
評価損益とは?意味と実現損益との違い

評価損益とは、保有中のポジションを今決済したらいくらの利益・損失になるかを、現在のレートで計算した未確定の損益です。確定はしていませんが、損切りや利確の判断、証拠金維持率の管理に直結するため、トレードの「今」を知るための基本の数値になります。
本記事では、評価損益の意味、買い・売り別の計算方法、取引画面での確認方法、資金管理での使い方までを初心者向けに解説します。
評価損益の定義と役割
評価損益は「未実現損益」とも呼ばれます。まだ決済していないポジションの損益を、現在のレートに基づいて仮に計算したものです。たとえばドル円を1ドル=110円で買ったあと、現在のレートが111円なら、1円分の利益が出ている計算になります。
この「今決済したらどうなるか」を教えてくれるのが評価損益です。リアルタイムの資産状況をつかむための指標として使います。
実現損益との違い
混乱しやすいのが「実現損益」との違いです。実現損益は、ポジションを決済して確定した利益や損失のことです。評価損益は「仮の結果」、実現損益は「確定した結果」と考えると分かりやすいでしょう。確定した損益の管理は資金管理の基本です。
| 比較項目 | 評価損益(未実現) | 実現損益 |
|---|---|---|
| 状態 | 決済前の仮の損益 | 決済して確定した損益 |
| 変動 | レートに合わせて常に変動 | 確定後は変わらない |
| 税金 | かからない | 課税の対象(申告が必要な場合あり) |
| 用途 | 損切り・利確の判断材料 | 実績の確認・確定申告の集計 |
含み損・含み益との関係
「含み損益」と「評価損益」は、どちらもまだ確定していない損益を指します。厳密には、評価損益はプラスもマイナスも含めた全体、含み益・含み損はその内訳(利益になっている部分・損失になっている部分)を指すことが多い言葉です。取引画面で「含み損が−30,000円」と出ていれば、「今決済すると3万円の損失」という意味です。
アドバイス評価損益は「今やめたらいくらか」の数字だよ。確定するまでは動き続けるんだ
評価損益の計算方法|買い・売り別の式

FXでは「買い(ロング)」と「売り(ショート)」のどちらを持っているかで、計算式の向きが変わります。
買いポジションの評価損益
(現在のレート − 新規約定レート)× 取引数量(通貨数)
たとえば、1ドル=110円で10万ドルを買い、現在のレートが111円なら次のとおりです。
(111 − 110)× 100,000 = 100,000円の含み益
売りポジションの評価損益
(新規約定レート − 現在のレート)× 取引数量(通貨数)
1ドル=110円で10万ドルを売り、現在が109円なら次のとおりです。
(110 − 109)× 100,000 = 100,000円の含み益
「買い」はレートが上がるほど、「売り」はレートが下がるほど利益が増える仕組みです。なお、ドル円のように円が決済通貨の通貨ペアは、この式でそのまま円建ての損益が出ます。ユーロドルなど円以外が決済通貨になる場合は、さらに円への換算が必要です。
取引数量とレバレッジによる影響
計算式の中で損益の大きさを決めるのは取引数量です。1ロットが何通貨かは会社や口座によって違い、MT4/MT5では10万通貨を1ロットとする口座が多く、1万通貨や1,000通貨単位で取引できる会社もあります。ドル円で、レートが動いたときの評価損益を並べると次のようになります。
| 取引数量 | 0.5円動く | 1円動く | 2円動く |
|---|---|---|---|
| 10万通貨 | 50,000円 | 100,000円 | 200,000円 |
| 1万通貨 | 5,000円 | 10,000円 | 20,000円 |
| 1,000通貨 | 500円 | 1,000円 | 2,000円 |
※ドル円の評価損益を「値動き × 通貨数」で計算した値です。利益方向に動いた場合の金額で、逆に動けば同じ額の含み損になります。
レバレッジをかけると、少ない資金でも大きな数量を持てます。そのぶん評価損益の振れ幅も大きくなります。「1円動くだけで数万円変わる」のはFXの魅力であり、リスクでもあります。
アドバイス同じ値動きでも、持つ数量が10倍なら損益も10倍。最初は少なめの数量から始めよう
評価損益の確認方法と使い方|取引画面の見方

評価損益は、各FX会社の取引ツールの「ポジション一覧」「建玉一覧」や、MT4/MT5の「ターミナル」の「取引」タブにリアルタイムで表示されます。スマホは素早い確認向き、PCは分析向きと使い分けると、損切りの判断がスムーズです。
MT4/MT5の「取引」タブでの見方
MT4/MT5では、画面下のターミナルにある「取引」タブに、持っているポジションが1本ずつ並び、右端の損益の列に評価損益が出ます。口座全体の合計は、ポジションの下の行に表示されます。上の図のように、プラスのポジションとマイナスのポジションが混ざっていれば、合計はその差し引きです(図は100,000円と−50,000円で合計+50,000円)。
FX会社の取引ツールは、表示する場所や名前が会社ごとに少しずつ違います。使っているツールで「評価損益」「含み損益」「ポジション一覧」といった項目がどこにあるかを、最初に一度確認しておきましょう。
スマホアプリとPCでの見方の違い
スマホアプリは見やすさと操作のしやすさを重視した作りで、評価損益は建玉一覧などにシンプルに出ます。PC版は、数値の詳細、スワップとの合計、取引履歴との照合など、より細かく見られるのが一般的です。素早く確認するならスマホ、振り返って分析するならPCと使い分けると現実的です。
チャートと並べて見る
たとえば、急な円高の最中に含み損が膨らんでいるなら、それはトレンドに逆らった建玉が原因です。チャートと評価損益を一緒に見ることで、どのタイミングで建てたポジションが影響しているかが分かり、次の戦略に活かせます。
アドバイス損益の数字だけじゃなく、チャートも一緒に見るのがコツだよ
評価損益と資金管理|損切り判断の基準

利益確定と損切りのタイミング
評価損益がプラスになると「もう少し伸びるかも」と欲が出て、マイナスになると「戻るまで待とう」と先延ばしにしがちです。
「−○○円になったら損切り」「+○○円になったら利確」と、あらかじめルールを決めておくのが有効です。評価損益を判断のきっかけにする習慣は、早めに身につけましょう。
ロスカットを避けるために証拠金維持率を見る
ロスカット(強制決済)は、証拠金維持率が会社の決めた水準を下回ると発動します。証拠金維持率は次の式で求めます。
証拠金維持率(%)= 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100 (有効証拠金 = 口座残高 + 評価損益)
評価損益がマイナスになるほど有効証拠金が減るため、維持率が下がります。例として、口座残高100,000円で、ドル円(1ドル=110円)を1万通貨、レバレッジ25倍で買った場合を計算します。必要証拠金は 110 × 10,000 ÷ 25 = 44,000円です。
| 評価損益 | 有効証拠金 | 証拠金維持率 |
|---|---|---|
| 0円 | 100,000円 | 約227% |
| −30,000円 | 70,000円 | 約159% |
| −60,000円 | 40,000円 | 約91% |
※必要証拠金44,000円に対する計算です。ロスカットの水準や必要証拠金の計算方法は会社によって違うので、実際の口座では各社の案内で確認してください。
ポジションごとのリスク管理
ポジションごとの評価損益を見比べると、どの通貨ペアが足を引っ張っているかが分かります。そこから次のような管理ができます。
- 評価損益が特に悪化しているポジションを先に損切りする
- 含み損の大きな建玉から順に決済して、証拠金維持率を回復させる
- レンジ相場では評価損益が動かないまま長引きやすいので、保有期間に注意する
アドバイスロスカットは「維持率が下がる」ことで起きるよ。評価損益と維持率は一緒にチェックしよう
評価損益に左右されない資金配分術

評価損益が赤字になるたびに焦って決済していては、長い目で利益は残りません。感情で動かないために、「評価損益の数値ごとにやること」をあらかじめ決めておきます。たとえば次のようなルールです。
- −10,000円までなら様子を見る
- −20,000円で損切りする
- +15,000円で利益確定する
数字は一例で、自分の資金と取引数量に合わせて決めます。明確なルールがあれば、迷いや不安による暴走を防げます。
資金の偏りをなくす
評価損益が気になって仕方がない原因の一つは、資金の偏りです。1つのポジションに資金を集中させると、評価損益の変動が気持ちに直接響き、冷静さを失います。
通貨ペアを分けたり、1回の取引数量を抑えたりして、1つの評価損益で気持ちが揺れない配分にしておくと、余裕を持って判断できます。
アドバイス数量を絞っておくと、含み損が出ても落ち着いて決められるよ
要点
- 評価損益は、今決済したらいくらになるかを示す未確定の損益です。
- 買いは(現在値 − 約定値)×数量、売りは(約定値 − 現在値)×数量で計算します。
- 評価損益そのものに税金はかからず、決済して確定した損益が課税の対象です。
- 評価損益がマイナスになるほど証拠金維持率が下がり、ロスカットに近づきます。
評価損益に関するよくある質問
評価損益って税金かかるの?
評価損益そのものに税金はかかりません。評価損益はまだ決済していない仮の損益で、課税の対象になるのは決済して確定した損益です。FXの差益は、他の所得と分けて計算する申告分離課税で、国税庁の案内では所得税15%と地方税5%(ほかに復興特別所得税)とされています。給与を1か所から受けている人は、給与以外の所得が年間20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされていますが、条件は人によって違うので国税庁の案内で確認してください。
含み損と評価損益って何が違うの?
評価損益は保有中のポジション全体の未確定損益(プラスもマイナスも含む)を指します。含み損は、その中で損失になっている部分だけを指す言葉です。取引ツールでは、合計を「評価損益」、個別の損失を「含み損」と分けて表示していることが多くあります。
評価損益がマイナスのまま放置するとどうなりますか?
評価損益がマイナスのまま広がると、証拠金維持率が下がり、会社の決めた水準を下回ると強制ロスカットになるおそれがあります。損切りラインを事前に決めておき、その水準を超えたら早めに対処することが、資金を守るうえで重要です。
評価損益の確認はどのツールでできますか?
取引プラットフォームの「ポジション一覧」や「口座情報」の画面で確認できます。MT4/MT5では、ターミナルの「取引」タブにリアルタイムで表示されます。各社のスマホアプリでも確認できます。
評価損益の計算式を教えてください
買いポジションは「(現在値 − 約定値)× 取引数量」、売りポジションは「(約定値 − 現在値)× 取引数量」で計算します。円以外が決済通貨の通貨ペアは、さらに円に換算します。取引ツールは自動で計算してくれるので、手で計算する機会は多くありません。
含み損が大きくなってきたらどう対処すればいいですか?
まず、決めておいた損切りラインを守ることが最優先です。ナンピンや「いずれ戻るだろう」という期待で追加すると、損失が膨らむおそれがあります。含み損が基準を超えたら、ポジションサイズの見直しと損切りの実行を検討しましょう。
評価損益のまとめと注意点
評価損益は「今決済したらどうなるか」を示す数値です。税金は決済するまで発生しませんが、証拠金維持率を通じてロスカットの引き金になるため、無視してよい数字ではありません。損切りと利確の数字をあらかじめ決め、取引数量を抑えて、評価損益と証拠金維持率をセットで確認する習慣をつけましょう。
評価損益の理解を深めるために、レバレッジや自動売買に関する記事もあわせて確認しておきましょう。
- レバレッジの仕組みと計算方法
- EA始め方ガイド:自動売買の基礎
本記事は情報提供のみを目的としており、特定の金融商品の売買を勧誘するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。相場には変動リスクがあり、過去の成績は将来の利益を保証しません。
シストレ.COM編集部|200種類以上のEAをフォワード計測する運営3年の検証メディア。MetaTrader (MT4/MT5) を実運用してきた編集部が監修・執筆しています。⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













