
エクスパンディングトライアングルとは|高値と安値が外へ広がる形

形の条件と別名
エクスパンディングトライアングルは、高値が前の高値より高く、安値が前の安値より低くなっていく形です。高値を結んだ線と安値を結んだ線が、右へいくほど開きます。ブロードニングフォーメーションやメガホンパターンと、ほぼ同じ形の別名として使われます。ブロードニングフォーメーションの記事では6つの転換点で、メガホンパターンの記事では別の見方で扱っています。この記事は5つの転換点で判定し、時間足も1時間足と4時間足に絞っているため、件数や条件は同じではありません。
この記事では、高値3つと安値2つが並び、高値が切り上がって安値が切り下がるものを高値型、安値3つと高値2つが並び、安値が切り下がって高値が切り上がるものを安値型と呼びます。2本の線は、3つある側の1つ目と3つ目、2つある側の1つ目と2つ目を通る直線で、右へ延ばして使います。上の線を抜けるか、下の線を抜けるかを、あとの節で数えます。
収束型の三角保ち合いとの違い
通常の三角保ち合い(収束型)は、高値が切り下がり、安値が切り上がって、2本の線が右へ閉じていく形です。エクスパンディングは、線が開いて値動きの幅が広がっていく点が逆です。収束型の見方は三角保ち合いの記事にあります。この記事では、収束型は測っていません。
実例|EUR/USDの4時間足

図は、EUR/USDの4時間足の高値型です。高値の転換点は2026年8月6日0時(UTC)の1.15596、8月7日12時の1.15810、8月17日8時の1.16142で、切り上がっています。安値の転換点は8月6日16時の1.15148と8月13日4時の1.15119で、切り下がっています。5つ目の転換点が確定し、形ができたのは8月17日16時の足です。その11本後の8月19日12時の足の終値(約1.1664)が、上の線の外へ出ました。出た足の6本後(8月20日12時)の終値は1.1679、12本後は1.1683で、出た向き(上)へ進んでいます。その後の3本も線の外にとどまりました。条件に当てはまった1,064件のうちの1件で、全体を代表するものではありません。
アドバイスエクスパンディングは、高値と安値がどんどん外へ広がる形だよ。ブロードニングやメガホンと同じ形の別名だよ。
エクスパンディングトライアングルの見つけ方|転換点の決め方と出た回数

転換点の決め方
高値と安値の転換点は、ジグザグで決めました。まず、直近14本の値動きの幅(各足の高値と安値の差、または前の終値から高値・安値までの離れ幅の大きいほう)の平均をATRと呼びます。高値をつけたあと、終値がその高値からATRの2倍以上下がった足で、その高値を転換点として確定します。安値は反対です。確定した足の時点までの値動きだけで決めるので、あとから見直して形が変わることはありません。人が目で転換点を選ぶと人によってずれますが、この決め方なら同じ値動きから同じ転換点が出ます。
形の条件と、1件の数え方
確定した直近5つの転換点が、高値と安値が交互に並び、高値型か安値型の条件に当てはまったとき、5つ目の転換点が確定した足を形の確定とし、1件と数えます。同じ転換点を2つの形に使わないよう、前の形の5つ目より後の転換点から次の形を探します。1時間足と4時間足は別々に数えるので、同じ時期の値動きが両方に入ることがあります。形の1つ目から5つ目の転換点までの長さは、中央値で44本(1時間足42本、4時間足49本)でした。
出た回数
2016年1月〜2026年10月の5通貨ペアで、1時間足は867件、4時間足は197件、合計1,064件でした。高値型は534件、安値型は530件です。調べた足の数は、1時間足が336,670本、4時間足が87,024本です。通貨ペアごとの合計は、USD/JPYが173件、EUR/USDが248件、GBP/USDが244件、AUD/JPYが182件、USD/CHFが217件で、足すと1,064件です。年ごとでは、通年のうち2023年が120件で最も多く、2021年が83件で最も少なく、2026年は10月までで60件でした。1,064件を約10.8年で割ると、5通貨・2つの時間足を合わせて1年に約100件、1つの通貨ペアの1時間足だけなら1年に約16件にあたります。
足の順番を入れ替えた価格との比較
形がたまたま出ただけなのかを見るため、足の順番を入れ替えた価格(以下、入れ替え価格)にも、同じ手順を当てました。足ごとに、前の足の終値から始値までのずれと、始値から見た高値・安値・終値の幅を1組にして、足の順番をばらばらに並べ直して価格を作り直したものです。1本ごとの値動きの大きさの分布は実際と同じで、足の並びだけが崩れます。これを10回作り、転換点・形・線・線の外へ出る足を、実際と同じ条件で数えました。
入れ替え価格の件数は、10回の平均が1,176件、範囲が1,128〜1,220件で、実際の1,064件はその範囲の下に外れました。調べた足1,000本あたりの件数は、1時間足で実際2.58件・入れ替え2.79件、4時間足で実際2.26件・入れ替え2.73件です。足の並びが崩れた価格のほうが、形が多く出ています。入れ替え価格との差からわかるのは、1本ごとの値動きの大きさだけで形の出る件数が説明できる、という点までです。実際の価格にある値動きの大きさの連続や続きやすさのどれが差を生んでいるかは、分けて測っていません。
アドバイス形は、5通貨・2つの時間足を合わせて10年あまりで1,064件だったよ。足を入れ替えた価格のほうが、少し多く出たよ。
どんな相場で出やすいか
相場の局面(トレンド中か、レンジか)ごとの出やすさは、測っていません。測ったのは、通貨ペアごと・年ごとの件数だけで、上の数字のとおり、年によって83〜120件の幅がありました。
エクスパンディングトライアングルはどちらの線から抜けるか|上の線か下の線か

50本以内に出た向き
形が確定した足の次の足から50本以内に、終値が最初に、延ばした線の外へ出た向きを数えました。50本は、1時間足で50時間分、4時間足で200時間分の足の数です。データの終わりで50本そろわない2件を除いた1,062件のうち、上の線の外が237件、下の線の外が250件、出なかったのが575件(54.1%)でした。出たもののなかでは、上が48.7%で、ほぼ半々です。出るまでの本数は、中央値で14本でした。入れ替え価格では、出たのが45.8%、出るまでの中央値が15本で、実際と近い数字です。
型ごとの偏りは、入れ替え価格でも出る
型ごとに分けると、偏りが出ます。高値型532件は上が166件・下が83件・出ずが283件、安値型530件は上が71件・下が167件・出ずが292件です。線が3つの転換点で支えられている側(高値型は上、安値型は下)から出たのは、出た487件のうち333件で、68.4%でした。入れ替え価格でも、同じ側から出たのは5,383件のうち3,376件で62.7%と、同じ向きの偏りが出ています。つまり、この偏りは足の並びの癖ではなく、形の作り方から来る部分が大きいと言えます。判定の作り方として、5つ目の転換点は線が3つの転換点で支えられている側にあります。線までの距離は測っていません。実際が入れ替え価格より5.7ポイント高い理由も、測っていません。
アドバイス半分以上が、50本以内に線の外へ出なかったよ。高値型は上、安値型は下へ出た件数が多いけど、入れ替え価格でも同じ偏りが出たよ。
エクスパンディングトライアングルの抜けたあとの動き|続くか、戻るか

出た向きへ続いたか
線の外へ出た足の終値を基準に、6本後と12本後の終値が、出た向きにあった割合を測りました。出た487件のうち、6本後は47.8%、12本後は47.2%です。比べる相手は、入れ替え価格から487件を4,000回選び直したときの5〜95%の範囲で、6本後は46.2〜53.6%、12本後は46.4〜53.6%と、どちらも50%を含みます。向きを無作為に選んだ足は、6本後が50.1%、12本後が50.0%でした。実際の割合は50%をやや下回りますが、範囲の中に入っています。
3本以内に線の内側へ戻ったか

線の外へ出たあと、すぐ内側へ戻る動きは、だましとも呼ばれます。ここでは、出た足の次の3本のどれかの終値が、2本の線の間に戻った場合を「戻った」と数えました。図は、EUR/USDの4時間足の高値型です。形が確定したのは2021年2月24日12時(UTC)の足で、5本後の2月25日8時の足の終値1.22295が、上の線(1.21885)の外へ出ました。2本あとの2月25日16時の終値1.21857が、上の線(1.21898)の内側に戻っています。出た足の6本後(2月26日8時)の終値1.2107は、出た足の終値より低く、出た向きとは反対です。
出た487件のうち、3本以内に戻ったのは47.6%でした。入れ替え価格の範囲は41.1〜48.3%(平均44.6%)で、実際の割合は範囲の中でも上の端に近い値です。範囲に入っているため、実際のほうが戻りやすいとは言えません。出た足の終値で入った場合、約半数で、3本以内に価格が線の内側へ戻っていたことになります。
アドバイス線の外へ出た487件のうち、出た向きに続いたのは6本後で47.8%、3本以内に内側へ戻ったのは47.6%だったよ。
エクスパンディングトライアングルの幅と、広がり続けるか

線の間隔の測り方
形が確定した足での、上の線と下の線の間隔を、そのときのATRで割った値を「線の間隔(ATR)」としました。中央値は9.0でした。1,064件を、小さい順に355件・354件・355件の三分の一に分けると、境目は7.5と11.8です。入れ替え価格の件も、同じ境目で分けました。
間隔が広いほど、線を抜けにくく、広がり続けにくい
50本以内に線の外へ出た割合は、間隔が7.5未満で62.5%、7.5〜11.8で42.7%、11.8以上で32.3%でした。入れ替え価格では63.2%、38.4%、28.4%で、同じ並びです。次に、形の次の転換点が、直前の転換点よりさらに外へ出る割合を見ました。高値型なら、次の安値が、前の安値より下がる場合です。安値型なら、次の高値が、前の高値より上がる場合になります。これが「さらに外へ更新」です。割合は、間隔が7.5未満で34.4%、7.5〜11.8で15.5%、11.8以上で7.3%でした。入れ替え価格は39.2%、14.5%、5.0%です。
全体では、さらに外へ更新したのは19.1%(1,063件のうち203件)でした。入れ替え価格は22.0%で、範囲が19.9〜24.2%です。実際の19.1%は範囲のわずかに下になります。形を問わず、全転換点で次が前の同じ側の転換点を更新した割合は、高値側が48.8%、安値側が47.9%です。この形が確定した直後の19.1%は、それよりかなり低く、入れ替え価格でも低いので、形の並び方から来る部分があります。三分の一ごとに見ると、狭い側(実際34.4%・範囲34.9〜43.4%)はわずかに下、広い側(実際7.3%・範囲3.1〜7.1%)はわずかに上に外れています。差は小さく、理由は測っていません。
アドバイス線の間隔が広いほど、線を抜ける割合も、さらに外へ広がる割合も下がったよ。入れ替え価格でも同じ並びだったよ。
エクスパンディングトライアングルの使い方|測れたことと、測っていないこと

エントリーと損切りの見方
線の外へ出た足の終値で入る方法が、よく説明されます。測れたのは、その場合の出たあとの動きです。6本後に出た向きにあったのは47.8%で、入れ替え価格の範囲に入り、3本以内に内側へ戻ったのは47.6%でした。売買の損益、損切りの位置、利益と損失の比率(リスクリワード)は測っていません。リスクリワードの考え方はリスクリワードの記事にあります。
時間足による違い
1時間足は867件のうち402件が線の外へ出て、6本後に出た向きにあったのは47.3%、12本後は47.8%、3本以内に戻ったのは48.3%でした。4時間足は197件のうち85件が出て、50.6%、44.7%、44.7%です。4時間足は件数が少なく、入れ替え価格の範囲が6本後で41.2〜58.8%と広いため、時間足の違いは読み取れません。
ほかの指標との組み合わせ
移動平均線やRSIなどの指標、複数の時間足を重ねる方法、出来高との組み合わせは、測っていません。線の外へ出る動きの見方は、ブレイクアウトの記事とダマシの記事にまとめています。この記事で測れた範囲では、形が出たこと自体は、その後の向きの手がかりにならない結果でした。
アドバイス測った項目は、どれも入れ替え価格の範囲に入るか、すぐ外だったよ。売買の損益までは、測っていないからね。
要点
・エクスパンディングトライアングルは、高値が切り上がり、安値が切り下がって、線が右へ開く形。ブロードニングやメガホンと同じ形の別名
・5通貨の1時間足・4時間足、2016年1月〜2026年10月で、合計1,064件(1時間足867件・4時間足197件)。入れ替え価格は平均1,176件で、実際のほうが少なかった
・50本以内に線の外へ出たのは487件(45.9%)、出なかったのは575件(54.1%)。上237件・下250件
・高値型は上、安値型は下へ出た件数が多いが、入れ替え価格でも同じ偏り(68.4%と62.7%)
・出たあと、6本後に同じ向きだったのは47.8%、12本後は47.2%。入れ替え価格の範囲(46.2〜53.6%・46.4〜53.6%)に入る
・3本以内に線の内側へ戻ったのは47.6%(入れ替え価格の範囲41.1〜48.3%)
・線の間隔が広いほど、線を抜けにくく、さらに外へ広がりにくい
・測っていないのは、売買の損益、損切り、ほかの指標との組み合わせ
エクスパンディングトライアングルのよくある質問
エクスパンディングトライアングルとは何ですか?
高値と安値が、ともに外へ広がっていく形です。2本の線が右へ開きます。ブロードニングフォーメーションやメガホンパターンとも呼ばれます。
収束型の三角保ち合いとの違いは何ですか?
線が開くか、閉じるかです。収束型は高値が切り下がり安値が切り上がって線が閉じます。エクスパンディングは線が開きます。
線を抜けたら、その向きへ進みますか?
進みやすいとは言えませんでした。487件のうち、6本後に同じ向きだったのは47.8%です。入れ替え価格の範囲(46.2〜53.6%)に入っています。
線を抜けたあと、すぐ戻ることはありますか?
約半数で、3本以内に戻っていました。487件のうち232件で、割合は47.6%です。入れ替え価格の平均は44.6%でした。
何時間足で見るとよいですか?
向き不向きは、測っていません。件数は1時間足が867件、4時間足が197件です。4時間足は少なく、傾向を読み取るには足りません。
エクスパンディングトライアングルのまとめ
エクスパンディングトライアングルは、高値が切り上がり、安値が切り下がって、線が右へ開く形です。Dukascopy のティックから作った足の2016年1月〜2026年10月、5通貨ペアの1時間足・4時間足で、合計1,064件見つかりました。50本以内に線の外へ出たのは487件(45.9%)で、半分以上は出ませんでした。出たあとに同じ向きへ続いたのは、6本後47.8%・12本後47.2%で、入れ替え価格の範囲に入りました。3本以内に内側へ戻ったのは47.6%です。線の間隔が広いほど、線を抜けにくく、さらに外へ広がりにくい結果でした。測っていないのは、売買の損益、損切り、ほかの指標との組み合わせです。
形の条件は数値で書けるので、同じ条件を自動で回して確かめたい場合は、EA(自動売買)の記事と、EAの選び方の記事があります。
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