
リターンムーブとは?ブレイク後に線へ戻る動きと、ロールリバーサル・押し目買いとの違い

リターンムーブの意味|抜けて、離れて、線まで戻る
リターンムーブは、サポートラインやレジスタンスラインなどの線を抜けた価格が、勢いよく離れたあとに、その線の近くまで戻る動きです。戻りのあとに再びブレイクの方向へ動けば「戻ってから伸びた」形になり、線を割り込んで逆に動けば、最初のブレイクはダマシだったことになります。
線の引き方は水平線でもトレンドラインでも構いません。水平線の引き方はサポートラインの記事、斜めの線の引き方と入り方はトレンドライン手法の記事にまとめています。本記事の集計では、迷いが出ないように、線を「直前20本の高値(安値)」に固定しました。
ブレイクアウト・ロールリバーサルとの違い

3つの言葉は、同じ値動きを別の見方で呼んだものです。ブレイクアウトは、線を抜けること、または抜けた瞬間に抜けた方向へ入る手法を指します。リターンムーブは、抜けたあとに線まで戻る動きで、戻ってきたところで入る手法につながります。ロールリバーサルは、抜けられた抵抗線が支持線に(支持線なら抵抗線に)役割を入れ替える現象です。リターンムーブは価格の動き、ロールリバーサルは線の働きを指すので、リターンムーブのあとに線が支えとして働けば、ロールリバーサルが起きたと言えます。抜けた瞬間に入る手法はブレイクアウトの記事、線の役割の入れ替わりはロールリバーサルの記事で詳しく説明しています。


押し目買いとの関係
押し目買いは、上昇の途中の小さな下げで買う手法で、買う場所は線とは限りません。リターンムーブは、抜けた線まで戻ったところが入る場所なので、「線を基準にした押し目買い(戻り売り)」と考えると整理できます。押し目の探し方は押し目買いの記事で説明しています。

実例|同じ形でも、戻ったあとの動きは分かれる
2025年のドル円(1時間足)から、形が同じで結果が分かれた2つの日を選びました。1つ目は5月8日で、直前20本の高値144.52円を夕方に抜けて離れ、4本後に線まで戻り、その後は線から1ATR(約31pips)上に先に届いて再上昇しました。

2つ目は6月25日で、145.37円を抜けたあとに7本かけて線まで戻りましたが、戻り足のあとは先に1ATR(約20pips)下に動き、元の線を割り込みました。同じ「抜けて、戻る」形でも、戻った先が上か下かは事前に分かりません。2つの日は、リターンムーブの定義に当てはまる事例の中から、この記事のために1つずつ選んだものです。

アドバイスリターンムーブは「抜けた線まで戻る動き」だよ。戻ったあとに上へ行く日も下へ行く日もあるんだ。
リターンムーブは本当に起きる?5通貨ペア10年・19,206回のブレイクを数えた

数え方|何をブレイクと呼び、何を戻りと呼ぶか
リターンムーブはチャートを見て人が判断する言葉なので、数えるには機械的な定義が必要です。この記事では、次のように決めました。
- ブレイク:1時間足の終値が、直前20本の高値を上回った(安値を下回った)足。連続して抜けた足は数え直しません。
- 勢いよく離れる:ブレイク後6本以内に、高値が線から1ATR以上離れた(ATRは直近14本の平均的な1本の値幅)。
- 線まで戻る:離れた足のあと12本以内に、安値が「線+0.2ATR」以下まで下がった(下方向は逆)。
- 戻ったあとの結果:戻った足の終値から24本以内に、元の方向と逆方向のどちらへ先に1ATR動いたか。
対象は、ドル円・ユーロドル・ポンドドル・豪ドル円・ドルスイスの5通貨ペアで、2016年1月4日〜2025年12月31日の1時間足(日本時間)です。ブレイクは5通貨ペアで19,206件あり、そのうち勢いよく離れたのは10,928件、さらに線まで戻ったのが7,817件でした。比較の基準には、ブレイクと無関係に選んだ各時点から同じ24本・1ATRで測った結果を使い、上下どちらが先かの割合は約50%でした。
線まで戻る割合は約7割|通貨ペアで差は小さい

勢いよく離れた10,928件のうち、12本以内に線の近くまで戻ったのは7,817件(71.5%)でした。通貨ペア別では71.1%〜71.9%で、ほとんど差がありません。リターンムーブは例外的な動きではなく、勢いのあるブレイクの約7割で起きる、よくある動きです。

戻るまでの時間を累積で見ると、離れた足から1本以内が39%、3本以内が55%、6本以内が65%、12本以内が72%、24本以内が80%でした。24本を超えても戻る事例が少しずつ残るため、「戻らなかったら見送り」とする待ち時間は、どこで切るかによって見送る事例が変わります。

戻った7,817件のうち、離れた次の1時間で戻ったのが53%、2本目が15%、3本目が8%、4〜6本目が13%、7〜12本目が11%でした。半分強は、離れてすぐ戻っています。リターンムーブが「ゆっくり押し戻される動き」とは限らず、勢いよく離れた直後の反動として戻るものが多いことになります。

戻った足が線をどこまで割り込んだかを数えると、線の手前で止まったのが29%、0.25ATRまでが23%、0.25〜0.5ATRが15%、0.5〜1ATRが16%、1ATR超が17%でした。「線で止まる」事例は3割弱にとどまり、線をいったん突き抜けてから戻る事例のほうが多いことがわかります。
定義を変えても傾向は変わりません

定義の決め方で結果が左右されていないかを確かめるために、基準の本数と許容幅を変えて数え直しました。基準を10本にすると戻った後に元の方向へ先に動いた割合は47.9%、50本にすると46.9%で、本文の定義(20本)の48.2%と近い値です。「線の近く」の許容幅を0〜0.5ATRで変えると47.6%〜48.5%でした。一方、線に戻る割合は許容幅に強く左右され、0ATR(線にちょうど触れる)では65.7%、0.5ATRでは80.1%と変わります。「戻る」と言う場合は、どこまでを戻りと数えるかによって割合が変わる点に注意が必要です。
年ごとに見ても、戻る割合は大きく動きません

通貨ペアごと・年ごとに分けると、戻る割合は67%〜77%の範囲に収まりました。特定の年や通貨ペアだけで高い割合が出ているわけではなく、2016〜2025年を通して、約7割という水準が続いています。
アドバイス勢いよく離れたブレイクの約7割は、線の近くまで戻るんだ。しかも半分は次の1時間で戻っているよ。
リターンムーブのトレード手法|戻ったあとの動きと入り方・損切りの置き方

戻ったあと、先にどちらへ動いたか
戻り足の終値を基準に、24本以内に元の方向へ1ATR進むのと、逆方向へ1ATR進むのと、どちらが先かを数えました。元の方向が先だったのは7,278件のうち3,503件(48.2%・95%の誤差の幅は47.0〜49.3%)、逆が先だったのが3,772件でした。ブレイクと無関係に選んだ時点で同じ測り方をした基準は49.9%で、戻りの場面が特に有利という結果ではありません。
| 通貨ペア | 線まで戻った割合(件数) | 戻り後に先に元の方向へ(95%の誤差の幅) |
|---|---|---|
| ドル円 | 71.2%(1,639件) | 49.9%(47.3〜52.5%) |
| ユーロドル | 71.9%(1,522件) | 49.2%(46.7〜51.8%) |
| ポンドドル | 71.1%(1,514件) | 44.9%(42.3〜47.5%) |
| 豪ドル円 | 71.5%(1,618件) | 50.5%(48.0〜53.1%) |
| ドルスイス | 71.9%(1,524件) | 46.2%(43.6〜48.7%) |
| 5通貨ペア合計 | 71.5%(7,817件) | 48.2%(47.0〜49.3%) |
表は、勢いよく離れたブレイクを分母にした割合です(1時間足・2016〜2025年・Dukascopyのティックから作成)。通貨ペアで見ると、ポンドドル(44.9%)とドルスイス(46.2%)は50%を下回り、ドル円と豪ドル円は50%と区別がつきません。方向別では、上方向のブレイクが47.6%、下方向のブレイクが48.8%でした。どの切り方でも、元の方向へ先に動く割合は50%を超えていません。
戻らずに走る事例も多い

12本以内に線へ戻らなかった事例は、戻った事例より、24本後も線の外側(ブレイクの方向側)にいる割合が高い結果でした。24本後の終値が線よりブレイクの方向側にあったのは、戻った場合が53%(7,425件)、戻らなかった場合が87%(2,976件)です。戻りを待つ手法は、約3割の「戻らずに伸びる」場面を見逃すことになります。待つ手法が見逃した分は、その後の値動きを自分で追いかけるかどうかの判断になります。
入り方は3つの型|早いほど損切りに近く、遅いほど取りこぼす

戻ったあとの入り方は、大きく3つに分かれます。1つ目は、線に指値を置いて待つ方法で、入るのは早い反面、線を割り込んだ事例では損失になります。2つ目は、線の近くで反発の足が出てから入る方法です。3つ目は、反発後の高値を抜けてから入る方法で、再上昇を確認できる代わりに、入る位置は線から離れます。
この3つの型の優劣は、本記事では測っていません。ただ、2つ目に近い条件として「戻り足の終値が線の上(ブレイク側)で引けたか」で分けると、引けた事例(4,695件)で元の方向へ先に動いた割合が49.0%、引けなかった事例(2,583件)で46.5%でした。差は約2.5ポイントで、どちらも50%を下回っています。反発の確認を待つことで、不利な事例を少し避けられる可能性はありますが、有利になると言える差ではありません。
損切りの置き方|線の外側に何pips必要か

損切りの幅を考える材料として、ドル円で「戻ったあと先に元の方向へ1ATR進んだ」731件が、その途中で線をどこまで割り込んだかを数えました。線をまったく割り込まなかったのは23%、割り込んだ最大幅の中央値は4.75pips、5pipsより深く割り込んだのが48%、10pipsより深いのが31%、15pipsが20%、20pipsが13%、30pipsが7%です。つまり、線の外側10pipsに損切りを置いた場合、のちに元の方向へ伸びた事例のうち約3割が、先に損切りにかかっています。
この数字は、「結果として伸びた事例」だけを集めたものです。損切りを深くすれば、伸びる事例で損切りにかかる割合は減りますが、伸びなかった事例の1回あたりの損失は大きくなります。ドル円のATR(1時間足)の中央値は約16pipsでしたが、固定のpipsではなく、そのときの値動きの大きさ(ATRなど)に合わせて幅を決めるほうが、場面ごとの差を吸収できます。損切りの考え方は損切りルールの記事を参照してください。

アドバイス戻ったところで入っても、元の方向へ先に動くのは約半分。入り方より、損切りと資金の決め方が大事だよ。
リターンムーブのエントリー条件|時間帯・取引量・ローソク足を確かめる

時間帯|戻りやすい時間はあるが、戻ったあとの結果は同じ
ブレイクした足の日本時間で分けると、線まで戻る割合は、東京時間(7〜15時)が76%、ロンドン時間(15〜21時)が77%、NY時間(21〜翌3時)が64%、早朝(3〜7時)が65%でした。東京・ロンドンのほうがNY・早朝より、よく戻ります。
一方、戻ったあとに元の方向へ先に動いた割合は、東京47%、ロンドン47%、NY49%、早朝54%です。早朝だけ54%と高く見えますが、事例が431件と少なく、95%の誤差の幅が49.2〜58.6%で50%を含むため、差があるとは言い切れません。時間帯は「戻りやすさ」には差がありますが、戻ったあとの有利さには差が出ませんでした。
取引量|ブレイクの足が活発だと、戻りにくい

FXには取引所の出来高がないため、その足の価格更新(ティック)の数で取引量を代用しました。ブレイクの足のティック数が、直前20本の平均の1.5倍以上だった場合(5,463件)は、線まで戻った割合が67%、1.5倍未満だった場合(5,465件)は76%です。取引量が多いブレイクのほうが、戻らずに走りやすい結果でした。ただし、戻ったあとに元の方向へ先に動いた割合は、どちらも48%で差がありません。
戻り足のティック数が、離れた足より少なかった事例(3,985件)は、元の方向へ先に動いた割合が49.2%、多かった事例(3,293件)は46.9%でした。取引量が減る戻りのほうが良いとされますが、差は2.3ポイントで、どちらも50%を下回っています。取引量の見方は出来高分析の記事で説明しています。

ローソク足・フィボナッチ・移動平均線は、本記事では測っていません
戻りの場面で使われる確認の材料には、ピンバーや包み足などのローソク足、フィボナッチ・リトレースメント、移動平均線があります。これらを組み合わせたときに戻り後の結果が良くなるかは、本記事の集計では確かめていません。各手法の見方は、それぞれの記事で説明しています。
- ピンバー:長いヒゲで反発を示すローソク足。
- 包み足:直前の足を包み込む形で、向きの転換を示すローソク足。
- ダブルトップ・ダブルボトム:戻りの場面で形になることがある反転のパターン。
- フィボナッチ・リトレースメント:戻りの深さの目安を引く方法。
- 移動平均線:トレンドの向きと、戻りの目安になる線。
アドバイス戻りやすいのは東京とロンドン、戻らず走りやすいのは取引量が多いブレイクだよ。でも戻ったあとの結果は、どれも約半々なんだ。
リターンムーブの注意点|ダマシ・連敗・資金管理

ダマシ|戻ったあとに元の線を割る事例は約半数ある
戻ったあとに逆方向へ先に1ATR動いた事例は、7,278件のうち3,772件(51.8%)でした。戻りが成功する場合と失敗する場合は、ほぼ同じ頻度で起きます。「リターンムーブを確認してから入れば安全」という見方は、この集計では支持されません。ブレイクの失敗(ダマシ)の見分け方は、フォールスブレイクアウトの記事で説明しています。

連敗と資金管理|1回の損失を何%にするか
元の方向へ先に動く割合が約半分の場合、勝ちと負けは同じ程度に出ます。連敗は特別なことではなく、取引を続ければ必ず起きる前提で資金を決める必要があります。1回の損失を資金の1%にした場合、20連敗しても資金は82%残りますが、2%なら67%、5%なら36%、10%なら12%まで減ります。これは、1回の損失率を一定とした計算(0.99の20乗など)で、実際の損失はスリッページやスプレッドで広がることがあります。
FX取引にはレバレッジがあり、損失は預けた資金を超えることがあります。損切りの幅と1回の損失率は、エントリーの前に決めておきます。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘ではありません。FX取引は元本を超える損失が出るおそれがあります。過去の集計結果は将来の成績を保証しません。
アドバイス戻りを待っても、連敗は起きるよ。1回の損失を小さく決めてから始めよう。
要点
・リターンムーブは、高値・安値の線を抜けた価格が、その線の近くまで戻る動きです。ブレイクアウトは線を抜けること、ロールリバーサルは線の役割が入れ替わることを指します。
・5通貨ペア・10年の1時間足で数えると、勢いよく離れたブレイクの72%が12本以内に線の近くまで戻りました。半分強は離れた次の1時間で戻っています。
・戻ったあとに先に元の方向へ1ATR動いた割合は48%(誤差の幅47.0〜49.3%)で、50%を下回りました。時間帯や取引量で分けても、50%を超える区分はありません。
・戻らずに走る事例も約3割あります。損切りを線の外側10pipsに置くと、のちに伸びた事例の約3割が先に損切りにかかりました(ドル円)。
・数字はDukascopyのティックから作った1時間足・2016〜2025年の集計で、特定の手法で利益が出ることを示すものではありません。
リターンムーブのよくある質問
リターンムーブとは何ですか?
価格が高値や安値の線を抜けたあと、いったんその線の近くまで戻ってくる動きです。戻ったあとに再びブレイクの方向へ動くか、線を割り込んで逆に動くかは、事前には分かりません。
リターンムーブはどのくらいの頻度で起きますか?
本記事の集計では、勢いよく離れたブレイクの72%が、12本以内に線の近くまで戻りました。5通貨ペアの1時間足(2016〜2025年)で、19,206回のブレイクを数えた結果です。「線の近く」を線+0.2ATR以内としており、許容幅を変えると割合は66%〜80%で変わります。
リターンムーブで入れば有利になりますか?
本記事の集計では、有利とは言えませんでした。戻ったあとに先に元の方向へ1ATR動いた割合は48%で、上下どちらも同じ確率の50%を下回りました。通貨ペア・時間帯・取引量で分けても、50%を超える区分はありません。
リターンムーブとロールリバーサルの違いは何ですか?
リターンムーブは抜けたあとに線へ戻る価格の動きで、ロールリバーサルは抜けられた線の役割が入れ替わる現象です。リターンムーブのあとに線が支えとして働けば、ロールリバーサルが起きたと言えます。
リターンムーブの損切りは、線から何pips離せばよいですか?
決まった値はありません。ドル円で、戻ったあとに元の方向へ進んだ731件を数えると、途中で線を10pips以上割り込んだのが31%、20pips以上が13%でした。損切りを浅くすれば損失は小さくなりますが、のちに伸びた事例でも先に損切りにかかる割合が増えます。
リターンムーブはどの時間足で使いますか?
本記事の集計は1時間足だけで、ほかの時間足は測っていません。時間足ごとに値動きの大きさが違うため、1時間足の結果をほかの足にそのまま当てはめることはできません。
リターンムーブのまとめ
リターンムーブは、線を抜けた価格がその線の近くまで戻る動きで、ブレイクアウト(抜けること)やロールリバーサル(線の役割の入れ替わり)とは見る場所が違います。5通貨ペア・10年の1時間足で数えると、勢いよく離れたブレイクの72%が12本以内に戻り、半分強は次の1時間で戻っていました。一方、戻ったあとに先に元の方向へ動く割合は48%で、時間帯・取引量・通貨ペアで分けても50%を超える区分はなく、戻りに入るだけで有利になるとは言えません。戻らずに走る事例も約3割あり、損切りを浅く置けば、のちに伸びる事例でも先に損切りにかかります。リターンムーブを使うときは、戻りの確認を過信せず、損切りの幅と1回の損失率を先に決め、デモ口座や少額で試してください。数字はDukascopyのティックから作った1時間足・2016〜2025年の集計で、FX取引には損失のおそれがあり、過去の結果は将来を保証しません。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













