
ドルフラン(USD/CHF)とは|米ドルとスイスフランの通貨ペアと長期の推移

ドルフランの基本|1ドルが何フランか
ドルフランは、1米ドルが何スイスフランかを表す通貨ペアです。数字が上がればドル高・フラン安、下がればドル安・フラン高です。月末値は2015年から2026年にかけて1.03から0.77のあいだを動き、2025年は0.9069で始まって0.7925で終わりました。2026年は0.7929で始まり、計測の最終日(10月)時点で0.8250です。
取引量は全体の約5%
国際決済銀行(BIS)の2025年4月の調査では、外国為替市場の取引は1日あたり約9.6兆ドルで、USD/CHFはそのうち4.9%でした。通貨別では、スイスフランの比率は6.4%です(1つの取引を2つの通貨で数えるため、通貨別の比率は合計200%になります)。ユーロドルやドル円ほど大きくはありませんが、主要通貨ペアの一つとして取引されています(出典: BIS「Triennial Central Bank Survey 2025」)。
スイスフランは、不安な局面で資金が逃げ込む「安全通貨」と呼ばれます。この記事では、その言い伝えを自社計測の数字と照らし合わせながら、値幅・時間帯・相関・リスクオフ時の動きを順に見ていきます。
アドバイスまずは長い目で見ると、1.0付近から0.8前後まで、10年でだいぶ下がった通貨ペアだよ。
ドルフランの値動きの特徴|1日の値幅は平均約67pipsで主要4ペアで最小

年ごとの値幅
2016〜2025年の平日2,083日で、日足の高値と安値の差は平均67.4pips、中央値は60.0pipsでした。年ごとでは、2022年が86.3pipsで最も大きく、2016年が81.7pips、2019年が53.2pipsで最も小さい年です。同じ通貨ペアでも、年によって値幅は1.6倍ほど違います。
他の主要ペアとの比較

| 通貨ペア | 日足の値幅 平均(pips) | 中央値(pips) |
|---|---|---|
| ドルフラン | 67.4 | 60.0 |
| ユーロドル | 79.8 | 73.0 |
| ドル円 | 103.7 | 85.5 |
| ポンドドル | 110.9 | 97.0 |
計測条件:2016年1月〜2025年12月の平日(約2,083日)。Dukascopyのティックをbidとaskの中値にして1分足を作り、ニューヨーク17時で区切った日足の高値−安値を平均。シストレ.COM自社計測です。
この10年で最も値幅が大きかった日は359pipsで、スイス国立銀行(SNB)が政策金利を引き上げた2022年6月16日を含む1日です。通常の日で100pipsを超えるのは珍しくありませんが、次の章で見る2015年のような桁違いの動きは、この10年にはありませんでした。

アドバイス値幅は小さめでも、年や局面でかなり変わるよ。損切り幅は直近の値幅で決めようね。
ドルフランとSNB|2015年のショックと政策金利の変化

2015年1月15日|最低レート廃止
2015年1月15日、スイス国立銀行(SNB)は、ユーロに対するスイスフランの最低レート(1ユーロ=1.20フラン)を廃止し、政策金利(預金金利)を−0.75%に下げると発表しました。SNBの公式声明で確認できる事実です。
自社計測では、ドルフランは発表前の1.0219(協定世界時9:29の終値)から、9:48に0.7270まで下がりました。下げ幅は2,948pips、率にして28.8%で、約19分間の出来事です。1分平均スプレッドは最大で80.6pipsに広がり、発表前の中央値1.04pipsの約78倍でした。10時には0.8619、12時には0.8784まで戻り、協定世界時の日の終値は0.8542です。

この日の下落率は、Dukascopyの価格データでの計測値です。ブローカーや時刻の取り方で最安値の数字は変わります。大切なのは、損切り注文があっても、価格が飛んだりスプレッドが広がったりして、設定した価格で約定しない可能性があるということです。レバレッジをかけたポジションでは、証拠金を超える損失になりうる事例として知られています(詳しくはレバレッジの仕組み)。
2022年の利上げと2026年の政策金利
SNBは2022年6月16日、政策金利を−0.75%から−0.25%へ0.5ポイント引き上げました(SNBの公式発表)。その後、2026年9月24日の決定時点で、SNBの政策金利は0%です。米国との金利差が、ドルフランの方向を決める大きな材料の一つになります。
アドバイス中央銀行の発表日は、普段とは別の相場になるよ。ポジションは小さく、またはノーポジで待とう。
ドルフランの時間帯|値幅とスプレッドが変わる時間

動くのは日本時間16〜17時と21〜24時台
1時間の値幅の平均は、全時間帯で12.3pipsでした。最も大きいのは日本時間23時台の21.4pipsで、22時台が20.1pips、21時台が18.6pipsと続きます。ほかに16時台(16.8pips)と17時台(16.8pips)、0時台(18.9pips)が大きく、ロンドンの開場とニューヨークの開場に重なります。
反対に、日本時間の8〜14時は、1時間の値幅が6〜10pips台と小さく、最小は13時台の6.3pipsです。最大の23時台は最小の13時台の約3.4倍でした。朝の東京時間はドルフランにはあまり動きがありません。
スプレッドが広がるのは日本時間6時台

2025年の中央値で見ると、日本時間6時台だけ5.37pipsと突出し、7時台は1.71pips、8時台は1.10pipsでした。それ以外の時間帯は0.85〜1.01pipsです。6時台は、ニューヨークの取引日が切り替わる時刻(夏は日本時間6時、冬は7時)の前後で、市場の流動性が薄くなる時間帯です。この時間にポジションを持つ、または決済注文を置く場合は、スプレッドの拡大に注意してください。
| 通貨ペア | 2025年のスプレッド中央値(pips) | 2016〜2025年の範囲(年ごとの中央値) |
|---|---|---|
| ドルフラン | 0.92 | 0.89〜1.26 |
| ユーロドル | 0.43 | 0.22〜0.44 |
| ドル円 | 0.55 | 0.26〜0.69 |
| ポンドドル | 0.78 | 0.75〜1.07 |
計測条件:Dukascopyのティックで、askとbidの差を1分ごとに平均し、年ごとに中央値を出した値です。ブローカーの実際のスプレッドとは異なり、手数料や上乗せは含みません。シストレ.COM自社計測です。
4つの通貨ペアのうち、2025年のスプレッドが最も広いのがドルフランでした(ユーロドルの約2.1倍)。「ドルフランはスプレッドが狭い」とは、この計測では言えません。コストは口座ごとに違うため、ご自身の口座で確かめてください。
アドバイス東京の朝は動きが小さく、日本時間6時台はスプレッドが広がる。夜の21〜24時台が主役だよ。
ドルフランとユーロドルの相関|10年で−0.77の逆相関

5ペアの相関
ドルフランと最も強く動きが反対になるのはユーロドルで、日次の相関係数は−0.77でした。ポンドドルとは−0.51、ドル円とは+0.56(同じ方向)、ユーロフランとは+0.35です。ドルフランとユーロドルは、どちらも「ドル」が相手側にあるため、ドルの強弱で逆に動きやすくなります。

散布図の傾きは−0.78でした。ユーロドルが1%上がった日、ドルフランは平均0.78%下がったことになります。ただし相関が−0.77ということは、同じ日に動きが反対にならない日も一定の割合であるということです。

年別では、最も弱い2022年でも−0.69、最も強い2020年は−0.87(小数第3位で−0.865)でした。10年のどの年も−0.68より強い逆相関が続いています。10年平均は−0.77で、−0.85を超えて強いのは2016年と2020年だけです。
計測条件:ニューヨーク17時区切りの日足の終値の対数リターンの相関。2016〜2025年の平日2,081日(5通貨ペアすべてのデータがある日)。シストレ.COM自社計測です。

アドバイスユーロドルのロングとドルフランのロングを同時に持つと、動きが打ち消し合いやすいよ。
ドルフランはリスクオフで下がるのか|株急落日と危機の実測

株が急落した日の動き
「リスクオフならスイスフラン買い(ドルフラン安)」とよく言われます。これを確かめるため、2019〜2025年の1,446日のうち、米株指数(S&P500)が1日に−1.5%以下だった117日を取り出しました。ドルフランの平均は−0.09%で、前日より下がった日は47%でした。半分以上の日は、ドルフランは下がっていません。
| S&P500の1日の変化 | 日数 | ドルフラン 平均 | 下がった日 | ユーロフラン 平均 | 下がった日 |
|---|---|---|---|---|---|
| −1.0%以下 | 200 | +0.02% | 43% | −0.14% | 66% |
| −1.5%以下 | 117 | −0.09% | 47% | −0.21% | 68% |
| −2.0%以下 | 70 | −0.09% | 46% | −0.18% | 70% |
計測条件:2019年1月〜2025年12月の平日1,446日。S&P500はDukascopyのCFD(USA500IDXUSD)の日足終値、通貨はニューヨーク17時区切りの終値の日次変化。シストレ.COM自社計測です。
しきい値を変えても、ドルフランが下がった日は43〜47%で、半分に届きません。一方、ユーロフラン(ユーロに対するスイスフランの強さ)は、株の急落日の66〜70%で下がり、安全通貨らしい動きが出ています。ドルフランは、ドルの強弱にも左右されるため、スイスフランの安全通貨の動きだけが出るわけではありません。なお、株が1日1%以上上がった245日でも、ドルフランの平均は−0.13%でした。
危機の種類で動きが逆になる

局面ごとに見ると、動きは一定ではありません。2020年のコロナ急落(2月21日〜3月20日)は、株が−28.6%と大きく下がったのに、ドルフランは+0.69%と上がりました。このときは、ドルを求める動きが強かったと考えられます。2022年のウクライナ侵攻の前後(2月23日〜3月8日)も+0.91%でした。一方、2025年4月の関税発表の時期(4月2日〜9日)は、株が−3.9%に対しドルフランは−6.6%と大きく下がり、ドル円(−3.2%)よりも大きな下落でした。
同じ「リスクオフ」でも、ドルが買われる危機と、ドルが売られる危機があります。ドルフランは両方の影響を受けるため、株安だけを見て方向を決めるのは危うい、というのが計測から言えることです。
アドバイススイスフランの強さを見たいなら、ドルフランよりユーロフランのほうが素直に動いていたよ。
ドルフランの使い方|ドル円ロングのヘッジとメリット・デメリット

ドル円ロングのヘッジとして使う
ドル円とドルフランは、ドルの強弱で同じ方向に動きやすい(相関+0.56)ため、ドル円を買いながらドルフランを売ると、ドルの動きの影響が部分的に打ち消されます。2016〜2025年の日次リターンで試すと、ドル円ロングだけの年率の値動きは10.1%、ドルフランを0.5倍売る組み合わせは8.5%、1.0倍売ると8.8%でした。値動きは小さくなりましたが、0.5倍のほうが小さく、売る量を増やせば小さくなるわけではありません。
| 組み合わせ | 年率の値動き(標準偏差) | 日次リターンの年率平均 |
|---|---|---|
| ドル円ロングのみ | 10.1% | +3.3% |
| ドル円ロング+ドルフラン0.5売り | 8.5% | +4.8% |
| ドル円ロング+ドルフラン1.0売り | 8.8% | +6.2% |
計測条件:2016〜2025年の日次対数リターン(ニューヨーク17時区切り)。ドル円のリターンからドルフランのリターンの0.5倍または1.0倍を引いた値で、スワップ・手数料・スプレッド・ロット換算は含みません。シストレ.COM自社計測です。
右の列の平均が高くなっているのは、この10年にドルフランが下がり続けた(ドルフランの売りが儲かった)ためで、将来も同じになる保証はありません。ヘッジとして見るなら、値動きが減ったかどうかを見る数字です。株が1日1.5%以上下がった117日では、ドル円ロングの平均は−0.15%、ドルフラン0.5売りを加えると−0.11%で、最悪の日は−2.3%から−1.7%に浅くなりました。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。FX取引はリスクを伴うため、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で慎重に判断してください。過去の計測結果は将来の成績を保証しません。
ドルフランのメリット
- 日足の値幅が主要4ペアで最も小さい(10年平均67.4pips)。
- ユーロドルと−0.77の逆相関があり、ユーロドルの動きを手がかりにしやすい。
- ドル円と+0.56の相関があり、ヘッジの道具として値動きを減らせた。
ドルフランのデメリット
- スプレッドが4ペアで最も広い(2025年の中央値0.92pips)。日本時間6時台は5.37pipsに広がる。
- SNBの発表で、2015年のように数十分で約29%動いた例がある。
- 安全通貨の動きが一定ではなく、株の急落日に下がったのは47%にとどまる。
自動売買(EA)で使う
ドルフランは日中の値幅が小さいため、EAでは「値幅の割にスプレッドが広い」点が成績を左右します。シストレ.COMでドルフランのタグが付いたEAは、下のリンクから一覧で見られます。EAの選び方や始め方はEA始め方ガイドにまとめています。使う前に、ご自身の口座のスプレッドと、日本時間6時台の拡大を考えに入れてください。

アドバイスEAを選ぶときは、商品ページの内容を確かめて、自分の口座のスプレッドで検証してから使おうね。
要点
・日足の値幅は10年平均67.4pipsで、ユーロドル・ドル円・ポンドドルより小さい。
・ユーロドルとの日次相関は−0.77。年別では−0.69〜−0.87で、逆相関は10年とも続いた。
・株の急落日(−1.5%以下)にドルフランが下がったのは47%で、危機の種類で動きが逆になる。
・動くのは日本時間16〜17時と21〜24時台。スプレッドは6時台に5.37pipsまで広がる。
・2015年のSNBショックでは約19分で28.8%下がり、スプレッドは最大80.6pipsに広がった。
ドルフランのよくある質問(FAQ)
ドルフランの特徴は?
日足の値幅が小さく、ユーロドルと逆に動きやすい通貨ペアです。自社計測では、日足の値幅は10年平均67.4pipsで主要4ペアで最小、ユーロドルとの日次相関は−0.77でした。
ドルフランは何に影響されやすいですか?
ドルの強弱、SNBの金融政策、ユーロドルの動きが主な材料です。ユーロドルとは−0.77、ドル円とは+0.56の相関がありました。SNBの発表では、2015年に約19分で28.8%動いた例があります。
ドルフランが一番動く時間帯は?
日本時間の21〜24時台が最も大きく、16〜17時台も動きます。1時間の値幅の平均は23時台が21.4pips、13時台は6.3pipsでした(夏時間の期間は欧米の開始が1時間早まります)。
ドルフランのスプレッドは狭いですか?
計測した4ペアの中では最も広い水準でした。Dukascopyの2025年の中央値は0.92pips(ユーロドル0.43・ドル円0.55・ポンドドル0.78)で、日本時間6時台は5.37pipsに広がります。実際のスプレッドは口座ごとに異なります。
ドルフランとユーロドルの関係は?
強い逆相関があります。2016〜2025年の日次相関は−0.77で、年別でも−0.69〜−0.87でした。ユーロドルが1%上がる日、ドルフランは平均0.78%下がっています。
ドルフランはリスクオフで下がりますか?
下がるとは限りません。S&P500が1日1.5%以上下がった117日のうち、ドルフランが下がったのは47%で、平均は−0.09%でした。2020年3月のコロナ急落では逆にドルフランは+0.69%上がっています。
ドルフランで取引するときの注意点は?
SNBの発表前後とスプレッドの拡大する時間帯に注意してください。値幅は小さめでも、2015年のように桁違いに動いた例があります。ストップ注文は、価格が飛んだ場合に設定価格で約定しない可能性があります。
ドルフランのまとめ
ドルフランは、日足の値幅が10年平均67.4pipsと主要4ペアで最も小さく、ユーロドルと−0.77の逆相関を持つ通貨ペアです。動きが大きくなるのは日本時間の16〜17時と21〜24時台で、6時台はスプレッドが広がります。スイスフランは安全通貨と言われますが、株の急落日にドルフランが下がったのは47%で、危機の種類によって動きが逆になりました。SNBの発表では、2015年に約19分で28.8%動いた例もあります。使う通貨ペアの時間帯とスプレッドを自分の口座で確かめ、デモ口座で検証してから取引してください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。














