
上昇三角形(アセンディングトライアングル)とは|形と成り立ち

水平な上値と切り上がる安値
上昇三角形は、2つの線でできています。1本は、高値が同じ水準で2回以上止められてできる、水平な上値線です。もう1本は、押し目の安値が前より高くなってできる、右上がりの下値線です。2本の線は右へ進むほど近づき、三角形になります。
上の図では、上値に2回触れたあと、安値が3回切り上がり、終値が上値を超えました。この記事では、上値を「R」、R から最初の安値までの幅を「高さ」と呼びます。高さは、あとで目標値を測るときに使います。
形が示していること
形から分かるのは、「同じ上値で何度か止められ、安値は切り上がった」という過去の事実です。上へ抜けるか下へ抜けるかは、形からは決まりません。この記事の後半で、機械で見つけた414件を使って、実際にどちらへ進んだかを数えます。
アドバイス上昇三角形は、水平な上値と切り上がる安値の組み合わせだよ。上に抜けるかどうかは、形だけでは決まらないよ。
上昇三角形の見分け方|機械で見つけるときの検出条件

見分けるときの確認項目
目で見ると、あとから「三角形に見える」形を選んでしまいがちです。そこで、この記事では、その足の時点で分かるデータだけを使って、次の条件で機械に見つけさせました。
- 直近40本の確定した高値のうち最大を、上値Rにします。Rから0.3ATR以内の高値を「触れた」と数え、2回以上を条件にします。
- 最初に触れた高値より後に、確定した安値が2つ以上あることを条件にします。各安値は、前の安値より0.2ATR以上高くします。
- 高さ(Rと最初の安値の幅)が1.5ATR以上であること。形が見つかった足の終値が、Rと下値線の間にあること。
- 同じ通貨ペアでは、20本あけて数えます。形が見つかった足の終値を、1件の基準にします。
ATRは、直近14本の値幅の平均で、通貨ペアや時期による値動きの大きさの違いをそろえるために使いました。確定した高値・安値は、前後2本より高い(低い)足です。確定には2本分の時間がかかるので、形を見つけた足より先のデータは使っていません。
触れた回数と形の大きさ
この条件で見つかった上昇三角形は、1時間足が414件、4時間足が103件でした(形が見つかったあと、30本先まで足がそろっている件数)。高さの中央値は、1時間足で3.6ATRです。上値に触れた回数が2回の件が大半で、3回以上は1時間足で43件、4時間足で14件でした。
アドバイス形を見つける条件は、数字で決めておいたよ。あとから三角形に見えるものを選ぶと、結果が甘くなるからね。
上昇三角形のブレイクの確認と目標値|エントリーと損切りの置き方

ブレイクは終値で確認する
この記事では、足の終値が上値Rを超えた時点を「上抜け」と数えました。ヒゲが一瞬Rを超えただけの足は、上抜けに入れていません。ブレイクの基本は、ブレイクアウトの記事にまとめています。
形が見つかったあと、30本以内に、終値が先にRを超えた件は、1時間足の414件のうち137件(33.1%)でした。先に終値で下値線を割った件は277件(66.9%)です。下値線は右上がりで延ばすので、時間がたつほど割れやすい点には注意してください。この差だけでは、上抜けが少ないとは言えません。
目標値は上値に高さを足す
目標値は、上値Rに三角形の高さを足した水準で測ります。図の例では、Rが151.50円、高さが約0.33円で、目標は約151.83円です。上抜けのあと、価格は目標まで届きました。
この記事では、上抜けた足の終値のあと、48本以内に高値が「R+高さ」に達した件を「目標に届いた」と数えました。上抜けた件で届いた割合は、1時間足が137件中72件(53%)、4時間足が37件中24件(65%)です。
損切りは下値線の下に置く
損切りの置き方は、最後に切り上がった安値の下か、下値線の下が一般的です。ブレイクした足のすぐ下に置くと、値幅が狭すぎて、ふつうの揺れで外れることがあります。損切りの幅と目標までの幅の比は、リスクリワードの記事で、1回の損失の上限は資金管理の記事で説明しています。この記事では、損切りを置いた場合の損益は測っていません。
アドバイス目標値は、上値に高さを足して測るよ。届いた割合は、1時間足が53%、4時間足が65%だったよ。
上昇三角形のダマシ|上抜けたあとに戻る割合

上抜けのあと5本以内に戻った割合
図は、終値が上値を超えたのに、そのあと終値が上値の下へ戻った例です。この記事では、上抜けた足のあと5本以内に、終値がRの下へ戻った件を「戻った(ダマシ)」と数えました。

上昇三角形で上抜けた件のうち、5本以内に戻った割合は、1時間足が137件中78件(57%)、4時間足が37件中16件(43%)でした。比べる相手の「無作為」は、無作為に選んだ足で、同じように上値を決めて、終値がそれを超えた件です。戻った割合は、1時間足が259件中138件(53%)、4時間足が289件中134件(46%)でした。上昇三角形のほうが戻りにくい、とは言えません。
戻ったときの見方
上抜けた件の約半数は、5本以内にRの下へ戻っています。終値でブレイクを確認しても、ダマシは起こります。ダマシの見分け方は、フォールスブレイクの記事にまとめています。この記事では、戻りを避ける方法の効果は測っていません。
アドバイス上抜けたあと、5本以内に上値の下へ戻った割合は、1時間足で57%だったよ。上抜けた件の半分くらいは戻っているね。
上昇三角形と下降三角形・対称三角形の違い

下降三角形との違い
下降三角形は、上昇三角形を上下に反転した形です。水平なのは下値線で、高値が切り下がっていきます。上昇三角形は、上値が水平で、安値が切り上がります。測り方も反対で、下値線を終値で割ったあとに、下値線から高さを引いて目標を測ります。詳しくは下降三角形の記事にあります。この記事では、下降三角形は測っていません。
対称三角形との違い
対称三角形は、高値が切り下がり、安値が切り上がる形です。上値線も下値線も傾いているので、水平な線がありません。上昇三角形は、水平な上値があるので、「どの水準を終値で超えたら上抜けか」が決めやすい形です。対称三角形は、対称三角形の記事で説明しています。
アドバイス上昇三角形は上値が水平、下降三角形は安値が水平、対称三角形はどちらも傾いているよ。線の向きで見分けるよ。
上昇三角形は上へ抜けやすいのか|5通貨10年の自社計測

測り方
形が見つかった足の終値から、上と下にそれぞれ1.5ATRの線を引き、30本以内に先に高値または安値が届いた側を数えました。上下が同じ足で届いた件は除いています。1.5ATRを使ったのは、上下の距離をそろえるためです。Rまでの距離は件によって違うので、Rを超えたかどうかだけで比べると、形の違いが距離の違いに隠れます。
比べる相手は2つです。1つは「上も下も水平」な形で、上値は上昇三角形と同じ条件、安値は切り上がらず水平です。もう1つは「無作為の時刻」で、無作為に選んだ足のうち、上値に1回触れ、安値が2つ以上あり、終値が範囲の中にある足です。期間・通貨・条件は同じで、足の本数は、1時間足が336,913本、4時間足が87,087本でした。
結果
先に上へ届いた割合は、1時間足で、上昇三角形が407件中225件(55.3%)、上も下も水平な形が4,118件中2,120件(51.5%)、無作為の時刻が984件中490件(49.8%)でした。4時間足では、上昇三角形が101件中51件(50.5%)、上も下も水平が1,118件中566件(50.6%)、無作為が990件中525件(53.0%)です。
1時間足の上昇三角形は、95%の誤差の幅(±4.8ポイント)を付けても50%を少し上回りました。一方、4時間足では50.5%で、無作為の53.0%を下回っています。1件ごとの動きは近い時期の件と重なるので、実際の誤差の幅は図の線より広くなります。「上昇三角形は上へ抜けやすい」とは、この計測では言えませんでした。
通貨ペアと年で見る

1時間足を通貨ペアごとに分けると、上昇三角形で先に上へ届いた割合は、USD/JPYが62%(82件)、AUD/JPYが65%(99件)、EUR/USDが51%(71件)、EUR/JPYが48%(83件)、GBP/USDが47%(72件)でした。50%を明確に上回ったのは上の2つだけで、残りの3つは50%前後かそれ以下でした。1ペアは71〜99件なので、誤差の幅は±10ポイント前後です。
年ごとに見ると、1時間足の上昇三角形で50%を上回った年は、2016〜2026年の11年のうち7年でした。1年あたりは26〜44件です。上値に3回以上触れた件は、1時間足で43件中29件(67%)、4時間足で14件中10件(71%)が先に上へ届きましたが、件数が少なく、誤差の幅は±14〜±24ポイントあります。
測っていないこと
この計測で測ったのは、形が見つかったあとの価格の向きと、上抜けたあとの動きです。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率、出来高、日足・週足、下降三角形と対称三角形は測っていません。先行するトレンドの向きも、条件に入れていません。
アドバイス先に上へ届いた割合は、1時間足で55.3%、4時間足で50.5%だったよ。通貨ペアによっても差があるから、形だけで判断しないでね。
要点
・上昇三角形は、水平な上値と、切り上がる安値でできた三角形。形だけでは、上へ抜けるか下へ抜けるかは決まりません
・5通貨の1時間足414件・4時間足103件で、先に上へ届いた割合は55.3%(1時間足)・50.5%(4時間足)。4時間足は無作為の53.0%を下回った
・上抜けたあと5本以内に上値の下へ戻った割合は、1時間足57%・4時間足43%
・上値+高さの目標に届いた割合は、1時間足53%・4時間足65%
・測っていないのは、売買の損益、勝率、出来高、日足・週足、下降三角形・対称三角形
上昇三角形のよくある質問
上昇三角形の信頼度はどのくらいですか?
5通貨の計測では、先に上へ届いた割合は55.3%(1時間足)・50.5%(4時間足)でした。無作為の時刻は49.8%・53.0%で、大きな差はありません。
どの時間足で見ればよいですか?
どの時間足がよいかは測っていません。この記事で測ったのは、1時間足と4時間足だけです。上昇三角形の件数は、1時間足が414件、4時間足が103件でした。日足・週足は測っていません。
ダマシを避ける方法はありますか?
避ける方法の効果は測っていません。終値で上抜けを確認しても、5本以内に上値の下へ戻った割合は、1時間足で57%、4時間足で43%でした。
目標値はどう測りますか?
上値に、三角形の高さを足して測ります。上抜けたあと48本以内に届いた割合は、1時間足が53%、4時間足が65%でした。
下降トレンドの途中でも使えますか?
測っていません。この記事の検出条件には、先行するトレンドの向きを入れていないので、トレンドの向きによる違いは分かりません。
上昇三角形のまとめ
上昇三角形は、水平な上値と、切り上がる安値でできた三角形です。Dukascopyのティックから作った5通貨の足(2016年1月〜2026年10月)で、機械で見つけた1時間足414件・4時間足103件を数えると、先に上へ届いた割合は55.3%と50.5%で、無作為の時刻(49.8%・53.0%)と大きくは変わりませんでした。上抜けたあと5本以内に上値の下へ戻った割合は、1時間足で57%でした。
目標値は、上値に高さを足して測り、上抜けた件で届いた割合は、1時間足が53%、4時間足が65%でした。測っていない売買の損益や、損切りの効果は、自分のデータで確かめてから使ってください。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













