
FX退場とは|資金がなくなる逆行の幅は実効レバレッジで決まる

実効レバレッジと資金がゼロになる幅
実効レバレッジは、建てている取引額を口座の資金で割った倍率です。30万円の口座で、300万円分のUSD/JPYを買っていれば10倍です。取引額が決まっていれば、為替が1%逆行したときの資金の減り方は、倍率で決まります。10倍なら資金の10%、25倍なら25%が減ります。
そのため、資金がゼロになる逆行幅は、100÷実効レバレッジ(%)で求まります。表のとおり、5倍なら20%、10倍なら10%、25倍なら4%です。157.493円のUSD/JPYを25倍で買うと、6.30円下がったところで資金がゼロになります。10倍なら15.75円です。スプレッドとスワップは含めていません。実際には、ゼロになる前に、取引会社のロスカットが入ります。
国内のレバレッジの上限とロスカット
金融先物取引業協会(FFAJ)の案内では、個人のFX取引のレバレッジは、2011年8月1日以降、上限が25倍です。取引額(想定元本)の4%以上の証拠金を預けないと、取引はできません。また、業者には、ロスカット・ルールを整えて守る義務があります。相場が動いてルールに当たれば、業者は、適切にロスカット取引(強制的な決済)を行わなければなりません。
25倍は、国内で建てられる上限です。実際に建てる倍率は、自分で決められます。上の表の25倍の行は、証拠金の4%ちょうどまで建てた場合にあたります。
アドバイス資金がゼロになる幅は、100÷倍率だよ。25倍なら4%、10倍なら10%、5倍なら20%だね。
FX退場までの距離を測る|損切りなしで持ったとき資金がゼロになる割合

測り方
USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの日足(ニューヨーク17時区切り、平日のみ、足が20本以上ある日)を使いました。期間は2016年1月4日〜2026年10月26日で、1通貨あたり2,807日です。毎営業日の始値で、買いと売りを1つずつ持ち、損切りなしで、1日・1週間(5営業日)・1か月(21営業日)・3か月(63営業日)・1年(252営業日)のあいだ持ち続けた場合を1件と数えました。件数は、1日が28,070件、1週間が28,030件、1か月が27,870件、3か月が27,450件、1年が25,560件です。
持っている間の最大の逆行(買いなら安値、売りなら高値までの、始値からの幅)を、始値に対する%で測りました。この逆行に実効レバレッジをかけた値が、資金の減り方です。100%に届いた件を、資金がゼロになった件と数えます。スプレッドとスワップは含めていません。損切りを入れた場合の損益は測っていません。また、件は日をずらして重なっているので、独立ではありません。
持つ期間と最大の逆行
5通貨を合わせた最大の逆行は、中央値が、1日で0.3%、1週間で0.7%、1か月で1.5%、3か月で2.7%、1年で5.7%でした。90%の件の上限は、1日が0.9%、1年が14.9%です。99%の件の上限は、1日が1.9%、1年が24.6%でした。最大は、1年で36.3%です。1年持った件の中央値は、通貨ごとでは、EUR/USDの4.7%からAUD/JPYの7.7%までで、90%の上限は12.9%(EUR/USD)から18.8%(AUD/JPY)でした。
実効レバレッジごとの、資金がゼロになった割合

1年持った件で、資金がゼロになった割合は、25倍が63.9%、10倍が25.0%、5倍が2.8%、3倍が0.1%でした。1倍は0件です。最大の逆行が36.3%なので、1倍では資金がゼロになりません。3か月持った件では、25倍が32.7%、10倍が3.8%、5倍が0.1%です。1か月持った件では、25倍が10.8%、10倍が0.6%、5倍が0件でした。1日なら、25倍で0.1%(20件)、10倍で2件、5倍以下は0件です。
資金が半分になった割合も数えました。1年持つと、25倍で81.3%、10倍で55.4%、5倍で25.0%、3倍で6.0%です。1か月持つと、25倍で38.6%、10倍で5.7%、5倍で0.6%でした。持つ期間が長いほど、倍率が高いほど、割合は大きくなります。倍率を下げると、同じ期間でも割合は小さくなり、5倍以下では、1か月以内のゼロは0件でした。
1日で含み損が資金の2%に届く割合

1日の損失の上限を資金の2%に決める場合を考えます。損切りなしで、その日のうちに含み損が資金の2%に届いた件は、28,070件のうち、1倍が0.8%、3倍が18.6%、5倍が39.4%、10倍が65.3%、25倍が86.2%でした。25倍では、ほとんどの日に、2%に届く逆行が起きています。倍率が高いと、損切りを置かなければ、1日の上限をすぐに超える計算です。
実例|2024年7月に買って損切りなしで持った場合

USD/JPYを2024年7月3日の始値161.411円で買い、損切りなしで持った例です。25倍で資金が半分になる158.18円は7月11日の足で、ゼロになる154.95円は7月24日の足で、それぞれ届きました。10倍でゼロになる145.27円は、8月5日の足で届きました。この日の安値は141.676円で、始値からの逆行は12.2%です。5倍でゼロになる価格は、始値から20%下の129.13円で、この期間には届いていません。
アドバイス損切りなしで1年持つと、資金がゼロになった割合は、5倍で2.8%、10倍で25.0%、25倍で63.9%だったよ。
FX退場を防ぐ資金管理|2%ルールとロットの計算

2%ルールで連敗したときの残高
2%ルールは、1回の取引で失う額を、資金の2%以内に決める方法です。30万円の口座なら、1回の損失は6,000円までです。毎回、そのときの残高の2%を失うと、残高は連敗のたびに0.98倍になります。10連敗すると、残高は最初の81.7%で、30万円なら245,122円です。20連敗でも66.8%が残ります。
1回の損失を、最初の残高の2%(6,000円)に固定した場合は、10連敗で60,000円が減り、残高は24万円(20%減)です。割合で計算するほうが、連敗の途中で減る額が小さくなるぶん、残高は多く残ります。1回の損失の割合を大きくすると、減り方は急になります。10連敗後の残高は、1%で90.4%、5%で59.9%、10%で34.9%です。20連敗では、5%が35.8%、10%が12.2%でした。
損切り幅からロットを計算する

ロットは、損切り幅から逆算します。USD/JPYは1 pipsが0.01円なので、通貨数は、許容する損失額÷(損切り幅(pips)×0.01円)です。1ロットの通貨数は会社によって違うので、通貨数で計算してください。ロットの基本は1ロットの記事にまとめています。
口座30万円で、1回の損失を6,000円にする場合、損切り幅が50 pipsなら12,000通貨で、取引額は約189万円、実効レバレッジは6.30倍です。30 pipsなら20,000通貨(約315万円・10.50倍)、100 pipsなら6,000通貨(約94万円・3.15倍)です。損切り幅を狭くするほど、同じ6,000円の損失でも通貨数は増え、実効レバレッジは上がります。10 pipsは60,000通貨で31.50倍になり、25倍の上限を超えるので、国内では建てられません。
損切りを入れない場合は、損失額が決まりません。上で測ったように、1年持つと、5倍でも2.8%の件で資金がゼロになりました。損切りは、建てるのと同時に注文に入れます。
アドバイス30万円で1回6,000円までなら、50 pipsの損切りで12,000通貨だよ。10連敗しても、残高は81.7%だね。
FX退場を防ぐ損切りとリスクリワード|損益分岐の勝率と連敗の確率

リスクリワード比と損益分岐の勝率
リスクリワード比は、損切り幅に対する利確幅の比です。損益がちょうど0になる勝率は、100÷(1+リスクリワード比)(%)で、1:1なら50.0%、1:2なら33.3%、1:3なら25.0%です。1:0.5だと、66.7%の勝率が必要です。
たとえば、1:2で、損切りが2,000円・利確が4,000円のとき、10回のうち4回勝てば、4回×4,000円−6回×2,000円=+4,000円です。この計算は、勝率4割が続くと仮定し、スプレッドを含めていません。勝率が損益分岐の33.3%を下回れば、1:2でもマイナスになります。リスクリワード比の詳しい計算は、リスクリワードの記事にまとめています。
10連敗以上が出る確率

勝率が低いと、連敗は起きやすくなります。10連敗以上が1回でも出る確率は、勝率4割で、取引100回なら20.5%、500回なら70.5%、1,000回なら91.5%です。勝率5割でも、1,000回で38.5%です。勝率6割では、100回で0.6%、1,000回で6.1%でした。勝ち負けは独立で、勝率は変わらないと仮定した計算です。
勝率4割で取引を続ければ、10連敗は、ほぼ起きる前提で考えることになります。そのとき、1回の損失が残高の2%なら残高は81.7%、5%なら59.9%、10%なら34.9%です。連敗が起きても資金が残るかどうかは、勝率よりも、1回の損失の割合で決まります。
アドバイス勝率4割だと、500回のうちに10連敗以上が出る確率は70.5%だよ。連敗は、起きる前提で備えよう。
FX退場を防ぐ取引前の確認表|30万円の口座の例

取引前に確認する5つの項目
取引の前に、次の5つを確認します。
- 1回の損失は、残高の2%以内か(30万円なら6,000円)
- 損切りを、建てると同時に注文したか(50 pipsなら12,000通貨)
- 実効レバレッジは、国内の上限25倍の内側か(50 pipsなら約6.3倍)
- その日の損失が残高の2%(6,000円)に届いたら、その日は止めるか
- 10連敗したときの残高を、数字で知っているか(2%なら約245,122円)
1日の損失の上限を決める
1日の損失の上限は、ドローダウンを決めておく方法の1つです。損切りなしで持つと、5倍でも、39.4%の日に含み損が2%に届きました。上限に届いたら、その日の取引は止めます。ロットを増やして取り返そうとすると、実効レバレッジが上がり、資金がゼロになる逆行幅が小さくなります。
アドバイス確認表の5つは、数字で答えられるようにしておこう。10連敗後の残高も、先に計算しておくと安心だよ。
要点
・この記事では、口座の資金がなくなって取引を続けられない状態を、FX退場と呼ぶ
・資金がゼロになる逆行幅は、100÷実効レバレッジ(%)。5倍で20%、10倍で10%、25倍で4%
・5通貨の日足(2016年1月〜2026年10月)で、損切りなしで1年持つと、資金がゼロになった件は、5倍で2.8%、10倍で25.0%、25倍で63.9%。1か月では、5倍で0%、10倍で0.6%、25倍で10.8%
・損切りなしで、その日のうちに含み損が資金の2%に届いた割合は、5倍で39.4%、10倍で65.3%、25倍で86.2%
・毎回、残高の2%を失って10連敗すると、残高は81.7%(30万円なら245,122円)。1回の損失を5%にすると59.9%、10%にすると34.9%
・リスクリワード比1:2の損益分岐の勝率は33.3%。勝率4割だと、500回のうちに10連敗以上が出る確率は70.5%
・測っていないのは、損切りを入れた売買の損益
FX退場のよくある質問
FXの退場とは、どういう状態ですか?
この記事では、口座の資金がなくなって取引を続けられない状態を指します。資金がゼロになる逆行幅は、100÷実効レバレッジ(%)で、25倍なら4%、10倍なら10%です。国内では、ゼロになる前にロスカットが入ります。
レバレッジは何倍までなら、資金がゼロになりにくいですか?
倍率が低いほど、ゼロになる件は少なくなりました。損切りなしで1年持った件では、資金がゼロになった割合は、25倍が63.9%、10倍が25.0%、5倍が2.8%、3倍が0.1%で、1倍は0件でした。ただし、これは損切りなしの測定で、安全な倍率を決めるものではありません。
2%ルールで10連敗すると、いくら減りますか?
30万円なら、約5万円(残高は245,122円)です。毎回、そのときの残高の2%を失う場合で、残高は最初の81.7%になります。最初の残高の2%(6,000円)に固定すると、10連敗で6万円減って、残高は24万円です。
損切りは何pipsに置けばよいですか?
決まった幅は、測っていません。損切り幅を決めると、通貨数が決まります。口座30万円で1回の損失を6,000円にする場合、50 pipsなら12,000通貨(約6.3倍)、30 pipsなら20,000通貨(約10.5倍)です。
勝率が低くても、取引を続けられますか?
勝率だけでは決まりません。リスクリワード比1:2なら、損益分岐の勝率は33.3%です。ただし、勝率4割だと、500回のうちに10連敗以上が出る確率は70.5%です。連敗のあとに残る資金は、1回の損失の割合で決まります。
FX退場のまとめ
Dukascopy のティックから作った5通貨の日足(2016年1月〜2026年10月)で、毎営業日の始値から損切りなしで持った件を測ると、1年持った件で資金がゼロになった割合は、5倍が2.8%、10倍が25.0%、25倍が63.9%でした。1か月までなら、5倍はゼロが0件、10倍は0.6%、25倍は10.8%です。1日のうちに含み損が資金の2%に届いた割合は、5倍で39.4%、25倍で86.2%でした。
損切りを建てると同時に入れ、1回の損失を残高の2%以内にすると、10連敗しても残高は81.7%です。勝率4割だと、500回のうちに10連敗以上が出る確率は70.5%なので、連敗は起きる前提で、ロットと損切り幅を決めます。測っていない損切りを入れた売買の損益は、自分のデータで確かめてから使ってください。資金管理の記事とロスカットの記事も参考にしてください。
この記事はFXの資金管理の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。












