ディセンディングトライアングル(下降三角形)とは|見分け方と目標値・5通貨で測った下抜けの割合

ディセンディングトライアングル(下降三角形)は、安値がほぼ同じ水準で支えられ、高値だけが切り下がっていく三角形のチャートパターンです。この記事では、Dukascopyのティックから作った足で、USD/JPY・EUR/JPY・AUD/JPY・EUR/USD・GBP/USDの1時間足と4時間足(2016年1月〜2026年10月)から、下降三角形を機械で見つけて、そのあとの動きを数えました。1時間足の271件では、終値から1.5ATR動くときに先に下へ届いた割合が48.5%、4時間足の83件では48.2%で、「下へ抜けやすい」とは言えませんでした。下抜けたあと5本以内に下値の上へ戻った割合は、1時間足で50%、4時間足で60%です。

目次

下降三角形(ディセンディングトライアングル)とは|形と成り立ち

USD/JPYの1時間足で、水平な下値に2回触れ、高値が4回切り下がったあとに終値で下抜けた下降三角形の実際のチャート
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)。USD/JPYの1時間足(2020年4月・時刻はUTC)。オレンジの点が下値に触れた安値、青の点が切り下がった高値。

水平な下値と切り下がる高値

下降三角形は、2つの線でできています。1本は、安値が同じ水準で2回以上支えられてできる、水平な下値線です。もう1本は、戻り高値が前より低くなってできる、右下がりの高値線です。2本の線は右へ進むほど近づき、三角形になります。

上の図では、下値に2回触れたあと、高値が4回切り下がり、終値が下値を割りました。この記事では、下値を「S」、最初の高値からSまでの幅を「高さ」と呼びます。高さは、あとで目標値を測るときに使います。

形が示していること

形から分かるのは、「同じ下値で何度か支えられ、高値は切り下がった」という過去の事実です。下へ抜けるか上へ抜けるかは、形からは決まりません。この記事の後半で、機械で見つけた271件を使って、実際にどちらへ進んだかを数えます。

アドバイス

下降三角形は、水平な下値と切り下がる高値の組み合わせだよ。下に抜けるかどうかは、形だけでは決まらないよ。

下降三角形の見分け方|機械で見つけるときの検出条件

下降三角形を機械で見つける決め方を、データ・期間・ペア・下値・高値・大きさ・数え方の項目ごとにまとめた表
出典: 自社の検出条件。足はDukascopyのティックから作った1時間足・4時間足(bid)。

見分けるときの確認項目

目で見ると、あとから「三角形に見える」形を選んでしまいがちです。そこで、この記事では、その足の時点で分かるデータだけを使って、次の条件で機械に見つけさせました。

  1. 直近40本の確定した安値のうち最小を、下値Sにします。Sから0.3ATR以内の安値を「触れた」と数え、2回以上を条件にします。
  2. 最初に触れた安値より後に、確定した高値が2つ以上あることを条件にします。各高値は、前の高値より0.2ATR以上低くします。
  3. 高さ(最初の高値とSの幅)が1.5ATR以上であること。形が見つかった足の終値が、Sと高値線の間にあること。
  4. 同じ通貨ペアでは、20本あけて数えます。形が見つかった足の終値を、1件の基準にします。

ATRは、直近14本の値幅の平均で、通貨ペアや時期による値動きの大きさの違いをそろえるために使いました。確定した高値・安値は、前後2本より高い(低い)足です。確定には2本分の時間がかかるので、形を見つけた足より先のデータは使っていません。

触れた回数と形の大きさ

この条件で見つかった下降三角形は、1時間足が271件、4時間足が83件でした(形が見つかったあと、30本先まで足がそろっている件数)。高さの中央値は、1時間足で3.5ATR、4時間足で4.0ATRです。下値に触れた回数が2回の件が大半で、3回以上は1時間足で24件、4時間足で7件でした。

アドバイス

形を見つける条件は、数字で決めておいたよ。あとから三角形に見えるものを選ぶと、結果が甘くなるからね。

下降三角形のブレイクの確認と目標値|エントリーと損切りの置き方

USD/JPYの1時間足で下降三角形を下抜けたあと、下値Sから三角形の高さを引いた目標値まで届いた実際のチャート
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)。USD/JPYの1時間足(2021年11月・時刻はUTC)。緑の点線が、下値Sから高さを引いた目標値。

ブレイクは終値で確認する

この記事では、足の終値が下値Sを割った時点を「下抜け」と数えました。ヒゲが一瞬Sを割っただけの足は、下抜けに入れていません。ブレイクの基本は、ブレイクアウトの記事にまとめています。

形が見つかったあと、30本以内に、終値が先にSを割った件は、1時間足の271件のうち80件(29.5%)でした。先に終値で高値線を超えた件は190件(70.1%)で、どちらも起きなかった件が1件です。高値線は右下がりで延ばすので、時間がたつほど価格に近づき、超えやすくなる点には注意してください。この差だけでは、下抜けが少ないとは言えません。

目標値は下値から高さを引く

目標値は、下値Sから三角形の高さを引いた水準で測ります。図の例では、Sが113.30円、高さが約0.37円で、目標は約112.93円です。下抜けのあと、価格は目標まで届きました。

この記事では、下抜けた足の終値のあと、48本以内に安値が「S−高さ」に達した件を「目標に届いた」と数えました。下抜けた件で届いた割合は、1時間足が80件中48件(60%)、4時間足が25件中13件(52%)です。比べる相手の無作為(無作為に選んだ足で、同じように下値を決めて、終値がそれを割った件)では、1時間足が234件中152件(65%)、4時間足が226件中131件(58%)でした。無作為のほうが、割合は高く出ています。下降三角形のほうが目標に届きやすい、とは言えません。

損切りは高値線の上に置く

損切りの置き方は、最後に切り下がった高値の上か、高値線の上が一般的です。ブレイクした足のすぐ上に置くと、値幅が狭すぎて、ふつうの揺れで外れることがあります。損切りの幅と目標までの幅の比は、リスクリワードの記事で、1回の損失の上限は資金管理の記事で説明しています。この記事では、損切りを置いた場合の損益は測っていません。

アドバイス

目標値は、下値から高さを引いて測るよ。届いた割合は、1時間足が60%、4時間足が52%だったよ。でも無作為は65%と58%だから、三角形のほうが届きやすいとは言えないよ。

下降三角形のダマシ|下抜けたあとに戻る割合

EUR/USDの1時間足で下降三角形の下値を終値で割ったあと、数本のうちに終値が下値の上へ戻った実際のチャート
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)。EUR/USDの1時間足(2026年3月・時刻はUTC)。終値が下値Sを割ったあと、2本あとの足で終値がSの上へ戻った例。

下抜けのあと5本以内に戻った割合

図は、終値が下値を割ったのに、そのあと終値が下値の上へ戻った例です。この記事では、下抜けた足のあと5本以内に、終値がSの上へ戻った件を「戻った(ダマシ)」と数えました。

下降三角形と無作為の時刻について、下抜けた件数・5本以内に戻った件数・目標に届いた件数を1時間足と4時間足で並べた表
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の1時間足・4時間足で、下抜けたあとの動き。

下降三角形で下抜けた件のうち、5本以内に戻った割合は、1時間足が80件中40件(50%)、4時間足が25件中15件(60%)でした。比べる相手の「無作為」は、無作為に選んだ足で、同じように下値を決めて、終値がそれを割った件です。戻った割合は、1時間足が234件中114件(49%)、4時間足が226件中111件(49%)でした。下降三角形のほうが戻りにくい、とは言えません。

戻ったときの見方

1時間足では、下抜けた件の半数が5本以内にSの上へ戻っています。終値でブレイクを確認しても、ダマシは起こります。ダマシの見分け方は、フォールスブレイクの記事にまとめています。この記事では、戻りを避ける方法の効果は測っていません。

アドバイス

下抜けたあと、5本以内に下値の上へ戻った割合は、1時間足で50%だったよ。下抜けた件の半分は戻っているね。

下降三角形と上昇三角形・対称三角形の違い

上昇三角形・下降三角形・対称三角形の上値線と下値線の向きを、3つの模式図で並べた図
模式図(実際の相場ではない)。形の定義だけを示した図。

上昇三角形との違い

上昇三角形は、下降三角形を上下に反転した形です。水平なのは上値線で、安値が切り上がっていきます。下降三角形は、下値が水平で、高値が切り下がります。測り方も反対で、上値線を終値で超えたあとに、上値線へ高さを足して目標を測ります。詳しくは上昇三角形の記事にあります。この記事では、上昇三角形は測っていません。

対称三角形との違い

対称三角形は、高値が切り下がり、安値が切り上がる形です。上値線も下値線も傾いているので、水平な線がありません。下降三角形は、水平な下値があるので、「どの水準を終値で割ったら下抜けか」が決めやすい形です。対称三角形は、対称三角形の記事で説明しています。

アドバイス

上昇三角形は上値が水平、下降三角形は安値が水平、対称三角形はどちらも傾いているよ。線の向きで見分けるよ。

下降三角形は下へ抜けやすいのか|5通貨10年の自社計測

下降三角形・上も下も水平な形・無作為の時刻について、終値から上下1.5ATRのうち先に下へ届いた割合を1時間足と4時間足で並べた棒グラフ
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の1時間足・4時間足で、先に下へ届いた割合。

測り方

形が見つかった足の終値から、上と下にそれぞれ1.5ATRの線を引き、30本以内に先に高値または安値が届いた側を数えました。上下が同じ足で届いた件と、どちらも届かなかった件は除いています。1.5ATRを使ったのは、上下の距離をそろえるためです。Sまでの距離は件によって違うので、Sを割ったかどうかだけで比べると、形の違いが距離の違いに隠れます。

比べる相手は2つです。1つは「上も下も水平」な形で、下値は下降三角形と同じ条件、高値は切り下がらず水平です。もう1つは「無作為の時刻」で、無作為に選んだ足のうち、下値に1回以上触れ、高値が2つ以上あり、終値が範囲の中にある足です。期間・通貨・条件は同じで、足の本数は、1時間足が336,913本、4時間足が87,087本でした。

結果

先に下へ届いた割合は、1時間足で、下降三角形が264件中128件(48.5%)、上も下も水平な形が4,136件中2,011件(48.6%)、無作為の時刻が980件中490件(50.0%)でした。4時間足では、下降三角形が83件中40件(48.2%)、上も下も水平が1,139件中572件(50.2%)、無作為が984件中469件(47.7%)です。

1時間足の下降三角形は、95%の誤差の幅(±6.0ポイント)を付けると、50%を含みます。4時間足は誤差の幅が±10.7ポイントで、やはり50%を含みます。どちらの足でも、無作為との差は誤差の幅に収まります。1件ごとの動きは近い時期の件と重なるので、実際の誤差の幅は図の線より広くなります。「下降三角形は下へ抜けやすい」とは、この計測では言えませんでした。

通貨ペアと年で見る

1時間足の下降三角形と無作為の時刻について、先に下へ届いた割合を5つの通貨ペアごとに並べた棒グラフ
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。1時間足で、通貨ペアごとの先に下へ届いた割合。

1時間足を通貨ペアごとに分けると、下降三角形で先に下へ届いた割合は、AUD/JPYが60%(45件)、GBP/USDが53%(55件)、EUR/JPYが45%(58件)、USD/JPYが44%(52件)、EUR/USDが43%(54件)でした。50%を上回ったのは2ペアだけで、1ペアあたり45〜58件なので、誤差の幅は±14ポイント前後です。

年ごとに見ると、1時間足の下降三角形で50%を上回った年は、2016〜2026年の11年のうち4年でした。1年あたりは15〜33件です。下値に3回以上触れた24件のうち、上下どちらかに届いた23件では12件(52%)が先に下へ届きましたが、件数が少なく、誤差の幅は±20ポイントあります。

測っていないこと

この計測で測ったのは、形が見つかったあとの価格の向きと、下抜けたあとの動きです。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率、移動平均線・RSI・MACDとの組み合わせ、日足・週足、上昇三角形と対称三角形は測っていません。先行するトレンドの向きも、条件に入れていません。

アドバイス

先に下へ届いた割合は、1時間足で48.5%、4時間足で48.2%だったよ。無作為と変わらないから、形だけで判断しないでね。

要点
・下降三角形は、水平な下値と、切り下がる高値でできた三角形。形だけでは、下へ抜けるか上へ抜けるかは決まらない
・5通貨の1時間足271件・4時間足83件で、先に下へ届いた割合は48.5%(1時間足)・48.2%(4時間足)。無作為の時刻は50.0%・47.7%で、差は誤差の幅に収まった
・下抜けたあと5本以内に下値の上へ戻った割合は、1時間足50%・4時間足60%
・下値−高さの目標に届いた割合は、1時間足60%、4時間足52%。無作為は65%・58%で、下降三角形のほうが届きやすいとは言えない
・測っていないのは、売買の損益、勝率、移動平均線・RSI・MACDとの組み合わせ、日足・週足、上昇三角形・対称三角形

下降三角形のよくある質問

ディセンディングトライアングルは必ず下落しますか?

必ずではありません。5通貨の計測では、先に下へ届いた割合が48.5%(1時間足)・48.2%(4時間足)で、無作為の時刻(50.0%・47.7%)と大きな差はありませんでした。

どの時間足で見ると信頼できますか?

おすすめは測っていません。測ったのは1時間足(271件)と4時間足(83件)だけで、日足・週足は測っていません。

本物のブレイクとダマシはどう見分けますか?

見分ける方法の効果は測っていません。終値で下抜けを確認しても、5本以内に下値の上へ戻った割合は、1時間足で50%、4時間足で60%でした。

目標値はどう測りますか?

下値から、三角形の高さを引いて測ります。下抜けたあと48本以内に届いた割合は、1時間足が60%、4時間足が52%でしたが、無作為の足は65%と58%で、下降三角形のほうが届きやすいとは言えません。

アセンディングトライアングルとの違いは?

線の向きが上下反対です。上昇三角形は上値が水平で安値が切り上がり、下降三角形は下値が水平で高値が切り下がります。

下降三角形のまとめ

下降三角形は、水平な下値と、切り下がる高値でできた三角形です。Dukascopyのティックから作った5通貨の足(2016年1月〜2026年10月)で、機械で見つけた1時間足271件・4時間足83件を数えると、先に下へ届いた割合は48.5%と48.2%で、無作為の時刻(50.0%・47.7%)と大きくは変わりませんでした。下抜けたあと5本以内に下値の上へ戻った割合は、1時間足で50%でした。

目標値は、下値から高さを引いて測り、下抜けた件で届いた割合は、1時間足が60%、4時間足が52%でした。無作為の足は65%と58%で、下降三角形のほうが目標に届きやすいとは言えません。測っていない売買の損益や、損切りの効果は、自分のデータで確かめてから使ってください。

この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。

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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。

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この記事を書いた人

シストレ.COM編集部は、FX自動売買(EA)とテクニカル分析を専門とするインターネットメディア「シストレ.COM」の編集チームです。200本以上のEAのフォワードテスト結果を公開し、実際の運用データに基づいた客観的な情報を発信しています。記事の執筆・監修はMetaTrader(MT4/MT5)での実運用経験を持つスタッフが担当。

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