
ロスカットとは|維持率が水準を下回ると強制決済される仕組み

ロスカットの仕組み
FXは、取引の額の一部を証拠金として預けて取引します。国内では、必要な証拠金が取引の額の4%(25倍)などと内閣府令で決められています。価格が逆に動くと評価損が出て、預けた額に評価損益を足した有効証拠金が減ります。
維持率は、有効証拠金を必要証拠金で割った割合です。会社が決めた水準を下回ると、会社がポジションを自動で決済します。これがロスカットです。損失が預けた額を大きく超える前に止めるための仕組みですが、急な値動きでは、決済の値が水準から離れ、預けた額を超える損失(不足金)になることもあります。
維持率の計算例
USD/JPYを150円で1万通貨買った場合、取引の額は150万円で、必要証拠金は6万円です。資金10万円を預けていると、建てた直後の維持率は166.7%です。147円まで3円下がると、評価損は3万円、有効証拠金は7万円になり、維持率は116.7%まで下がります。

通貨量で必要証拠金が変わる
必要証拠金は、通貨量に比例して増えます。資金が同じ10万円でも、5,000通貨なら建てた直後の維持率は333.3%、1万通貨なら166.7%です。2万通貨は必要証拠金が12万円で、資金10万円では建てられません。なお、実際の会社は、必要証拠金を毎週や毎日の為替レートで見直すため、建てたあとに必要証拠金が変わることもあります。この記事の計算例では、建てた値のまま固定しています。

アドバイス維持率は、有効証拠金÷必要証拠金だよ。資金10万円で1万通貨なら、建てた直後は166.7%、3円下がると116.7%だね。
ロスカットの計算例|資金と通貨量でロスカットまでの値幅が決まる

ロスカットまでの値幅の求め方
維持率50%は、有効証拠金が必要証拠金の半分になった状態です。1万通貨なら必要証拠金は6万円なので、有効証拠金が3万円まで減ったところで水準に届きます。資金10万円なら、減らせるのは7万円です。1万通貨のUSD/JPYで7万円の損は、7円(700pips)の下落に当たります。
式にすると、ロスカットまでに許される損失は、資金から必要証拠金の半分を引いた額です。これを通貨量で割ると、水準に届くまでの値幅が出ます。資金が6万円なら3円(2.0%)、8万円なら5円(3.3%)、15万円なら12円(8.0%)、20万円なら17円(11.3%)です。資金に対する取引の額の倍率(実効レバレッジ)が低いほど、値幅は広くなります。
通貨量を増やすと値幅が縮む
資金10万円のまま通貨量を増やすと、必要証拠金が増えて、水準までの余裕が減ります。1万通貨では7円ありますが、1万6,000通貨では約3.3円、建てた直後の維持率は104.2%です。売りの場合は、上がった幅で同じように計算します。

アドバイス資金10万円だと、1万通貨で7円、1万6,000通貨で約3.3円までロスカットに届かないよ。通貨量が増えるほど余裕は減るね。
ロスカットと損切りの違い|決める人と基準

損切り注文とロスカットの違い
損切り注文(逆指値)は、自分が決めた価格に届いたら決済する注文です。ロスカットは、会社の規則で、維持率が水準を下回ったときに決済されます。損切りは自分で置いた時点で基準が決まり、ロスカットは維持率の基準が会社ごとに決まっています。どちらも、約定する値は保証されません。DMM FXは、逆指値注文が指定したレートでの約定を保証するものではないと案内しています。
ロスカットは最後の安全装置で、先に自分で損切りを置いておくと、ロスカットの前に決済されることがあります。損切りの考え方は、損切りルールの記事にまとめています。
追加証拠金とマージンカット
ロスカットとは別に、営業日の終わりの維持率で決まる追加証拠金(追証)の仕組みがあります。DMM FXでは、営業日のクローズ時点で維持率が100%を下回ると、追加証拠金が発生します。必要な額は、純資産額がポジション必要証拠金に足りない分です。翌営業日の4時59分までに入金か決済で解消しないと、5時0分にマージンカットという強制決済が行われます。

維持率が50%を下回っていなくても、営業日のクローズ時点で100%を下回れば、追加証拠金は発生します。維持率の基本は証拠金維持率の記事にあります。
アドバイスロスカットは維持率50%以下の強制決済、追証は営業日の終わりに100%を下回ると発生するよ。DMM FXの場合の話だね。
ロスカットの決まり|内閣府令と各社の記載

内閣府令が求めていること
金融商品取引業等に関する内閣府令の第117条は、預託を求める場面を決めています。契約を結んだとき(第1項第27号)と、営業日ごとの一定の時刻(第28号)に、預けている額が必要な額に足りなければ、足りない分を預けさせる必要があります。必要な額は、取引の額の4%などです(第7項・第8項)。
ロスカットについては、第123条第1項に定めがあります。個人の顧客の損失が、あらかじめ約した計算方法の額に達したときに行う決済が、ロスカット取引です(第21号の2)。第21号の3は、この決済を行わない状態を定めています。水準そのものは、条文では決められておらず、会社ごとに決まります。
会社ごとの違い
DMM FXとSBI FXトレードの公式ページ(2026年10月29日に確認)を比べました。ロスカットは、DMM FXが維持率50%以下、SBI FXトレードが50%を下回った場合です。DMM FXは評価損益をリアルタイムで更新し、SBI FXトレードは原則20秒ごとに判定します。事前の知らせは、DMM FXが維持率70%を下回るとアラートメール、SBI FXトレードが100%と60%でアラームです。

維持率の水準や判定の間隔は、会社と商品で変わります。口座を持つ会社の公式ページで、ロスカットの水準と、通知の有無を確認してください。
アドバイス条文は、ロスカットを行う体制を求めているけれど、水準は決めていないよ。水準は会社ごとの規則で決まるんだね。
ロスカットと損切り幅|逆に20・50・100pips動くまでの時間【実測】

測り方
USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの1分足(bid)で、毎時0分(UTC)の始値で買いと売りを1回ずつ建てたと仮定して、1件としました。建てた値から逆に20・50・100pips動く水準に、1週間(暦の時間)以内に1分足の高値・安値が届いたかを数えます。5通貨で計668,384件です。スプレッドは含めていません。
測ったのは、ロスカットや損切りの水準を、建てた値から20・50・100pipsに置いたと仮定したときの、届くまでの時間です。実際のロスカットの水準は、前の節のとおり、資金と通貨量で決まります。
届いた割合
20pipsは、1時間以内に10.7%、1日以内に65.9%、1週間以内に86.5%が届きました。50pipsは、1時間以内に1.1%、1日以内に33.4%、1週間以内に68.1%です。100pipsは、1時間以内に0.1%、1日以内に10.1%、1週間以内に43.0%でした。届いた件だけの中央値は、20pipsが6.9時間、50pipsが24.9時間、100pipsが59.0時間です。
通貨ペア別の違い
通貨ペアごとの中央値は、20pipsでEUR/JPYが5.4時間、EUR/USDが9.7時間でした。50pipsはGBP/USDとEUR/JPYが21.0時間、EUR/USDが33.0時間、100pipsはEUR/JPYが53.5時間、EUR/USDが72.6時間です。EUR/USDは、ほかの4通貨より届くのが遅い結果でした。

同じ時間帯に重なって建てた件が含まれるため、件どうしは独立ではありません。勝ち負けや損益は測っていません。
アドバイス20pipsは1日以内に65.9%、100pipsは10.1%が届いたよ。建てた値から離れた水準ほど、届くまで時間がかかるね。
ロスカットの滑り|水準を超えて始まった足の割合と幅【実測】

測り方
前の節と同じ件で、水準に届いた1分足の始値が、すでに水準を1pips以上超えていた件を数えました。逆指値や維持率の判定は、値がその水準を飛び越えると、飛び越えたあとの値で決済されます。始値と水準の差は、決済の値が水準から離れる幅の目安です。会社ごとの約定の仕組みやスプレッドは含めていません。DMM FXも、急な動きでは、ロスカットが水準から離れた値で決済されることがあると案内しています。
割合
水準を超えて始まった件は、20pipsで6,030件、50pipsで4,149件、100pipsで3,426件でした。届いた件に対する割合は、それぞれ1.0%、0.9%、1.2%です。多くの件は、水準にそのまま届いています。
場面別の幅
20pipsで水準を超えて始まった足は1,555本でした。内訳は、週明け直後が901本、UTC21〜22時台が572本、それ以外が82本です。超えた幅の中央値は、週明け直後が9.2pips、UTC21〜22時台が4.1pips、それ以外が2.5pipsでした。最大は、週明け直後の347.4pipsです。

大きく飛んだ例
週明けの始値が前の足の終値から大きく離れた例を並べます。2017年4月23日のEUR/JPYは、前の終値116.964から始値120.629へ366.5pips上に飛びました。2016年6月26日のGBP/USDは234.4pips下、2025年4月6日のEUR/JPYは270.1pips下、2025年10月5日のUSD/JPYは209.2pips上です。週明け以外の例は、2022年12月13日13:30(UTC)のGBP/USDで、1分前の終値から60.0pips上でした。

週をまたいで持つと、週明けの始値が水準の外から始まり、水準を超えた値で決済される可能性があります。この測定は、特定の取引の損益ではなく、水準と始値の差です。
アドバイス水準を超えて始まった件は、約1%だったよ。ただ、20pipsでは超えた足の1,555本のうち、週明け直後が901本だね。
ロスカットを避ける|通貨量を値幅から決める

値幅から通貨量を逆算する
ロスカットを避ける方法の一つは、水準までの値幅を先に決めて、通貨量を逆算することです。資金10万円・150円・維持率50%の場合、必要証拠金の半分に当たる3円分を値幅に足した値で、資金を割ります。値幅を7円にしたければ、10万円÷(7円+3円)で1万通貨です。3円なら1万6,000通貨、5円なら1万2,000通貨、10円なら7,000通貨になります。
この計算は、建てた値の必要証拠金を固定した計算例です。実際は、レートや会社の必要証拠金の見直しで、水準までの値幅が変わります。資金に余裕を持たせるほど、値幅は広がります。レバレッジの基本はレバレッジの記事にあります。
損切りを先に置く
通貨量を抑えたうえで、損切りの逆指値を先に置くと、ロスカットの前に決済されることがあります。ただし、前の節のとおり、逆指値も約定する値は保証されません。不足金が出たときの扱いは、会社ごとに決まっています。
アドバイス資金10万円で水準までを7円にしたいなら、1万通貨だね。通貨量を減らすほど、水準は遠くなるよ。
要点
・ロスカットは、維持率(有効証拠金÷必要証拠金)が会社の水準を下回ると、会社が自動で決済する仕組み。DMM FXは50%以下
・資金10万円・USD/JPY 150円・1万通貨なら、建てた直後の維持率は166.7%、143円(7円下)で50%
・資金が同じなら、通貨量が増えるほど水準までの値幅は縮む。1万6,000通貨で約3.3円
・内閣府令は、預託とロスカット取引の体制を求めていますが、水準は決めていません。DMM FXとSBI FXトレードは、判定の間隔と知らせが違う(2026年10月29日に確認)
・逆に20pips動くまでの割合は、1日以内で65.9%、1週間以内で86.5%。100pipsは1日以内で10.1%、1週間以内で43.0%(5通貨・買いと売り各1回を1件、pips)
・水準を超えて始まった件は、届いた件の約1%。20pipsで超えた足1,555本のうち、週明け直後が901本
・測っていないのは、売買の損益、スプレッド、会社ごとの約定の仕組み
ロスカットのよくある質問
ロスカットとは何ですか?
維持率が会社の水準を下回ると、自動で決済される仕組みです。DMM FXは維持率50%以下で、全ポジションを決済します。
ロスカットの計算方法は?
維持率は、有効証拠金を必要証拠金で割ります。必要証拠金は、取引の額の4%です(会社が別の計算方法を使う場合もあります)。有効証拠金は、預けた額に評価損益を足した額です。
ロスカットされると、資金はゼロになりますか?
ゼロになるとは限りません。急な値動きでは、決済の値が水準から離れ、預けた額を超える損失になることがあります。
ロスカットと損切りは何が違いますか?
決める人が違います。損切りは自分が置いた価格で、ロスカットは会社の維持率の規則で決済されます。
ロスカットの水準は、どの会社も同じですか?
同じとは限りません。DMM FXとSBI FXトレードは、判定の間隔や事前の知らせが違います。口座の会社の公式ページを確認してください。
ロスカットを避けるにはどうしますか?
通貨量を減らして、水準までの値幅を広げます。資金10万円で水準までを7円にしたいなら、1万通貨が目安です。
ロスカットのまとめ
ロスカットは、維持率(有効証拠金÷必要証拠金)が会社の水準を下回ると、会社が自動で決済する仕組みです。計算例(資金10万円・USD/JPY 150円・1万通貨)では、7円下がると維持率50%に届きます。通貨量を1万6,000通貨に増やすと、約3.3円です。DMM FXとSBI FXトレードは、水準も判定の間隔も事前の知らせも、公式ページ(2026年10月29日に確認)の記載が違います。
Dukascopy のティックから作った5通貨の1分足(2016年1月〜2026年10月)では、建てた値から逆に20pips動くまでの割合は、1日以内で65.9%、100pipsは10.1%でした。水準を超えて始まった件は、届いた件の約1%でしたが、週明け直後には、水準を超えた幅が最大347.4pipsの足もありました。売買の損益は測っていません。自分の資金と通貨量で、水準までの値幅を計算してから取引してください。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。












