
対称三角形(シンメトリカルトライアングル)とは|形と成り立ち

高値の切り下がりと安値の切り上がり
対称三角形は、2本の線でできています。1本は、戻り高値が前より低くなってできる、右下がりの上の線(図の青)です。もう1本は、押し安値が前より高くなってできる、右上がりの下の線(図のオレンジ)です。2本の線は右へ進むほど近づき、三角形になります。「シンメトリカル」は「対称」の意味で、上下の線が同じように内側へ寄っていく形を指します。
上の図では、高値が4回切り下がり、安値が3回切り上がったあと、終値が上の線を超えました。この記事では、形の最初のころの、上の線と下の線の幅を「高さ」と呼びます。高さは、あとで目標値を測るときに使います。
形が示していること
形から分かるのは、「高値は前より低く、安値は前より高い」という過去の事実です。上へ抜けるか下へ抜けるかは、形からは決まりません。この記事の後半で、機械で見つけた件を使って、実際にどちらへ進んだかを数えます。
アドバイス対称三角形は、切り下がる高値と切り上がる安値が近づく形だよ。どちらに抜けるかは、形だけでは決まらないよ。
対称三角形の見分け方|機械で見つけるときの検出条件

見分けるときの確認項目
目で見ると、あとから「三角形に見える」形を選んでしまいがちです。そこで、この記事では、その足の時点で分かるデータだけを使って、次の条件で機械に見つけさせました。
- 直近40本の確定した高値のうち最大から、確定した高値が2つ以上あることを条件にします。各高値は、前の高値より0.2ATR以上低くします。
- 直近40本の確定した安値のうち最小から、確定した安値が2つ以上あることを条件にします。各安値は、前の安値より0.2ATR以上高くします。
- 高さが1.5ATR以上であること。上の線も下の線も、高さの4分の1以上、内側へ寄っていること。形が確定した足の終値が、2本の線の間にあること。
- 形が確定した足の終値を、1件の基準にします。同じ通貨ペアでは、20本あけて数えます。
ATRは、直近14本の値幅の平均で、通貨ペアや時期による値動きの大きさの違いをそろえるために使いました。確定した高値・安値は、前後2本より高い(低い)足です。確定には2本分の時間がかかるので、形を見つけた足より先のデータは使っていません。
見つかった件数と形の大きさ
この条件で見つかった対称三角形は、1時間足が170件、4時間足が49件でした(形が確定した足の30本あとまで足がそろっている件数)。1時間足の内訳は、USD/JPYが41件、EUR/JPYが35件、AUD/JPYが41件、EUR/USDが28件、GBP/USDが25件で、合計が170件です。1年あたりは12〜21件でした。
高さの中央値は、1時間足も4時間足も約4ATRです。形ができ始めてから、形が確定するまでの本数は、1時間足の中央値で28.5本でした。上の線に使った高値の数は、1時間足で2つが81件、3つが50件、4つ以上が39件です。
アドバイス形を見つける条件は、数字で決めておいたよ。あとから三角形に見えるものを選ぶと、結果が甘くなるからね。
対称三角形と上昇三角形・下降三角形・拡大三角形の違い

上昇三角形・下降三角形との違い
上昇三角形は、上の線がほぼ水平で、安値だけが切り上がります。下降三角形は、下の線がほぼ水平で、高値だけが切り下がります。対称三角形は、どちらの線も傾いています。この記事の検出条件では、上の線も下の線も高さの4分の1以上内側へ寄っていることを条件にして、水平に近い形を除きました。詳しくは上昇三角形の記事と下降三角形の記事にあります。
拡大三角形との違い
拡大三角形は、高値が切り上がり、安値が切り下がって、値動きの幅が右へ向かって広がる形です。対称三角形は幅が狭まり、拡大三角形は幅が広がります。拡大三角形は拡大三角形の記事で説明しています。この記事では、上昇三角形・下降三角形・拡大三角形は測っていません。
アドバイス上昇三角形は上が水平、下降三角形は下が水平、対称三角形は両方が傾いて近づくよ。拡大三角形は逆に広がるよ。
対称三角形のブレイク方向|上へ抜けるか下へ抜けるかを5通貨で測定

測り方
形が確定した足の次の足から30本以内に、終値が上の線を超えたら「上抜け」、下の線を割ったら「下抜け」と数えました。2本の線が交わる足より先は見ていません。ヒゲが一瞬線を超えただけの足は、抜けに入れていません。ブレイクの基本は、ブレイクアウトの記事にまとめています。
比べる相手は、価格を並べ替えたデータです。各足について、前の終値からの高値・安値・終値の差を取り出し、足の順番だけを入れ替えて足を作り直しました。値動きの大きさは同じで、時間の並びだけが無作為になります。このデータに同じ検出をする作業を100回くり返し、結果の2.5〜97.5パーセンタイルを「並べ替えの範囲」としました。実データの範囲は、件数から計算した95%の誤差の幅(正規近似)です。
上抜けと下抜けの割合
1時間足の170件のうち、30本以内に上へ抜けたのが82件、下へ抜けたのが79件、どちらにも抜けなかったのが9件でした。上へ抜けた割合は、抜けた161件のうち50.9%です。範囲が43.2〜58.7%で、50%を含みます。並べ替えのデータでは、中央値が50.5%、範囲が43.6〜59.4%でした。
4時間足の49件では、上へ抜けたのが25件、下へ抜けたのが19件、どちらにも抜けなかったのが5件でした。上へ抜けた割合は、抜けた44件のうち56.8%で、範囲が42.2〜71.5%と広く、50%を含みます。並べ替えの範囲は38.0〜67.1%(中央値52.4%)です。どちらの足でも、実データは並べ替えの範囲に収まり、上下どちらかへ偏るとは言えませんでした。
直前の向きと同じ向きに抜けるか

対称三角形は、直前のトレンドを引き継ぐ「継続パターン」と言われます。これを測るために、直前の向きを次のように決めました。形の最初の点(上の線と下の線のうち早いほう)の足の終値が、その40本前の終値より1ATR以上高ければ「上げ」、1ATR以上低ければ「下げ」、その間は「どちらでもない」とします。
1時間足で抜けた161件のうち、直前が上げだったのが74件、下げだったのが55件、どちらでもないのが32件でした。上げか下げだった129件のうち、直前と同じ向きに抜けたのは71件で、55.0%です。範囲が46.5〜63.6%で、50%を含みます。内訳は、上げのあとの74件で上へ抜けたのが41件(55%)、下げのあとの55件で下へ抜けたのが30件(55%)でした。並べ替えのデータでは、中央値が48.8%、範囲が40.4〜58.6%で、実データの55.0%はその範囲の中です。
4時間足は、上げか下げだった31件のうち15件(48.4%)が同じ向きでした。範囲は30.8〜66.0%で、並べ替えの範囲(33.9〜66.4%)とほぼ同じです。5つのうち、実データの割合が50%を上回ったのは1時間足だけで、その差も範囲に収まるため、「直前の流れを引き継ぎやすい」とは、この計測では言えませんでした。
通貨ペアで分けて見る

1時間足を通貨ペアごとに分けると、直前と同じ向きに抜けた割合は、EUR/JPYが72%(25件中18件)、AUD/JPYが53%(30件中16件)、GBP/USDが53%(19件中10件)、EUR/USDが50%(22件中11件)、USD/JPYが48%(33件中16件)でした。EUR/JPYだけが高く出ていますが、1ペアあたり19〜33件で、誤差の幅は±17〜22ポイント前後あります。5ペアを同時に見ると、1つが偶然に離れて出ることは起こりうるので、このペアだけに傾向があるとは言えません。
アドバイス1時間足で上へ抜けたのは50.9%、直前と同じ向きに抜けたのは55.0%だったよ。どちらも並べ替えの範囲に入っているから、形だけで方向は決められないよ。
対称三角形の目標値|高さの測り方と届いた割合

目標値は抜けた位置の線から高さの分だけ先
目標値は、抜けた足の位置の線から、三角形の高さの分だけ抜けた方向へ進んだ水準で測ります。図の例では、直前が上げだった形が、2023年3月9日4時(UTC)に終値で下の線を割りました。抜けた位置の線は約136.94円、高さは約1.13円で、目標は約135.81円です。価格は、抜けてから20本あとの足(3月10日0時・UTC)で目標に届きました。
この記事では、抜けたあとの48本以内に、高値または安値が目標の水準に達した件を「届いた」と数えました。届いた割合は、1時間足が161件中73件(45.3%)で、範囲は37.7〜53.0%です。並べ替えのデータでは、中央値が43.4%、範囲が36.3〜51.2%でした。4時間足は44件中18件(40.9%)で、範囲は26.4〜55.4%、並べ替えの範囲は30.5〜57.5%(中央値42.9%)です。どちらの足でも、実データは並べ替えの範囲に収まります。
損切りは反対側の線の外に置く
損切りの置き方は、抜けた方向と反対側の線の外か、最後の高値・安値の外が一般的です。抜けた足のすぐ近くに置くと、値幅が狭すぎて、ふつうの揺れで外れることがあります。損切りの幅と目標までの幅の比は、リスクリワードの記事で、1回の損失の上限は資金管理の記事で説明しています。この記事では、損切りを置いた場合の損益は測っていません。
アドバイス目標値は、抜けた位置の線から高さの分だけ先で測るよ。1時間足で届いたのは45.3%で、並べ替えの範囲に入っているよ。
対称三角形のダマシ|抜けたあとに戻る割合

抜けたあと5本以内に戻った割合
図は、終値が上の線を超えたのに、そのあと終値が線の内側へ戻った例です。2022年12月28日5時(UTC)に終値で上の線を超えましたが、3本あとの8時(UTC)の終値は、抜けた位置の線より下に戻りました。この記事では、抜けた足のあと5本以内に、終値が抜けた位置の線の内側へ戻った件を「戻った(ダマシ)」と数えました。

戻った割合は、1時間足が161件中97件(60.2%)で、範囲は52.7〜67.8%でした。並べ替えのデータでは、中央値が54.7%、範囲が47.6〜62.7%で、実データは5ポイントほど高いものの、範囲の中に収まります。4時間足は44件中19件(43.2%)で、範囲は28.5〜57.8%、並べ替えの範囲は39.2〜71.4%です。
戻ったときの見方
1時間足では、抜けた件の6割が、5本以内に線の内側へ戻っています。終値でブレイクを確認しても、ダマシは起こります。ダマシの見分け方は、フォールスブレイクの記事にまとめています。この記事では、戻りを避ける方法の効果は測っていません。
測っていないこと
この計測で測ったのは、形が見つかったあとの抜ける向きと、抜けたあとの動きです。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率、移動平均線・RSI・MACDとの組み合わせ、日足・週足、上昇三角形・下降三角形・拡大三角形は測っていません。4時間足は件数が少なく、誤差の幅が±14ポイント以上あります。1件ごとの動きは近い時期の件と重なるので、実際の誤差の幅は図の線より広くなります。
アドバイス抜けたあと5本以内に戻った割合は、1時間足で60.2%だったよ。並べ替えの範囲には入っているけれど、抜けた件の6割は戻っているね。
要点
・対称三角形は、切り下がる高値と切り上がる安値が近づいてできる三角形。形だけでは、上へ抜けるか下へ抜けるかは決まらない
・5通貨の1時間足161件で、上へ抜けた割合は50.9%。並べ替えの範囲は43.6〜59.4%で、実データはその中に収まった
・直前と同じ向きに抜けた割合は、1時間足で55.0%(並べ替えの範囲は40.4〜58.6%)、4時間足で48.4%。「直前の流れを引き継ぎやすい」とは言えない
・目標(抜けた位置の線から高さの分だけ先)に届いた割合は、1時間足45.3%、4時間足40.9%。どちらも並べ替えの範囲の中
・抜けたあと5本以内に戻った割合は、1時間足で60.2%、4時間足で43.2%。測っていないのは、売買の損益、勝率、移動平均線・RSI・MACDとの組み合わせ、日足・週足
対称三角形のよくある質問
シンメトリカルトライアングルは、上下のどちらへ抜けますか?
どちらかに偏るとは言えません。5通貨の1時間足では、上へ抜けたのが82件、下へ抜けたのが79件でした。
対称三角形は、トレンド継続のパターンですか?
この計測では、継続しやすいとは言えませんでした。直前と同じ向きに抜けたのは、1時間足で55.0%、4時間足で48.4%で、どちらも並べ替えの範囲に入っています。
利益目標はどう決めますか?
抜けた位置の線から、三角形の高さの分だけ先を目安にします。1時間足では、抜けた件の45.3%が48本以内に届いています。
ダマシはどのくらいありますか?
1時間足では、6割ほどが戻りました。終値で抜けた161件のうち、97件が5本以内に線の内側へ戻っています。
対称三角形と上昇三角形・下降三角形の違いは?
水平な線があるかどうかです。上昇三角形は上の線、下降三角形は下の線が水平で、対称三角形は両方が傾いて近づきます。
対称三角形のまとめ
対称三角形は、切り下がる高値と切り上がる安値が近づいてできる三角形です。Dukascopyのティックから作った5通貨の足(2016年1月〜2026年10月)で、機械で見つけた1時間足170件・4時間足49件を数えると、1時間足で上へ抜けた割合は50.9%、直前と同じ向きに抜けた割合は55.0%でした。どちらも、価格を並べ替えて同じ検出をした範囲に収まりました。
目標値は、抜けた位置の線から高さの分だけ先で測り、1時間足で届いた割合は45.3%でした。抜けたあと5本以内に線の内側へ戻った割合は60.2%です。測っていない売買の損益や、損切りの効果は、自分のデータで確かめてから使ってください。
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