
VW-MACDとは|出来高で重みをつけたMACD

VW-MACDの計算式と考案者
VW-MACD(Volume Weighted MACD、出来高加重MACD)は、Buff Dormeier氏が、Gerald Appel氏のMACDを作り変えた指標です。MACDが指数平滑移動平均(EMA)の差を使うのに対し、VW-MACDは、出来高で重みをつけた移動平均(VWMA)の差を使います。
VWMAは、各足の終値にその足の出来高をかけて合計し、期間内の出来高の合計で割った平均です。出来高の多い足の終値ほど、平均に強く効きます。VW-MACDの本線は、短い期間のVWMAから長い期間のVWMAを引いた値で、その本線をならした線がシグナル線、本線とシグナル線の差がヒストグラムです。図の下段で、青い線が本線、オレンジの線がシグナル線、灰色の棒がヒストグラムです。
シストレ.COMで配布しているVW-MACD_systreは、短い期間が12、長い期間が26、シグナル線が本線の9期間の単純平均です。実装によっては、シグナル線にEMAを使うものもあります。この記事で「VW-MACD」と書くときは、この12・26・9の設定のことです。
FXの出来高はティック数
株式には取引所があり、売買された数量を出来高として数えます。FXには、すべての取引が集まる取引所がないため、MT4・MT5の出来高は、その足の間に価格が更新された回数(ティックボリューム)です。取引された量そのものではありません。この記事でも、出来高はティック数のことです。
測定に使ったティック数は、Dukascopy のティックから足ごとに数えた値です。MT4・MT5が表示するティックボリュームは、使っているFX会社の価格の配信から数えるため、同じ足でも数が同じとは限りません。
MT4・MT5の標準インジケーターとの違い
MT4・MT5の標準インジケーターの一覧に、VW-MACDはありません。標準のMACDは、12期間のEMAと26期間のEMAの差が本線で、シグナル線は本線の9期間の単純平均です(MT4のヘルプの定義)。VW-MACDを使うには、カスタムインジケーターのファイルを入れる必要があります。入れ方は、あとの節にまとめています。
アドバイスVW-MACDは、MACDの平均を出来高で重みづけしたものだよ。FXの出来高は、価格が更新された回数だね。
VW-MACDの出来高|ティック数は時間帯で4.4倍変わる

時間帯ごとのティック数
5通貨の1時間足(計333,913本)で、日本時間の時刻ごとに平均ティック数を出し、各通貨の全体の平均を1として並べました。いちばん多いのは23時から始まる足の1.83、いちばん少ないのは6時から始まる足の0.41で、差は4.4倍です。0時(1.58)、22時(1.69)、21時(1.42)も多く、5時から8時と12時・13時は0.7以下です。
VW-MACDは、この出来高を重みにします。同じ価格の動きでも、ティック数の多い時間帯の足は、平均に強く効きます。
26本の中で重みが偏る度合い
26期間のVWMAで、直近26本の中で最もティック数の多い足の重みは、中央値で7.6〜8.8%でした(通貨ごとの範囲)。全ての足が同じ重みなら1本あたり3.8%なので、重みは約2倍に偏ります。12期間では、13.9〜15.5%でした(全て同じ重みなら8.3%)。出来高の重みは、平均を作る足の中で、ティック数の多い足に寄せる効果があります。
アドバイスティック数は、時間帯で4.4倍も違うんだね。VW-MACDは、その多い足の終値を強く見るよ。
VW-MACDの交差|出来高を同じにした線・MT4標準のMACDとの違い

比べた3本の線
出来高の重みで線がどう変わるかを見るため、3本の線を同じ足で計算しました。VW-MACDは、ティック数を重みにしたVWMAの12期間と26期間の差です。出来高を同じにした線は、VWMAのティック数をすべて1にした線で、12期間と26期間の単純平均の差です。VW-MACDと違うのは、出来高の重みだけです。MT4標準のMACDは、12期間と26期間のEMAの差です。シグナル線は、3本とも本線の9期間の単純平均です。
5通貨の1時間足333,913本を使い、各通貨の最初の600本は、計算の助走として除きました。交差は、本線からシグナル線を引いた値(ヒストグラム)の符号が変わった足を、1回と数えます。上へ抜けるのがゴールデンクロス、下へ抜けるのがデッドクロスです。
交差の回数

1,000本あたりの交差は、VW-MACDが81.1回、出来高を同じにした線が69.7回、MT4標準のMACDが83.3回でした。333,913本での合計は、27,082回、23,288回、27,814回です。VW-MACDは、出来高を同じにした線より、16%ほど多く交差しました。MT4標準のMACDとは、2.2回の差です。
図の実例の96本では、VW-MACDの交差が9回、出来高を同じにした線が10回でした。
向きが食い違う足

同じ足で、2本の線のヒストグラムの符号(本線がシグナル線より上か下か)が違っていた割合は、VW-MACDと出来高を同じにした線で12.1%、VW-MACDとMT4標準のMACDで25.0%でした。本線がプラスかマイナスかで見ると、違った割合は3.9%と14.1%です。向きが一致した足は、出来高を同じにした線とは87.9%、MT4標準のMACDとは75.0%です。
交差の位置のずれ

VW-MACDの27,082回の交差のそれぞれについて、同じ向きで最も近い、別の線の交差までの本数を数えました。12本以内にあったものだけが対象で、出来高を同じにした線は25,136回(92.8%)、MT4標準のMACDは25,103回(92.7%)です。
出来高を同じにした線との比較では、同じ足で交差したのが26.2%、別の線が先が38.2%、あとが35.6%で、どちらかに偏っていません。MT4標準のMACDとの比較では、同じ足が10.5%、MT4標準のMACDが先が66.0%、あとが23.5%でした。VW-MACDの交差は、MT4標準のMACDより、遅く出る足が多くなります。出来高の重みだけを変えた線との比較では、先後が偏っていません。MT4標準のMACDとの差には、移動平均の種類(VWMAとEMA)の違いも含まれます。
アドバイス交差の回数は、VW-MACDが81.1回、MT4標準が83.3回で近いよ。ただ、MT4標準のほうが先に交差する足が66.0%あったね。
VW-MACDの使い方|出来高が多い足の交差のあとを測った結果

ティック数が多い足・少ない足の分け方
「出来高が多い足の交差は信頼できる」という使い方を、交差のあとの価格の向きで測りました。交差した足のティック数を、直前26本の平均ティック数で割り、1.5倍以上を「多い」、約0.67倍(1.5分の1)以下を「少ない」、その間を「ふつう」としました。区分は、測る前に決めています。
27,082回の交差のうち、多いが4,831回(17.8%)、ふつうが15,057回(55.6%)、少ないが7,194回(26.6%)です。ティック数は時間帯で大きく変わるため、多い足の交差は、日本時間で21時・22時・23時・0時から始まる足に、4,831回のうち2,497回(51.7%)が集まっています。
交差のあとに進んだ向き
本線がシグナル線を上へ抜けたら買い、下へ抜けたら売りの向きとして、交差した足の終値から4本後・12本後の終値が、その向きに進んだ割合を数えました。売りは下がれば、買いは上がれば、進んだとします。交差1回を1件と数え、4本後・12本後の先の足がある件だけが対象です(4本後は27,081件、12本後は27,077件)。
比べる相手には、同じ区分の全ての足から、同じ数・同じ向きの足を選んだときの割合を中心に、二項分布の正規近似で計算した90%の範囲(ランダムの範囲)を使いました。4本後は、全ての交差が49.3%、多いが49.9%、ふつうが48.9%、少ないが49.7%でした。12本後は、全ての交差が50.2%、多いが50.8%、ふつうが50.0%、少ないが50.2%です。
8つの割合のうち6つがランダムの範囲に入り、2つ(4本後の全ての交差とふつう)は範囲の下側に、0.1〜0.3ポイント外れました。ティック数が多い足の割合は、4本後が範囲の48.7〜51.0%、12本後が48.7〜51.1%に入り、ふつう・少ない足との差は、4本後で最大1.0ポイント、12本後で最大0.8ポイントです。範囲は90%なので、8つのうち1つほどは偶然でも外れる計算です。また、この範囲は、足が1本ずつ独立に選ばれると仮定した計算で、交差のあとの動きが重なる足が近くにあると、実際の範囲は広がります。
測った範囲では、ティック数が多い足の交差のあとに、交差の向きへ進む割合が、ほかの足より高いとは言えませんでした。
測っていないこと
この記事で測ったのは、線の性質と、交差のあとの価格の向きです。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率、0ラインの上下の使い分け、ほかの指標との組み合わせは測っていません。ダイバージェンス(価格と指標の向きのずれ)や、通貨ペアごとの違いも測っていません。MACDの基本はMACDの記事、ダイバージェンスはダイバージェンスの記事にまとめています。
アドバイス交差のあとに進んだ割合は、ティック数が多い足で4本後49.9%・12本後50.8%だったよ。ランダムの範囲に入っているね。
VW-MACDのMT4・MT5での入れ方|ZIPの中身と手順

MT4の入れ方
- ダウンロードしたZIPを展開し、MT4フォルダの中の
VW-MACD_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、VW-MACD_systreをチャートに出します。
MT5の入れ方
MT5も手順は同じで、違うのは取り出すファイルと置くフォルダだけです。ZIPのMT5フォルダの中の VW-MACD_systre.ex5 を取り出し、「ファイル」の「データフォルダを開く」から「MQL5」の中の「Indicators」に置きます。そのあと、ナビゲーターで更新し、「挿入」「インディケータ」「カスタム」から表示します。
ダウンロードと設定
ZIPには、MT4用のex4ファイルとMT5用のex5ファイルが、それぞれのフォルダに入っています。ex4はMT4用、ex5はMT5用なので、入れる先を間違えないでください。入力の初期値は、短い期間が12、長い期間が26、シグナル線が9です。この記事のVW-MACDは、この初期値と同じ設定です。
無料配布のサンプルです。商用利用・再配布はできません。シストレ.COMの登録口座で使えます。認証が行われていない口座では使えません。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4がMQL4、MT5がMQL5のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
要点
・VW-MACDは、MACDの移動平均を、出来高で重みをつけた移動平均(VWMA)に置きかえた指標。Buff Dormeier氏の考案。配布ファイルの設定は12・26・9
・FXの出来高は、価格が更新された回数(ティック数)。ティック数は、日本時間の時刻で最大4.4倍(23時の1.83と6時の0.41)変わる
・5通貨の1時間足333,913本で、シグナル線との交差は1,000本あたり、VW-MACDが81.1回、出来高を同じにした線が69.7回、MT4標準のMACDが83.3回
・VW-MACDの交差に近いMT4標準のMACDの交差は、先に出た足が66.0%、同じ足が10.5%、あとに出た足が23.5%。出来高を同じにした線とは、先後が偏らなかった
・交差のあとに交差の向きへ進んだ割合は、4本後49.3%・12本後50.2%。ティック数が多い足は49.9%と50.8%で、ランダムの範囲(48.7〜51.1%)に入った
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの指標との組み合わせ
VW-MACDのよくある質問
VW-MACDとは何ですか?
出来高で重みをつけたMACDです。EMAの代わりに、ティック数で重みをつけた移動平均(VWMA)の差を使います。
FXの出来高は何を使っていますか?
価格が更新された回数(ティック数)です。取引された量ではありません。使うFX会社によって、数は同じとは限りません。
MT4・MT5に最初から入っていますか?
入っていません。標準のインジケーターにVW-MACDはないので、ファイルを入れて使います。
MT4とMT5のどちらでも使えますか?
どちらでも使えます。ZIPに、MT4用のex4とMT5用のex5が入っています。
出来高が多いときの交差は信頼できますか?
測った範囲では、高いとは言えませんでした。ティック数が多い足の交差のあと、交差の向きへ進んだ割合は、4本後49.9%・12本後50.8%で、ランダムの範囲に入りました。
普通のMACDと、どちらが交差が早いですか?
MT4標準のMACDのほうが、先に交差する足が多くなります。近い交差で比べると、MT4標準のMACDが先が66.0%、VW-MACDが先が23.5%でした。
VW-MACDのまとめ
VW-MACDは、MACDで使う移動平均を、出来高で重みをつけたVWMAに置きかえた指標です。FXの出来高は、価格が更新された回数(ティック数)で、日本時間の時刻によって最大4.4倍変わります。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、333,913本)では、シグナル線との交差は1,000本あたり81.1回で、出来高を同じにした線(69.7回)やMT4標準のMACD(83.3回)と近い値でした。
交差のあとに交差の向きへ進んだ割合は、4本後が49.3%、12本後が50.2%で、ティック数が多い足でも49.9%と50.8%で、ランダムの範囲に入りました。測っていない売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。移動平均はEMAの記事、価格変化と出来高を掛け合わせる指標はフォースインデックスの記事にまとめています。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
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