
DD方式とは|注文の相手方が業者になる仕組み

DD方式の注文処理の流れ
DDは、ディーリングデスク(Dealing Desk)の略です。あなたが買い注文を出すと、業者が売る側の相手になります。売り注文なら、業者が買う側の相手になります。注文は取引所に出るのではなく、業者との間で成立します。
業者は、取った注文のリスクを、そのまま持つ場合と、ほかの業者や銀行との取引で減らす場合があります。後者がカバー取引です。DD方式かどうかは、口座の名前ではなく、注文がどこへ流れるかで決まります。
相対取引とカバー取引

相対取引は、取引所を通さず、業者と顧客が直接結ぶ取引です。金融庁の店頭FXに関する検討会の議事録(2018年2月13日)には、「相対取引」の語が出てきます。同じ議事録は、カバー取引を「店頭FX業者が顧客との取引に係るポジションのリスクヘッジのために、銀行等を相手に行う取引」と説明し、これは任意の取引だとしています。
金融庁の証券取引等監視委員会の資料も、カバー取引を「業者が、顧客との取引により発生し得る損失を減少させるために、他の業者等(カバー取引先)を相手方として行う取引」としています。つまり、業者がカバー取引をするかどうか、どのくらいするかは、業者ごとに違いがあり得ます。
DDとNDD・STP・ECNの違い
NDDは、ノーディーリングデスク(No Dealing Desk)の略で、業者が注文の相手方にならず、取り次ぐ形の呼び名です。取り次ぐ形は、STPとECNに分けて呼ばれます。STPは、注文を提携先の銀行などへそのまま流す形です。ECNは、複数の参加者の注文が並ぶ板へ出す形で、手数料がかかる口座タイプがあります。
DD・NDD・STP・ECNは、法令の用語ではなく、業界での呼び名です。上の図は、この記事での整理です。口座ごとの詳しい違いは、NDD方式の記事、STP口座の記事、ECN口座の記事にまとめています。
アドバイスDD方式は、業者が注文の相手になる形だよ。カバー取引をするかどうかは、業者ごとに違うんだ。
DD方式のメリット|コストを先に計算しやすい

固定スプレッドを提示する口座
DD方式の口座には、スプレッドを一定の幅で提示するものがあります。注文を出す前に、片道のコストがわかるので、損益を事前に計算しやすくなります。変動スプレッドの口座は、時間帯や指標でコストが変わります。この記事の計測でも、Dukascopy の提示スプレッドは、時間帯と指標のあとで大きく変わりました(次の章に書いています)。
固定をうたう口座でも、「いつでもその幅で約定する」とは限りません。固定の幅が、指標の直後にも守られるかどうかは、取引条件の書面に書かれた範囲で確かめます。
最小ロットとレバレッジは口座の条件
最小ロットやレバレッジの上限は、DD方式かNDD方式かではなく、口座ごとの条件で決まります。日本の登録業者と海外の業者では、レバレッジの扱いが違うことがあります。比較は海外FXの記事を参照してください。
スプレッドが利幅に占める割合
スプレッドは、狙う値幅が小さいほど、利益に占める割合が大きくなります。スプレッドを1.5 pipsとして計算すると、5 pips狙いでは30.0%、20 pips狙いでは7.5%、100 pips狙いでは1.5%です。スプレッドが3.0 pipsに広がると、同じ値幅で60.0%、15.0%、3.0%になります。手数料とスワップは入れていない計算です。
アドバイス5 pips狙いだと、スプレッド1.5 pipsで30.0%だよ。狙う幅が大きいほど、割合は小さくなるんだ。
DD方式のデメリット|リクオートと利益相反

リクオートと約定拒否
リクオートは、注文を出した価格では執行できず、業者が別の価格を返してくることです。MT4の公式ヘルプでは、Instant Executionで価格が合わない場合に「Requote」が起きると説明されています。Request Executionは、業者から先に受け取った価格で執行します。Market Executionは、業者がトレーダーとの協議なしに執行価格を決めます。
どの執行方式を使うかは、業者が決めます。DD方式だからリクオートが起きる、NDD方式だから起きない、とは言えません。この記事の計測でも、リクオートそのものは測れていません。測ったのは、価格やスプレッドが大きく動く場面です。
スリッページ
スリッページは、注文した価格と約定した価格のずれです。ずれが不利な方向に出るか、有利な方向に出るかは、相場と業者の約定のしかたで変わります。FXの値動きのなかでどれくらいずれるかは、スリッページの記事で、発表の直後の価格の動きを測っています。
利益相反
業者が注文の相手方になり、カバー取引をしないときは、顧客の損益と業者の損益が向かい合う関係になります。これが、DD方式で利益相反が議論される理由です。カバー取引をするかどうかは任意と、金融庁の議事録にあります。業者がどれだけカバーしているかは、外からはわかりません。
アドバイスリクオートは、DD方式の名前だけでは決まらないよ。執行方式は、業者の取引条件で確かめよう。
DD方式の約定リスク|時間帯と指標直後のスプレッドを測った

時間帯別のスプレッド
注文方式を選ぶときに問題になるのは、スプレッドが広がり、価格が飛ぶ場面です。固定スプレッドの1.5 pipsという線を例に、Dukascopy の提示スプレッドがその線を超えた割合を、日本時間の時間帯で数えました。5分おきの提示スプレッドを、5通貨ペアそれぞれ約80万回、週末の休場を除いて集計しています。
超えた割合が最も高かったのは、6時台と7時台です。ニューヨークの17時(日本時間で夏は6時、冬は7時)をはさむ時間帯です。6時台は、USD/JPYが46.4%、EUR/USDが31.3%、GBP/USDが66.5%、EUR/JPYが66.5%、AUD/JPYが67.3%でした。7時台は、29.1%、18.2%、60.0%、57.9%、50.0%です。
9〜23時台の各時間帯は、USD/JPYで1.4%以下、EUR/USDで0.6%以下でした。GBP/USDは8.7%以下、EUR/JPYは9.4%以下、AUD/JPYは5.5%以下です。1日を通した割合は、USD/JPYが3.5%、EUR/USDが2.1%、GBP/USDが9.8%、EUR/JPYが10.4%、AUD/JPYが7.9%でした。
米雇用統計と米CPIの直後

米雇用統計と米CPIは、どちらも米東部時間の8:30に発表されます。その時刻から60秒間に、スプレッドが最も広がった値を1件とし、米雇用統計の日(129件)、米CPIの日(128〜129件)、比較日(約2,550件)で中央値を出しました。発表日は、米労働統計局の雇用統計とCPIの公表ページにある日です。比較日は、この2つ以外の平日で、同じ8:30から60秒を測っています。
最大スプレッドの中央値は、5通貨ペアすべてで、雇用統計の日、CPIの日、比較日の順に大きくなりました。雇用統計の日は、USD/JPYが6.3 pips、EUR/USDが3.3 pips、GBP/USDが6.1 pips、EUR/JPYが10.8 pips、AUD/JPYが10.7 pipsです。比較日は、0.9、0.6、1.3、1.4、1.2 pipsでした。
最大スプレッドが3 pips以上になった割合は、USD/JPYで雇用統計の日が75.2%、比較日が11.9%でした。EUR/USDでは、57.4%と3.3%です。比較日には、同じ時刻に別の経済指標が出る日も含みます。
発表直後の価格の飛び

同じ60秒間に、隣り合う2つのティックの中値(bidとaskの真ん中)の差が、最も大きかった値も見ました。雇用統計の日の中央値は、USD/JPYが10.8 pips、EUR/USDが8.3 pips、GBP/USDが8.7 pips、EUR/JPYが5.6 pips、AUD/JPYが4.2 pipsです。比較日は、0.7、0.6、0.7、0.7、0.6 pipsでした。CPIの日は、8.5、6.2、5.9、4.2、3.5 pipsです。
USD/JPYでは、2 pips以上飛んだ割合が、雇用統計の日で96.1%、比較日で18.9%でした。スプレッドが広がるだけでなく、価格も飛んでいます。この間に出した成行注文は、注文した価格から離れた価格で約定するか、リクオートになることが、注文の方式によって起こりえます。
この計測の条件と読み方
この計測は、Dukascopy のティックから作った足で行ったものです。どの業者の約定価格でもありません。DD方式の業者の提示価格や約定は、ここと違います。ティックの数は、発表直後に大きく増えるため、飛びの大きさにはティックの細かさも関係します。数字は、「その場面で価格が動く」ことを示すもので、どの注文方式が有利かを示すものではありません。
アドバイス雇用統計の直後は、USD/JPYの最大スプレッドが6.3 pips。比較日は0.9 pipsだったよ。
DD方式の安全性|業者を調べる順番

日本の登録と無登録の警告
金融庁は、外国為替証拠金取引についてのページで、取引を始める前に、相手が金融商品取引法の登録を受けた業者かを確認するよう求めています。海外のライセンスを持つ業者でも、日本で登録を受けずに日本に住む人へ取引を勧めることは禁止されている、とも書かれています。
登録を受けた業者は、金融庁の登録業者一覧で確認できます。無登録で営業して警告を受けた業者は、無登録業者の警告一覧にあります。金融先物取引業協会の投資家向けのページにも、無登録の海外業者へ誘導されてトラブルになる例があるとして、注意が書かれています。
約定ルールは取引条件で確かめる
注文の執行方式、最大許容スリッページ、リクオートの扱いは、業者の取引条件の書面に書かれています。見る項目は、執行方式がInstantかRequestかMarketか、スリッページをどこまで許すか、約定しなかったときの扱いです。方式の名前より、書面の中身を見ます。
出金と預かり金の扱い
出金の条件と手数料、受け付けてから着金するまでの日数は、規約にあります。預けた証拠金は、業者自身の財産と分けて管理すること(区分管理)が、金融庁の資料で説明されています。区分管理をどのように行っているかも、業者の説明で確認します。
アドバイスまず、金融庁の登録業者一覧で確かめよう。取引条件の書面も、読んでおこうね。
DD方式とNDD方式の選び方|取引手法ごとに先に見る点

DD方式とNDD方式の違いのまとめ
DD方式は、業者が注文の相手方になります。NDD方式は、業者が注文を取り次ぎます。どちらが有利かは、この記事の計測では出せません。口座ごとのスプレッド、手数料、執行方式、規約が違うためです。方式の名前ではなく、取引条件の書面と、自分が注文を出す時間帯で選びます。
スキャルピングとデイトレードの場合
数pips狙いのスキャルピングは、スプレッドが利幅に占める割合が大きくなります。前の章の計算では、5 pips狙いで30.0%です。さらに、スキャルピングを規約で制限する業者もあるため、先に取引規約を読みます。デイトレードは、日本時間の6〜7時台や、指標の直後に注文と決済が重ならないかを見ます。
スイングとEA運用の場合
数十〜100 pipsを狙うスイングは、スプレッドの割合が小さくなります。先に見るのは、出金条件と、業者の登録です。EAは、決まった時刻に自動で注文を出すため、最大許容スリッページの設定と、規約でEAが認められるかを見ます。EAの選び方は、EAの選び方の記事にまとめています。
アドバイスどちらが有利かは、この記事では測っていないよ。口座の条件と、注文を出す時間帯で選ぼうね。
要点
・DD方式は、業者が注文の相手方になる形。業者は、必要に応じて銀行などとカバー取引をする。DD・NDD・STP・ECNは、法令ではなく業界の呼び名
・日本の登録は、金融庁の登録業者一覧で確認する。海外のライセンスがあっても、日本での登録は必要
・リクオートの有無は、方式の名前でなく、業者の執行方式(Instant・Request・Market)で決まる
・Dukascopy のティックから作った5通貨ペアの足(2016年1月〜2026年10月)では、提示スプレッドが1.5 pipsを超えた割合は、日本時間6時台で31.3〜67.3%、9〜23時台の各時間帯でUSD/JPYは1.4%以下
・米雇用統計の直後60秒の最大スプレッドは、中央値で3.3〜10.8 pips、比較日は0.6〜1.4 pips
・測っていないのは、DD方式の業者の約定、リクオートの回数、どの方式が有利か
DD方式のよくある質問
DD方式とNDD方式の違いは何ですか?
注文の相手方が業者かどうかです。DD方式は業者が相手方になり、NDD方式は業者が取り次ぎます。どちらも法令の用語ではなく、業界の呼び名です。
DD方式では、リクオートが必ず起きますか?
いつも起きるわけではありません。リクオートは、業者の執行方式がInstantのときに、価格が合わない場合に起きるものです。執行方式は取引条件の書面で確認できます。
DD方式の業者は、安全ですか?
方式では決まりません。先に、金融庁の登録業者一覧で、日本の登録を受けているかを確認します。無登録の警告一覧も見ておきます。
指標の発表のとき、スプレッドは広がりますか?
Dukascopy の提示スプレッドは広がりました。米雇用統計の直後60秒の最大スプレッドは、中央値で3.3〜10.8 pipsで、比較日の0.6〜1.4 pipsを上回りました。DD方式の業者の提示価格は、これと違う場合があります。
EAは、DD方式の口座で使えますか?
規約しだいです。EAを禁止している業者もあるため、取引規約で、EAが認められるかと最大許容スリッページの設定を確認します。
DD方式のまとめ
DD方式は、業者が注文の相手方になる注文方式で、業者はカバー取引をすることがあります。NDD・STP・ECNとの違いは法令の用語ではなく、業界の呼び名の違いです。Dukascopy のティックから作った5通貨ペアの足(2016年1月〜2026年10月)では、提示スプレッドが1.5 pipsを超えた割合は、日本時間6時台で31.3〜67.3%でした。米雇用統計の直後60秒の最大スプレッドは、中央値で3.3〜10.8 pipsで、比較日の0.6〜1.4 pipsを上回りました。
この計測は、DD方式の業者の約定ではなく、リクオートの回数も測っていません。業者を選ぶときは、金融庁の登録業者一覧で日本の登録を確認し、取引条件の書面で執行方式と最大許容スリッページを読んでください。口座ごとの違いはNDD方式の記事とスリッページの記事が参考になります。
この記事はFXの注文方式の情報提供で、特定の業者や取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
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