
ネオ・エリオット波動とは|最小の波から重ねて数える考え方

ネオ・エリオット波動の考え方
ネオ・エリオット波動(NEoWave)は、グレン・ニーリー(Glenn Neely)が『Mastering Elliott Wave』(Windsor Books)で示した手法です。最も小さい波(モノウェーブ)を見つけ、それを順に重ねて、より大きな波として数え進める考え方が中心とされています。個別のルールや形の分類は本の中身にあたるため、この記事では扱いません。
もとになるエリオット波動は、値動きを、進む向きの5つの波(推進波)と、そのあとの3つの修正の波で数えます。推進波には、Frost & Prechterの『Elliott Wave Principle: Key to Market Behavior』(New Classics Library)などで、波の位置や長さに関する決まりが示されています。この記事では、その決まりのうち3つを次の節で測ります。
この記事の波の区切り方
ニーリーの本の区切り方とは別に、この記事では波を機械的に決めました。直近14本の(高値−安値)の単純平均をATRとし、頂点から反対向きにATRの3倍以上動いたら、その頂点を確定して次の波に移ります。頂点から頂点までの動きが、波1つです。日足はニューヨーク時間の17時で区切り、1時間足が12本に満たない日は除きました。4時間足は、UTCの0・4・8・12・16・20時(日本時間の9・13・17・21・1・5時)で区切っています。
図の例は、USD/JPYの日足120本です。頂点が0〜5の6つ、波が5つで、長さは740・2,027・772・982・1,717 pipsでした。ある波の長さを、ひとつ前の波の長さで割った値を「比」と呼びます。この例の比は2.74・0.38・1.27・1.75の4つで、0.38は0.382、1.27は1.272に近い値です。この記事では、隣り合う波の組1つを、比1件と数えます。
アドバイスネオ・エリオット波動は、小さな波を重ねて数える考え方だよ。この記事の波は、ATRの3倍で区切った独自の決め方だよ。
ネオ・エリオット波動の5つの波|古典の3つの決まりを満たす割合

古典の3つの決まり
古典の推進波(波1〜波5)には、次の3つの決まりがあります。
- 波2が波1の始点を越えない(波2は、波1の全部を戻さない)
- 波3が最短でない(波1・波3・波5の中で、波3が最も短くならない)
- 波4が波1に重ならない(波4は、波1の価格帯に入らない)
斜めに進む特別な形(ダイアゴナル)は、波4が波1に重なる例外とされています。この記事では形を分けず、3つの決まりだけを機械的に数えました。
測り方と結果
ATRの3倍で区切った波から、連続する5つの波(頂点6つ)を、頂点を1つずつずらして取り出し、並び1つを1件と数えました。日足は662件、4時間足は4,405件です。上へ始まる並びも下へ始まる並びも含み、推進波の形をしているかは見ていません。
比べる相手は、足を1本ずつのかたまり(前の終値からの窓と、始値からの高値・安値・終値)のまま、順番だけを入れ替えた値動きです。値動きの大きさは同じで、並び方だけが変わります。この並べ替えを200回行い、同じように数えた割合の5〜95%を「範囲」としました。5通貨は、1回ごとに合わせています。
日足は、波2が波1の始点を越えない割合が50.8%(範囲48.5〜51.8%)、波3が最短でない割合が68.0%(範囲65.4〜68.0%)、波4が波1に重ならない割合が8.5%(範囲7.6〜10.7%)、3つとも満たす割合が5.4%(範囲4.7〜7.4%)で、4つとも範囲の中でした。
4時間足は、51.2%(範囲49.5〜50.8%)、67.4%(範囲66.2〜67.2%)、8.5%(範囲9.2〜10.6%)、5.5%(範囲5.8〜6.9%)で、4つとも範囲の外でした。前の2つは範囲の上、あとの2つは下です。並べ替えの平均との差は、最大でも1.4ポイントでした。
3つとも満たす並びは、日足で36件、4時間足で241件で、割合は5%台です。並べ替えた値動きの平均(日足6.0%、4時間足6.3%)を、上回っていません。頂点を1つずつずらして取り出しているので、件は互いに重なり、実際の範囲はここに書いた範囲より広い可能性があります。この数え方では、古典の決まりに合う並びが、並べ替えた値動きより目立って多いとは言えませんでした。
アドバイス3つの決まりを全部満たす並びは、日足で5.4%、4時間足で5.5%だったよ。並べ替えた値動きでも、6%前後だったよ。
ネオ・エリオット波動とフィボナッチ|隣り合う波の比を並べ替えと比べる
隣り合う波の比の分布

隣り合う波の比を、0.1刻みの階級に分けて数えました。日足は677組、4時間足は4,420組です。山は、日足が0.7〜0.8、4時間足が0.6〜0.7にあり、比が大きいほど少なくなります。足の順番を並べ替えた値動きでも、山の位置と裾の形は同じで、本物の棒は多くの階級で帯の中か、そのすぐ外にありました。比が決まった値に集まる形ではありませんでした。
フィボナッチの比の近くに入った割合

フィボナッチの比は、0.382・0.5・0.618・0.786・1・1.272・1.618・2・2.618の9つを使いました。基準の比の0.95〜1.05倍に入った組を「帯の中」と数え、全体の組に占める割合を出します。たとえば0.618の帯は、0.587〜0.649です。
日足は、9つとも範囲の中でした。0.618は5.0%(範囲3.5〜5.9%)、1.618は4.4%(範囲3.3〜6.1%)です。4時間足は、0.382が1.6%(範囲1.7〜2.3%)で下に、0.5が4.0%(範囲2.9〜3.7%)で上に外れ、残りの7つは範囲の中でした。0.618は4.8%(範囲4.1〜5.0%)です。
比べるために、フィボナッチでない8つの比(0.45・0.55・0.7・0.9・1.15・1.4・1.8・2.3)も、同じ幅の帯で数えました。図の例の比1.75は、フィボナッチの帯のどれにも入らず、1.8の帯(1.71〜1.89)に入ります。範囲の外に出た帯は、日足がフィボナッチ0つ・フィボナッチでない比1つ、4時間足が2つ・3つで、フィボナッチの比だけが特別な様子はありません。
範囲は5〜95%の90%なので、17の帯のうち偶然でも1〜2つは外れる計算です。この範囲も、近い組が重なる分、実際より狭い可能性があります。隣り合う波の比がフィボナッチの比の近くに多いとは言えませんでした。
アドバイスフィボナッチの比でも、そうでない比でも、帯の外に出る数は同じくらいだったよ。0.618の近くが特別に多いわけじゃなかったね。
ネオ・エリオット波動の数え方|区切りの倍数で波の数が変わる

倍数を変えると波の数が変わる
同じUSD/JPYの日足120本を、ATRの2倍・3倍・5倍で区切ると、波の数は11本・5本・2本になります。5通貨全体では、日足の波が1,471本・682本・244本、4時間足の波が9,414本・4,425本・1,764本でした。同じチャートでも、区切りの倍数を決める人によって、波の数も、番号を振る位置も変わります。
3倍では、並べ替えた値動きの波の数は、日足が平均724本(範囲687〜760本)、4時間足が平均5,004本(範囲4,920〜5,100本)で、本物の682本と4,425本より多くなりました。理由は測っていません。
倍数を変えても結果は変わらないか

倍数を2倍と5倍にして、同じ比べ方をしました(並べ替えは、3倍が200回、2倍と5倍が100回)。フィボナッチの9つの帯のうち、範囲の外に出た数は、日足が0・0・2つ、4時間足が3・2・3つで、6通りの合計は54帯中10(18.5%)です。フィボナッチでない8つの比は、日足が0・1・1つ、4時間足が2・3・2つで、48帯中9(18.8%)でした。
どちらも、偶然で外れる1割を上回っています。範囲が狭めである可能性と合いますが、理由は測っていません。倍数を変えても、フィボナッチの比だけが特別に多い様子は見られませんでした。
測っていないこと
この記事で測ったのは、ATRの倍数で区切った波の、比と5つの波の決まりの割合だけです。売買の損益、勝率、損切りや利確の幅は測っていません。ニーリーの本のやり方で数えた波、波のカウントの正否、ほかの時間足や通貨ペアも測っていません。
アドバイス区切りの倍数を2倍・3倍・5倍に変えたら、日足の波は1,471本・682本・244本になったよ。数え方しだいで、波の数が大きく変わるんだね。
要点
・ネオ・エリオット波動は、ニーリーが示した、エリオット波動を小さな波から重ねて数える手法。この記事は、波の区切りをATRの3倍にして測った
・5通貨の日足14,040本・4時間足87,087本(2016年1月〜2026年10月)で、波は日足682本・4時間足4,425本
・隣り合う波の比は、日足がフィボナッチの9つとも範囲の中、4時間足は2つが外。フィボナッチでない8つの比も、3つが外
・古典の3つの決まりを3つとも満たす並びは、日足5.4%(範囲4.7〜7.4%)、4時間足5.5%(範囲5.8〜6.9%)
・区切りを2倍・3倍・5倍に変えると、日足の波は1,471本・682本・244本に変わる
・フィボナッチの比も古典の決まりも、並べ替えた値動きより目立って多いとは言えなかった。測っていないのは、損益と勝率
ネオ・エリオット波動のよくある質問
ネオ・エリオット波動とは何ですか?
グレン・ニーリーが示した手法です。エリオット波動を、最小の波から重ねて数えます。この記事は本の中身ではなく、ATRの3倍で区切った波を測っています。
波の長さの比に、フィボナッチの比は多く出ますか?
多いとは言えませんでした。日足は9つとも並べ替えの範囲の中で、4時間足は2つが外でした。フィボナッチでない8つの比も、3つが外でした。
古典の3つの決まりは、どれくらい満たされますか?
3つとも満たす並びは、5%台でした。日足が5.4%(範囲4.7〜7.4%)、4時間足が5.5%(範囲5.8〜6.9%)で、並べ替えた値動きより目立って多いとは言えませんでした。
波の数え方で、結果は変わりますか?
区切りの倍数で、波の数が変わります。日足の波は、ATRの2倍で1,471本、3倍で682本、5倍で244本でした。人による数え方の違いは測っていません。
売買の成績は測っていますか?
測っていません。測ったのは、波の比と5つの波の決まりの割合だけです。損益や勝率は、自分のデータで確かめてから使ってください。
ネオ・エリオット波動のまとめ
ネオ・エリオット波動は、エリオット波動を小さな波から重ねて数える手法です。この記事では、最小の波をATRの3倍で区切り、Dukascopy のティックから作った5通貨の日足14,040本と4時間足87,087本(2016年1月〜2026年10月)で測りました。波は日足が682本、4時間足が4,425本です。隣り合う波の比がフィボナッチの比の近くに入った割合も、古典の3つの決まりを満たす割合も、並べ替えた値動きより目立って多いとは言えませんでした。
区切りを2倍・5倍に変えても、同じ傾向でした。一方で、倍数によって波の数は大きく変わります。測っていない損益や勝率は、自分のデータで確かめてから使ってください。エリオット波動の基本はエリオット波動の記事、フィボナッチはフィボナッチの記事、ATRはATRの記事、頂点を結ぶ線はZigZagの記事にまとめています。売買に使うときの損切りの考え方はリスクリワード、資金の持ち方は資金管理とドローダウン、抜けの見方はブレイクアウトとダマシの記事が参考になります。
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