離)を、割った位置から同じ向きにのばして決めます。三尊なら、割った足の終値から、パターンの高さの分だけ下です。この記事の測定でも、この決め方を使いました。上の図の逆三尊では、割った足から35本あとに、この目標値へ届いています。
目標値は、そこまで届くと決まったものではありません。測定では、届いたのは約6割で、残りの約4割は、100本のうちには届きませんでした。目標値はひとつの目安として、届かない場合の手じまいも、先に決めておく必要があります。
戻りとだまし
戻りは、割ったあとに、価格がネックラインまでもどってくる動きです。だましは、割ったように見えたのに、すぐに線の内側へ終値がもどる動きです。この記事の測定では、割ってから30本以内に、線へ高値が触れたものを「戻りあり」、5本以内に、終値が線の内側へもどったものを「だまし」と数えました。
だましの対策や、「だましを避けるための確認」の考え方は、ダマシの記事にまとめています。

損切りの置き方とATR
損切りの置き場所として、よく使われるのは、右肩の高値の少し上や、頭の高値の少し上です。線から少し離れた場所に置くときは、ATR(平均的な1本の値幅)を使って、離す幅を決めることもあります。ATRの考え方は、ボラティリティの記事にまとめています。どの置き場所が良いかは、この記事では測っていません。

アドバイス終値で割ったら、目標値はパターンの高さで決めるよ。でも、届かないこともあるから、先に手じまいも決めておいてね。
ネックラインを割ったあとの値動き|三尊・逆三尊776件を測定

測り方
USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの1時間足と4時間足から、三尊と逆三尊を、ルールで機械的に見つけました。右肩の山ができたことが確かめられた時点で、その足までのデータだけを使って判定していて、あとの値動きを見て形を選んではいません。見つかったのは1,145件で、そのうち、60本以内に終値でネックラインを割ったのが776件、割らなかったのが367件、データの終わりに近くて確かめられなかったのが2件でした。

形の条件と、数え方は、上の表のとおりです。ふつうの三尊・逆三尊の形で、頭の高さがATRの2倍以上あるものだけを対象にしました。776件の、パターンの高さの中央値は、ATRの3.85倍で、左肩から右肩までの長さの中央値は23本でした。
比べる相手には、ランダムな時刻を使いました。同じ通貨ペア、同じ足、同じ向きで、ランダムに選んだ300本の足から、同じ距離・同じ傾き・同じパターンの高さ(ATRで合わせた値)で線を置き、同じように数えた割合です。ランダムな場合の割合を中心に、二項分布の正規近似で計算した90%の範囲を、比べる範囲としました。
結果|目標値は範囲の上、戻りとだましは範囲の中
776件のうち、割った足の終値から、パターンの高さ分の目標値に、100本以内で届いたのは469件で、60.4%でした。ランダムな場合は56.2%(範囲53.3〜59.1%)で、実測は範囲のすぐ上です。ネックラインまで戻ったのは659件で84.9%(ランダム86.4%、範囲84.4〜88.4%)、だましは403件で51.9%(ランダム51.5%、範囲48.6〜54.5%)でした。この2つは、範囲の中です。
つまり、ネックラインを割ったあとに、戻りが入るのは、ランダムな場合と変わりませんでした。8割以上が、一度は線へ戻っています。目標値へ届く割合は、ランダムより少し高い結果でしたが、範囲を出たのは、わずかです。
あとから分かることも、ひとつ数えました。だましが起きた403件は、そのうち51.1%が目標値へ届き、だましのなかった373件は、70.5%が届きました。戻りがなかった117件は、82.1%が届いています。ただし、だましや戻りが起きたかは、割ったあとにならないと分からないので、入る前の判断には使えません。
足・向き・線の傾きで分けた結果

1時間足は587件、4時間足は189件です。三尊は365件、逆三尊は411件。ネックラインが水平なものは613件、斜めのものは163件でした。どの分け方でも、合計は776件です。
範囲の外に出たのは、目標値に届く割合の、全体・1時間足・三尊・斜めの4つと、戻りの割合の斜めの1つです。三尊は62.7%、逆三尊は58.4%で、三尊のほうが高く、1時間足は61.2%、4時間足は58.2%でした。水平な線は、目標値に届く割合が58.9%、斜めの線が66.3%です。
斜めの線は、だましの割合が42.3%で、水平の54.5%より低くなりました。ただ、これは線の形による部分が大きいと考えられます。同じ傾きの線をランダムな時刻に置いても、斜めは46.8%、水平は52.8%で、斜めのほうが低くなるためです。斜めの実測42.3%は、その範囲(40.4〜53.2%)の中でした。「水平のほうが信頼できる」ことは、この測定では確かめられませんでした。
通貨ペア別の結果

件数は、USD/JPYが144件、EUR/USDが126件、GBP/USDが147件、EUR/JPYが150件、AUD/JPYが209件で、合計776件です。範囲の外に出たのは、GBP/USDのだまし(59.2%)、AUD/JPYの目標値(63.6%)、AUD/JPYの戻り(83.7%)の3つでした。ほかの12の数字は、範囲の中でした。
測定の限界と、測っていないこと
この測定には、いくつかの限界があります。1時間足と4時間足、または、相関のある通貨ペアでは、同じ時期の同じ値動きから、別々の形が見つかっていることがあり、776件は、それぞれ独立ではありません。範囲は、独立を仮定した計算なので、実際の範囲はもっと広くなる可能性があります。
100本のなかに週末をまたぐ件が、776件中685件(88.3%)ありました。ランダムな場合も同じ割合で週末をまたぎます。足は、買い値でなく売り値(bid)で作っています。
測ったのは、ネックラインを割ったあとの値動きの向きと回数で、売買の損益ではありません。スプレッド、損切り幅、利確の位置、ほかの指標との組み合わせ、三尊・逆三尊以外のパターンは測っていません。
アドバイス目標値に届いたのは60.4%で、ランダムの範囲のすぐ上だよ。戻りとだましは、ランダムと変わらなかったね。
要点
・ネックラインは、パターンの谷(山)を結んだ線で、終値で割ると、パターンの完成と見る
・線は、頭の左右の2つの谷(逆三尊は山)を結ぶ。一度引いたら動かさない
・三尊・逆三尊776件(5通貨・1時間足と4時間足・2016年1月〜2026年10月)では、目標値に届いたのが60.4%、戻りが84.9%、だましが51.9%
・目標値はランダムの範囲(53.3〜59.1%)のすぐ上、戻りとだましは範囲の中
・「水平のほうが信頼できる」は、確かめられなかった(目標値に届く割合は水平58.9%、斜め66.3%)
・測っていないのは、売買の損益、損切りの置き方、ほかの指標との組み合わせ
ネックラインのよくある質問
ネックラインとは何ですか?
パターンの谷(山)を結んだ線です。三尊・逆三尊、ダブルトップ・ダブルボトムなどで、この線を終値で割ると、パターンの完成と見ます。
ネックラインはどこに引きますか?
三尊なら、頭の左右にできた2つの谷の安値を結びます。逆三尊は2つの山の高値、ダブルトップは2つの山のあいだの谷です。
ネックラインは水平でないといけませんか?
斜めでもかまいません。三尊・逆三尊は、谷の高さがそろわないと斜めになります。776件の測定では、目標値に届いた割合は、水平が58.9%、斜めが66.3%でした。
ネックラインを割ったら、戻りはありますか?
8割以上で戻りました。三尊・逆三尊776件で、割ってから30本以内に、線へ高値が触れたのは84.9%で、ランダムな場合と変わりませんでした。
ネックラインのだましは、どれくらいありますか?
約半分でした。三尊・逆三尊776件で、割ってから5本以内に、終値が線の内側へもどったのは51.9%でした。
ネックラインを割ると、目標値まで届きますか?
届いたのは約6割でした。パターンの高さ分の目標値に、100本以内で届いたのは60.4%で、届かなかったのが約4割あります。
ネックラインのまとめ
ネックラインは、三尊・逆三尊、ダブルトップ・ダブルボトムなどの、谷や山を結んだ線で、終値で割ると、パターンの完成と見ます。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足と4時間足(2016年1月〜2026年10月)で、ネックラインを終値で割った三尊・逆三尊776件を測ると、パターンの高さ分の目標値に届いたのは60.4%、戻りは84.9%、だましは51.9%でした。
目標値に届く割合は、ランダムな場合の範囲(53.3〜59.1%)のすぐ上で、戻りとだましは、範囲の中でした。「水平のほうが信頼できる」とは言えませんでした。測っていない売買の損益や損切りの置き方は、自分のデータで確かめてから使ってください。形の見つけ方は三尊・逆三尊の記事、ダブルトップ・ダブルボトムの記事にまとめています。
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