
強制決済とは|ロスカット以外にも起きる4つの場面

強制決済は、お客様が決済の注文を出していないのに、会社が建玉を反対売買で決済することです。表の4つは、どれも会社の約款や書面に書かれている場面です。ロスカットは、証拠金維持率が会社の決めた水準を割ったときに、すべての建玉が決済される仕組みです。維持率の計算とロスカットの水準は、ロスカットの記事で、滑りの実測とあわせて整理しています。この記事では、ロスカット以外の場面と、週末の窓を扱います。
ロスカットと追証は別の仕組み
ロスカットは、維持率が水準を割った時点で、会社が決済を執行します。追証は、営業日ごとの判定で証拠金が足りないとき、期限までに入金か決済をする決まりです。期限までに解消されなかったときに、強制決済になります。ロスカットの水準を割る前でも、追証の判定では不足になることがあります。たとえばGMOクリック証券 FXネオは、ロスカットが維持率50%未満、追証は維持率100%を下回った場合に発生します。
内閣府令に書かれていること
根拠は、金融商品取引業等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)です。第117条第1項第28号は、営業日ごとの一定の時刻の実預託額が維持必要預託額に不足するとき、速やかに不足額を預託させないまま契約を続ける行為を禁じています。維持必要預託額は、取引額の4%(レバレッジ25倍)が基準です。第123条第1項第21号の2・21号の3は、ロスカット取引を行うための管理体制を整えていない状況と、ロスカット取引を行っていないと認められる状況を、業務の運営として問題のある状況に挙げています。
府令に書かれているのは、不足を放置して契約を続けないことと、ロスカットの体制です。期限の時刻や水準の数字は、各社が約款で決めています。次の節で、公式ページの数字を並べます。
アドバイス強制決済は4つの場面があったよ。ロスカットは維持率、追証は期限、が決め手だね。
強制決済になる追証の期限|3社の公式ページ

3社の解消期限
追証が出たあとの期限は、3社とも翌営業日の朝で、時刻は会社ごとに違います。GMOクリック証券 FXネオは、ニューヨーククローズ時点で維持率が100%を下回ると追証が発生し、翌営業日の午前3:00までに入金か決済で解消します。解消されなければ、全建玉が反対売買されます。同社は、午前3:00の約定を保証できないとも書いています。
DMM FXは、追証が発生した翌営業日の4:59が解消期限、5:00がマージンカット(強制決済)の時刻です。期限と時刻は、夏時間・冬時間とも同じと書かれています。SBI FXトレードは、取引終了時点の証拠金規制の判定で不足があると、翌営業日の取引終了時間の30分前が期限です。取引終了は夏時間が午前5:30、冬時間が午前6:30なので、期限は5:00か6:00になります。不足が解消されなければ、すべての建玉が強制決済されます。
期限のあとは相場が戻っても変わらない
SBI FXトレードの契約締結前交付書面には、相場の好転による不足額の充当は、金融商品取引法の規定で認められていないとも書かれています。含み損が戻って不足が消えても、期限までの入金か決済は必要です。
アドバイス追証の期限は、3社で3:00から6:00まで違ったよ。使っている会社の時刻を、先に見ておこうね。
強制決済の水準とロスカット・追証|5社の公式ページ

ロスカットの水準は、DMM FXが維持率50%以下、SBI FXトレードが50%を下回った場合、GMOクリック証券が50%未満、みんなのFXが100%以下です。外為どっとコムは、100%から50%の間で10%刻みに選べます。同社は、毎営業日の取引時間の終了時刻の直前1時間以内だけは、設定にかかわらず有効比率が100%を下回った時点でロスカットになると書いています。水準の表記は「以下」「未満」「下回る」と会社で違うので、境目の数字ちょうどで決済されるかは、各社の書面で確認します。
追証は、DMM FX・SBI FXトレード・GMOクリック証券の公式ページに、期限と強制決済が書かれていました。外為どっとコムとみんなのFXは、ロスカットの解説ページに、追証の記載が見つかりませんでした。ないとは言い切れないので、口座を開く前に、各社の取引ルールで確認してください。
会社が取引を続けられないとき
市場のルール以外の理由で、強制決済になった例もあります。外為どっとコムは、2022年3月9日の告知で、ロシアルーブル/円のレート配信と取引の提供が難しいと判断し、残ったポジションを、約款に基づいて会社が決済すると案内しました。決済は2022年3月23日(水)のオープン時刻から順次で、それまでは、お客様が自分で決済できました。
SBI FXトレードの法人口座は週末前に決済されることがある
SBI FXトレードの書面には、法人口座の建玉について、マーケットの状況によっては、事前通知のうえで次の処理をする場合があると書かれています。週末最終営業日の取引終了時間の15分前の時点で、レバレッジが25倍(一部の通貨ペアは異なる)を上回っているときは、すべての建玉を順次強制決済します。また、同じ15分前から、全建玉を順次強制決済する場合もあります。個人口座について、週末をまたぐだけで決済される決まりは、確認した書面には見当たりませんでした。
アドバイスロスカットの水準は、5社のうち3社が50%だったよ。外為どっとコムは、100%から50%の間で選べるんだね。
強制決済と週末の窓|5通貨2,839回の実測

測り方
週末は決済も入金もできないので、月曜の最初の値が、金曜の最後の値から離れて始まる「窓」が、維持率に効きます。ここでは、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの1時間足(bid)で、金曜最後の足の終値から、月曜最初の足の始値までの差を測りました。足と足の間が24時間を超えたところを週末とし、1つの週末の1通貨を1回と数えます。通貨ごとに567〜568回、合計2,839回です。差の大きさは、1pipsを、円の組が0.01円、ドルの組が0.0001ドルとして数えました。
窓の大きさの分布
窓の大きさの中央値は8.5pips、90%の回は31.9pips以下で、最大は366.5pipsでした。5pips未満が916回、5〜10pipsが666回、10〜20pipsが674回、20〜50pipsが433回、50〜100pipsが118回、100pips以上が32回で、合計2,839回です。50pips以上は118回と32回を足した150回で、全体の5.3%にあたります。最大の366.5pipsは、EUR/JPYの2017年4月23日の週末明けでした。

通貨ペアで比べる
中央値は、EUR/USDが5.3pipsで最も小さく、USD/JPYが8.5pips、GBP/USDが8.8pips、AUD/JPYが10.2pips、EUR/JPYが11.0pipsでした。50pips以上の回数は、EUR/USDが16回、GBP/USDが26回、USD/JPYが30回、AUD/JPYが34回、EUR/JPYが44回で、合計150回です。100pips以上は、USD/JPYが5回、EUR/USD 3回、GBP/USD 7回、EUR/JPY 8回、AUD/JPY 9回で、合計32回でした。ここで比べたのは、5通貨の窓の大きさです。ポジションの損益や、維持率への影響は、次の項で換算します。

年ごとの回数
50pips以上の窓を年ごとに数えると、2016年が22回、2017年が15回、2018年が9回、2019年が6回、2020年が15回、2021年が3回、2022年が15回、2023年が9回、2024年が9回、2025年が30回、2026年が17回でした。年ごとの週末の数は、5通貨で255〜265回です(2026年は10月25日の週末までの220回)。最も多いのは2025年の30回、最も少ないのは2021年の3回で、年によって10倍の差があります。
窓が維持率の線まで届いた回数

窓を維持率に直しました。レバレッジ25倍のポジションを金曜の終値で持ったまま、週末をまたぎ、月曜の始値に動いたとします。買いは下への窓、売りは上への窓が逆行です。週末前の維持率が120%のとき、100%を割るのに必要な逆行は約0.8%です。2,839回のうち、窓だけで届いたのは、買い(下への窓)が24回、売り(上への窓)が18回でした。50%を割るのに必要な逆行は約2.8%で、届いたのは売りの1回だけです。
週末前の維持率が150%のとき、100%を割る逆行は約2.0%で、届いたのは売りの2回です。買いは0回でした。150%から50%を割る場合と、200%・300%からの場合は、買いも売りも0回でした。この換算は、金曜の終値と月曜の始値だけを見ていて、週のなかの動きは含みません。スワップとスプレッドも含みません。また、追証の判定は取引終了時点で、月曜の始値で判定されるわけではありません。維持率が200%以上の口座では、この5通貨・約10年の週末の窓だけで、100%を割ることはありませんでした。
アドバイス窓で維持率が100%を割ったのは、120%から始めたときだけだったよ。150%からは2回、200%以上は0回だね。
強制決済を避けるために確認すること

表の4つは、この記事の公式ページと実測から確認できたことです。追証は、期限までに入金か決済をすれば解消します。含み損が戻っても、期限のあとは強制決済になることがあります。週末前の維持率は、5通貨の実測で、120%から窓だけで100%を割った回数が、買い24回・売り18回ありました。
アドバイス確認する場所は、取引ルールと契約締結前の書面だよ。数字は、会社ごとに違うからね。
維持率の考え方は、有効証拠金の記事、追証とロスカットの違いはマージンコールの記事、窓がEAに与える影響はEAの週末の窓の記事にまとめています。
測っていないこと
この記事で測ったのは、週末の窓の大きさと、窓だけで維持率の線を割った回数です。週のなかの値動き、ロスカットの滑り、各社の約定、スワップやスプレッド、実際の口座の損益は測っていません。公式ページの内容は、2026年10月29日に確認したもので、各社が約款を変えると変わります。
要点
・強制決済は、公式ページで確認できただけで、ロスカット・追証の期限切れ・会社が取引を続けられないとき・SBI FXトレードの法人口座の週末前の4つ
・内閣府令は、不足を放置して契約を続けないことと、ロスカットの体制を求めている。維持必要預託額は取引額の4%(25倍)が基準
・追証の解消期限は、GMOクリック証券が翌営業日の3:00、DMM FXが4:59、SBI FXトレードが夏時間5:00・冬時間6:00
・ロスカットの水準は、DMM FX・SBI FXトレード・GMOクリック証券が50%、みんなのFXが100%、外為どっとコムは100〜50%から選択
・5通貨の週末の窓2,839回は、中央値8.5pips、50pips以上が150回(5.3%)、100pips以上が32回(1.1%)、最大366.5pips
・週末前の維持率120%から窓だけで100%を割ったのは、買い24回・売り18回。200%以上は0回
・測っていないのは、週のなかの値動き、ロスカットの滑り、実際の損益
強制決済のよくある質問
強制決済とは何ですか?
会社が、お客様の注文なしに建玉を決済することです。ロスカットのほかに、追証が期限までに解消されないときなどがあります。
ロスカットと追証は何が違いますか?
決済になるきっかけが違います。ロスカットは維持率が水準を割った時点、追証は期限までに入金も決済もされなかったときです。
追証の期限は何時ですか?
会社で違います。確認した3社では、翌営業日の午前3:00(GMOクリック証券)、4:59(DMM FX)、5:00か6:00(SBI FXトレード)でした。
週末をまたぐと強制決済されますか?
確認できたのは、SBI FXトレードの法人口座だけです。週末最終営業日の取引終了の15分前に、事前通知のうえで決済する場合があります。個人口座は、確認した書面に見当たりませんでした。
週末の窓で、維持率は割れますか?
5通貨の実測では、維持率が低いと割れました。週末前が120%で100%を割ったのは2,839回のうち、買い24回・売り18回です。200%以上では0回でした。
強制決済のまとめ
国内FXの強制決済は、ロスカットのほかに、追証の期限切れ、会社が取引を続けられないとき、SBI FXトレードの法人口座の週末前があります。追証の解消期限は、GMOクリック証券が翌営業日の3:00、DMM FXが4:59、SBI FXトレードが5:00か6:00で、ロスカットの水準は、5社のうち3社が50%、みんなのFXが100%、外為どっとコムが選択式でした。
Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月)では、週末の窓2,839回の中央値が8.5pipsで、50pips以上が150回、100pips以上が32回でした。週末前の維持率が120%だと、窓だけで100%を割る回が買い24回・売り18回あり、200%以上では0回でした。使っている会社の水準と期限は、取引ルールで確認してください。維持率の計算はロスカットの記事にまとめています。
この記事はFXの情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













