
バイストップ(Buy Stop)は、今の価格より上に置いておき、相場が上がって届いたら買う予約注文です。指値との違い、高値ブレイクで使うときの価格の決め方、MT4・MT5での設定手順、約定しない原因までを順に解説します。読み終える頃には、注文価格と損切りを自分で決めて発注できるようになります。
バイストップとは?現在値より上で買う逆指値注文
結論から言うと、現在のAsk(買値)より上に価格を指定し、相場がそこまで上がったら自動で買いが入る注文です。国内FX会社でいう「逆指値の買い」と同じもので、上昇の勢いを確かめてから乗りたいときに使います。例えばUSD/JPYが150.00円のときに150.10円で置けば、150.10円に届くまでは何も起きません。
Ask価格が指定価格に届くと成行で買う仕組み

FXの価格には買値のAskと売値のBidがあり、買い注文はAskで約定します。発注した注文はFX会社のサーバーで待機し、Askが指定価格以上になった瞬間に成行注文に切り替わります。パソコンを閉じていても、サーバー側で注文が生きている点がポイントです。
成行に切り替わる以上、約定価格は指定価格ちょうどとは限りません。値動きが速い場面だと、150.10円で置いた注文が150.12円で約定するといった2銭ほどの差が出ます。この差が大きくなる条件は、後半の約定しない・ずれる原因の節で詳しく扱います。
国内FXの「逆指値の買い」と同じ注文
国内FX会社の取引画面の表記は「逆指値」や「ストップ注文」です。売買の区分で買いを選び、現在値より上の価格を入れれば、MT4・MT5のBuy Stopと同じ動きになります。呼び方が違うだけで、中身は同じ注文です。
反対に、現在値より下で買う注文は指値(Buy Limit)です。押し目を待って買う使い方はバイリミットの仕組みと使い方で詳しく解説しています。
売りポジションの損切りにも使われる
売りポジションを持っているとき、損切りは今の価格より上で買い戻す注文になります。MT4・MT5で売り注文にS/L(決済逆指値)を入れると、その損切りは現在値より上で買う逆指値として働きます。
例えば150.00円で売り、150.30円にS/Lを入れた場合、Askが150.30円に届いた時点で買い戻し、損失は30銭で止まります。新しく買うのか、売りを閉じるのかの違いだけで、「上に届いたら買う」という動きは変わりません。損切り幅の決め方はFXの損切りルールで解説しています。
Buy Stopは「今より上」「買い」「届いたら成行」の3つがそろった注文です。現在値より下の価格を入れると、MT4・MT5ではエラーになり発注できません。
アドバイス上に届いたら買う、が基本だよ。まずは現在値より上に置くことを覚えよう。
バイストップとバイリミットはどう違う?予約注文4種類の比較
バイストップは現在値より上で買い、バイリミットは現在値より下で買う注文です。どちらも買いの予約ですが、上昇が続くと見るか、一度下がってから上がると見るかで使い分けます。売りの2種類も含めるとMT4の予約注文は4種類で、MT5はこれにストップリミット注文が加わります。
置く位置と相場の予想で4種類に分かれる
4種類は「現在値の上か下か」と「買いか売りか」の組み合わせで決まります。上で買うBuy Stopと下で売るSell Stopは、動いた方向についていく順張りの注文です。下で買うBuy Limitと上で売るSell Limitは、戻りを待つ逆張りの注文になります。5つの注文を用途別に並べると次の表のとおりです。
| 注文 | 置く位置 | 想定する値動き | 主な使い方 | MT4 | MT5 |
|---|---|---|---|---|---|
| Buy Stop | 現在値より上 | 上抜けてさらに上がる | 高値ブレイクで買う・売りの損切り | ○ | ○ |
| Buy Limit | 現在値より下 | 一度下がってから上がる | 押し目で買う・売りの利確 | ○ | ○ |
| Sell Stop | 現在値より下 | 下抜けてさらに下がる | 安値ブレイクで売る・買いの損切り | ○ | ○ |
| Sell Limit | 現在値より上 | 一度上がってから下がる | 戻り売り・買いの利確 | ○ | ○ |
| Buy Stop Limit | 上にストップ価格、その下にリミット価格 | 上抜けたあと少し押してから上がる | ブレイク後の押し目を待って買う | × | ○ |
表のとおり、Buy StopとSell Limitはどちらも現在値より上に置きますが、買いと売りで向きが逆です。発注画面で種類を選び間違えると、上抜けで買うつもりが上で売る注文になるため、発注前に種類の欄を読み直す習慣をつけてください。決済まで1回で予約する組み合わせ注文はIFD・OCO・IFO注文の違いで扱っています。
MT5だけにあるBuy Stop Limitの動き

Buy Stop LimitはMT5だけにある注文で、ストップ価格とリミット価格の2つを入れます。Askがストップ価格に届いた時点で、そのすぐ下のリミット価格にBuy Limitが新しく置かれ、価格がそこまで下がってきたら買いが成立します。
例えばUSD/JPYでストップ価格150.20円、リミット価格150.10円とすると、150.20円への上抜けを確かめてから、150.10円まで押したところで買います。ブレイク直後の高い値段をつかみにくい反面、押さずに上がり続けると約定しないまま置いていかれます。
MT4にはストップリミット注文がありません。上抜けを確認してから、手動でBuy Limitを押し目の価格に置き直す2段階の操作になります。チャートを見られない時間帯はBuy Stopの方が扱いやすい場面もあります。
アドバイス上で買うか下で買うかで名前が変わるよ。種類の欄は発注前に読み直そう。
バイストップの使い方と注文価格の決め方
バイストップが力を出すのは、何度も意識された高値や上限の線を価格が抜けて、上昇に勢いがつく場面です。注文価格は高値ちょうどではなく少し上に置き、損切りと利確も同じ注文で入れておくのが基本の形になります。
直近高値の上抜けを狙うブレイクアウト

典型的なのは、何度かはね返された高値やレジスタンスラインの上に置く使い方です。例えばUSD/JPYの1時間足で150.00円が3回はね返された高値なら、その上に買いを待たせておけば、チャートを見ていない時間に抜けても乗り遅れません。ブレイク手法の全体像はブレイクアウト手法の基本で解説しています。
反対に、上下の幅が20〜30銭ほどの狭いレンジの中で高値のたびに置き直すと、抜けては戻る動きに何度も引っかかり、損切りが続きやすくなります。東京時間の小さな高値なのか、日足でも意識される高値なのかを見分けてから置くと、無駄な約定を減らせます。
高値からどれだけ上に置くかの目安
高値ちょうどに置くと、ひげが一瞬だけ高値に触れたところで約定し、すぐ押し戻されることがあります。そこで、高値にスプレッドと数銭の余裕を足した位置に置きます。上乗せの目安は損切り幅の2〜3割程度で、1時間足なら5〜10銭、日足なら20銭前後です。
時間足別に、直近高値から注文価格・損切り・利確までを数字で置いた例が次の表です。どれもリスクリワードを1:2にそろえた例示で、実際の値は相場の値幅に合わせて調整してください。
| 時間足(USD/JPYの例) | 直近高値 | 注文価格(上乗せ) | 損切り(幅) | 利確(幅) | リスクリワード |
|---|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 150.20円 | 150.25円(+5銭) | 150.10円(15銭) | 150.55円(30銭) | 1:2 |
| 1時間足 | 150.00円 | 150.08円(+8銭) | 149.78円(30銭) | 150.68円(60銭) | 1:2 |
| 4時間足 | 151.00円 | 151.12円(+12銭) | 150.62円(50銭) | 152.12円(100銭) | 1:2 |
| 日足 | 152.50円 | 152.70円(+20銭) | 151.70円(100銭) | 154.70円(200銭) | 1:2 |
損切りは、抜けた高値より下で「ここまで戻ったらブレイク失敗」と言える位置に置きます。表の1時間足の例なら、高値150.00円より22銭下の149.78円です。
損切りと利確を同じ注文で置いておく
Buy Stopは発注画面でS/L(決済逆指値)とT/P(決済指値)を一緒に入れられます。約定した瞬間から損切りと利確が有効になるため、夜中に抜けて約定しても、損失は決めた幅で止まります。
利確を損切り幅の2倍に置くと、損益がとんとんになる勝率は約33%まで下がります(スプレッドや手数料を除いた計算です)。勝率と損益比の関係はリスクリワードと勝率の損益分岐表で確かめられます。
アドバイス高値ちょうどではなく、少し上に置くのがコツだよ。損切りも一緒に入れよう。
バイストップの設定手順(MT4・MT5)
MT4・MT5とも、新規注文の画面で注文の種類を「指値注文」に切り替え、続く欄でBuy Stopを選んで価格を入れれば発注できます。ここでは前の節の1時間足の例(注文150.08円・損切り149.78円・利確150.68円)を使い、4つの手順で入力欄ごとの値を確認します。
STEP1 新規注文画面を開いて指値注文を選ぶ
MT4はツールバーの「新規注文」ボタンか、気配値表示の通貨ペアをダブルクリックして注文画面を開きます。注文種別の欄を「成行注文」から「指値注文」に切り替えると、予約注文用の入力欄に変わります。
MT5も「新規注文」から同じ画面を開き、注文の種類の欄で「指値注文」を選びます。MT5はチャートを右クリックして「取引」のメニューを開くと、クリックした価格でBuy Stopを出すこともできます。
STEP2 種類をBuy Stopにして価格と数量を入れる
種類の一覧からBuy Stopを選び、価格の欄に150.08と入れます。数量はロットで指定し、多くのFX会社では1ロットが10万通貨、0.1ロットが1万通貨です。1ロットの通貨量は会社ごとに違うため、FXのロットの基本で考え方を確かめてから入れてください。
| 入力欄(MT4) | 1時間足の例で入れる値 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 種別 | Buy Stop | 上に置く売りのSell Limitと取り違えやすい |
| 価格 | 150.08 | 現在値より下の価格はエラーになる |
| 数量 | 0.1(1万通貨) | 1ロットの通貨量は会社ごとに違う |
| 決済逆指値(S/L) | 149.78 | 注文価格より上に入れるとエラーになる |
| 決済指値(T/P) | 150.68 | 注文価格より下に入れるとエラーになる |
| 有効期限 | 空欄(取り消すまで有効) | 週末をまたぐと窓開けで約定することがある |
STEP3 損切り・利確と有効期限を決めて発注する

S/Lに149.78、T/Pに150.68を入れます。有効期限は空けておけば取り消すまで残り、日時を指定すればその時刻に自動で消えます。重要指標の前に置いた注文を翌朝まで残したくないときは、期限を当日中にしておくと消し忘れを防げます。
MT5の有効期限は「キャンセルするまで有効」「当日」「日時指定」などから選ぶ形式です。入力が終わったら「発注」を押し、確認のメッセージが出れば予約は完了です。
STEP4 取引タブで待機中の注文を確かめる
発注した注文は、ターミナルの「取引」タブに種類「buy stop」として並びます。行をダブルクリックすると価格・S/L・T/Pの変更や取り消しができ、チャート上の注文ラインをドラッグして価格を動かすこともできます。約定すると種類が「buy」に変わり、保有ポジションとして損益が動き始めます。
アドバイス発注したら、取引タブで種類がbuy stopになっているか見ておこう。
バイストップが約定しない・価格がずれるのはなぜ?
バイストップが思った価格で約定しない原因は、主に3つです。判定がチャートのBidではなくAskで行われること、現在値に近すぎる価格は置けないこと、相場が飛んだときに指定より上で約定することです。症状から原因を切り分けると次の表になります。
| 症状 | 主な原因 | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| チャートの線が届く前に約定した | Askで判定している | チャートにAskラインを表示する |
| 発注ボタンでエラーが出る | ストップレベルより近い・価格の置き間違い | 通貨ペアの仕様と現在値 |
| 待っても約定しない | 有効期限切れ・証拠金不足・Askが未到達 | 取引タブと操作履歴 |
| 指定より高く約定した | 窓開けや指標発表のスリッページ | 約定価格と指定価格の差 |
チャートのBidではなくAskで判定される

MT4・MT5のローソク足は、通常Bidの価格で描かれています。Buy StopはAskで判定するため、チャート上の価格が注文価格に届いていなくても、スプレッドの分だけ手前で約定します。例えばスプレッドが0.2銭なら、Bidが150.078円になった時点でAskが150.080円に届き、150.08円の注文が約定します。
スプレッドが広がる早朝や指標発表の前後は、この差が1〜2銭以上に開くことがあります。高値を抜けていないのに買いが入ったと感じたら、Askの線を出して確かめてください。MT4ではチャートのプロパティの「全般」タブにある「Askラインを表示」にチェックを入れます。
現在値に近すぎる価格は置けない
FX会社は、現在値から一定の幅より近い位置に予約注文を置けないよう制限していることがあります。MT4ではこの幅をストップレベルと呼び、気配値表示の通貨ペアを右クリックして「仕様」を開くと確認できます。制限に引っかかると「無効な価格」といったエラーが出て、注文は通りません。
エラーのもう1つの原因は、Buy Stopの価格を現在値より下に入れる置き間違いです。下で買いたいならBuy Limitに切り替えます。証拠金が足りないときや有効期限が過ぎたときも、注文は約定しません。
窓開けや指標発表でスリッページが出る
週明けの窓開けや米雇用統計の発表直後は、価格が途中を飛ばして動くことがあります。例えば金曜の終値が149.90円、注文が150.08円のとき、月曜が150.30円で始まれば、約定は150.30円付近になり、22銭高く買うことになります。週明けの値動きの傾向はFX月曜日の窓開けとリスクで解説しています。
逆指値は価格より約定を優先する注文なので、スリッページそのものは避けられません。発生しやすい条件と対策はスリッページの原因と対策で確かめられます。指標の前後は注文を置かない、置くなら損切り幅に余裕を持たせるといった決め方が現実的です。
アドバイスチャートの線はBidだよ。Askラインを出しておくと、約定の理由がすぐ分かるよ。
バイストップの注意点とだましへの備え
バイストップの弱点は、抜けた直後に戻る「だまし」でも約定してしまうことです。だましを避けきる方法はないため、1回の損失額を先に決め、そこから数量を逆算しておきます。
上抜け直後に戻るだましの損失を先に決める
高値を抜けて約定した直後に反落し、損切りまで戻るのがだましの典型です。抜けたローソク足が長い上ひげで終わる、次の足で高値を更新できないといった形は、だましを疑う目安になります。見分け方はフォールスブレイクアウトの判断基準で詳しく扱っています。
損失の上限は、1回あたり資金の2%以内などと決めておきます。例えば資金30万円なら2%は6,000円で、損切り幅30銭のUSD/JPYでは1万通貨あたり約3,000円の損失になるため、2万通貨(0.2ロット)が上限です。
| 資金 | 1回の損失上限(2%) | 損切り30銭での数量の上限 |
|---|---|---|
| 10万円 | 2,000円 | 6,000通貨(0.06ロット) |
| 30万円 | 6,000円 | 2万通貨(0.2ロット) |
| 50万円 | 10,000円 | 3万通貨(0.3ロット) |
| 100万円 | 20,000円 | 6万通貨(0.6ロット) |
国内の個人向けFXは2026年時点でもレバレッジの上限が25倍で、USD/JPYが150円のときに2万通貨を持つ必要証拠金は約12万円です。資金30万円なら、証拠金の面でも無理のない量に収まります。
OCOで売りの逆指値と組み合わせる

上に抜けるか下に抜けるか読めない保ち合いでは、高値の上にBuy Stop、安値の下にSell Stopを置き、片方が約定したらもう片方を取り消すOCOの形が使えます。どちらに動いても、動いた方向の注文だけが残ります。
国内FX会社の取引画面にはOCO注文を備えたものが多い一方、MT4の標準の注文画面にはOCOの項目がありません。MT4で同じ形を作る方法はMT4でOCO注文を設定する方法で解説しています。
USD/JPYが149.50〜150.00円で保ち合っているなら、Buy Stopを150.08円、Sell Stopを149.42円に置きます。損切りはどちらも保ち合いの内側、例えば149.78円と149.72円に入れておきます。
アドバイスだましは避けきれないよ。1回の損失額を先に決めてから数量を出そう。
バイストップのよくある質問
発注の前に迷いやすい3つの疑問に、短く答えます。
- バイストップを出すと手数料はかかりますか?
多くのFX会社では、予約注文を出すだけなら手数料はかかりません。約定したときのスプレッドや取引手数料は成行注文と同じで、待っている間と取り消したときの費用はゼロです。
- 週末をまたいでも注文は残りますか?
有効期限を「取り消すまで有効」にしていれば残ります。ただし月曜の窓開けで指定より上で約定することがあるため、週末の前に注文価格と損切り幅を見直してください。
- スマホのMT4・MT5アプリでも出せますか?
出せます。アプリの注文画面で種類をBuy Stopに切り替え、価格と数量を入れて発注します。S/LとT/Pも同じ画面で入れられるので、パソコンと同じ形で予約できます。
まとめ:上抜けで買う注文は損切りとセットで置く
バイストップは、上昇の勢いを確かめてから乗るための注文です。使う前に押さえておきたいのは次の3点です。
- 現在値より上に置く買いの逆指値で、約定の判定はチャートのBidではなくAskで行う
- 直近高値の少し上(損切り幅の2〜3割ほど)に置き、S/LとT/Pを同じ注文で入れる
- だましとスリッページは避けられない前提で、1回の損失額から数量を決める
まずは1時間足の高値を1つ選び、表の例のように注文価格・損切り・利確を数字で書き出してから発注するところから始めてください。押し目を待って買う使い方と比べたいときは、上で紹介したバイリミットの記事と見比べると違いがはっきりします。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。












