
EAの選び方で確認する7項目|成績表を読む順番

EA(自動売買プログラム)は、決めた規則どおりに売買を繰り返します。成績表の数字は、その規則が過去にどう動いたかの記録です。表の7項目は、成績表を読むときに見落としやすい点を選んだものです。それぞれを、この記事の測定で数えて確かめます。
成績表だけでは分からないこと
成績表には、総損益・勝率・PF・最大DDなどが並びます。ただし、どの期間か、スプレッド(売値と買値の差)を入れたか、何を1取引と数えたかは、書かれていないことがあります。同じ規則でも、数え方が違えば数字は変わります。この記事では、数え方を本文に書いたうえで、数字を示します。
この記事の測り方の全体像
測定は2つです。1つ目は、4時間足の規則で10年を通して売買する測定で、年ごとの偏り、利益の集中、連敗、最大DD、スプレッドの影響に使います。2つ目は、毎日決まった時刻に買いと売りを入れ、利確と損切りの幅だけを変える測定で、勝率とPFの関係に使います。どちらも、Dukascopy のティックから作った足を使い、スプレッドを入れて数えました。
アドバイス成績表は、数え方まで読んで比べてね。この記事の数字は、全部、数え方を書いてあるよ。
EAの選び方で見る成績指標|勝率・PF・最大DDの数え方

この記事では、損益が0 pipsを超えた取引を勝ちと数え、勝率は、その数を全取引の数で割った値です。PFは総利益を総損失で割った値で、1を超えると期間の損益がプラスです。pipsは値幅の単位で、1 pipsは、USD/JPYで0.01円、EUR/USDとGBP/USDで0.0001ドルです。
勝率とPFは、セットで見る
勝率は、勝った回数の多さだけを表します。1回の勝ちが小さく、1回の負けが大きければ、勝率が高くても損益はマイナスになります。PFは、勝ちの大きさと負けの大きさまで含めた値なので、勝率と一緒に見ます。実際の数字は、後の節の図で示します。
最大DDは、含み損を入れるかで変わる
最大DDは、損益の累計が最高値から落ちた最大の幅です。この記事では、決済した取引の損益だけで測り、含み損は入れていません。含み損まで入れると、数字は大きくなりえます。成績表を比べるときは、どちらで測った値かをそろえます。シストレ.COMのポートフォリオ画面も、最大DDを日ごとの確定損益で計算しています。
最長連敗は、負けが続いた最多の回数
最長連敗は、損益が0 pips以下の取引が続いた最多の回数です。この記事の売買規則では、3通貨合算で14連敗でした。連敗の数は、後の節で、取引の順番を並べ替えた場合と比べます。
フォワード成績の見方は、EAフォワード実績の見方の記事にまとめています。
アドバイス勝率は、勝った回数の割合だよ。PFまで見ると、勝ちと負けの大きさも分かるよ。
EAの選び方と売買規則・通貨ペア|10年の測定条件と結果

図は、売買規則の動きを示した例です。灰色の破線は、直前20本の高値と安値です。終値がその高値を上に抜けたら買いに、安値を下に抜けたら売りに、次の足の始値で入れ替えます。図の範囲では、入れ替えが5回ありました。動きを見せるために、入れ替えの多い時間帯を選んだ1例です。
測定の条件と、1取引の数え方
- 期間と通貨: 2016年1月〜2025年12月の10年分で、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USDの3通貨です。Dukascopy のティックから、UTCの1時間足を作り、4時間足にまとめました。
- 売買規則: 4時間足の終値が、直前20本の高値を上に抜けたら買い、安値を下に抜けたら売りに、次の足の始値で入れ替えます(ドテン)。
- 1取引の数え方: 入れ替えるまでの1つの建玉を、1取引と数えます。最後の建玉は、最後の足の終値で決済したものとして数えました。
- スプレッド: 1時間足ごとのbid(売値)とask(買値)を使い、買いはaskで入ってbidで出ました。スプレッドの金額は、この数え方に入っています。
- 合算: 3通貨の損益は、pipsのまま同じ重みで足しました。取引数の合計は1,108です。
なお、この規則は、EAの成績表の読み方を数字で確かめるために選んだ単純な例です。この規則を勧めるものではありません。
通貨ペアごとの結果

同じ規則でも、通貨によって結果は違いました。PFは、USD/JPYが0.98、GBP/USDが0.88、EUR/USDが0.80で、3通貨とも1未満です。勝率は36.2〜36.7%で、通貨の間でほとんど違いません。損益は、USD/JPYが−598 pips、EUR/USDが−3,779 pips、GBP/USDが−3,157 pipsでした。通貨ごとの値動きの特徴や、時間帯ごとの得意不得意は、この記事では測っていません。
10年の損益の累計と、最大DD

3通貨合算の損益の累計は、2016年10月26日の85取引目に+2,189 pipsで最高値を付け、その後は一度も更新していません。期間の終わりは−7,534 pipsです。最大DDは9,741 pipsで、最高値からの落ち込みが最も深かったのは、期間の終わりの2025年12月31日でした。最高値を更新していない期間は3,353日です。
累計は、一直線に下がったのではなく、上がる年もありました。ただし、上がっても、2016年10月の最高値には戻りませんでした。成績表の最大DDと、最高値を更新していない期間は、一緒に確かめます。
アドバイス同じ規則でも、通貨で結果は違ったよ。3通貨とも、PFは1に届かなかったよ。悪い結果も、そのまま載せているよ。
EAの選び方で見る年ごとの偏りと利益の集中

図は、決済した年ごとの損益です。プラスの年は5年(2016・2018・2020・2022・2024年)、マイナスの年は5年でした。最もよかったのは2016年の+1,825 pips、最も悪かったのは2017年の−3,217 pipsです。取引数は、年ごとに97〜122取引で、年による大きな差はありません。
年ごとの偏り
成績表の総損益がプラスでも、特定の年だけがよい場合があります。この記事の規則では、プラスの年とマイナスの年が1年おきに入れ替わり、プラスの年の最大は+1,825 pips、マイナスの年の最大は−3,217 pipsです。年ごとの損益を見ると、成績表の合計だけでは分からない偏りが分かります。
利益の集中

利益が出た取引は403取引で、利益の合計(利益総額)は60,786 pipsです。利益の大きい順に並べると、上位1%(11取引)が利益総額の15.4%、上位10%(111取引)が64.5%、上位20%(222取引)が88.4%を占めました。割合の分母は、全1,108取引ではなく、利益総額です。上位10%の取引を除くと、残りの損益は−46,759 pipsで、全取引の−7,534 pipsよりも悪くなります。少数の大きな取引が、全体の損失を小さくしていました。
利益が少数の取引に集まる規則では、その取引を逃すと、成績は大きく変わります。成績表の利益が少数の取引から来ていないか、確かめる価値があります。
アドバイスプラスの年は5年、マイナスの年も5年だったよ。利益は、上位の10%の取引に6割以上が集まっていたよ。
EAの選び方で見る連敗と下落期間|最大DDを並べ替えと比べる

連敗や最大DDが大きいとき、規則が悪いのか、順番の運なのかを見分けるため、通貨ごとの取引の順番を2000回入れ替えて、同じ数字を数え直しました。入れ替えても、取引1つ1つの損益は変わらず、順番だけが変わります。図の帯は、入れ替えた2000回のうち、下から5%目〜95%目の範囲です。
最長連敗と、並べ替えの範囲
最長連敗は、USD/JPYが9回、EUR/USDが11回、GBP/USDが13回、3通貨合算が14回でした。並べ替えた場合の中央値は、3通貨合算で13回、範囲は10〜19回です。実際の14回は、この範囲の中に入っています。通貨ごとも、すべて範囲の中でした。連敗の長さは、順番の巡り合わせで起きる範囲に収まっていました。

図は、3通貨合算の連敗を、長さごとに数えたものです。連敗の総数は237回で、1連敗が85回、2連敗が47回、3連敗が32回でした。10連敗以上は7回あり、最長の14連敗は1回です。負けた705取引は、この237回の連敗のどれかに入っています。
最大DDと、下落が続いた期間
3通貨合算の最大DDは9,741 pipsで、並べ替えた場合の中央値10,259 pips、範囲8,107〜13,223 pipsの中に入っています。EUR/USDとGBP/USDも範囲の中です。USD/JPYだけは、実際の2,327 pipsが、並べ替えの範囲(2,679〜6,145 pips)より小さい側でした。つまり、USD/JPYは順番に恵まれた側です。
下落が続いた期間は、図の累計曲線で見たとおり、最高値の更新がない期間が3,353日です。最大DDの深さと、最高値を更新できない期間は、別の数字なので、両方を確かめます。
通貨を3つ組み合わせても、最大DDは通貨ごとの合計よりは小さくなりました。3通貨の最大DDを足すと12,577 pipsで、合算した9,741 pipsは、その77%です。通貨ごとに、損失の出た時期が重なりきらなかったことを示しています。分散の効果は、ほかの記事でも解説しています。
ドローダウンの基本はドローダウンの記事、複数通貨の組み合わせはEA複数通貨ペア運用の記事にあります。
アドバイス14連敗や9,741 pipsの最大DDは、順番を入れ替えても出る範囲だったよ。成績表の連敗は、運で出る範囲かも一緒に見てね。
EAの選び方とロット・ナンピン・マーチン|資金管理の注意点

図は、最初の注文量を1倍とし、負けるたびに注文量を2倍にした場合の、次の注文量です。この記事の売買規則で数えた最長連敗に当てはめると、USD/JPYの9連敗で512倍、3通貨合算の14連敗で16,384倍になります。実際の相場で試したものではなく、2の連敗数乗を計算しただけです。
ナンピン・マーチン
ナンピンは、含み損を抱えたまま、同じ向きに追加で建てる手法です。マーチンゲールは、負けるたびに注文量を増やす手法です。どちらも、決済までに必要な連敗数が増えるほど、注文量が急に大きくなります。成績表の勝率が高くても、損切りの有無と、最大の注文量を必ず確認します。この記事では、ナンピンやマーチンのEAそのものの成績は測っていません。
ロットと最大下落

図は、この記事の規則でUSD/JPYだけを数えた最大下落2,327.2 pipsに、ロットをかけた計算です。0.01ロットなら23,272円(100万円の2.3%)、0.1ロットなら232,720円(23.3%)、1ロットなら2,327,200円(232.7%)です。同じ規則でも、ロットの大きさで、資金に対する下落の割合は大きく変わります。ロットは、最大DDを見てから、資金の何割まで許せるかで決めます。
ロットの計算はEAロット計算の記事、資金管理はEA資金管理の記事に詳しくあります。
アドバイス負けるたびに2倍にすると、14連敗で16,384倍になる計算だよ。ロットは、最大DDを見てから決めてね。
EAの選び方で見るバックテストとスプレッド|高勝率の見せ方・フォワード

図は、同じ取引を、スプレッドを入れた場合と入れない場合で数えたものです。3通貨合算は、入れた場合が−7,534 pips、入れない場合が−6,970 pipsで、差は564 pipsです。スプレッドは、損失の約7.5%にあたります。スプレッドを外しても、損失は残りました。
スプレッドが損益に与える影響
1取引あたりのスプレッドの費用は、USD/JPYが約0.38 pips、EUR/USDが約0.33 pips、GBP/USDが約0.82 pipsでした。取引の回数が多い規則ほど、この費用が積み重なります。バックテストでスプレッドを入れていない、または固定の小さい値にしている成績表は、実際より良く見えることがあります。
勝率が高くても、PFは1に届かない

2つ目の測定です。毎日UTCの0時に、買いと売りを1回ずつ入れ、利確か損切りの幅に届くまで、最長120時間持ちました。同じ足で両方に届いたときは、損切りとして数えています。利確と損切りの幅を、pipsで5通りに変えました。1設定は15,570取引(3通貨の合計)です。
勝率は、利確10・損切40で78.2%、利確20・損切40で65.4%、利確30・損切30で48.7%、利確40・損切20で31.8%、利確40・損切10で18.5%と、大きく動きました。一方、PFは0.90〜0.95の範囲で、5設定とも1未満です。通貨別に15組を見ても、PFが1を超えたのは、EUR/USDの利確20・損切40の1組(1.01)だけでした。勝率が78%の設定でも、PFは0.90です。勝率が高いことと、損益がプラスであることは、別のことです。

表は、5設定を通貨ごとに数えたPFです。1を超えたのは、EUR/USDの利確20・損切40の1.01だけで、ほかの14組は0.83〜0.99でした。
フォワードテストの見方
バックテストは、過去の足に規則を当てた結果です。フォワードテストは、これから出る相場で動かした結果で、バックテストと食い違うことがあります。食い違いの原因は、バックテストとフォワードの乖離の記事で解説しています。最適化の注意は、EA最適化の記事にあります。
アドバイス勝率は18.5%から78.2%まで動いたけど、PFは0.90〜0.95で1に届かなかったよ。勝率だけでは選べないね。
EAの選び方に使えるシストレ.COMの情報

図は、シストレ.COMの3つのページに、書かれている内容を整理したものです。EAを選ぶときは、これらの画面で、先ほどの7項目を確かめます。
ランキングとリアル運用の画面
EAランキングは、公開フォワード成績やリスク指標でまとめたEAの集まりです。リアル運用の画面には、累計収益・累計ロット数・総取引数・勝率・PFの列があります。ただし、勝率とPFの定義と集計期間は、画面には書かれていません。数字を見るときは、期間と数え方を確かめてから使います。
ポートフォリオの画面
ポートフォリオの画面では、EAを2本以上選ぶと、合算損益・下落の軽減・相関を見られます。最大DDは、日ごとの確定損益で計算されます。含み損は入りません。先ほどの3通貨合算で、最大DDが通貨ごとの合計の77%だったように、組み合わせで下落が小さくなるかを確かめられます。
EAを複数動かすときの考え方は、EAポートフォリオ運用の記事にあります。
アドバイス画面に書かれていることだけを整理したよ。定義が書かれていない数字は、使う前に確かめてね。
要点
・EA選びは、勝率とPF・最大DD・高勝率やナンピンの損切り・年ごとの偏り・利益の集中・スプレッド・ロットと分散の7項目を、数え方まで読んで比べる
・4時間足の20本の高値・安値を抜けたらドテンする規則を、3通貨・10年で数えた。1,108取引、勝率36.4%、PF0.89、損益−7,534 pips、最大DD9,741 pips
・通貨別のPFは、USD/JPY 0.98、GBP/USD 0.88、EUR/USD 0.80。3通貨とも1未満
・年ごとはプラス5年、マイナス5年。利益総額の64.5%が、上位10%(111取引)に集中した
・最長連敗14回、最大DD9,741 pipsは、取引の順番を2000回並べ替えた範囲に入っていた。USD/JPYの最大DDだけは範囲より小さかった
・スプレッドは損失の約7.5%(564 pips)。外しても損失は残った
・利確・損切りの5設定で、勝率は18.5〜78.2%に動いたが、PFは0.90〜0.95で1未満
・測っていないのは、ナンピン・マーチンEAそのものの成績、通貨や時間帯ごとの特徴、フォワードの成績
EAの選び方のよくある質問
EAは、勝率の高いものを選べばよいですか?
勝率だけでは選べません。利確と損切りの幅を変えるだけで、勝率は18.5〜78.2%に動きましたが、PFは1未満のままでした。
最大ドローダウンは、どう見ればよいですか?
含み損を入れたかと、期間を確かめます。この記事の最大DDは、決済した取引だけで測り、9,741 pipsでした。
連敗が続いたら、EAが壊れたと考えますか?
連敗の数だけでは決められません。14連敗でも、順番を並べ替えた範囲(10〜19回)に入っていました。
ナンピンやマーチンのEAは、避けるべきですか?
成績は測っていません。確かめる点は、損切りの有無と、最大の注文量です。2倍にする計算では、14連敗で16,384倍です。
バックテストの成績は、そのまま信じてよいですか?
数え方を読んでから使います。スプレッドの有無で、損益が564 pips変わりました。フォワードの成績とも合わせて見ます。
複数のEAを組み合わせると、下落は小さくなりますか?
この記事の3通貨では、小さくなりました。合算の最大DDは、通貨ごとの合計の77%でした。EAでは、ポートフォリオ画面で確かめられます。
EAの選び方のまとめ
EAの選び方は、勝率だけで決めず、勝率とPF・最大DD・高勝率やナンピンの損切り・年ごとの偏り・利益の集中・スプレッド・ロットと分散の7項目を、数え方まで読んで比べることです。Dukascopy のティックから作った4時間足で、3通貨・10年の1,108取引を数えると、勝率は36.4%、PFは0.89、最大DDは9,741 pipsでした。連敗と最大DDは、順番を並べ替えた範囲に入り、年ごとはプラスとマイナスが5年ずつで、利益の64.5%は上位10%の取引に集まりました。利確と損切りの幅を変えると、勝率は18.5〜78.2%に動きましたが、PFは1未満でした。測っていないのは、ナンピン・マーチンEAそのものの成績、通貨や時間帯ごとの特徴、フォワードの成績です。
EAの始め方はEA始め方ガイド、リスクはFXのリスク管理ガイド、現実はFX自動売買の現実、運用環境はFX自動売買向けVPSの比較、相場急変はEA相場急変対策にあります。
この記事はFXの取引手法の情報提供で、特定の投資を勧めるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を割り込むことがあります。取引は自己責任で、リスク管理をしたうえで行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













