
ボリュームスパイクとは|FXの出来高はティック数
ボリュームスパイクは、出来高の棒が、直前までの棒より急に高くなった状態です。ただしFXの出来高は、株式のように売買された数量ではありません。MT5のヘルプは、FXではVolumesが「選んだ時間足の1本の中で、価格が変わった回数」だと説明しています。MT4のプログラム言語MQL4のリファレンスでも、iVolumeが返す値はTick Volume(ティックボリューム)です。見ているのは売買の量ではなく、価格の更新が何回あったかです。

図は、USD/JPYの1時間足の例です。橙の棒の足(9月3日23時台)は、ティック数が11,542回で、直前20本の平均3,524回の3.3倍でした。この足の値幅は0.56円で、直前20本の平均の2.6倍でした。ティックの数え方は、価格を配信する側によって違います。この記事の数字はDukascopyのティック(bidとaskの更新)の数で、お使いのMT4・MT5に出る値とは一致しません。
この記事でのスパイクの決め方
1本の足のティック数が、直前20本の平均の2倍以上なら「2倍以上のスパイク」、3倍以上なら「3倍以上のスパイク」としました。スパイクの足1本を1件と数えます。直前20本が1時間ずつ途切れずにそろう足だけを対象にしたので、週末明けの最初の20本は入っていません。対象は5通貨で278,963本です。
2倍以上の割合は、通貨によって違いました。USD/JPYが7.1%、EUR/USDが9.5%、GBP/USDが9.4%、EUR/JPYが5.3%、AUD/JPYが6.7%です。年では、2018年が3.5%、2021年が10.6%で、年によっても幅があります。
アドバイスFXの出来高は、売買された量じゃなくて、価格が動いた回数だよ。この記事では、直前20本の平均の2倍以上をスパイクと呼ぶね。
ボリュームスパイクが出る時間帯|日本時間の21時〜0時台に集中

図は、日本時間の時刻ごとに、その時刻の足のうちスパイクだった割合です。2倍以上の割合は、21時が25.0%、22時が42.1%、23時が47.4%、0時が22.4%でした。7時〜14時台は0.5〜2.4%にとどまります。16時と17時は、9.1%と7.8%です。2倍以上のスパイク21,206本のうち、21時〜0時台の4時間に15,268本(72.0%)が集まりました。3倍以上では、同じ4時間が74.2%です。
この割合は、直前20本の平均との比べ方で決めたものです。時刻ごとのティック数の大きさそのものを比べた図ではありません。
時刻の読み方と、測っていないこと
時刻は日本時間で数えているので、米欧の夏時間の期間は、市場の開く時刻が1時間早くなります。ロンドンの午前8時は日本時間の16時(夏時間)か17時、ニューヨークの午前8時は21時か22時です。なぜこの時刻にティック数が増えるのか、経済指標の発表時刻との関係は測っていません。
アドバイス日本時間の21時〜0時台に、2倍以上のスパイクの72.0%が集まったよ。昼の7時〜14時台はほとんど出なかったね。
ボリュームスパイクの足の値幅とスプレッド|通常の足と比べる

値幅は高値から安値までの幅で、スプレッドはその足の平均です。どちらも、直前20本の平均を1とした倍率にしました。通常の足は、スパイクではない2倍未満の足です。3倍以上の足は、2倍以上の中に含まれます。値幅の中央値は、通常の足が0.82倍、2倍以上が1.99倍、3倍以上が2.91倍でした。値幅が直前20本の平均の2倍以上だった足の割合は、通常の足が3.9%、2倍以上のスパイクが49.6%(10,528本)、3倍以上のスパイクが76.6%(3,141本)です。
ティック数は価格が変わった回数なので、大きく動いた足ほど増えやすい数え方です。実測でも、スパイクの足は通常の足より値幅が大きくなりました。通貨ごとの値幅の中央値は、2倍以上のスパイクで1.67〜2.15倍(AUD/JPYが1.67倍、EUR/USDが2.15倍)で、5通貨とも通常の足の0.78〜0.85倍を上回りました。
値幅が小さいままのスパイクもある

2倍以上のスパイクのうち、値幅が直前20本の平均以下だった足は5.2%(1,103本)ありました。3倍以上では3.4%(138本)です。図の橙の足(3月18日22時台)は、ティック数が直前20本の平均の2.8倍で、値幅は0.9倍(0.15円)でした。ティック数が増えても、値幅が広がるとは限りません。
スプレッドの中央値は、通常の足が0.82倍、2倍以上が0.76倍、3倍以上が0.82倍で、スパイクでも広がっていませんでした。スプレッドが2倍以上に広がった足は、通常の足の5.4%に対して、2倍以上のスパイクは2.1%、3倍以上は3.6%です。ティック数が増えたことだけでは、スプレッドが広がったとは言えません。実際のスプレッドは、取引する口座の画面で確かめてください。
アドバイススパイクの足は、値幅の中央値が1.99倍で、通常の足の0.82倍より大きかったね。でも、値幅が小さいままの足も5.2%あったよ。
ボリュームスパイクのあとの値動き|同じ向きに進んだ割合は約50%

ティック数は、価格が上がったか下がったかを区別しません。そこで、スパイクの足と同じ向きに、そのあとも進んだかを数えました。足の向きは、終値が始値より高ければ上、低ければ下とし、同じ値の足は除きました。スパイクの足の終値から4本後と12本後の終値が、足の向きに進んでいれば「同じ向きに進んだ」とします。あとの足が途切れず4本、または12本そろう足だけを数え、件数は、2倍以上が4本後20,996件・12本後16,499件、3倍以上が4,051件・2,991件です。
同じ向きに進んだ割合は、2倍以上が4本後50.2%・12本後50.6%、3倍以上が4本後51.0%・12本後51.3%でした。比べる範囲には、スパイクと同じ日本時間の時刻の足から、同じ数を無作為に選ぶ作業を4,000回行った5〜95%を使いました。範囲は、2倍以上の4本後が49.4〜50.5%、12本後が49.4〜50.7%、3倍以上の4本後が48.3〜50.9%、12本後が48.5〜51.5%です。3倍以上の4本後(51.0%)は範囲の上を0.1ポイント上回り、ほかの3つは範囲に入りました。範囲は90%なので、4つの比べ方のうち、偶然でも0.4個ほどは外れる計算です。
時刻をそろえずに、全ての足から選ぶと、範囲は2倍以上の4本後が48.5〜49.6%、12本後が49.0〜50.2%になり、実測が上回りました。ただし、スパイクに関係なく全ての足で数えた「同じ向きに進んだ割合」は、4本後が48.8〜49.3%、12本後が49.6〜49.7%と、50%を少し下回ります。時刻をそろえた範囲では、実測は範囲に入るか、上に0.1ポイント出る程度なので、差の大半は時刻の違いで説明できる大きさでした。通貨ごとでは、3倍以上の4本後が49.4〜52.3%で、いちばん件数の少ないEUR/JPYは401件です。
ここでの範囲は、足が1本ずつ独立に選ばれると仮定した計算です。近い時刻の足は動きが重なるので、実際の範囲はもっと広くなります。測った範囲では、ティック数の急増のあとに、足と同じ向きへ進む割合は約50%で、向きの手がかりにはなりませんでした。
スパイクを見つけたときの確認の順番
測った結果から、スパイクを見つけたときに確かめたいことを、順番に並べます。出来高のサブウィンドウ(Volumes)を出し、直前20本の棒の平均と比べて、2倍を超える棒を探します。
- 時刻を見る。日本時間の21時〜0時台は、2倍以上の割合が22.4〜47.4%と高く、7時〜14時台は0.5〜2.4%です。
- 値幅を見る。2倍以上のスパイクのうち、値幅が直前20本の平均以下だった足は5.2%でした。
- 向きは、ほかの材料で決める。ティック数だけでは、同じ向きに進む割合が約50%でした。
- 損切りの位置と、1回の損失の上限を、入る前に決める。
損切りと利益目標の比率は、リスクリワードの記事に、1回の損失をどう抑えるかは資金管理の基礎の記事にまとめています。ラインのブレイクと組み合わせる場合は、ブレイクアウトの記事も参考になります。
測っていないこと
この記事で測ったのは、スパイクの回数・時刻・値幅・スプレッドと、そのあとの足の向きです。売買の損益、勝率、損切りや利確の幅は測っていません。ラインや移動平均線との組み合わせ、経済指標の発表時刻との関係、1時間足以外の時間足、5通貨以外も測っていません。また、各社のMT4・MT5のティック数は、この記事のDukascopyのティック数とは数え方が違います。
アドバイスティック数の急増は、勢いの目印にはなるけれど、向きは教えてくれないよ。同じ向きに進んだ割合は50.2〜51.3%だったね。
要点
・FXの出来高は、売買された量ではなく、価格が変わった回数(ティック数)
・5通貨の1時間足278,963本のうち、ティック数が直前20本の平均の2倍以上は21,206本(7.6%)、3倍以上は4,102本(1.5%)
・2倍以上の72.0%は、日本時間の21時〜0時台に出た
・値幅の中央値は、通常の足0.82倍に対して、2倍以上が1.99倍。スプレッドは広がっていない(0.76倍)
・スパイクの足と同じ向きに進んだ割合は50.2〜51.3%。向きの手がかりにはならなかった
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの指標との組み合わせ、1時間足以外
ボリュームスパイクのよくある質問
ボリュームスパイクとは何ですか?
ティック数が、直前の足から急に増えた状態です。この記事では、直前20本の平均の2倍以上の足を指し、5通貨の1時間足では全体の7.6%でした。
FXの出来高は、売買された量ですか?
いいえ、価格が変わった回数です。MT5のヘルプでは、FXのVolumesは1本の足の中で価格が変わった回数とされています。
スパイクが出たら、足と同じ向きに進みますか?
約半々でした。4本後・12本後に同じ向きへ進んだ割合は50.2〜51.3%で、同じ時刻の足を無作為に選んだ範囲とほぼ同じです。
どの時間帯に多いですか?
日本時間の21時〜0時台です。2倍以上のスパイクの72.0%がこの4時間に出ました。7時〜14時台は、各時刻の足の2.4%以下でした。
スパイクの足は、スプレッドが広がっていますか?
測った範囲では、広がっていませんでした。スプレッドの中央値は、直前20本の平均の0.76倍です。取引する口座のスプレッドは、画面で確かめてください。
ボリュームスパイクのまとめ
FXのボリュームスパイクは、売買の量ではなく、価格が変わった回数(ティック数)の急増です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月)では、直前20本の平均の2倍以上が7.6%、3倍以上が1.5%でした。2倍以上の72.0%は日本時間の21時〜0時台に出ています。スパイクの足は値幅の中央値が1.99倍と大きく、スプレッドは広がっていませんでした。
スパイクの足と同じ向きに進んだ割合は50.2〜51.3%で、向きは別の材料で決める必要があります。測っていない売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。ルールを決めて自動で動かしたい場合は、FXの自動売買(EA)と、実績で選ぶおすすめEAにまとめています。ブレイクのあとに戻る動きはダマシのブレイクアウト、高値・安値を更新してから逆に動く形はキーリバーサルの使い方と戦略で解説しています。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













