
FXの落とし穴|測った5つの点と測り方

5つの点と結果
表の1行が、1つの落とし穴です。「測ったこと」は、その落とし穴を数字にした項目で、1つ目と2つ目は損切りなしで入った20,390件、3つ目と4つ目は別の測り方(後の節に書いています)です。5つ目の自動売買は、設定した金額の計算です。
1つ目は、365日のうちに含み損が4%に届いた件の割合で、64.4%でした。2つ目は、含み損が4%に届いた件のうち、入った価格へ戻った割合で、63.5%でした。3つ目のスプレッドは、通貨ペアごとの2025年の平均で、0.57〜1.53pipsです。4つ目は、5通貨の日ごとの動きの相関で、−0.45〜0.70でした。5つ目は、USD/JPYを1万通貨持って100pips逆行したときの損失で、10,000円です。
測り方|1件の数え方
価格は、Dukascopy のティックから作った1分足(bid)です。損切りなしで入った1件は、2016年1月から2025年10月の平日の日本時間21時(UTC12時)に、その1分足の始値で買い、または売りで入った1回です。1日に買い1件と売り1件を数え、通貨ペアごとに4,072〜4,080件、5通貨で20,390件になりました。入った時刻から365日、損切りなしで持ち続けたものとして追っています。
含み損の大きさは、入った価格に対する%で、買いなら足の最安値、売りなら最高値で測りました。スプレッドとスワップは引いていません。毎日入っているので、前後の件は同じ相場を共有しており、件が独立しているわけではありません。通貨ペアや年ごとの差には、偶然も含まれます。
アドバイス5つの落とし穴を、同じ為替レートで測ってみたよ。次の節から1つずつ見ていこう。
FXの落とし穴①レバレッジ|取引量と含み損の幅で損失が決まる

取引量と損失額の計算
USD/JPYは1pipsが0.01円なので、損失額は、取引量×逆行した幅です。1万通貨なら、50pips逆行で5,000円、100pipsで10,000円、200pipsで20,000円です。取引量が10倍になると、同じ値動きでも損失額は10倍になります。10万通貨なら、100pipsの逆行で100,000円です。
レバレッジは、取引金額が証拠金の何倍かを表します。個人の店頭FXは、通貨ペアを問わず、取引金額の4%以上の証拠金が必要で、レバレッジに換算すると25倍以下です(金融庁「FX取引のルール」、令和2年2月21日更新)。詳しい仕組みはレバレッジの記事にまとめています。
ロスカットまでの計算例

金融商品取引業者は、損失の拡大を防ぐためのロスカットルールを定めます(同じ金融庁のページ)。基準は会社ごとに違うので、表では、証拠金維持率が100%になる場合で計算しました。150円で1万通貨を買うと、取引金額は150万円、証拠金4%は6万円です。口座に10万円なら、損失が4万円、値動きが4円(400pips)逆行したところで維持率が100%になります。ロスカットの仕組みはロスカットの記事で説明しています。
含み損が届く割合|365日で測った

含み損が4%に届いた件は、90日以内で34.3%、365日以内で64.4%でした。4%は、25倍で証拠金がなくなる幅です。2%(50倍で証拠金がなくなる幅)は、90日以内で61.8%、365日以内で81.6%でした。10%(10倍)は4.1%と25.6%、20%(5倍)は0.1%と3.0%です。レバレッジが低いほど、証拠金がなくなる幅は広く、その幅に届く割合は小さくなりました。

届くまでの日数を見ると、4%は30日以内で11.9%、180日以内で50.1%です。2%は30日以内に40.0%が届きました。含み損の大きさが小さいほど、早く届く割合が大きくなっています。
アドバイス25倍なら、4%動くと証拠金がなくなる計算だよ。365日では、その幅に6割以上の件が届いたんだ。
FXの落とし穴②損切りしない保有|含み損から戻った割合と日数

365日の間の最大の含み損
入ってから365日の間に、含み損が最も大きくなったときの大きさは、5通貨の合計で、中央値が5.8%でした。大きかった順に並べた10%目の値は15.1%です。通貨ペアごとでは、中央値が最も大きいのがAUD/JPYの7.7%、最も小さいのがEUR/USDの4.8%でした。大きい側10%の境目も、AUD/JPYが18.9%、EUR/USDが13.1%と、同じ順です。
入った価格へ戻った割合

戻った割合は、入ってから90日以内に含み損が出た件のうち、365日以内に、足の高値(売りは安値)が入った価格に届いた件の割合です。含み損が出てから戻るまでの余裕は、275日以上あります。2%に届いた12,606件のうち80.9%、4%に届いた7,001件のうち63.5%、10%に届いた833件のうち41.1%が戻りました。含み損が大きいほど、365日以内に戻った割合は小さくなりました。
「戻らなかった」は、365日以内に戻らなかったという意味で、その後に戻るかは追っていません。
この割合は、ポジションを持ち続けられた場合の数字です。25倍で取引していると、含み損が4%に届いた時点で証拠金がなくなり、維持率の基準によってはその前にロスカットされるため、戻る前に決済されます。また、持っている間のスワップポイント(通貨の金利差の受け払い)は計算に入れていません。
戻るまでの日数

含み損が4%に届いた件では、入ってから90日目までに23.6%、180日目までに46.1%、270日目までに57.8%が戻りました。戻った件だけで見ると、入ってから戻るまでの日数の中央値は118日で、4分の1が68日以内、4分の3が189日以内です。10%に届いた件は、180日目までに23.6%、365日目までに41.1%でした。
通貨ペアごと・入った年ごとの違い

含み損が4%に届いた件の戻った割合は、AUD/JPYが72.2%で最も大きく、USD/JPYが69.9%、GBP/USDが64.2%、EUR/JPYが55.6%、EUR/USDが48.7%で最も小さくなりました。

入った年ごとに分けると、戻った割合は、2025年の30%から2024年の86%まで、30〜86%に広がりました。年ごとの件数は425〜1,116件で、同じ年の件は同じ相場を共有します。通貨ペアと同じく、差の一部には偶然が含まれます。
戻るまでの1回の例

図は、2016年4月18日の日本時間21時にUSD/JPYを108.26円で買った1回です。59日目に4%下の103.93円へ届き、含み損は最大で8.6%(98.96円)になりました。入った価格の108.26円へ戻ったのは210日目です。この1回は、戻った件のうちの1つとして選んだもので、戻らなかった件もあります。
損切り注文の種類は注文方法の記事、保有している状態の基本はポジションの記事にまとめています。
アドバイス含み損が4%に届いた件は、365日以内に6割ほどが戻ったよ。でも残りの4割弱は、365日たっても戻らなかったんだ。
FXの落とし穴③取引の回数|スプレッドの合計が増える

年ごとのスプレッド
スプレッドは、買値と売値の差で、1回の取引で必ずかかる費用です。Dukascopy の提示値では、2025年の平均は、EUR/USDが0.57pips、USD/JPYが0.87pips、GBP/USDが1.11pips、AUD/JPYが1.27pips、EUR/JPYが1.53pipsでした。USD/JPYは2016年の0.47pipsから、2025年の0.87pipsに広がっています。国内の会社のスプレッドは、この値とは異なります。
回数とスプレッドの合計

USD/JPYを1万通貨で、買って決済するまでを1回として、スプレッド1回分を引く計算にしました。2025年の平均で、月10回なら年10,453円、月50回なら52,265円、月200回なら209,062円です。図は、丸めない平均0.871pipsで計算しています。損益に関係なく、回数に比例して増えます。
無作為に入った取引の勝ち

ランダムな取引で確かめました。1件は、2016年1月から2026年10月の平日の毎時0分(UTC)に、買いまたは売りで入り、1時間後または24時間後の始値で決済した1回です。同値は利益に数えていません。スプレッドを引く前は、利益になった割合が49.7〜50.0%でした。引いたあとは、1時間後に決済すると、43.1〜46.2%に下がります。1日後に決済すると、49.1〜49.6%です。1件の平均損益は、USD/JPYの1時間後決済で−0.69pipsでした。
1時間後の決済のほうが、1日後の決済より、スプレッドを引いたあとの割合の下がり方は大きくなりました。回数の多い取引の背景はポジポジ病の記事でも書いています。
アドバイススプレッドは、1回ごとの金額は小さいけれど、回数をかけると大きくなるよ。
FXの落とし穴④通貨ペアを増やす|動きが重なる組み合わせがある

日ごとの動きの相関
通貨ペアを増やしたとき、動きが重なるかを、日足の変化率の相関で測りました。相関は−1から1で、1に近いほど同じ向きに動き、−1に近いほど逆向きに動きます。日足は、UTCの日付の最後の終値です。
相関が最も大きかったのは、EUR/JPYとAUD/JPYの0.70です。USD/JPYとEUR/JPYが0.66、EUR/USDとGBP/USDが0.65でした。最も小さかったのは、USD/JPYとEUR/USDの−0.45です。5通貨の10組のうち、0.5以上は4組ありました。
日ごとの上げ下げの向きが同じだった日は、EUR/USDとGBP/USDで75.1%、EUR/JPYとAUD/JPYで73.9%、USD/JPYとEUR/USDで33.8%でした。USD/JPYを買うとドルを買い、EUR/USDを買うとドルを売る形になるため、相関は負です。通貨ペアの基本はFXの基本の記事を見てください。
アドバイス通貨を増やしても、同じ向きに動く組み合わせがあるよ。EUR/JPYとAUD/JPYは0.70だったね。
FXの落とし穴⑤自動売買|決める設定は4つで、数字に当たる

設定と数字の対応
自動売買は、売買の判断を機械に任せますが、取引量・損切りの幅・取引の回数・通貨ペアは、設定として自分で入れます。表の4つは、この記事で測った数字に当たります。取引量は、1万通貨で100pips逆行すると1万円という損失額を決めます。損切りの幅は、含み損の大きさを区切ります。含み損が4%に届いた件は、365日で64.4%でした。
取引の回数は、スプレッドの合計を決めます。USD/JPYで月50回なら、年52,265円です。通貨ペアは、同じ向きの動きの重なりを決めます。EUR/USDとGBP/USDの相関は0.65でした。設定を入れる前に、自分が決める数字を、この4つで書き出せます。
この記事の数字は、損益ではなく、含み損の大きさ・戻った割合・スプレッド・相関を測ったものです。FXが難しいと言われる理由はFXが難しい理由の記事にまとめています。
アドバイス設定の数字は、自分で入れるものだよ。この4つを先に書き出しておこう。
要点
・測ったのは、レバレッジ・損切りしない保有・取引の回数・通貨ペアの重なり・自動売買の設定の5つ(Dukascopy のティックから作った足、2016年1月〜2025年10月、5通貨)
・損切りなしで入った20,390件では、365日のうちに含み損が4%(25倍で証拠金がなくなる幅)に届いた件が64.4%、10%に届いた件が25.6%
・含み損が4%に届いた件のうち、365日以内に入った価格へ戻った割合は63.5%。2%は80.9%、10%は41.1%
・スプレッドは、2025年の平均で0.57〜1.53pips。USD/JPYを1万通貨で月50回取引すると、スプレッドの合計は年52,265円
・5通貨の日ごとの動きの相関は−0.45〜0.70。EUR/JPYとAUD/JPYは0.70
・この数字は、スプレッドとスワップを引いていない値動きの測定で、売買の損益ではありません
FXの落とし穴のよくある質問
個人の店頭FXのレバレッジは、何倍までですか?
25倍以下です。取引金額の4%以上の証拠金が必要で、通貨ペアを問わず同じです(金融庁、令和2年2月21日更新)。
損切りしないと、含み損はどれくらいになりますか?
損切りなしで入った20,390件を365日追うと、含み損が4%に届いた件は64.4%、10%に届いた件は25.6%でした。
含み損は、待てば入った価格へ戻りますか?
含み損が4%に届いた件では、365日以内に63.5%が戻り、36.5%は戻りませんでした。10%に届いた件は、戻ったのが41.1%です。
取引の回数を増やすと、何が変わりますか?
スプレッドの合計が増えます。USD/JPYを1万通貨で取引する場合、月10回で年10,453円、月200回で年209,062円です(2025年の平均スプレッド)。
通貨ペアを増やすと、損失は分かれますか?
組み合わせによります。5通貨の日ごとの動きの相関は−0.45〜0.70で、EUR/JPYとAUD/JPYは0.70、USD/JPYとEUR/USDは−0.45でした。
自動売買なら、落とし穴を避けられますか?
取引量・損切りの幅・取引の回数・通貨ペアは、自動売買でも自分で設定します。この記事の測定は、その設定が決める損失額・含み損・スプレッド・相関の数字です。
FXの落とし穴のまとめ
FXの落とし穴を、Dukascopy のティックから作った5通貨の足(2016年1月〜2025年10月)で測りました。損切りなしで入った20,390件では、含み損が4%(25倍で証拠金がなくなる幅)に届いた件が365日で64.4%、そのうち365日以内に入った価格へ戻ったのは63.5%でした。含み損が10%に届いた件は25.6%で、戻ったのは41.1%です。
スプレッドは2025年の平均で0.57〜1.53pipsで、USD/JPYを1万通貨で月50回取引すると年52,265円です。5通貨の日ごとの動きの相関は−0.45〜0.70でした。この数字は、スプレッドとスワップを引いていない値動きの測定で、売買の損益ではありません。金融庁のFX取引のルールも、取引の前に確認してください。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
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